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狙撃兵 利己的なのは武藤貴也だった

 これは悲劇なのか喜劇なのか、最終的に「利己的だったのは武藤貴也だった」が話のオチになるようだ。国会前で安保法制に反対する学生たちに向かって、「彼ら彼女らの主張は“だって戦争に行きたくないじゃん”という自分中心、極端な利己的考えに基づく」と毒づいていたら、見事にブーメランが跳ね返り、未公開株出資金詐欺をやっていたことが発覚して自民党を離党するハメになったのである。「愛国ビジネス」で安倍晋三に取り入ろうとしたはずが、世間の怒りを買って逆に餌食となり、最後は厄介者扱いで自民党を追われたのだから、本人にとっては大変な悲劇であろう。折角つかみかけた政界の夢が、今期をもっておそらく終わりになるのだからーー。
 週刊誌によると、武藤が学生時代からの知人に値上がり確実なソフトウェア会社の新規公開株購入を無料通信アプリLINEで持ちかけ、資金集めを依頼していたこと、利益の半分を武藤に渡す約束で知人が投資家を探し、計4100万円を集めて秘書の口座に振り込んだが、未公開株は購入できず、出資者が返金を求めると800万円は秘書が借金返済に充てており、700万円が返済されていないことを暴露している。「この案件はクローズだからね。正直証券会社からもうちが国会議員のために枠を抑えているのとか一般に知れたら大変だといっています。その辺呉々も注意して下さい」と武藤が記したLINE画面までが掲載され、動かぬ証拠となった。
 狡いのが自民党で、慌てて離党させたうえで「プライベートの問題(自民党とは無関係)ではあるが、国会議員として国民に説明するべき」などといい、思いっきり突き放している。古狸たちが“僕たち関係ありません!”を真顔でやっている光景を見てなんともいえない気持ちになる。やっていることがいかにも金権体質の「自民党」らしくて、その政治風土がつくり出した産物にほかならないと思うからである。与党国会議員の蜜の味とか、右巻き風情が出世街道に乗っていくことも含めて、先輩たちのやっていることを成り上がりの武藤君は精一杯真似したに違いない。そして自爆した。
 他人に「利己的だ!」「戦後教育の産物だ!」と攻撃していた者が、もっとも利己的でアメリカ的な合理主義者だったというのは周囲から見ると喜劇で、「守りたい日本がある!」と叫ぶ以前に「オマエは法律を守れ!」といわれなければならない。一連の騒動はテレビに出てくるお笑い芸人たちよりもはるかに笑わせる“一発芸”として人人の記憶に残るか、あるいは次なる芸人登場ですぐに忘れ去られると思う。  吉田充春

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