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国民不在の戦争準備許すな 全国から市民集い熊本大行動 脅威煽りミサイル基地化 いつか来た道くり返させぬ

(2025年12月1日付掲載)

全国から400人が集まった「戦争だけはしちゃならん!熊本大行動」(11月24日、熊本市)

 陸上自衛隊健軍駐屯地に中国沿岸部までを射程に収める長射程ミサイル12式地対艦誘導弾(能力向上型)の先行配備が発表された熊本市で11月24日、「戦争だけはしちゃならん!熊本大行動」(平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本、熊本県平和委員会、自主・平和・民主のための広範な国民連合・熊本、戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク、日本ジャーナリスト会議/共催)がおこなわれ、全国から400人の参加者が集った。九州を中心に全国各地で進む軍事化の現状とそれに対抗する市民運動の盛り上がりについて、各地からの報告がおこなわれるとともに、平和を求める全国の市民が繋がり連帯する重要性が確認された。そして今年度中の長射程ミサイル先行配備が計画されている熊本を皮切りに、進行する日本の戦争体制とたたかっていく決意に溢れた集会となった。

 

 午前中に、沖縄・西日本ネットワークの共同代表で、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏が講演をおこない、「二度と沖縄で戦争をくり返してはならないと活動を続けてきたが、そのなかで戦争の危機が沖縄だけでなく日本全国に迫っている」と訴えた【詳報次号】。

 

 午後からは、各地域からの報告がおこなわれた。最初に熊本の松野弁護士が挨拶し、「なぜ日本があのような戦争に突入してしまったのか、そしてなぜあの戦争を阻止することができなかったのか。これは私たちに突きつけられている大きな課題であり、これをしっかりと検証しながら、平和活動を進めていかなくてはならない」とのべた。そして先の戦争に至る過程では、さまざまな法によって国民の声が抑さえつけられ弾圧された経験から、「われわれは市民の声を一つ一つ地道にあげ続けることが大事だと思う。熊本だけでなく、各地の反戦平和を望む市民のみなさんと一緒になって連帯してたたかっていくことが今求められていることだ」と今集会の意義をのべた。

 

 熊本からの報告では、熊本県平和委員会事務局長の坂本浩一氏が登壇し、防衛省が長射程ミサイル12式地対艦誘導弾(能力向上型)を全国で初めて熊本の健軍駐屯地に先行配備すると発表した8月29日は、ミサイル配備に反対する熊本の政府交渉団が防衛省と交渉をおこなっている日だったと明かした。交渉団が健軍駐屯地に長射程ミサイルが先行配備されるのかと問い、防衛省が「まだ配備先は決まっていない」と答えた数時間後の発表だったという。

 

 この発表を受けて、12の市民団体が熊本県に対してミサイル配備撤回を国に求めるよう要請する文書を提出した。長射程ミサイルが健軍駐屯地に先行配備されることが今年3月に報道されて以降、熊本では反対要請書提出や県への抗議行動、記者会見などをくり返しおこなってきたが、県の対応は一貫して「国防に関することは国の専管事項」であるため、県ではなく国に要請をするよう市民団体に求めるものだという。

 

 現在健軍駐屯地では、今年度予算だけで355億円をかけて地下深くに西部方面隊の地下司令部をつくる計画が進んでいる。日米合同演習「キーンソード25」では、宮崎の航空自衛隊・新田原基地から熊本空港へF15戦闘機が4機やってきて整備、燃料補給をおこない離陸した。これは宮崎の新田原基地が反撃され、基地機能を喪失しても戦闘能力が維持できるよう、特定利用空港法を利用して熊本空港を新田原基地の代替基地として使用しようとするものだ。

 

 坂本氏は「西部方面隊司令部のある健軍駐屯地に長射程ミサイルが配備されたら、健軍駐屯地は反撃される。熊本市民病院が基地の隣に建っており、住宅が密集する健軍周辺には保育施設35カ所、小学校13カ所、中学校7カ所、高校が8カ所ある。健軍地域が反撃されれば地上は火の海だ。子どもたちは死ぬ。絶対に長射程ミサイルを健軍駐屯地に配備させてはならない。イージス・アショアの計画を断念させたように徹底的にたたかおうではないか。そして全国に広がる敵基地攻撃ミサイル群の配備計画を、最初の熊本健軍で止めようではないか」と力強く訴えた。

 

 1200人が集まった11月9日の健軍集会を主催した「STOP!長射程ミサイル・県民の会」の山下雅彦会長は「あの熱気と興奮に包まれた健軍商店街の集会から2週間が経過した。私は健軍商店街から徒歩5分のところに住んでおり、商店街を通らない日はない。準備をしているときは本当に1000人も集まるのかと思いながらだったが、それをこえる1200人もの人々が集まった大集会となった。私は数年前まで大学の教員をしており、いろんな市民運動にもかかわってきたが、これまでにない形での運動が進んでいることに驚いている。しかし、ここからすべてが始まっていくと思っている。思いがけず健軍が運動の中心となっているが、熊本から日本を変えるとりくみをみなさんと一緒にやっていきたい」とのべた。

 

 ここから全国各地で進められようとしている軍拡の動きと、それに対抗する住民のたたかいが報告された。

 

西日本でも急速な軍拡 周辺住民はカヤの外

 

陸上自衛隊健軍駐屯地への長射程ミサイル配備の中止を求め1200人が参加した集会(11月9日、熊本市東区健軍商店街)

 大分県からは、沖縄・西日本ネットワークの運営委員で、「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」の池田年宏氏が報告をおこなった。

 

 大分では2023年2月に長射程用の大型弾薬庫2棟の建設計画が明らかになり、「弾薬庫とは一体どんなものなのか」「ミサイルはどのような類いのものなのか」など何もわからないなかでゼロから学習を進めてきたという。そのなかで開催された住民説明会は、「工事を始めます」というだけのもので、住民が「どれくらいの破壊力があるのか」「なぜ周囲に5つも小学校があり、4万人もの人が住んでいる場所に建設するのか」と問うても「防衛上いえない」と、何一つまともな答えはなかった。

 

 池田氏は「弾薬の量がわからなければ自治体は避難計画など立てようがない。その後も追加の弾薬庫をつくることが決まり、全部で九棟も弾薬庫をつくる。そこで私たちは『戦争はイヤだ!大分連続行動』を企画してとりくんでいるところだ。22日にその連続行動のなかの『大分総決起集会』をやった。12月14日も敷戸公園で集会とデモ、大分分屯地への申し入れをおこなうことにしている。ただ、弾薬庫ができると被害にあうから反対というだけでなく、私たちは加害の歴史をもう一度振り返ろうと南京大虐殺の学習会もおこなっている。熊本第6師団と一緒になって大分の歩兵47連隊が南京で放火、略奪、強姦などありとあらゆることをしている。こんな戦争は二度とくり返してはならない」と訴えた。

 

 次に佐賀県の豊島耕一氏が報告に立った。佐賀では自衛隊駐屯地が建設され、7月からオスプレイが17機配備されて訓練をおこなっている。豊島氏らは直接行動として、工事ゲートの封鎖をこれまでに総計74時間、35回にわたっておこなってきた。

 

 豊島氏は「基地は建設されてしまったが、今度は基地撤去を求めてたたかっていく。大変なことではあるが、イギリスでは1980年代からグリーナム・コモン女性平和キャンプが始まり、最終的に空軍基地を撤去させるに至っている。板付米軍基地も大規模な闘争によって返還となった。これらのことに学びながら今後も運動を拡大していきたい」と語った。

 

 福岡県では、米軍岩国基地の代替基地として航空自衛隊築城基地の米軍使用が拡大されている。2018年6月に「有事などの緊急時の受け入れのため、築城基地に米軍が使用する庁舎、宿舎、駐機場、弾薬庫の建設、そして滑走を海側に延長して2700㍍とする」ことが発表され、翌19年6月に約1500人が結集した「築城基地の米軍基地化を許さない!福岡県集会」の開催をきっかけに「築城基地の米軍基地化を許さない!京築住民会議」が立ち上げられた。

 

 同会の宗晶子氏は「最近は滑走路延長上の海域で海を埋め立てる作業船が運航している。築城基地の滑走路は真っ暗だったのだが、今ではピカピカの夜景スポットのように強靱化され、どんな重い輸送機や戦闘機にも耐えられる滑走路になっている。米軍が使用する庁舎、宿舎、弾薬庫はできあがっており、23年7月のノーザン・エッジ23で初めて米兵200人が庁舎を利用した。この問題は築城基地だけにとどまらない。昨年4月には北九州空港と博多港が特定利用空港・港湾に指定された。北九州空港では昨年10月にキーン・ソード25で日米の軍事訓練がおこなわれ、今年6月には築城基地所属の戦闘機2機が北九州空港でタッチアンドゴーをおこなった。築城基地は岩国基地の代替基地、北九州空港は築城基地の代替空港なのだ」と指摘した。また、先日おこなわれた日米豪共同訓練では博多港で壱岐・対馬フェリー「みかさ」が装備品と実弾を輸送している。

 

 宗氏は「ひどい女性総理大臣が誕生したが、絵に描いたような対米隷属の総理大臣になぜ保守は怒らないのか。市民の声には耳を貸さず、熊本健軍駐屯地には長射程ミサイル配備、大分県敷戸弾薬庫には長射程ミサイル配備、佐賀空港にオスプレイを配備する。そんなミサイルは総理官邸の地下に整備しろと思う。熊本、築城から行動し、九州全体で頑張っていきたい」と決意をのべた。

 

 広島県呉市では、約130㌶の日本製鉄呉跡地を防衛省が買いとり「多機能な複合防衛拠点」を整備する計画が進んでいる。大型艦船が接岸できる岸壁を整備し、物資や燃料、弾薬の保管、防衛装備庁の研究施設や無人機の製造・整備施設も見込んだものだ。南西諸島有事のさいには、物資や人員を送り出す拠点となる。

 

 広島の新田秀樹氏は「現在の広島は『国際平和都市』を謳い文句にしているが、アジア太平洋戦争時には侵略拠点だった。実際に今も広島湾周辺には岩国米軍基地や多くの自衛隊基地が存在する。海上自衛隊呉地方総監部には空母になった『かが』が配備されている。呉を再び軍港化する動きに対し、12月20日に集会をおこなう。広島、広島湾を再び戦争の拠点として標的にしてはならないと広島の地でも頑張っていきたい」と語った。

 

全国を結び軍拡阻止を 住民の声を束ねて

 

京都・祝園駐屯地への弾薬庫建設に反対する住民集会には2700人が参加した(10月19日、京都府精華町、新開純也氏提供)

 京都府では、23年に精華町の祝園(ほうその)弾薬庫に新たに8棟の弾薬庫を建設することが発表された。翌年にはさらに6棟を追加し、合計で14棟もの弾薬庫が新たに建設されることが明らかになり、23~25年度の防衛省予算では計304億円もの予算が計上されている。周辺住民の反対を押し切って、防衛省は8月に増設工事に着手した。

 

 京都の新開純也氏は「京都祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワークを立ち上げ、まずは住民説明会を求めて運動を始めた。説明会は開催されたが、大分と同様に『工事を始めますよ』程度のものだった。われわれが『弾薬庫には何が入るのか。増設目的は何か』と聞いても『それは防衛上いえない』としかいわない。これではだめだと10月19日に全国集会を開催した。2700人が参加する大変盛り上がった集会となり、反撃の一歩を踏み出すことができたと思う」と報告した。そして熊本での1200人が集まった健軍集会についてふれ、「失礼ではあるが、熊本でと驚いた。熊本に比べれば関西で2700というのはまだまだ少ない。熊本に学んで、われわれも頑張っていかなくてはいけないと思っている。全国の人たちとともに連帯して反対の声をあげていきたい」と意気込みを語った。

 

 静岡県では、富士駐屯地に熊本と同様の長射程ミサイルの配備が発表されている。

 

 東富士演習場の地権者会との間では、1960年代からミサイルは配備しないとの約束が交わされており、それを一方的に無視した配備計画だという。10月には同演習場では初となる国道越しのロケット砲「ハイマース」の射撃訓練もおこなわれた。これらの動きに対し静岡県でも反対する団体を立ち上げようと準備が進んでいるという。

 

 静岡県の望月吉春氏は「12月7日に準備会を結成する。なぜ準備会かというと、いつもの知っている人たちとだけ反対をやるのではなく、とにかく多くの人に来てほしい。そのため、まずは準備会を立ち上げ1月下旬の発足に向けて市民に『こんな計画が進んでいる』ということを知らせる運動を始めているところだ。これまでの活動や思想にとらわれず、とにかく『長射程ミサイルの配備反対』のシングルイシューで集まることを目的にしている」とのべた。

 

 そして「私たちは加害者になるのも嫌だ。私たちは別に中国に恨みがあるわけでも何でもない。いったん戦争が始まってしまえば、学校や病院など関係なしにたくさんの人を殺す。静岡や熊本にミサイルが配備され、どこかに撃てば関係ない市民にも当たることになる。だから私たちは中国にも朝鮮半島にも危害を加えるつもりはない。一緒に反対し、押し返していこう」と訴えた。

 

 愛媛県からは「沖縄・西日本ネットワーク」の共同代表である高井弘之氏が登壇し、住民が関与することなく強引に進められる軍事化に対し、地方自治の観点から自治体を拠点にしてたたかっていくことを提起した。また、戦争体制構築の根拠とされている中国脅威論の虚像を壊していく必要があるとのべた。

 

 高井氏は「1年半前までは各地でこの戦争体制に反対する運動が少数でたたかわれ、繋がっていなかった。しかし今、戦争を止めよう!沖縄・西日本ネットワークができている。昨年4月に初めての集会を愛媛でやり、8月には沖縄、9月に呉、11月には大分で集会をやり、今年2月に鹿児島で結成集会をおこなった。6月に政府行動、10月には祝園で2700人の集会をやった。そして熊本の商店街での集会の話を聞いて私は興奮した。これまで各地で運動がおこなわれてきたが、地元住民や町内会を巻き込んだあのような集会は、現在の新しい戦争体制が始まって以降、沖縄以外で初めてではないか。これをもっと全国に広げていきたい。熊本のたたかいは、熊本のみなさんだけのたたかいではない。私たち全国の市民のためのたたかいだと思っている。同時に私たち全国の市民も熊本の人と一緒にたたかう。このように全国が繋がって国家による戦争を私たち市民の力で止めよう」と力強く訴えた。

 

 高知県の「須崎港の軍港化に反対する会」の柿谷望氏は、2023年10月に防衛省から県に特定利用港湾の打診があったことを新聞で知り、大きなショックを受けたことを語った。「私はそれまでこのようなことに全然関心がなかったが、須崎港もこの候補に挙がっていることを知り大きなショックを受けた。いろんな人がいっている戦争の足音というものをはっきりと聞き、背筋に悪寒が走った」。

 

 受け入れ反対の申し入れなどをおこなったものの、打診からわずか半年という短さで指定がなされ、濵田知事は記者会見で「防衛のみならず防災の対策もおこなうと聞いており、メリットがデメリットを上回るので問題ない」とのべた。このまま黙っているわけにはいかないと、同じように危機感を持った仲間を集めて市民団体を組織し、特定利用港湾指定反対の署名活動などをおこなっているという。

 

 柿谷氏は「須崎市は過去2回軍港として利用されている。大正時代にはシベリア出兵のときに須崎港から軍艦が出港しているし、太平洋戦争のときには人間魚雷『回天』の基地にもなっている。三度、須崎港を軍港として利用するのか、そして私たち市民にまた戦争へ加担させようというのか。こんなことは許してはならないと思って活動を重ねている。今日の集会で、ぜひネットワークを作って来いと会から派遣された。ここでみなさんと一緒にネットワークをつくってこの動きに対抗していきたいと思っている」と決意をのべ、大きな拍手が沸いた。

 

出撃製造拠点にさせぬ 馬毛島・愛知・宮崎から

 

 次に鹿児島県馬毛島で進む自衛隊基地建設に反対する住民訴訟団の和田香穂里氏のメッセージをもとに報告がおこなわれた。馬毛島では、オスプレイやF35などが年間2万3000回も飛行するための基地が建設され、2000㍍級の滑走路2本と巨大な軍港の建設工事が昼夜を問わずおこなわれている。

 

 種子島では、以前は朝とれた海産物がスーパーにずらっと並んでいたが、工事が始まって以降は10時過ぎに鹿児島から海産物が送られてくる状態になっている。6000人もの工事人夫が来たため、のどかで信号が一つしかないような西之表市は、工事人夫の宿舎がどんどん建ち、車がビュンビュン走るようになった。土地が高騰し、アパートも値上げされて住む所がない、お店を借りて営業しているがもうやっていけない、という状態になっている。ゴミの問題も深刻なものになり、馬毛島も種子島の暮らしもめちゃくちゃになっているという。

 

 和田氏はメッセージで「私たちはふるさとの宝の島をどうしてもとり戻したい。なんとかこの工事をやめさせられないかと、入会権を利用したり、ほんのわずかな民有地を売らないでほしいと訴えたりしている。微力だが精一杯たたかっている。基地ができても私たちはあきらめない。今度は騒音がすごいと思う。最後まであきらめることなく、ずっとたたかう覚悟でいる。支援をお願いする」と訴えた。

 

 愛知県からも連帯のメッセージが寄せられた。愛知県で活動をおこなっている山本みはぎ氏は「今年度から熊本の健軍駐屯地を皮切りに全国に順次配備される、長射程の12式地対艦誘導弾(能力向上型)などを製造しているのは、愛知にある三菱重工小牧北工場だ」と指摘し、「私たちは愛知でも全国の皆さんに繋がり、『殺す側にも殺される側にもならない』『戦争に繋がる長射程ミサイルを作るな! 配備をするな!』という運動をさらにとりくんでいきたい」とのべた。

 

 最後に熊本の海北由希子氏が宮崎県の状況を報告した。宮崎の新田原基地は現在日本で最大の航空自衛隊基地となっており、当初馬毛島でおこなわれる予定だったF35Bの垂直離発着訓練が、工期が伸びたため新田原基地でおこなわれている。住民たちは新田原基地での飛行停止を求めて10年以上たたかっており、2017年からは181人が集まって第1次爆音訴訟をたたかった。勝訴したが、国が訓練を強行するため第2次爆音訴訟をやらざるを得なくなり、10月31日にその立ち上げの記者会見が開かれた。しかし、第一次訴訟のさいに損害賠償金が支払われたことから、「もうお金をもらっただろう、まだほしいのか」という目で見られているという。

 

 海北氏は「そんなお金はみんないらないのだ。原告でたたかった人たちはみな高齢で、自分はあと何年生きるかわからないが子どもや孫のために残った生涯をこれにかけるという気持ちで爆音訴訟をやっている。今回も裁判で不利になるようなことをいってしまってはいけないから、今までの状況を私の方からみなさんに伝えてほしいと託された」と訴えた。

 

 そして宮崎では、10月だけで防衛省が新富町で7回、宮崎市内で4回も住民説明会を開いていることを明らかにし、「住民説明会は開こうと思えば開けるのだ。宮崎では、知事と新富町の町長、議会も“話が違う”と立ち上がっている。しかし、どこだったら訓練をやっていいとか、うちじゃなかったらいいという問題ではない。だからやはりみんなで連帯してどこででもやるな、F35Bを使うような状況にするなと反対していこう」と呼びかけた。

 

 その後はクロストークがおこなわれ、各地域の人がスピーカーになり現地の闘争などについて活発な意見交換がおこなわれた。

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この記事へのコメント

  1. 井藤和俊 says:

    友人から御紙のこのニュースを紹介され、読みました。
    私は熊本在住で、11月9日の「健軍長射程ミサイル配備反対集会」に参加してきました。1,200人もの人達が集まって、駐屯地前まで約2キロデモ行進(パレード)しました。途中駐屯地すぐ近くに市民病院があるのを見て、驚きました。
    しかし、国も県も市も、当初は住民説明会を開くように言っていましたが、今は「地元からの積極的な要望が少ない」を言い訳にして、開催する様子はありません。
    その実情が、今朝(12月11日)の熊本日日新聞を読んで分かりました。
    「長射程弾説明会要望に苦慮」「健軍自治会 自衛官多く『声あげづらい』」の見出しです。
    5小学校区人口約4万5千人の各校区自治協議会長のコメントでは、傘下の各自治会長の自衛隊官舎や自衛官の住宅が多く、不安はあっても地域としての意見は言いづらいとの声が紹介されています。
    加えて、木原稔官房長官が、地元熊本1区選出であることも、自治会長が意見を言いづらい背景があると言われています。
    私は、長射程ミサイル配備に賛成する人達も含めて、万が一ミサイル攻撃される事態に備えて、住民の安全対策を国県市に要望する声を盛り上げることが、必要ではないかと思います。
    それは、沖縄含めて全国共通の課題にもなりうると思います。
    自衛官とその家族も、ミサイル攻撃で死傷者が出ることを望むはずはありません。病院や民家が延焼被災した場合、誰がその補償をしてくれるのか?緊急時にどこへ避難できるのか?
    このような疑問を、要望事項として、国・防衛省・県・市に訴える運動を起こすことができないだろうかと思います。
    軍備拡張に賛成する主張が、SNS上では、大勢を占めています。新聞を読まない人が多いなかでで、スマホで世論が形成されていくことを危惧します。
    目に見える形、行動が必要です。保守派をも包摂できる運動を、この機会に創ってゆけないものでしょうか。

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