(2025年12月5日付掲載)

れいわ新選組・山本太郎議員による沖縄県沖縄市でのおしゃべり会(11月23日)
れいわ新選組の山本太郎代表は、9月上旬から全国ツアーを実施し、全国約70カ所でおしゃべり会や街宣をおこなってきた。ツアー終盤には沖縄県内9カ所でおしゃべり会を実施。各会場では、先島での自衛隊の軍備拡大などが急速に進められるなかで、台湾有事をめぐる「高市発言」によって中国との緊張関係が一層高まっていることを危惧する意見があいつぎ、沖縄を戦場にさせないための議論が熱を帯びた。近隣国と外交による対話を強化する必要性とともに、軍備強化へと傾斜する与党やその補完勢力と本気でたたかう政治勢力を拡大させていくことを訴えた。沖縄県内でのおしゃべり会の一部を紹介する。
与野党合作の国民だましを指摘
質問(宜野湾市) 「戦争前夜」などといっていられない状況になりつつあると感じる。日本は今のような外交を続けていけば大変なことになると思う。隣国と仲良くし、戦争から離れていくためにはどうすればいいのか。

質問に答える山本太郎議員(名護市)
山本 11月7日の国会で、中国による台湾の海上封鎖が発生した場合の事態認定をめぐり、高市首相が「戦艦を使って武力の行使もともなうものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁した。
「存立危機事態」となれば、集団的自衛権が行使可能になる。存立危機事態は、2015年に安倍政権下で成立した安全保障関連法でもうけられたもので、密接な関係にある他国への攻撃により、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態が該当すると定められている。これに該当すれば、日本は集団的自衛権を行使できるというものだ。
高市首相の発言は、「台湾周辺での米中武力衝突に自衛隊が加勢し、中国軍との衝突もあり得る」というものだ。一方で日本の歴代政府は、台湾を中国の一部とする中国の立場を「十分理解し、尊重」するという日中共同声明にある立場を堅持し、政府としての見解を受け継いできた。だから今回も日本政府は改めて「日中共同声明から変更はない」(木原官房長官)との見解を示しており、高市首相の発言だけが行きすぎている状況だ。
高市さんは自分のオリジナリティを出したかったのか、自分の支持者に対してサービスしたかったのか、なぜこのような答弁をしたのかわからない。うがった見方をすれば、アメリカのための「かませ犬」になったという可能性もあるのではとも考えられる。より状況を悪化させて対立を煽るアメリカの政治的意図があったのかもしれない。
その後、中国側はいきなり強い制裁に踏み込んではいないが、徐々に日本の首が絞まる方向で動いている。今回の問題は、仮に中国側が政府として「沖縄は中国の領土だ」「沖縄を取り戻す」などといいだしたらどうなるかということだ。政府としてこれまでと違うことをいってしまったのだから、もう一度やり直すチャンスを作るために高市さんが謝る以外にない。このままでは中国側も引くに引けなくなる。
自分のメンツや地位ではなく国民を守らなければならない。日本国は高市さんを守るためにあるのではない。国内の支持者向けの過度な「アピール」で思い切り踏み込みすぎたことによって完全に床が抜けてしまい、みずから外交を難しくさせている。自分で吐いたつばは自分で処理しなければならないし、この現状を収束させられるのは高市さんだけだ。
一方で、マスコミなどでは「中国側が過剰に反応している」という報道が目立つ。そうではないということをきちんと伝えなければならない。最終的な「戦争」という金もうけに繋がっているので、一部の者たちにとっては今の混乱も織り込み済みということなのかもしれない。
戦争とは金もうけだ。バイデン政権時の国務大臣が、「ウクライナへの軍事的な投資の90%は、米国内で米国の兵器製造業者による生産に費やされており、多くの雇用を創出し経済を成長させるため、米国とウクライナ双方にとってウィン・ウィンだ」と発言している。狂っているとしかいいようがないが、これがアメリカの戦術だ。戦争は他国にさせて、自分は遠くから武器をつくって送るだけ。そして極力自軍の兵士や資材を消費せずに金もうけだけはする「オフショア・バランシング」だ。まさに台湾問題にも同じことがいえるのではないだろうか。日本も武器だけはどんどん買わされて、自衛隊が前線に追いやられていくことになる。この「ビジネス」に賛同する人たちは日本のなかにも多くいる。立憲も国民民主も維新も同じだ。この大政翼賛状態のなかで、彼らは今の緊張状態でさえも本心では歓迎している節があるかもしれない。
私は「中国に媚びろ」なんていっていない。今までの認識と異なるような踏み込んだ発言をし、中国に対して失礼なことをしているのだから「これまでの認識通りだ」「踏み込みすぎて誤解を与えて申し訳ない」くらいはいわなければならない。そうしないと事態は収束しない。
台湾危機望むのは誰か 漁夫の利得る米国

山本太郎とおしゃべり会 in 沖縄県・西原町(11月29日)
質問(名護市) 台湾有事で沖縄はどうなるのか?
山本 日本が武力を強化したところで台湾有事は防げない。必要なことは外交以外にないが、今の日本はアメリカに気をつかいながら、アメリカが許す範囲での「外交」しかやっていない。これではアジアの平和どころか東アジアの安定さえも望めない。
アメリカは来年建国250年を迎えるが、建国以来ずっと戦争をし続けている。戦争をしなければ基幹産業である軍事がもうからない。だから嘘をついてでも戦争をする。
イラク戦争では、「大量破壊兵器がある」といって戦争を始めたが、結局、大量破壊兵器は見つからなかった。イラクの人々からするといい迷惑だ。そしてアメリカに復讐を誓う「IS」のような集団まで生まれた。こうやって世界に火種を撒き続けることに余念がない国がアメリカだ。
日本と中国の間にも「台湾」がある意味で設定されており、中国とアメリカで緊張を高めながら日本も巻き込まれていくということは明白だ。だからこそ台湾有事は絶対に起こしてはならない。
「台湾有事は日本有事」ではなく、内政問題だ。台湾の人たちはどう思っているのだろうか。台湾・大陸委員会(日本の内閣のような機関)による世論調査(2025年8月)では、86・4%が「広義の現状維持」を支持している。つまり台湾でも「今の状態のまま揉めずにいたい」という人たちがほとんどだということだ。関係ない者たちが外から余計なことをいう必要はない。
再質問 沖縄では12月、1月の中国人観光客からの予約キャンセルがあいついでいる。今回の高市発言をきっかけに台湾有事が起きてしまったと仮定すると、アメリカも助太刀に乗り出すような非常事態も想定されるのだろうか。
山本 まず、政治家が口を滑らせたおかげで国内の旅行業が大きな損失を被っているのだから、国が補填するのは当然だ。
今の流れから台湾有事に発展するかはわからない。ただ、この緊張状態が続けば悪い状態が進行していくことは確かだ。国家間の外交問題に発展してしまっている以上、日本国内で今までやってきたようにこのまま何となくうやむやにしていくというわけにはいかない。
1人の政治家の誤った発言や行動がどのような影響を及ぼすかという例を紹介する。2022年に、ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が、米国政権に訪台しないよう忠告されていたにもかかわらず台湾を訪問した。彼女は大統領継承順位第2位という責任ある立場であったにもかかわらず、みずからのレガシー作りのために台湾を訪れて当時の蔡英文総統と会談をおこない、台湾の立法院で演説し「中国は極めて危険」と非難した。これに対して中国政府は声明を発表し、「火遊びをする者は、それによって滅びるだろう」と警告した。
ペロシ氏の行動は、過去25年間で米政治家のなかでもっとも高い位の者が訪台したことになる。アジアの緊張を高める行動は日本としても歓迎すべきものではないが、その足でアジアを外遊したペロシ氏と当時の岸田首相は会談している。ペロシ氏と同じ思いを共有しているという間違ったメッセージを発してしまうため、こういうときは会ってはいけないのだが、安定の「忠犬ハチ公」ぶりだ。ちなみにこのとき、韓国の首脳陣はペロシ氏と会っていない。
一連の問題をめぐりキッシンジャー元米国務長官は「不安定な二つの超大国は、危険な衝突に向かって傾きつつある。ペロシの台湾訪問の光景は、その悲惨な可能性をより鮮明に浮かび上がらせている」と警告した。実際にペロシ氏の訪台後から中国政府は台湾本島を包囲するような軍事演習を始めた。そして米国側から台湾側へ武器を流すということも決まった。
米国政府として表向きはペロシ氏の訪台を許可しないとする一方で、裏テーマのようなものがあったのかもしれない。今回の高市発言に関しても、そうした一面がある可能性は排除しきれないと思っている。
旧敵国条項は死文化? 世界はどう見ているか

沖縄県・北谷町でのおしゃべり会(11月24日)
質問(沖縄市) 昨日(11月22日)、共産党の宮本徹議員がXで「国連総会決議で『旧敵国条項』の死文化が確認されている」とポストしていた。共産党も敵国条項を批判しているのだから、れいわ新選組の政治家は「旧敵国条項」という言葉を絶対に使わない方が良いと思う。1995年にあった国連総会決議で、死文化が決定されているし、Xのなかでも旧敵国条項に対して批判がたくさんある。
山本 旧敵国条項は死文化していない。Xのなかで批判があるとかないとか、誰がどういっていたかで現実は変わらないし、その人たちには別の意図があるかもしれない。そんなものに左右されてはいけないし、現実を見つめるためには過去に何がおこなわれたかを知る必要がある。
国連の憲法である国連憲章には、旧敵国条項というものが存在する。国連とは戦争に勝ったグループがつくった機関であり、戦争に負けたドイツやルーマニア、日本は「敵国」として扱われていた。まず旧敵国条項が持つ意味合いを見てみる。同条項では、第2次世界大戦中に連合国の敵国であった「旧敵国」が侵略行為またはその兆候を見せた場合、安全保障理事会の許可なしに軍事的制裁を加えることができるとされている。
これは今の日本にとってもやばい話だ。まさに今60兆円に及ぶ軍拡を進めており、アメリカから長距離ミサイルを購入し、日本国内では2000~3000㌔も飛ぶような超音速ミサイルを製造しようとしている。その標的にはロシアや中国も含まれる。今の日本がすでにこの旧敵国条項に抵触する可能性があるし、だからこそ私たちは「こんな狂ったことをやめろ」といっている。
旧敵国条項をめぐっては、国連において1995年と2005年の2回にわたって決議がとられた。1995年の国連総会決議の決議文では「国連憲章第53条、第77条及び第107条の“敵国”条項は時代遅れとなっていることを認識」と書かれている。「時代遅れ(become obsolete)」とは書かれているが、「死文化」などとはひと言も書かれていない。その証拠に、「国連憲章の改正をおこなうために、国連憲章第180条に規定する手続を将来のもっとも至近の適当な会期において開始する意図を表明する」と書かれている。要するにこの決議文では、「旧敵国条項は時代遅れになっているので、近いうちに国連憲章を改正する」という意図を表明しただけだ。
この事実から考えると「旧敵国条項は死文化している」などといっているのは日本の一部の人たちと日本政府だけで、世界的には「死文化していない」という認識だ。
再質問 その理論なら、ロシアがドイツに対してミサイルをぶち込んでもそれは敵国条項があるから問題ないという話になるではないか。
山本 そんなことできるわけがない。ドイツとロシアはずいぶん昔に独ソ条約で「敵国条項に踏み込まない」ということを約束している。ドイツはNATOに加盟した時点でアメリカやイギリス、フランスなどとも敵対関係が解除されている。残る敵対関係が中国だが、ドイツと中国には領土問題がない。同じ敗戦国でもドイツと日本はまったく比較できない。
一方で日本はどうか。中国、ロシアと領土問題を抱えている状態で、今回だけではなく過去にも中・ロから「敵国条項」について指摘されている。このことを絶対に甘く見てはいけない。
再質問 旧敵国条項に則って日本を攻撃した場合、そこで生じた戦争犯罪などは全部不問になるのか。
山本 戦争犯罪を犯したとされる国が「敵国」と見なされているのだ。その国がまた60兆円の軍拡をして侵略の準備を進め、台湾有事のさいに集団的自衛権の行使を容認するという立場を示したのだ。これまでの日本政府の立場も飛び越え、中国側との約束も無視している。
これに対して不穏な動きだという理由で「敵国条項」を発動して攻撃しても許されるということになっている。「約束を守らなかったのはどっちだ」という話だ。日本はずっと保護観察の身分を与えられた国だという緊張感を忘れてはならない。「アメリカがバックにいるから」という理由だけで世界の中を泳ぎ切ることなんてできないし、日本一国でどれだけの力を持てるのかということがすべてだ。
軍事で失敗したが、世界を席巻する経済力があった国が日本だ。しかしその経済もこの30年で没落して多くの国民が貧困化している。
この状態で軍拡を進めてオラついて周辺国に対して挑発的な態度をとれば、攻撃される可能性が高まるのは当然だ。そんな恥ずかしいことはやめなければならない。「高市さんはよく踏み込んだ」みたいな声がネットには溢れて盛り上がっているかもしれないが、本来見なければならないことから目を背けて前に進んでいった結果、戦争に発展するということも起きかねない。中国側がこれだけ警告を送るということには原因があるということを忘れてはならない。
1995年の国連総会決議では、国連憲章の改正手続きの開始を「将来のもっとも至近の会期に」としていたが、その後10年放置されっぱなしだった。そして2005年の国連首脳会合の成果文書でようやく敵国条項に触れられたが、ここでも「“敵国”への言及を削除することを決意する」としか書かれていない。要するになんの手続きも進んでいないということだ。
条文から「敵国」を削除するには、少なくとも国連常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)が削除に賛成しなければならない。そこまでしないと日本は「敵国」扱いから解かれることはできないのだ。日本の政治家が簡単に「死文化した」などと整理するのはかなり危険だ。甘く見すぎてはいけない。
国連で30年前から「削除する」といわれながら何も手続きが進まず放置されっぱなしだという現実を見なければならない。そして今の世界情勢のなかで、大軍拡を進める日本側がいくら望んだとしても旧敵国条項を削除できるわけがない。
共産党がどうとか、誰がなんといったとかは関係ない。事実関係を見つめてどうしなければならないかを一人一人が考えないといけない。現実を見ずにイキったところで、そのツケを払わされるのは日本国民だ。国民の命と経済がかかっている。そこを無視した今のネット世論は非常に危ないし、そのネット世論のなかには多くのカネが流れたうえで、意志を持たずに危機を煽るアカウントもあるだろう。戦争になった方がもうかる人たちはいるし、緊張が高まっただけで軍需産業の株価が上がる世界だ。ネット世論を誘導していくことも可能な時代に入っているなかで、ネットの中だけのやりとりを真に受けるのは危ない。
国会で戦う政治家必要 与野党問わず監視を
質問(沖縄市) なぜ先の国政選挙で4区から出馬するといった後に1区からも出馬するといったのか。山本代表にとってれいわ新選組が大事なのか? 沖縄県民が大事なのか? 沖縄では一つにまとまらなければ自民党に勝てない。国政選挙に関しては少し慎重になってほしい。
山本 それなら国政選挙で選ばれたオール沖縄の候補が国会のなかで戦っている証拠を見せてほしい。憲法審査会でも居眠りしていた。勘違いしないでほしいし、だったられいわに国会で戦わせてほしい。
はっきりいうが、オール沖縄で送り込んだ議員たちが国会でしっかり戦っていると思わないでほしい。それなら国会でしっかり戦ってくれる人を私たちが国会に送り込みたい。れいわ新選組と沖縄県民のどっちが大事かなどということは関係ないし、日本政府が滅茶苦茶なことをやって国民が苦しい思いをしている状況をなんとかすることが何よりも重要だ。
オール沖縄を下げるつもりではないが、なぜ彼らは辺野古のことしかいわないのか。先島諸島が軍事要塞化されている問題はどうなっているのか。自民党だけがこの国を壊しているわけではなく、体たらくの野党も一緒になって壊してきたのだ。立憲民主党だって超音速ミサイルを配備したいし、敵基地攻撃能力を高めたいというのだから、自民党といっていることは変わらない。
れいわ新選組が沖縄4区に候補者を立てて1区にも立てようとしたというが、できることならどちらでも候補者を出したいと思うのは当然だ。これまでの政治が腐っているから旗揚げしたのがれいわ新選組なのだから「オール沖縄で候補者を一本化したところにお前たちが入ってくるな」なんて話は聞く必要がない。私たちにも立候補する自由があるし、政治を正しに行くためなら誰に対しても忖度など必要ない。
自民党の補完勢力である野党に対していつまでも幻想を抱いていてはだめだ。そして彼らは4区からも結局オール沖縄の候補を下げなかった。そんな人たちに何の気遣いもいらない。
野党の体たらくでいえば、たとえばガソリン減税ももっと早くできたはずだ。夏の参議院選挙が終わった時点で衆参ともに野党の方が数が多かったのだから、8月に開かれた国会で採決までして翌月から実際にガソリン代を下げることだってできたはずだった。だが法案を提出しただけで「自民党と協議する」などといいながらなにもせず、そのうえで野田さんは「野党だけで成立を目指す覚悟をしなければならない」などといっていた。そんなこと最初からわかっていた話だ。ずっとこんな調子だ。アホな国民にはばれないと思っている。
そして8月にさっさと国会を閉じたあげく、その直後に立憲の笠国対委員長は「臨時国会を開け」などといい出す始末だ。そして最終的にゴールを決めたのは高市さんだ。「さすが高市さん」といわれているようだが、野党だけでできたはずのものを高市さんにパスしただけの話だ。こんな政治はグル以外の何物でもない。名前は出さないが、国会で戦わない議員はオール沖縄のなかにもいる。気力がないものはさっさと退場してもらうしかない。
質問(那覇市) 山本代表は以前、「オール沖縄はその役割を終えた」というような話をしたと思うが、私も辺野古問題一点だけで活動しているオール沖縄に対して限界を感じている。れいわ新選組のオール沖縄に対する立ち位置と今後のかかわり方について教えてほしい。
山本 高市さんの今回の発言によって緊張が高まっているが、それよりもずっと前からアジアの中で緊張が高まり、かなりきな臭い状況になり、沖縄でも軍事化が進められてきた。中国との緊張が生まれた時にまず最初に対応する拠点が沖縄であり、「沖縄捨て石論」は今も実行されている。
一方で、オール沖縄の方々は、さまざまな課題が絡み合うと一つになれないからみんなで極力共通の課題で繋がって一つになってきたと思う。その中心的な問題が辺野古基地問題だった。辺野古基地をつくらせてはいけないという思いには私も賛同するが、今必要なことは沖縄を戦場にさせないことだ。戦争になれば日本全国の基地が標的になる。だから先島も含めた沖縄の問題は日本全体の問題でもある。
沖縄を戦場にさせないためには、その運動を沖縄の人たちが中心となって戦っていかなければならない。一方で、オール沖縄が「辺野古問題」だけに特化していては、もっとも重要な本質からどんどんずれていってしまう。私は今のイシューのままでは戦争を止められないと思う。そうした考えから「オール沖縄は役割を終えた」と発言した。
辺野古以外のことを沖縄全体で止めていかない限り、沖縄は戦場にされてしまう。つまり日本全土が戦場になる。だからこそみんなで力を合わせなければならないという気持ちに変わりはない。
オール沖縄とのかかわりについては、元々私たちはオール沖縄ではないので、かかわりもなにもない。だから志ある人にはぜひ沖縄で戦ってもらいたいし、そのなかで沖縄県内におけるれいわ新選組議員の議席も増やしていかなければならない。「戦争をさせないためにどうするか」という考えの下に結集してもらえるのならそれでもいいが、「辺野古問題」よりも先にイシューを広げられない今のオール沖縄であれば、私たちが加勢することは考えにくい。
ずっとアメリカの尻を舐めてきた立憲民主党がオール沖縄のなかにいること自体が驚きだ。看板だけ付け替えた自民党の補完勢力たちが進めていく「沖縄の平和」には大きな矛盾があるはずだ。現状、そのようなことは禁句なのかもしれないが、れいわ新選組にそのような禁句はない。沖縄の、日本の人々の生活と命がかかっているからだ。
平和な生活脅かす政府 米植民地から脱却を

米軍嘉手納基地(沖縄県)
質問(宜野湾市) 宜野湾市は面積の4分の1が普天間基地だ。全世界に米軍基地は800ほどあるが、米軍基地はその地域と国との約束で運営されているはずだ。しかし日本ではそれがない。つまり米軍が勝手なことをしており、沖縄や奄美ではそれがもっとひどい。
山本 結論からいうと、日米地位協定は変えなければならない。米軍が駐留している国は日本以外にも多数あるが、米軍は駐留する国や地域のルールに従うという共通のルールがある。だが日本では無視してよいという建て付けになっている。なぜか? 植民地だからだ。植民地状態であるにもかかわらず、それを「同盟国」などといって現実を見ようとしない政治家や官僚、マスコミから国民は騙されている。誰がなんといおうと、アメリカ国内ですら禁止されている訓練が日本国内ではやりたい放題になってしまっている時点で完全に植民地だ。
自国の領土問題に関しても日本国として決められない。北方領土に関しても、安倍さんとプーチン大統領との27回にわたる会談の最終局面において、ロシア側から返還するさいの条件としてアメリカが基地を置かないことを日米間で約束するよう求められたが、日本側としてそんなことをアメリカにはいえないということで結局諦めるしかなかった。
米国からの間接的支配を終わらせなければならない。米軍基地を明日にでも一気に撤収させることは現実的に不可能だが、まずは地位協定を日本国の法令に従うよう改定させていくことが一番重要だ。
再質問 「植民者」は誰なのか。今や日本の自衛隊も米軍にくっついている状況のなかで、「琉球独立共和国」をつくっていく準備が必要だと考えている。
山本 私が今話したのは、日本国がアメリカの植民地状態から独立しなければならないということだ。私自身は沖縄の人間ではないので、沖縄の独立運動に対して「独立すべきだ」と焚き付けることはしない。ただし、ある意味での「独立」したいという動きがあれば、当然どのような形で軟着陸できるかということを一緒に考え、間に入っていけるような存在になりたい。
質問(名護市) 総合物価指数のランキングにおいて沖縄と埼玉県がほとんど変わらないが、最低賃金は10%以上の差がある。沖縄の県民所得は全国最下位だ。また、物価指数で見れば沖縄は東京よりも食料品が高く、本当にみんな困っている。基地問題や安保問題で沖縄を矢面に立たせるなか、県民の賃金の是正や生活・貧困の改善がおこなわれていないことに憤りを感じる。
山本 本当にひどい。「最低賃金を上げる」と宣言しただけで、あとは事業者次第という話になっている。そして賃金が払えない事業者の所から労働者が流出する。最低賃金を上げたいのであれば、払えないところに国が補填する以外に手段はない。30年経済が落ち込み続けている先進国は日本しかない。それを底上げするためにはみんなの所得を増やして使えるお金を増やさなければならない。
2024年に日本商工会議所・東京商工会議所がおこなった「中小企業の賃金改定に関する調査集計結果」によると、全国の中小企業で賃上げしたのは74・3%だった。だが、そのうちの59・1%は売上や利益が伸びていないのに無理矢理自腹を切る「防衛的賃上げ」だった。潰れるかもしれないのに賃上げするしかないという状況で、みんなかなり無理している。数字だけ見れば「賃上げできた」となるかもしれないが、こんな状況でいつまで事業が続けられるのか。景気が良くなっていないのに賃金を上げなければならないというのだから、はっきりいって「チキンレース」だ。
私たちの政策は、全国どこでも最低賃金は一律1500円にするというものだ。1500円まで上げられない事業者には国が補填する。「そんなことをしていたら不正が増える」という意見もあるかもしれないが、不正には厳罰を科して是正すれば良い。これによって、今の一極集中もしくは三極集中となっている人口を分散させていくことにも繋がる。
質問(うるま市) 有事があった場合、先島の人たちは九州と山口県に疎開し、沖縄本島の人たちは屋内退避するということになっている。このような状況下では民間航空機は使えないはずだし、屋内退避で本当に安全が確保されるのか疑問だ。
山本 その方針については私も今すぐに答えられないが、絵に描いた餅だと思った方が良い。疎開するというがそんなことが本当に可能なのか?観光客もいるし、島の住民もいるなかでそれらをすべて退避させられるだけの船や飛行機はあるのか? 原発の避難計画もでたらめで、実現不可能な計画も了承する大インチキだが、それと同じだ。
シェルターをつくるという話もあるが、みんな入れるのか? おそらくあなたのためのシェルターではないし、よっぽどの上級国民でなければ入れないのではないか? それよりもシェルターが必要ない状況を外交で作っていかなければならない。戦争になった時ではなく、戦争にさせないための議論を一番熱くやらなければならないが、そうした視点に立った国会での議論や外国との交流が日本はとくに乏しい。





















