いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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なぜ日本はおとなしいのか?

 欧米では物価高やそのもとでの生活破壊に抗して労働者によるストライキの嵐が吹き荒れている。医療従事者によるスト、年金改革に対抗するスト、鉄道労働者たちによるスト等々、数十万人規模の一斉ストが各分野で熱を帯び、労働者たちの連帯と団結によって、直接行動で資本家や為政者を突き上げている。コロナ禍やウクライナ戦争を契機にしたインフレなどが生活を襲い、やむにやまれぬ状況が行動に駆り立てているのだろう。


 しかし、様子を伝えるべく配信されているどの写真も、暗く重苦しいものはなく、人々が生き生きとした表情であることに気付かされる。より良い社会にしていくために、社会の主人公である99%の側が連帯と団結によって横につながり、自分一人のためではなくみんなのために、横暴な搾取と貧困を是とする側に一発入れに行く――だからなのだろう。究極の闘争形態はゼネラルストライキ(通称ゼネスト、産業別の枠を越えた労働者による全国的規模の一斉ストライキ)であり、この社会を動かしている労働者の力をいかんなく思い知らせ、支配の側に要求を呑ませていくための一級の武器なのだろう。一定の譲歩とて、たたかいによってしか勝ち取ることなどできず、何もしなければ図に乗った相手からはやられっ放しになるだけなのである。


 日本国内を見てみると、そうした欧米での大衆的行動機運の盛り上がりはメディアに取り上げられることもなく、情報がまるで伝えられないばかりか鎖国のようにシャットアウトされている。影響を与えてはならず、触れさせてはならない情報なのだろう。そうして賃金は上がらず物価だけがジワジワと高騰している最中に、防衛増税はじめとした好き放題だけはまかり通り、政治といえば支配の枠の中で飼い慣らされた与野党が相も変わらず茶番をくり広げ、ガス抜きにもならない。誰もが困っているのに思いを束ねる者がおらず、労働組合の連合といえば労働者を守るどころか資本や権力にすり寄っている有り様である。


 いつからこんなにおとなしくなったのか――。歴史を遡ってみると、60年安保闘争など全国的規模の政治闘争やストライキが果敢に闘われていた時期もあった。しかし、高度経済成長を経て「資本主義も悪くないんじゃないか?」みたいな空気が覆うなかで労働運動も弱まり、労使協調になびいて牙を抜かれ、いまでは足腰が立たないまでになってしまった。社会党は村山富市が首相になり、政府与党のポストについたが最後、いっきに瓦解して国政政党としての存続すら危ぶまれる少数勢力へと転落して今日に至る。連合傘下の労働組合とて資本とたたかうところなど皆無となり、いまどきの春闘なんてものは猫パンチ程度のじゃれ合いでしかない。そうして労組加入率も極端に低い中で、労働者たちは個々バラバラな状態に置かれ、資本や権力の横暴にたいして対抗する術を持っていないのが現実である。


 気付いてみたら、ストライキのたたかい方について継承されていないほど、その歴史は断絶されているともいえる。欧米で同じ時代を生きる労働者が行動に立ち上がっており、新自由主義に対抗してまともな世の中にすべく、連帯と団結を武器に「失うものは鉄鎖のみ」で挑んでいるのに対して、どうしても「日本人はいつまで辛抱するんだろうか…」という気がしてしまう。


武蔵坊五郎      

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