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「種子法廃止違憲訴訟」最終弁論の傍聴を 全国1300人の農家や消費者が原告に 7日に東京地裁で

 「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」(代表・池住義憲)が全国の農家や消費者約1300人を原告に、2019年5月に提起した「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」の最終弁論が10月7日におこなわれる。同会は法廷での傍聴を呼びかけている。


 同会は、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の違憲訴訟をおこなってきたが、2018年10月に出されたその控訴審判決で、裁判所が「種子法の廃止については、その背景事情の一つにTPP協定に関する動向があったことは否定できない」と判示したことを受け、2019年5月に今回の「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」を提起した。


 そのなかでは、突如提出された種子法廃止法案が衆参両院あわせてわずか10時間程度の審議で成立したこと、これがTPP協定妥結にあわせて検討され、実行されたものであることを明らかにしたうえで、憲法で保障される「生存権」には、安心安全な食料の安定供給を受ける権利=食料主権が含まれているとの見解を前面に押し出し、種子法の廃止は国民の権利である食料主権を侵害するものであることを訴えてきた。


 この裁判で求めているのは、


①平成30年4月1日に施行された種子法廃止法の憲法違反(違憲無効)
②原告の舘野氏(一般農家)が廃止された種子法にもとづいて生産された種子をもちいて主要農作物を栽培できる地位にあることの確認
③原告の野々山氏(消費者)が種子法にもとづいて生産された種子をもちいて栽培された主要農作物の供給を受ける地位にあることの確認
④原告の菊池氏(採種農家)が、みずからの所有する圃場が、種子法にもとづく圃場として指定される地位にあることの確認
⑤原告らそれぞれ1名の損害賠償請求


 である。原告は1~3次訴訟の合計で1533人にのぼっている。これまでにおこなわれた原告尋問や証人尋問では、採種農家や消費者、東京大学農学部の鈴木宣弘教授、金沢星稜大学の土屋仁美准教授(憲法学者)、元農業試験場職員などが意見をのべてきた。また、山田正彦氏がプロデューサーを務めた映画『タネは誰のもの』の縮尺版も証拠として法廷で上映されたという。


 同会は、種子法廃止の影響として、種子生産・普及事業にかかる費用が将来的に減少する危険があり、その結果種子の高騰につながりかねないことを指摘している。すでに栃木県では種の原種が3~5倍に高騰し、種の価格も2~3割増になっているという。また、民間企業が種子の開発を効率的にするために、現在国内に300品種あるイネがなくなり、地域ごとの多様な種子生産がなくなること、自治体が圃場審査や生産物審査を実施しなくなることで、種の安全性、ひいては食の安全に影響が出てくることを指摘している。


 7日の最終弁論では、原告と代理人の意見陳述を予定しており、「種子法が廃止されたが、財政措置は種苗法を根拠としてひき続きおこなっている」とする国の主張に反論する予定だという。


■第8回口頭弁論(最終弁論)の日程


 日時…10月7日(金)午後2時
 場所…東京地方裁判所(千代田区霞が関1-1-4)
 当日は午後1時30分から傍聴券の配布がある。その前に集合が必要。
 終了後、午後3時30分から1時間半程度、報告集会をおこなう(開始時間が早まる可能性がある)。場所は衆議院第1議員会館大会議室(千代田区永田町2-1-2)。


 詳しくは「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」ホームページに掲載されている。

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