いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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総選挙惨敗よりも大切な約束

 安保法制に反対する世論と行動が日を追う毎に熱気を帯び、国会の行方が重大な関心を集めている。ついには歴代の内閣法制局長官だけでなく、最高裁元長官までが登場して違憲と指摘し、砂川判決を盾にした自民党のこじつけ論についても否定することとなった。憲法学者たちが国会において違憲と指摘した際、「憲法の番人は最高裁判所であり、憲法学者ではない!」といっていたのが自民党副総裁の高村正彦(弁護士出身)だった。その番人も学者もみなが四方八方から違憲だといい、既に論理破綻でボロボロなのは誰の目にも明らかである。というより、もともとが論理とかの難しい話ではなく、米軍の身代わりになって自衛隊が地球の裏側まで戦争しに行く法案なのだ。
 国会周辺の抗議行動は60年安保以来の盛り上がりを見せ、全国津津浦浦でデモや集会がとりくまれている。行動に足を運ぶに至っていない人人も含めて、世論の変化はすごいものがある。国会を包囲しているのは12万人という代物ではなく、それを支持する人人も含めると相当数に及ぶ。全国的基盤を持ちながら激しく地殻変動が進行しているのである。政治家であれば、まず第一に有権者から見離されて落選する危険を感じるなり、政府与党ポストから下野することを自覚するのが普通の感覚だろう。
 ところが自民党、公明党は9月の第三週に採決する方針を固め、あくまで強行突破しようとしている。民意に逆らったツケは当然、選挙で跳ね返ってくることは疑いない。場合によっては政治の舞台からの退場勧告を伴う。議員や政党にとってはまさに存立危機事態である。しかし、それよりも「夏までに成し遂げます」といって交わしたアメリカとの約束の方が彼らにとっては大切なのだ。「福島は完全にコントロールされている」に始まる安倍晋三のホラ吹き癖は国民みんながよくわかっている。安保法制の場合、これを空手形にして宗主国たるアメリカにホラを吹いたら大変だといわんばかりの必死さで、なりふり構わぬ暴挙に及んでいる。この違いはいったい何なのだろうか。
 どうして、それほどまでにアメリカに対して卑屈なのか、日本の為政者たちは怖じ気づいているのか? われわれが見せつけられているのは戦後レジームからの脱却どころか、戦後レジームすなわち対米従属の鎖につながれた為政者の姿そのもので、アメリカの戦争を肩代わりし、報復攻撃の対象にされることも厭わない、国民の生命を危険にさらす道を躊躇なく突き進む傀儡政府の姿である。原爆投下や全国空襲から始まった対日占領は既に70年にも及んでいる。遠慮知らずが再び生命を差し出せというところまできて、国民世論も堪忍袋の緒が切れた。
 対米従属からの脱却こそが焦眉の課題であることを突きつけている。

武蔵坊五郎

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