いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

「戦争いかに止めるか」論議に 広島平和公園で原爆と戦争展 世界に渦巻く世論反映

(2026年6月17日付掲載)

真剣な表情で展示パネルを見る外国人たち(13日、広島市)

 原爆展全国キャラバン隊(長周新聞社スタッフ)は13、14日、広島市の平和記念公園内で街頭「原爆と戦争展」をおこなった。2月末にアメリカとイスラエルによる攻撃から始まったイラン戦争が3カ月以上続いてきたなかで、トランプ大統領が核兵器の使用をほのめかすような威嚇をくり返すなど、軍事的な緊張は世界に広がっている。こうしたなか広島には、「二度とくり返してはならない」という共通した思いを持った人々が世界各国、全国各地から多数訪れている。展示に足を止める参観者は、過去の戦争や原爆を体験した人々の視点から語られる証言や思いを現在の問題と重ねて捉えるとともに、感想や意見をアンケートに記している。

 

原爆投下からガザ、イラン戦争まで繋げて議論

 

 展示を参観する人々のなかには国籍を問わず親子連れが多かった。当時を知る戦争体験者が高齢化していくなかで、かつての戦争の歴史を次の世代に伝えていくという問題意識は強く、子連れの親が展示を説明しながら長時間かけて参観したり、外国人参観者も涙を流しながら子どもにパネルの写真を見せたり、英訳をスマートフォンで母国語に翻訳し、自分で読み上げながら子どもに内容を伝える母親の姿もあった。

 

 沖縄県から来て小学生の息子と妻とともに参観した男性は「沖縄戦のパネルの“私も艦砲の食い残しだ”という見出しが目に止まって参観した。あの戦争は80年以上も前にあったことだが、今でも沖縄ではあちこちから艦砲の不発弾が出てくる。私は西原町に住んでいるが、家を建てるときにその土地から不発弾が出てきた。近くには当時の沖縄戦の激戦地といわれる運玉森という山があるが、ここでは昔から頻繁に山火事が起きる。これも不発弾の発火によるものだ。子どもの頃は畑を耕すと次から次に不発弾が出たので、私が小学生の頃は通学路の畑の端に不発弾が並べて置いてあるのが日常の光景だった。沖縄県民にとって沖縄戦は、昔に家族や親戚が経験したということだけでなく、実際に今も生活に影響しているので昔話や他人事とは思えない」と話していた。

 

 男性の叔母は対馬丸事件(1944年8月22日、沖縄からの学童疎開船が鹿児島県沖で米軍の潜水艦に撃沈され、児童784人を含む1484人が死亡)の生き残りだったという。叔母は今年亡くなる直前に、男性に初めてそのことを話してくれたという。男性は「パネルにもあったが、日本が敗戦して占領された後、自分の戦争体験を他人に語れるような空気ではなかったのだと思う。とりわけ戦後は“米国”だった沖縄では本土よりもそういった空気は強かったはずだ。私も含め、今になって親や親戚から体験を聞いておけばよかったと思っている人は多いと思う。沖縄戦だけではなく、広島・長崎の原爆や、日本全国の空襲など、みんなが戦争に巻き込まれた。そのことを息子にも伝えようと思って広島に来た」と語った。

 

 また、米軍が日本を占領後、休むことなく朝鮮戦争やベトナム戦争へと進んでいった内容を描いた「アメリカに終戦はなかった」というパネルに強く共感し「アメリカは日本占領後、西へ西へと戦争を続け、今またイランで戦争をやっている。そして沖縄の基地がアメリカの戦争のために使われた。だから沖縄県民にとっても戦争は終わっていない。基地のガードマンをしている友人がいるが、ニュースにならないだけで今も毎日のように婦女暴行事件が起きている。米兵は女の子を車に乗せてベースの中に連れ込む。友人は入口でおかしいと思ったら自分の番号を渡し、何かあればすぐに連絡できるよう棟の番号を覚えておくよう伝えるそうだ。実際に、部屋でお酒を飲んでいたら何人もの男が乗り込んできたり、襲われそうになって逃げ出してトイレから電話で助けを求められたり、このようなことが毎日のように起きているそうだ。だが基地の中は“日本”ではないので問題にならない」と語った。

 

 そしてアンケートには「教科書には載らない事実やあったことは隠さず今の子たちに学んでもらいたい。昔のことはひた隠しにして今や世界がおかしな方向に進んでいることを変だと思い、過去にあった事実を発信し、理解しないといけないと思った」と記した。

 

繰り返さぬ為過去を学ぶ アメリカ人女性

 

 平和公園やその周辺の遺構を案内するボランティアガイドの市民が参観したり、外国人観光客や県外からの修学旅行生にパネルを見せて説明に活用する姿も増えている。

 

 ボランティアガイドの女性は展示について「このような展示こそ小学生や中学生たちに見てほしい」と語った。女性は定年退職後、「仕事をやめたら平和のために自分にできることをやりたい」と思い、ボランティアガイドに申し込んだという。女性は「私自身、戦後世代なので子どもたちに語れる体験談がない。資料などで勉強しているが、伝えられる内容は限られるので、子どもたちの心に戦争の恐ろしさや平和の大切さをどう訴えかけるかという難しさを感じている。学校でも原爆や戦争のことを詳しく教えなくなっているし、このまま伝える人がいなくなって、若者にとって戦争の記憶が“過去のこと”になってしまうのではないかと不安になる。そんななかで、日本の政府も戦争に向けた軍備増強を進め、どっちを向いて政治をしているのかと思うが、本当にこのままでは危険だ。“何が何だかわからないまま、気づいたら戦争になっていった”という過去の経験を二度とくり返さないために、こういった本当の歴史を隠さず若い世代に伝えていくとりくみが必要だ」と語った。

 

 歴史家として第二次世界大戦の研究をしているというアメリカ人女性は、参観後にスタッフに意見を語った。女性は「とても良い展示だった。なぜ当時、日本全体が戦争に向かっていったのかを歴史的に示す展示内容で、本来このような展示を平和記念館でもやってもっと多くの人たちに見せるべきだと思う。私たちはなぜ世界中が戦争へと向かっていったのかを学ばなければいけない」とのべた。また、現在もアメリカがガザやイランで戦争をしていることについて「私はトランプが大嫌いだし、周りもトランプを嫌っている人ばかりだ。なぜ今でもトランプのような独裁者が支持されているのかが理解できないし、とても悲しく、悔しい。アメリカ国内は今ファシズムが強まっている。この時代にファシズムが存在することが許されないと私は思っている」と語った。

 

 女性はアンケートに以下のように感想を記した。「この展示では細部まで汲み取った歴史を紹介していることに感銘を受けるとともに、それを見ることができたことに感謝する。平和資料館も素晴らしかったが、日本人が指導者によっていかに軍国主義的な社会に追いやられたかという、より複雑な歴史については触れられていなかった。今日世界で起きていること、そしてイラン戦争とイスラエルのガザ攻撃をめぐるわが国の指導者たちの共謀について、私は非常に恐怖を感じている。歴史を学ばなければ、私たちは過去の恐ろしい過ちをくり返す運命にある。日本は過去に学んでいるが、アメリカはそうではない」。

 

「民主主義広げる」という米国のエゴ――外国人アンケートより

 

アンケートを記入する外国人参観者

 ▼まず、写真を見たり証言を読むのは興味深いことだった。しかしそれと同時に、この原爆投下が人類によって引き起こされたという現実を見せつけられることは恐ろしいことでもある。とくに民間人を苦しめることがわかっているにもかかわらず、そのような行為に及ぶことは世界中の誰であっても許されない。私は最近、ベトナム戦争についても調べ始めたのだが、アメリカの戦争犯罪について読んでいると、戦争中に彼らが何をおこなってきたのかを知れば知るほど狂気じみているし、人類がここまで残酷になれるのかと思う。今世界中で戦争が引き起こされているが、何を考え、何に期待すればこのように完全に間違ったおこないができるのかと思う。こんなことがなければ私たちは今頃もっと文明的な世界に住んでいられたはずだ。なぜこのような紛争が未だに起こっているのか、そしてなぜそれが必要なのか、私には理解できない。民間人も兵士も苦しむ。紛争によって人々の命が奪われるべきではない。人間とは代替可能な戦争の道具として「利用」されるべきものではない。いつの日かこれらの戦争が終わることを願う。(ドイツ、二八歳男性、建築家)

 

 ▼戦時中の新聞記事などを簡単に見ることは難しいなかで、このような視点を得られるのはとても興味深くありがたい。西側諸国では、文脈を無視して日本を侵略者として描くのが一般的なので、この展示のアメリカによる残虐行為に関する部分は衝撃的だった。戦争では誰もが苦しむということを認識することが重要だ。歴史はくり返される。米国は、夢を持ち、物語を持つ一般の人々を苦しめるいじめっ子として、今なお世界を締め付け続けている。また、ガザへの攻撃はとくに原爆投下と類似点があり、イスラエルがそれを長引かせるにつれて徐々に核兵器の使用を正当化し始めるのではないかと私は考えている。私の考えが間違いであることを願う。(カナダ、35歳男性、調理師)

 

 ▼これを見て、読んで、学んだ時の気持ちを言葉で表現するのは難しい。ただただ衝撃的なのは、人間が何をしでかすか、人間がどれほど残酷になれるか、そしてこの戦争を経験し、その状況を受け止め、前に進み続けるためにどれほどの回復力が必要となったのかを考えさせられた。私は日本という国を尊敬していたが、今回の展示を見て考えさせられることが多くあった。そして、国としてだけでなく、日本の人々、彼らの理想、回復力、そして学び続け、前進し続ける姿勢についてもさらに尊敬の念が深まった。

 

 私は、私たちが何者であるかを形成してきたものを忘れたり隠したりすることなく、再建するという理想を高く評価する。現在における紛争中の国々の間では困難な状況だと思うが、人々は外交的になれるし、賢明になれると思う。そして、人々が親切になり、利己主義を捨て、政治的な理想や宗教、あるいは利己的な事柄ではなく、本当に大切なこと、つまり全体のための解決策に心を配ってくれることを願っている。一方で、問題を難しくしているのは、各国の利己的な考え方に加え、アメリカがあらゆる紛争において弱者の国につけ込もうとしているためであり、そのことによって終わりが見えず、困難で悲しい状況を招いている。(メキシコ、24歳男性、大学生)

 

 ▼衝撃的で辛い内容だった。当時私は産まれていなかったが、戦争を終わらせるのに原爆は必要なかったと心から信じている。それはむしろ、他国よりも優位に立とうとするアメリカのエゴが強く、そのように世界に見せつけるためにおこなわれたのだと思う。現在も世界中で戦争が続き民間人が犠牲になっているが、これほどの苦痛や苦しみはすべて悪質な世界の指導者たちのエゴのせいで引き起こされており、世界にとって不必要なものだ。(メキシコ、23歳男性、学生)

 

広島は平和と希望の礎 スペイン人学生

 

 ▼非常に感動的で、起こった出来事や現実をより身近に感じさせてくれるだけでなく、戦争や武力紛争の残酷さを明らかにし訴えかけるものだった。そのなかでも間違いなくもっとも辛かったのは、原爆によってある日突然民間人、子ども、男性、女性たちが医療支援さえ受けられずに最期を迎えなければならなかったことだ。広島をより身近に感じることは、これらの戦争で何が起こったのかを理解するための教訓の一つであると同時に、未来への希望と信仰の拠り所であり、犠牲者を追悼することでもあると私は信じている。いかなる人も戦争による残虐行為によって苦しむべきではない。市民を単なる「数字」としか見ていないエリートたちによる犠牲をこれ以上増やしてはいけない。(スペイン・23歳男性・大学生)

 

 ▼展示会は全体を通して衝撃的で、戦争の残虐行為について非常に有益な情報を参観者に提供している。また、アジアにおける日本の戦争への関与や、米国との戦争について時系列に沿ってパネルで説明しており、とてもよく構成されていた。展覧会を続けることは、将来の平和を目指し、世界中の紛争を緩和するよう促すことに繋がると思う。世界で続く戦争や軍事的な緊張状態については、私はこれらの行為がすべての当事者にとって不必要な害をもたらすと考えている。イラン戦争やロシア・ウクライナ戦争、ガザ戦争などの出来事により、想像を絶するほど多くの死者と避難民を生み出し、交戦当事者に対する人道主義をも完全に否定するものだ。過去の歴史的出来事は、これらの紛争が数えきれないほどの命を奪うことを私たちに教えてきたはずだが、彼らは今日でもなお戦争行為を続けている。(イギリス・22歳男性・会社員)

 

 ▼戦争の元となった政治的な意味合いや日本人による戦争の個人的な証言についてはあまり詳しく知らなかった。この展示は非常に有益で、同時に胸が張り裂けそうになる内容だった。私はアメリカ人だが、イタリアとハンガリーの血を引いている。日本国内では、大阪空襲についての資料館(大阪国際平和センター)から、岐阜県高山市の駅近くで見かけた石碑などを目にし、多くの印象を受けた。日本人は熱烈な反戦・反紛争・平和主義者であり、今後もすべての国にとって良い模範であり続けてほしいと願っている。

 

 私はどんな状況下でも戦争は間違っていると信じており、今朝の日記でテストステロンに満ちた権力欲の塊のような馬鹿げた者たちについて書いたばかりだ。こうした戦争をめぐる決定は常に権力のある地位にいる人々によってなされるのであって、最初に死ぬことになる人々によってなされるのではない。すべての国は、国境に関係なく互いに友好的で持続可能な存在であるべきだ。戦争は馬鹿げている。人間が退屈しのぎ、もしくは感情や思いやりの欠如から戦争をするのかはわからないが、国際社会は戦争を直ちに止めるべきだ。私はミュージシャンとして、自分の活動を通じて戦争を止めるために貢献したいと思っている。(アメリカ、34歳女性、オペラ歌手)

 

 ▼教科書でしか聞いたことのなかった現実を目の当たりにするのは恐ろしいことだ。この戦争で苦しみ、生き抜いた人々の詩を読むのは本当に胸が張り裂けそうだ。このようなことが起こり、多くの罪のない命が奪われたことを知ると、心が沈む。戦争はあってはならない。権力を持つ者が安全な地位に座り、その結果として常に人々が苦しむことに私はうんざりしている。しかも、それらはすべて地図上に引かれた架空の線のためにおこなわれている。誰もが戦争や侵略の心配なく、安全で平和に暮らすべきだ。(ドイツ、28歳女性、医療助手)

 

「原爆投下必要なかった」 背景に関心と理解

 

多くの参観者が訪れた原爆と戦争展(13日、広島市平和公園)

 ▼非常に恐ろしい。とても大事な内容が示された展示だ。すべてのアメリカ人、そしてすべての軍指導者がこの展示を見ることを願っている。戦争を推進したり、始めたりする人たちこそ戦場に送り込まれるべきだ。アメリカは、みずからをすべての人に民主主義をもたらす道徳的に良い国だと主張しているが、まったくの思い違いだ。人々はますます無差別に攻撃されている。ジャーナリスト、民間人、病院の兄弟、姉妹たち…。戦争を起こす者たちは、その行為の代償として来世で報いを受けることを願う。戦争は間違っている。(イギリス、34歳女性、コンサルタント業)

 

 ▼胸が張り裂けそうだった。我々人類は、亡くなった人々を追悼し、二度とこのようなことが起こらないようにするために、この出来事を生涯にわたり記憶に止めておく必要がある。憎しみはさらなる憎しみと苦痛、戦争を生み出す。そして政府の政治的決定の代償を最終的に払うのは民間人であるということは悲しいが現実だ。私は日本に住んでいるが、日本の政府は、日本を助けることになんの関心もない外国政府を喜ばせることばかり考えるのではなく、国民をどのように助けるのかをもっとよく考えるべきだと思う。(ペルー、39歳女性、教員)

 

 ▼とても悲しい。原爆投下は、世界史におけるもっとも恐ろしい出来事だ。だがこのことから人類が学び、決して過ちを犯さないという希望はあるのだろうか。おそらくないのではないかと思ってしまう。トランプは愚か者であり、決してアメリカ全体を代表しているわけではない。彼による戦争はばかげている。理性的な立場や正気を失った愚かな行為にほかならない。(アメリカ、55歳男性、会社員)

 

 ▼展示のなかでとりあげられている政治的な混乱に関する非常に興味深い歴史的背景や事実、そして最終的になぜ原爆が投下されたのかということに焦点を当てている点がとても気に入った。外国人の私が読んでも、それが決して必要ではなかったということが理解できる内容でとてもよかった。

 

 世界で続いている戦争についてひと言で表現するのは難しいが、とくに政治家やいわゆる「指導者」が決定を下す一方で、民間人が苦しむような場合は、それは決して正しい解決策にはなり得ない。(ドイツ、29歳男性、コンサルタント業)

 

 ▼戦争中のアメリカの行動と、紛争に至るまでの背景について、目を見張るような情報を提供してくれる展示だった。この企画を通じて、犯された残虐行為の規模と深刻さに関する情報を明確に示してくれたことに感謝する。世界のあらゆる戦争について、地政学的な問題は用語としては理解しているが、だからといって支持できるものではない。紛争解決のための他の方法を不断に探求しなければならない。(アメリカ、21歳男性、大学生)

 

 ▼第二次世界大戦の始まりと終わりについて、私が理解している限りこの展示は多くの真実を伝えていると思う。また、日本の民間人はあの戦争で必要以上に苦しんだといわざるを得ない。この展示は、テレビの一般的なニュースなどよりも真実を伝えており、とてもすばらしい。すべての戦争は悪だ。戦争は、戦争を始めることを決めた人間の無力さの裏返しでもあると思う。(中国、36歳男性)

 

(7月の平和公園での街頭展示は、12、13日と25、26日を予定。雨天中止)

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。