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正副議長の飲み会帰りのタクシー代、税金での支払いOKのお墨付き 監査結果に対する調査チームからの報告

調査チームから市民の皆様への報告

 

左上から時計回りに、戸澤前議長、亀田前副議長、吉田現副議長、林現議長

 下関市議会正副議長の公用タクシー券使用についての住民監査請求で、「4名の議員がタクシーチケットを使用した理由は適当とする」という結果が出ました。

 

 先日の市議会で、本池議員が詳しく質問していたので、監査の状況は大体わかりましたが、結論からいえば、監査にしては調査が杜撰だと思うし、「使用は適当」という結論にも納得できません。

 

 これまでこの問題に強い関心をもち、調査してきたチームとして、今回の監査の問題点を多くの市民の皆様に知っていただきたく、書いたものです。市民の皆様からの率直なご意見、ご批判もお聞きしたいと願っています。

 

 市監査委員は、小野(市職員OB)、関谷(元市議会議長)、亀田(前市議会副議長)、大賀(弁護士)の四人となっています。ただ、亀田委員はタクシー券を使った当事者として今回の監査の対象者であるため監査には加わっていません。

 

 どれほどのタクシー代が使われているかについては、別表のとおりです。わずかな期間の調査ですが、4人で225回、約145万円と、使用回数も多く、金額も多額です。このうちの143回分、94万540円が公務にともなって使用したという確認がとれず、私的な飲み会帰りの使用ではないかと監査請求を受けたものです。

 

 

1 監査委員の調査 と考え方、結論の問題点について

 

 公務にともなっての使用であったか否かが最大の問題点ですが、調査チームは、公文書等の資料を収集、分析し、あるいは使った本人からの説明や弁明を聞くなどして、使用したタクシーチケット一件ごとに公務にともなっての使用か否かを詳細に調べて報道しています。

 

 一方、監査委員は、どのような会合があって、深夜に帰らざるをえなかったのかということはまったく問題にせず、したがって、使用実態の調査もせずに結論を出しています。その考え方は、

 

ア 「正副議長の公用車が運転された日は、公務があったと認定する」

 


イ 「公用車を使った日は、公務があったので公用タクシー券の使用は適当である」
という考えであり、結論です。

 

 市民が監査請求したのは、この問題の当事者である正副議長や市議会事務局にいくらいっても真剣に対応しようとしない、進展が望めないということから、監査委員なら公務にともなって使用したのか否かを詳細に調べて、妥当な判断をしていただけるだろうと期待して監査請求したはずです。しかし、苦労された監査委員には大変失礼ですが、この問題に強い関心を持った市民の皆様からみても、公金に対する市の説明責任という視点が欠けている、市民の気持ちが分かっていないのではないかというのが率直な感想です。「調査の杜撰さ」と間違った論理と結論を指摘せざるをえない内容だと思います。

 

 先ず「ア 公用車が使われた日は公務があったと認定する」ことには無理がある。そのような認定はできないはずです。

 

 調査チームは、すでに林議長、吉田副議長の公用車運転状況を調査しており、その結果を報道しています。それを見ると6カ月間の調査期間で、市役所が閉まっている土、日、祝日に、公務証明もないのに林議長は23日、吉田副議長は10日、公用車を使用しています。公用車を使ってどこに行ったのか、また何の公務があったのかがわかりません。また、平日の早朝や夜遅くに、公務証明もないのに公用車を使っています。運転日誌も杜撰で、行き先欄にはほとんどが「市内一円」、「豊北町一円」等しか書かれていません。

 

 このようなことから、「正副議長は公用車を自家用車代わりに、私用に使っているのではないか」と指摘されているほど、公用車の使用実態は不明瞭です。

 

 このような不明瞭かつ不正確な公用車の使用実態があるにもかかわらず、「公用車を使った日は公務があったと認定する」ということは、余りにも安易な認定であり、虚偽といわれても仕方のない認定です。これはおかしいと、市民のだれもが思うはずです。

 

 「公用車の使用日=公務があった日」とするのなら、公用車が本当に公務のみに使われているのかを確認する必要があるはずです。監査委員は公用車の使用実態も調査されたのでしょうか。調査していたらこのような認定はできなかったはずです。

 

 次に「イ 公用車を使った日は公務があったので公用タクシー券の使用は適当である」という結論は、妥当な結論ではありません。

 

 「公用車を使った日には公務があった」という前提事態が成り立たないことは上述のとおりですが、一応それは置いておき、「公用車を使った日は市役所に出勤した、公務があった」として考えてみましょう。

 

 市役所は17時15分までです。

 

 正副議長は市役所での公務が終わってすぐ帰れば、公用車で帰れるはずです。正副議長は市職員とは違って17時15分以前に帰ることもできます。送迎のために専用の車と運転手が準備されています。

 

 市役所での公務が終わって、その後の公務がなければすぐに帰れるはずです。すぐに公用車を使って帰れば、タクシー券を使わずに済むし、税金の無駄遣いをせずに済むはずです。

 

 市役所での公務が終わった後、何の公務もないのに本人が勝手に深夜の12時近くまで豊前田や唐戸で飲んで帰るのに、どうして市側に自宅まで送る責任があるのでしょうか。勝手に飲んで帰るのに、どうして市民の血税でタクシー代を払わないといけないのでしょうか。いくらなんでも全国どこの市でもそのようなことはしていないはずです。

 

 監査委員の説明が「詳しく調査した結果、市役所での公務が終わった後、このような飲み会があったことがわかった。飲み会の内容等を精査した結果、これとこれは公務として認めることができると認定した」と、客観的妥当性のある証拠を基に説明ができるということなら、市民の理解も得られるかもしれません。しかし、そのような調査はまったくせずに、「使用は適当」という判断を下したことは、納得できないし、到底市民の理解は得られません。

 

 

2 個別の使用実態と問題点について

 

 公用タクシー券が使用されたなかには、明らかにおかしいと思われるものが含まれています。

 

 そのうちの二例だけをとりあげてみます。

 

 1 吉田副議長の友人を送ったケース

 

 昨年3月22日、公務証明がないのでどのような会合があったのかは解りませんが、23時に川棚から3人で乗車し、友人を送るため田耕まで大回りして帰宅しています。このため4300円程度で済むはずのタクシー代が9750円かかっています。これも税金で支払われています。

 

 これはだれが考えてもアウトです。どうしてこれが住民監査の結果「使用は適当」となるのか。市民の一般常識では考えられません。私達は税金で、正副議長の飲み会帰りのタクシー代にとどまらず、その友人のタクシー代も支払わないといけないのでしょうか。恐るべき「下関市のタクシー使用基準」です。

 

 2 亀田前議長の議会事務局職員との会合について

 

 一昨年の12月19日、「議会事務局職員との議会運営の意見交換ということで、19時45分に自宅から竹崎まで、22時に竹崎から自宅まで公用タクシー券を使用しています。「議会事務局職員との議会運営の意見交換」なら勤務時間中にいくらでもできるはずです。また、勤務時間中にすべきです。わざわざ20時から22時まで竹崎で意見交換する必要があるのでしょうか。税金を使って出かける必要性、緊急性があるのか疑問です。

 

 これを聞いた時に、夜の議会事務局の飲みごとに参加したのだろうな、いろいろな話の中で、議会運営に関することも話題になっただろうな、というのが率直な感想です。

 

 このたびの住民監査請求の監査結果を市民目線でみると、結局、素人目にも黒色か灰色であると分かるものを、いくら真っ白だといっても無理があるように思います。市民もそれほどばかではありませんし、ごまかされることはありません。

 

 不十分な調査と成り立たない論理を重ねたうえでの「適当」という判断と思われるので、市民が「適当」と理解することは難しいのです。相変わらず疑念は残ったままなのです。

 

 公用タクシー券問題は、市議会の対応(飲み会帰りのタクシー代に税金を使った正副議長と議会事務局が、市民への説明責任を果たすどころか、市議会で自分たちへの質問はしてはいけないと決めたこと)と監査の結果が問題を複雑にしており、混迷を深める一方です。

 

 正副議長の公務でもない飲み会帰りのタクシー代を税金で払うことについて、市民の理解は絶対に得られないでしょうし、このまま市への返還もせず放置し続ければ、市民の市政への不信が増すばかりです。

 

 今後は、市政の最高責任者であり、市民のお金を預かる最高責任者である市長が、いかにリーダーシップを発揮するかの問題となってくるはずです。市長が市民の利益のために有益なリーダーシップを発揮するのか。それとも自分や自分のとり巻きの利益のためのリーダーシップしか発揮しないのか。その真価が問われてきます。

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