いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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米軍再編の要をなす岩国基地  基地の撤去と日本の独立を

 米軍岩国基地に厚木基地機能を移転する基地大増強の問題は、原子力空母2隻の艦載機ひき受けにつながるもので、今回の米軍再編のなかで大きな焦点となる位置にある。岩国は被爆地広島に隣接する地域であり、米軍秋月弾薬庫や呉の海上自衛隊などと結び、広島湾地域を核攻撃基地として大増強することは、原爆で二十数万人が殺された怒りの地へのこの上ない冒涜(とく)である。それだけではなく、この地を核攻撃基地とすることは、日本を隷属させ、さらに世界を隷属の鎖に縛りつけるきわめて挑戦的な行為である。岩国基地を巡る山口県、広島県民のたたかいは、戦争の惨禍をくり返すのではなく、日本の独立と平和、世界の平和を実現するうえできわめて重要な位置を占めている。

 原子力空母2隻体制を準備 沖合拡張や大軍港建設
  岩国基地増強計画は「米軍再編」計画のなかで、座間への司令部移転と並ぶ突出した位置を占めている。岩国基地には2001年現在で5300人(米兵3000人、軍属・家族2300人)がいるが、それに厚木の米海軍部隊の米兵1600人(家族ふくめ約4000人)を移転させることを発表。厚木から移転する米兵住宅のために、二井県政が宅地造成と偽ってすすめてきた愛宕山開発(住宅1500戸、約5000人分)の宅地をあてる。厚木の374棟にのぼる米軍用建物を岩国に新築する費用は1000億円以上と明らかにした。
 米軍は「西太平洋配備の空母を2隻体制にする(現在は横須賀に1隻)」という米軍再編計画を持っている。加えて横須賀には原子力空母を配備すると発表。さらに今年5月、米軍は空母を佐世保基地(長崎県)沖合に配備し、その艦載機部隊約70機を岩国基地にむかわせる構想も示した。米軍が想定しているのは厚木基地移転だけでなく、原子力空母2隻分の艦載機部隊を岩国に配置するというものである。
 岩国基地は「基地被害の軽減」というペテンではじめた沖合拡張工事が08年度完成予定で進行中。2440㍍の大滑走路を増設し、空母が接岸できる大型岸壁(水深13㍍、長さ360㍍、2009年完成予定)をつくり、核兵器搭載能力を持った原子力空母や強襲揚陸艦などが接岸できるようにする。
 さらに動いているのは、夜間着艦訓練(NLP)ができる基地をつくることである。広島県の大黒神島が候補に上がったが、山口県の離島なども候補になることは明らかである。
 岩国基地増強計画は、「沖縄の負担軽減」「厚木の騒音軽減」などの欺まんですすめる「在日米軍再編」計画全体のなかできわめて重要な位置を占めるものである。
 「在日米軍再編」で米側が重視する一つは、米陸軍第一軍団司令部をキャンプ座間に移転する計画である。しかも陸軍以外の軍隊も指揮できる新拠点司令部UEXを配置する準備をすすめている。UEXは小規模な陸上戦から、海軍、空軍、海兵隊との共同作戦などあらゆる戦斗を指揮する。この司令部が在日米軍司令部を担当し、さらに自衛隊の航空総隊司令部を横田基地に入れて、あからさまな指揮下に組みこむ。
 こうして米軍が、自衛隊を指揮下に置いて、日本の若者をアメリカの戦争のための肉弾に使おうとしている。それだけではなく、一連の戦時動員立法をすすめ、ついに憲法の戦争放棄条項を変えることを要求している。日本全土をアメリカの戦争に動員するというのである。
 日米政府はこうした計画を2月に決めた「共通戦略目標」にもとづいて具体化してきた。「中国の軍備増強」「北朝鮮の核」などの「脅威」を列記し、アジアでの戦争を想定。世界最大の核保有国はアメリカであるのに、みずからの核は放棄せず「核保有宣言をした北朝鮮にすきを与えない」「中国は軍事予算をふやし、台湾海峡の緊張を高めている」とあおり、意図的に緊張を高めてきた。それは日本とアジアを原水爆戦争の戦場として、第2次大戦以上の廃虚にしてしまうというものである。

 日本の安全守らぬ在日米軍
 在日米軍は日本の安全保障のためといってきたが、日本を守るのではなく、アメリカの国益を守るために日本を使うというのがあからさまな姿である。米軍再編計画は、沖縄の基地負担の軽減のために持ち出されたのではなく、中東から中央アジア、南アジアなどに米軍の支配を及ぼすために、米軍をいつでも急派できるようにするものであり、いいなりになる属国であり、米軍の費用まで負担する日本はその出撃・補給基地として重宝しているのである。

 進行した住民弾圧 様変わりの基地周辺
 この米軍再編で進行してきたのは住民、市民にたいする弾圧体制である。米軍岩国基地周辺は9・11テロ事件以後、それまでとは様変わりとなってきた。核・生物化学兵器攻撃を想定した演習をやり、米兵家族がアメリカ本土に飛行機で逃げる訓練をする一方で、住民に銃口をむけた監視体制を強めてきた。米軍の増強、小泉政府の戦時体制準備は、日本国民への監視抑圧体制をともなっている。
 岩国基地では、市民にたいして「テロ防止」をかかげた武装米兵による24時間の監視体制を敷き、米軍基地の正門や各ゲートにも車の進入をはばむ防壁と監視塔を増設した。軍用犬を連れた武装米兵も配置し、住民監視を強めている。江田島沖で漁民が銃を突きつけられたように、周辺海域もまた漁業権など無視の軍事優先となっている。
 さらに県の主導で「国民保護計画」にもとづく避難訓練が具体化され、核、生物化学兵器攻撃を想定して、「風上にむかって逃げる」とか「タオルで口をおおって逃げる」などのバカげた対策をすすめてきた。「テロから守る」「日本を守る」などといってきた中身は、米軍にたいする住民の反発を弾圧することが最大眼目である。
 自衛隊を指揮下に置いた米軍再編は、朝鮮、中国、アジア、中東への戦争体制であるが、日本国民にとって自由のはく奪であり、抑圧、弾圧のファッショ支配を意味している。これは経済、社会、文化や教育など社会全体のアメリカへの隷属、植民地的な支配への反発が起こることをかれら自身がもっとも予測し恐れているからにほかならない。
 小泉政府は、「構造改革」を強行しているが、これは「市場原理」「新自由主義」と称して、アメリカにとって都合がいいように日本を改造するというものである。その「市場原理」は大資本の金もうけの自由原理であり、金融投機大資本が株投機などでぼろもうけし、大多数の働くものが食っていけないようにすること、政府は教育や医療福祉などの社会的な保障を放棄し、「自己責任」などといって首つりの自由を与えるというものである。こうして歴史上前例がないようなデタラメな社会があらわれている。

 日本支配する根幹 在日米軍基地を永久固定化
 アメリカは第2次大戦で、原爆や沖縄戦、東京をはじめ各地の空襲などで、無辜(こ)の非戦斗員80万人以上を殺した。その目的は、日本人民を疲れはてさせ、反抗を押さえつけて単独で占領し植民地的に支配するためであった。そして軍事占領のもとで、アメリカにとって都合がいいように日本を改造した。つまりひとにぎりの独占資本集団の反米の牙をぬき、目下の同盟者として育成し短期間に支配者の位置につけていった。
 戦後世界を形成してきた米ソ2極構造が崩壊するという大変動になると、「新自由主義」をかかげて軍事力によるあからさまな収奪、略奪に乗り出し、日本を最大の手下としてかれらの都合がいいように改造をはじめた。政治も経済も文化や教育もさらに変えさせて、日本をつぶしてしまいかねないものである。そのような植民地的隷属の根幹が軍事力であり、米軍の核兵器を中心とした支配である。
 岩国市民のなかでも広島市民のなかでも、岩国基地増強を単純に騒音の問題などとするうわべだけの反対にたいして強い批判がある。そして想起されているのが60年まえの原爆投下であり、空襲、戦争の体験である。
 アメリカはかつての戦争で、数百万人の日本人をむごたらしく殺して日本を占領した。かれらなりに血を流し、武力で奪いとったのである。そして戦後60年ものあいだ日本全土に米軍基地が居すわってきた。そしていま、埋め立てをして基地を増強し、基地の施設、米兵住宅まで日本の税金でつくってやって、永久に固定化しようとしている。
 朝鮮併合は36年間、イギリスの香港割譲の約束は99年間という、長きにわたるものであった。日本という高度に発達した資本主義国が、すでに60年ものあいだ植民地的な隷属化にあり、さらに数十年でもそれをつづけようというのである。
 日本国民が経済生活を守るためにも、日本の歴史や文化を守るためにも、民主主義を守りなによりも平和を守るためにも、独立がもっとも重要課題である。米軍基地は縮小か移転かが問題ではなく、撤去による日本の独立の実現がなければ、第2次大戦以上の惨禍をさけることはできないという関係にある。
 広島は原爆で二十数万が殺され、アメリカの原爆に反対する伝統を持った世界的に突出した平和斗争の位置を占めている。この広島に隣接する岩国基地の撤去を要求する山口県民と広島県民の世論と運動は、日本全体の基地増強、戦争動員の流れを押しとどめ、平和と独立を実現する力を結集する重要な位置を占めている。


      岩国市民の声  原爆や空襲経験重ね「日米安保」を問題に

 米軍厚木基地(神奈川県)機能を岩国基地へ移転する計画が発表された地元岩国市民のなかでは、米軍基地の拡大・強化、戦争に反対し基地撤去を求める世論が渦巻いている。「アメリカと国は決めている」と緊張感が漂うなか、「騒音」や「基地被害」の範囲内にとどめる空気ぬきのような「反対運動」に嫌悪感が語られる。市民のなかでは、広島の原爆や岩国空襲などの体験を思い起こし、戦後60年、日本がアメリカの植民地のようになっていること、日米安保条約が最大の問題として深い論議が広がっている。
 基地の近くに住む80代の男性は、「厚木移転はみんな反対しているが、国がアメリカとの約束で決めたことで必ず実行する。署名や市長が反対というだけでは変わらない。騒音ばかりがいわれているが、基地の大きい小さいは関係ない。基地があることが問題なんだ。岩国に住まないとわからない」と話す。
 60代の男性は、「日曜日だけ来て反対というのはかえって迷惑だ。外から来て騒音がうるさいといっても、地元のものが騒音は一番知っている。厚木移転に賛成、反対とかいう前に基地があるのだから、移転だけ反対をしてもしかたがない。これは、結局、国をどうするかという問題だ」と話した。
 岩国駅近くの50代の婦人は、「市民のなかで、どうぞ来てくれという人はいないが、いままでどおりの反対をやっても国は持ってくる。トップが先頭を切って、市民をワーと騒がせて終わり。岩国ではずっとそうだった」と経験を語る。

 形だけの「反対運動」は嫌悪
 なにか計画が持ち上がるたび今回と同様に、市や県、市民団体などが「反対」をしてきた。それがしばらくたつと「交換条件」などの理由で受け入れになり、よそから来た団体もいなくなる。「市民をあきらめさせることのくり返しだった。今度は息ぬきのようなことで終わってはいけない」といった。
  岩国市民のなかでは、イラク戦争などをつうじて原水爆戦争の危険が最大の問題となっており、「騒音」で終わらせる既存の運動に激しい怒りが語られている。また、9・11事件以後、市民は直接、基地の町としての異様な緊張状態におかれてきたことも実感を強めている。
 テロ直後は、朝鮮戦争でもベトナム戦争でもなかった24時間体制の厳戒態勢が敷かれ、基地正門や各ゲートには車の進入を阻む防壁がつくられた。迷彩服、ヘルメット、防毒マスク、銃で武装した米兵が軍用犬を連れ検問をした。さらにこれまで基地中央の海側に一つだった監視塔が市のし尿処理場と川下漁民の船だまり近くにもつくられている。
 警察はパトカー、白バイ、2人組自転車、2人組徒歩の四種類で基地周辺を中心にパトロールをおこなう。「花見をしていたら職務質問された」「川岸の掃除をしていてつかまった」と語られ市民は常時監視下におかれている。
 基地近くの70代の婦人は、「夜中に軍用ヘリが低空飛行をして基地周辺や家をライトで調べていく。他県ナンバーの車があれば、警察が家に聞きにくる。防音工事を国がやったことなどもあるが、基地周辺はとくにものがいいにくくなった。アメリカは広島に原爆を落として何十万人も殺すような国。基地の問題は、単純なことでは解決しない」と語っていた。
 50代の商店主は、「1945年8月15日から日本はアメリカに占領されている。敗戦の時点から日本はとっくの昔に売り飛ばされていると思う。いまの世の中の基本が弱肉強食で成り立っている。アメリカは憲法を変えることまで要求してきた。憲法まで変えれば、日本という国はなくなってしまう。日本とアメリカとのあいだではすでに衝突が起こってもおかしくないが、それをアメリカは押さえつけていると思う。そこをもっと考えないといけない」と語った。
 川下に住む70代の男性は、「署名を集めたり、井原市長や二井知事が反対というだけではだめだ。これは、岩国だけの問題でなく日本とアメリカの政治の問題だから」と指摘した。
 そして、「戦争が終わって60年がたつが、日本はいまだに敗戦国で、アメリカのいいなりだ。家族と親戚を幾人も広島で殺されたが、もう一度戦争でもするぐらいの覚悟でないとなにも変わらない。“騒音反対”などといっているが、この関係がわからなければ、基地反対などは絶対にできるものでない」と強い口調で語っていた。

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