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れいわ新選組、全国ツアー始動 北海道皮切りに地方巡る 減税も給付も進めぬ与野党の茶番 国会揺さぶる国民運動を

(2025年9月5日付掲載)

おしゃべり会で参加者と対話するれいわ新選組の山本太郎代表(3日、北海道稚内市)

 れいわ新選組は3日、北海道稚内市から山本太郎代表のおしゃべり会を開始した。今後、北海道内を回り、岐阜、愛知、三重、滋賀、大阪、和歌山、奈良、兵庫、京都へ地方の中小都市を巡回する予定だ【一覧表参照】。同党は先の参院選で3議席を獲得し、参議院議員6人、衆議院議員9人の総勢15人の国会議員を擁する政党となり、さらなる勢力拡大のために地方での足場固めを進めている。「石破おろし」などの自民党内争いで解散総選挙の可能性も浮上するなかで、今秋の全国ツアーでは、次期衆院選で候補者擁立を目指す地域を中心に回り、各会場で候補者説明会もおこなうことにしている。初日となった北海道稚内市でのおしゃべり会は、高井崇志幹事長も交え、選挙で焦点となったはずの「減税」が進まない現状やその舞台裏での与野党のやりとりについても語り合われ、国会を揺さぶる勢力を拡大していく決意を固め合う対話集会となった。概要を紹介する。

 

北海道稚内市で山本太郎とおしゃべり会

 

 質問 れいわ新選組は消費税廃止を訴えてきたが、最近、ガソリン暫定税率廃止の話が出てきている。北海道の地方都市では、ガソリン価格は生活に直結する。これをどのように考えているか?

 

 山本 現在「景気がいい」と思っている人がどれだけいるだろうか? 厚労省の調査でも国民の6割が「生活が苦しい」と回答し、中小企業はバタバタ潰れている。2024年度の倒産件数は1万件をこえた。これをなんとかしなければいけないのに(現政府は)減税すらしない。狂っている。救う気なしだ。

 

 消費税についての議論は、事実上、れいわ新選組が国会に持ち込んだ。消費税が導入されて30年経ってみんな諦めていた。「今さら廃止や減税なんて無理」「もう上がっていくしかないんだ」というマインドが支配するなかで、消費税廃止の旗を掲げて結党したのがれいわ新選組だ。それから6年間、国会の中だけでなく、国会の外からも「減税を」という声を広げて国会を揺らし続けた。その結果、先の参院選では自民党以外のすべての政党が消費税減税を訴えるところまで政策を変更させた。この先どうなるかということを考えるならば、さらに揺さぶりをかけていかなければダメだ。「食品だけ1年間」などというケチな政策では話にならない。日本は30年の不況、コロナ、物価高で苦しんでいるのだ。「一気に底上げして行け!」ということを、みんなで力を合わせてやっていきたい。

 

 そして今、ガソリン暫定税率廃止が俎(そ)上に上っている。それでガソリン価格が1㍑25円ほど下がるという話なのだ。ガソリン税には本来、トリガー条項(全国平均価格が3カ月連続で1㍑当り160円をこえると発動し、旧暫定税率の25・1円を免除する仕組み)があるのだが、これほど値段が上がっても発動されたことがない。たいへんなことだ。

 

 一家に1台どころか一人1台ぐらいの車社会になっているのが地方都市の現状だ。ガソリン価格が下がらなければ、人々の首は締まり続ける。価格が下がらないどころか上がっていけば、物流コストを価格転嫁していくしかないのだから、(車を持たない)一般消費者にとっても負担が増していくことになる。ガソリン価格は下げるべきだ。

 

 そのことは野党の中で一致している。私たちは「暫定税率廃止で25円下げる」とかケチくさい話ではなく、そもそも何重にも課税されているガソリン税はゼロを目指すべきであり、さっさと値下げしろと訴えている。すぐにゼロにならなくても、少しでも国民が楽になることはすぐにやるべきだと考える。

 

 現在、国会は衆参ともに与党よりも野党の方が数が多い。自民党が反対したとしても、野党が固まって法律を出し、数の力で決めていくことが本来できる力関係だ。ところがそれをやらない。150日間続いた先の国会(参院選前の6月22日に閉会)では、閉会直前になって野党7党がガソリン暫定税率廃止法案を提出した。国会が閉じる直前にそんなものを出したって審議する時間もなく、成立するはずがない。

 

 このときすでに衆議院では野党が圧倒的多数だったのだから、さっさと法案を出して、揺さぶりをかけながらガソリン税価格を下げることを実現できたはずだ。ところが閉会直前に出して「参院選の争点に」みたいな話をする。バカげた話だ。みんなが大急ぎでやってほしいと思っているのにずいぶんと気長なのだ。要するにやる気がない。

 

 そして、参院選後にわずか5日間の短い臨時国会が開かれ、そのときにもガソリン暫定税率廃止法案を野党7党(立憲、維新、国民、共産、参政、保守、社民)が共同提出した。これもおかしい。なぜかといえば、6月の通常国会終盤に出された同じ法案では、7月から適用する形で進めるという内容だったのに、今度は「11月から」という話になっている。なぜ6月提出の法案では7月から適用といっていたのに、今度は3カ月も先の話になるのか? 現場にいた詳しい人から説明してもらいたい。

 

ガソリン減税も進まず 自公に忖度する主要野党

 

 高井幹事長 野党側がガソリン暫定税率廃止の適用時期を11月とした理由は、私たちには理解しがたいのだが、「与党と調整したいから」というものだった。つまり、自民党、公明党と一緒になってやるために調整に時間がかかるという。すでに与党2党と野党4党による協議が4回開かれている。れいわ新選組もその協議に加えてほしいといったのだが、法案の共同提出者に入っていないからダメという理由で排除されている。

 

 この与野党6党による協議は夏休みをしっかりはさんで悠長にやられている。自民党から「財源を示せ」といわれ、立憲や維新が財源を示したが、自民党は「恒久財源(単発ではなく恒久的なもの)でなければいけない」といって受け付けていない。参院選前の通常国会でも自民・公明・国民の3党が「103万円の壁」やガソリン暫定税率廃止で合意したといっていたが、結局、自民党がああだ、こうだいって何一つ実現していない。同じことをくり返している。

 

 しかも今、衆参両院で野党が過半数をとり、野党だけで法案を通すことが可能になったのに、自民党の顔色をうかがい、自民党に助け船を出し、同じように自民党から「財源を示せ」といわれて膠着するという茶番をやっている。そもそも8月1日から5日で臨時国会を閉じたこともおかしい。野党多数なのだから国会を1カ月くらい開いて十分に論議し、ガソリン暫定税率を一刻も早く廃止すべきだ。

 

 山本 150日間開かれた通常国会の最終局面でガソリン暫定税率廃止の法案が出てきたが、そんな短期間で決められるわけがないのにやってるふりをする。そのときは「7月からやる」といっていた。参院選後の8月臨時国会でもう1回法案を出して、次は「11月から」という。「寝言は寝ていえ!」と有権者から声を上げてもらわなければいけない。

 

 この茶番を国民のみなさんに理解してほしい。この国をダメにしたのは自民党だけではないということだ。野党も共犯だ。自民党だけがどうしようもないという認識で進んでいけば、この国は変えられない。これに鉄槌を喰らわし、お灸を据えることができるのは有権者のみなさんだけだ。この舞台裏をマスコミのみなさんには伝えていただきたい。

 

 ガソリン価格引き下げは速攻でやるべきことだ。財源は国債発行に決まっている。当たり前だ。先進国で唯一、30年不況にコロナ、物価高という極限状況で、減税は「財源を探してからですね…」などということでは国民は死ぬ。間に合わない。

 

 一方、60兆円もの軍拡予算については、2年分の財源しか決めていないのだ。財源論議などほとんどせずに思い切った見切り発車をしている。それどころか国債発行でやるつもりなのだ。そんな大胆なことを自分たちの利権のためにはやるくせに、国民のためには箸一本動かさないなどあり得ない。私たちは、国民の生活が安定するまではガソリン税はゼロにすべきという考えだが、暫定税率廃止には賛成だ。一刻も早く国民を救うことが政治のテーマであるなら、それは当然のことだ。

 

厳しい地方の介護や医療 軍拡43兆円の陰で

 

北海道稚内市での山本太郎とおしゃべり会(3日)

 質問 北海道北見市はテレビで「あと数年で財政破綻する」とよくいわれている。国が地方にもっとお金を出すべきだと思うが、国会議員の力でどうにかならないのか?

 

 山本 地方の苦境を誰が救えるのかといえば国しかない。やり方次第では、地方自治体が発行する地方債を国や日銀が引き受けることもできるはずだ。なぜ地方がこれほど苦境に陥ったのかといえば、その大きな要因は国が地方に対する財政措置を絞り続けてきたからだ。使えるお金が減らされていけば、住民サービスも削らざるを得ない。だから、助けが必要な高齢者に対する介護度を上げることも難しくなる。予算全体の枠が狭くて埋まってしまえば、保護を受ける権利があっても、財政的な理由であれこれとハードルを上げられて放置される高齢者や生活困窮者が出てくるのは当然だ。このような不健全な形で地方行政を動かさなければならない状況が小泉政権以降ずっと続いているのだ。

 

 財政破綻や人口減少などで地方行政が立ちゆかなくなる状況を止めるためには、国がお金を出す以外にない。それは税金なのか? そうではない。あなたの税金は関係ない。このような必要なことには国債を発行して危機を回避するというのが全世界共通の当たり前の政策だ。国債発行を個人の借金と同じように見るのは誤りで、これは社会でお金が足りないときに通貨発行権を使って社会にお金を生み出す仕組みに過ぎない。すぐにやれることだ。

 

 質問 介護と医療について危惧している。介護と医療の報酬は公定価格で決まる。今この物価高のなかで病院が潰れたり、介護で必要なサービスが削られていく状況が増えている。来年、公定価格の見直しがおこなわれるということだが、れいわ新選組は公定価格を上げることに賛成か?

 

 山本 さっさと上げなければダメだ。たとえば介護業界で「人手が足らない」というが、給料が安すぎて家族が養えないのなら仕事を続けられるわけがない。今現場で頑張ってくださっている方々は「今ここで自分が抜けたら現場が崩壊する」という責任感、やりがい、使命感で持ちこたえてくださっている状態ではないか。

 

 全産業平均と比べて年間100万円以上も給料が安いという介護業界の処遇状況を考えるなら、月額10万円は上げなければダメだ。必要な予算は約3兆円。これがなぜ出せないのか? 財政が厳しいから? 先ほども触れた軍拡予算43兆円、ローン買いも含めた武器購入も合わせて60兆円規模の大盤振る舞いをやり、そのおかげで重工業系など軍需関連産業は大笑いだ。おそらく過去最高益を出すだろう。これで一部の特定の人たちが大もうけし、米国に対しても「武器買わせてください」といい顔ができる。「財源どうする?」みたいな論議は一瞬だけだ。

 

 その一方、この国で絶対に欠くことのできない介護や医療、保育など、公定価格が低いことによって苦しんでいる業界に対しては「財源がない」といって興味も示さない。要するに「共助」でなんとかしろということだ。生かさず殺さずという感覚で見ているのだろう。

 

 れいわ新選組は「とっとと上げろ」「大幅に上げろ」という立場だ。60兆円を軍事にポンと出せる国が3兆円を出せないはずがない。やる気の問題だ。

 

 むしろ彼らにとっては「介護の処遇を改善して、そこに人がとられたら他の産業はどうなる?」みたいなことが一番のテーマになっている。介護に人材をとられることを嫌っている。だから離職率の高さも解消されない。

 

 すぐにやるべきことは処遇改善であり、とくに地方都市では、公務員ヘルパーのような公務員化を進めるべきだ。「公務員を増やすなんて」という人がいるかもしれないが、とんでもない。先進国で比べたら日本の公務員は圧倒的に少ない。

 

 主要国の人口1万人当りの公務員数(令和5年度、人事院調べ)を比較すると、フランスは845人、イギリスは861人、米国は656人、ドイツは585人に対して、日本は264人だ。

 

 公務員は皆さんの生活を支えるための仕事でもあるが、雇用の受け皿でもある。この枠が3倍、4倍になれば、若年層で安定的な暮らしができる人も増える。それなら地方からわざわざ都会に出て行く必要があるだろうか? 就職氷河期世代や不安定雇用の人たちが安定できるチャンスを増やすことをしなければ全国に血液をめぐらせることはできない。地方を衰退させない「地方創生」の一部として組み込むべき施策だ。

 

 再質問 公務員ヘルパーには賛成だ。実際そのように雇っているところは離職率が低い。そういう自治体もある。だから予算をきちんと確保できたら変わってくると思う。だが一方で、処遇改善手当のやり方にも問題が多々ある。国も介護の職種によって所得差をつけないようにということで処遇改善手当を出してはいるが、それがみなさんに行き渡っていないのも事実だ。物価高対策の2万円給付についても同じだが、それを受けとるための事務にそれ以上のお金がかかるという問題もある。その現実を国の方々は知っているのか?

 

 山本 現金給付をするのに事務手数料がかかりすぎるからやるべきではないという人もいるが、それは違う。逆に2万円では足りない。今みたいな社会状況の時には10万円ぐらい出して一息ついてもらわなければダメだと私は考える。

 

 現金10万円を全員に配れば、総額13兆円配ることになる。この13兆円が一気に社会経済に流れるなら、ちょっとしたインフレになる可能性があるが、実際はそうはならないことが過去の給付実績からわかっている。10万円もらっても全部使い切るのは全体の2、3割しかいない。みんな今後のための貯蓄に回すので、そこからゆっくり社会にお金が回っていくから急激なインフレにはならない。2万円、3万円をケチケチ配るのも、10万円配るのも事務手数料はそれほど変わらない。事務手数料は、国民の生活を底上げするための必要経費だ。

 

 一方で、自治体行政に事務負担が行くのを防ぐためには、日本で国と密接に関係してきた大きな銀行、ゆうちょを活用するしかない。全国民にゆうちょ口座を持ってもらい、給付金はそこに直接入金するようにすればスムーズに進む。それをマイナンバーの普及につなげるためにマイナカードを使って…という話になっている。そんな最先端ぶる必要はない。一番古い、確実な方法がもっとも事務負担を軽減する。

 

 また、介護事業者に対する処遇改善手当てについて、国から事業者に入るため事業者の裁量によっては職員個人一人一人にちゃんと入っているかわからないという問題については、ある意味で仕方がない部分がある。なぜなら今、事業者自体がむちゃくちゃ苦しいという状況がある。もうかっているのはごく一握りだ。ギリギリでやっているところが多いなかで、賃上げしたくても潰れてしまうからできない。だからこそ国がちゃんと事業者を支えたうえで、従業員の処遇改善が一人一人になされる形にしなければいけない。今のやり方ではそれができないということだと思う。

 

労働環境の立て直し急務 人口減と外国人問題

 

山本太郎とおしゃべり会in北海道・網走市(7日)

 質問 人口減少にともなう労働人口の減少が会社や事業を続けるうえで大きな問題になっている。その解決策について教えてもらいたい。

 

 山本 日本政府は「労働力が足りないなら外国人を突っ込め」ということをずっとやっている。「わが国に技術を学びにおいで。技術を習得したら、あなたの母国で役に立てるだろう」というような建前だが、実際にやっていることは奴隷労働を集めただけだ。実習生だ。実際にそのようなことで世界中から批判されている。「奴隷労働をやめろ」「あまりにも酷い待遇だ」と。当たり前だ。最低賃金の定めもなかったわけだし、時給200円などのレベルで働かされている人たちもいた。全部が全部そうではないが、暴力をはじめとする法令違反を犯している事業者が大々的に問題になったこともある。

 

 そこからやり方をだんだんシフトして、特定技能実習生などの新しい枠組みを作り、最近になってやっと外国人労働者を労働力として必要という現実を認めて道を開いてきた。安い労働力を確保することを何十年も続けてきたことによって、人手が足りないところは外国人で埋めてしまえ! ということがベースになってしまっている。

 

 だから介護、農業など国にとって欠くことのできない分野にも外国人の方が入ってきている。実際、非常に助かっている。いまやこの人たちがいなければ回らないからだ。

 

 でもその理由を考えれば、介護や農業が食べていける仕事として確立されず、日本人がそこで働けなくなったからだ。正規社員がいた会社に非正規雇用をどんどん入れていった結果、正規社員の給与も上がりづらくなったように、外国人労働者を入れることで日本人の給与が上がりづらい状態にもなっている。

 

 でも、この国にとって欠くことのできない産業については、この国の人たちが担える状況にしなければならない。まずは公定価格で決めることができる介護報酬を上げて処遇を改善すること、農業については農業所得を国が大胆に保障し、食料生産が安定的に維持できる土台をつくるべきだ。製造業については、生産性を向上するための設備投資への後押しも必要になるだろう。

 

 少子化問題は一朝一夕に解決できる問題ではない。少子化は1970年代から問題視されていて、ベビーブーム世代が家族を作れるような施策を打つ必要があったのにもかかわらず、この国は就職氷河期世代(ロスジェネ)を切り捨ててしまった。危機を放置して自分たちで作りだした少子化なのに、それを見捨てて外国人で補おうという発想でやってきたことが悪循環を生んでいる。

 

 移民政策で成功した国を見たことがない。だから「外国人を入れるな」ということではなく、今日本国内に入ってくださっている外国人の方々の基本的人権は守られるようにしなければいけない。政策として労働力の穴埋めのために外国人を流入させておいて、なぜ彼ら外国人が罵声や暴力にさらされなければならないのか。このようなヘイトクライムは絶対に許されない。責められるべきは、雇用の穴埋めのためにそれを進めた政治家や経団連だ。この状態でさらに外国人を受け入れていっても彼らの人権が守られるような状況にはなっていないのだから、まずは破壊された労働環境を立て直すことから始めるべきだと思う。

 

 日本国内のさまざまな仕事に対して、バランスのとれた処遇へと改善する必要がある。そして、就職氷河期世代のような人たちを切り捨てるのではなく、これからの世代も望めば誰でも家族を持てるという経済的基盤を作らなければ解決するものではない。

 

イスラエルに経済制裁を パレスチナ問題について

 

 質問 パレスチナ問題について、れいわ新選組が今後どういう動きをしていくのか。イスラエルによるガザでの虐殺、ヨルダン川西岸での入植地拡大は、世界史に残るたいへんな悪事だと思う。それを国際社会がまったく止めることもできず、UNRWAのような国連機関もイスラエルの顔色を伺って食料さえ搬入できない事態にある。日本政府は「平和と繁栄の回廊」構想などといって農産加工団地を作るというような頓珍漢な話をしている。

 

 山本 本当にひどい虐殺が続いている。それも殺されている中心が子どもや女性だ。大虐殺、民族浄化だ。イスラエルは皆殺しにしようとしている(ガザ当局の公式発表で8月初めまでに死者は6万人をこえている)。

 

 そんな国家に関しては徹底的な対処が必要だと思うが、残念ながらアメリカにせよ、ヨーロッパ諸国にせよ、イスラエルにはあまりものがいえない。そこで日本はどうするのかといえば、わかりやすく動くしかない。イスラエルに対する経済制裁だ。ロシアに対しては経済制裁をしたのだから当然だ。遠く離れたヨーロッパの問題なのに、G7という枠組みの中で、日本は目の前のロシアに経済制裁した。なぜ大量殺戮をしているイスラエルに対してはそれができない? あり得ない話だ。さっさとやるべきだということを求め続けている。そして二国家承認、つまり、イスラエルとパレスチナをそれぞれ国家承認して、国際法違反に歯止めをかける。それがたとえ不十分なものであったとしても、やれることは閣議決定でやってしまえということを政府に求めている。

 

 7月の参院選でれいわ新選組は3議席を獲得したが、そのなかの一人に、世界の紛争地で停戦調停や武装解除などの任務を負い、丸腰で戦争を止めに行く交渉人として仕事をしてきた伊勢崎賢治さん(東京外国語大学名誉教授)がいる。このような戦争の止め方を知っている人を中心に国会を揺らしていくしかないと考えている。

 

 質問 8月の臨時国会で伊勢崎賢治さんが国会質疑で石破首相と感触あるやりとりをしていたが、山本代表はどのように考えているのか?

 

 山本 伊勢崎さんはアフガニスタンやシエラレオネ(西アフリカ)、東ティモール(インドネシア)などで紛争解決や武装解除の仕事をされてきた人だが、もともと石破首相とも付き合いがあり、石破さんに安全保障問題についてレクチャーする立場の人だった。日米地位協定改定について問題意識を共有しており、伊勢崎さんの質問に対して石破首相は「今もその思いを持っている」と答弁していた。伊勢崎さんを「先生」と呼ぶ関係性だ。そこから何か進むのではないか? という質問だと思う。これは進めなければダメだ。

 

 これまでの自民党政権における総理大臣の立場は、カネか票になること以外はほとんど動いたためしがない。であるなら、石破政権のうちに動きそうなことは動かしていくしかない。たとえば現在の日米地位協定は、米軍は日本国内の法律に従わなくてもよく、完全自由を認める内容になっている。アメリカ国内で禁止されている訓練も日本国内ではやりたい放題。米軍基地の近くにある米軍人高官が住んでいるエリアではやらない低空飛行訓練も、日本人が暮らすエリアでは保育園の上だろうが、小学校の上だろうがやりまくる。騒音はすごいし落下物もある。航空法を守らない。たいへんに危険な状態だ。

 

 これを認めているのが日米地位協定だ。「自分の家でやらないことを人の家に来てやるな!」という当たり前の話だ。石破さんがこのあまりにも不条理な日米間の取り決めを変えなければならないという気持ちを持つ総理大臣であるならば、それを後押しして前に進めるチャンスがあるなら、生かさなければならない。石破さんは経済政策においてはまったくの頓珍漢だが、それなら他で活躍しろ、そうでなければとっとと辞めろというのが当たり前の話だ。だが彼はまだやれる可能性をもっているということだ。

 

重点選挙区軸に全国回る 次期選挙に向けて

 

 高井幹事長 参院選、その前には東京都議選があったが、そこでの大きな反省は候補者を早く擁立しなければならないということ、国会議員を増やすために地方議員を増やしていく必要があるということだ。

 

 今日の報道では、石破首相が「総裁選になるくらいなら解散してやる」と周囲にいっているそうなので、9月にも選挙があるかもしれない。そのつもりで準備している。そこで今回のおしゃべり会ツアーは、衆院選でれいわ新選組として候補者を立てたい場所を中心に回ることにしている。稚内市や北見市、網走市を含む北海道12区は岩手県全域と同じ広大な面積だが、自民党と立憲民主党が議席を獲得している。こういう場所にれいわの候補者を立てたい。

 

 また、自治体ごとにみると、北見市、稚内市、旭川市は、国政選挙でのれいわ比例票が直近の市議選当選ラインを3倍以上上回っている。このような地域を重点選挙区とし、地方議会の候補者も立てたいと思っている。

 

 そのため今回のツアーには必ず国会議員が交代で参加し、おしゃべり会の後に候補者説明会をおこなう。まだ決断に至っていなくても、説明を聞いてみたいという人でもいいのでぜひ参加していただきたい。

 

 山本 「社会を変える、世の中を変えるなんて夢みたいな話は無理だ」というのは、そう思わされているだけだ。変えられるのに、変えられないと思わされている、刷り込まれているのが一番よくない。今また首をすげ替えられようとして抵抗している総理大臣は雇われ店長に過ぎない。この国の最高権力者はあなたであり、その力がなければ変えられない、始まらない。力をあわせてこの国を一緒に変えていこう。

 

衆参15人となったれいわ新選組の国会議員

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