いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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一旦ガラガラポンせよ 来年2月に迫る下関市議選 膠着状態に風穴を 本紙記者座談会

 来春の統一地方選の先駆けとなる下関市議選が来年2月に迫り、下関市内では動きが活発になっている。定数34議席に対して、明確に引退を表明している現職は今のところ1人にとどまっており、それに対して新人が15~16人も名乗りをあげるなど、かつてない大乱立の激戦が予想されている。衆院山口4区の一角をなす下関市(県内最大都市)では、この30年来、安倍派による一強独裁体制ができあがる過程で、市政においても長年にわたる安倍派・林派の持ちつ持たれつの関係に亀裂が入って1軍化、2軍化が顕著なものとなってきた。安倍晋三の首相在任期間である直近の7年8カ月では、市長ポストも議長・副議長ポストも安倍事務所直結組がもぎとるなど、我が世の春を謳歌(おうか)してきたが、このたびの市議選はその後ろ盾だった安倍晋三及び安倍事務所が突如いなくなったなかでおこなわれる。慌てて支持者回りを始めた者、当選後を見据えて勢力拡大にいそしむ者など、その顔つきもさまざまだ。お膝元の変化を如実に反映する今回の下関市議選について、記者たちで情勢を論議してみた。

 

下関市長・副市長と下関市議会議員の記念写真(2019年2月27日)

新人15~16人乱立の様相に

 

  盆過ぎから、各陣営のしおりや政策チラシ、顔写真入りの名刺が出回り始めた。今のところ、現職で明確に引退を表明しているのは共産党の江原満寿男のみ。亀田博(安倍派の元市長・現議長)もすでに85歳で、前回選挙から引退が囁かれているが、今のところ引退表明はしていない。「一度やったら辞められないのが議員」とはいうが、本人はまだ引き際ではないと考えているのだろう。仮に当選すれば任期満了時点では90歳近くになる。送り迎えも大変で誰がやるのだろうか。あと、彦島の小熊坂孝司(林派)は体調次第といわれている。何年か前の市長選を巡る自民党下関支部における場外乱闘で、県議の平岡望(安倍派、安倍事務所元秘書)からへし折られた足の骨は完治したのだが、別の病気で闘病しているようだ。

 

  9月20日には自民党山口県連が下関市内の現職の公認を決めた。その顔ぶれをみると

 

 下関支部…関谷博、福田幸博、林真一郎、亀田博、田中義一、安岡克昌、香川昌則、小熊坂孝司、井川典子、板谷正、星出恒夫、江村卓三、濵﨑伸浩、村中良多、林昂史、阪本祐季、東城しのぶ
 豊浦支部…林透、戸澤昭夫
 菊川支部…吉村武志
 豊田支部…木本暢一
 豊北支部…吉田真次

 

 となっている。これは下関支部が申請したメンバーを承認した形で、亀田博がしっかり入っているほか、前回選挙で加藤寿彦(元県議)や酒本(現県議)率いる国民民主党(当時)から支援を受けて当選し、わずか1年で連合会派を抜けて自民党会派入りを果たした東城しのぶが、今回は自民党公認を受けて出るという。前回の市議選では、市長選で中尾友昭を応援し、議場で安倍夫妻の選挙介入を批判した安岡克昌(林派)がとうとう自民党公認をもらえないままだったが、今回は自民党公認を得られた。現職の自民党公認は22人となる。それだけでも議会のおよそ65%を占めることになる。とはいえ、これらが全員当選できるか? というと、そんなに甘くはない。

 

 A 亀田博は山の田地区や伊倉地区を地盤にしているが、前回選挙のときも引退するということで新人候補(連合婦人会関係者)が出馬したのに、「やっぱり出馬する」ということになって、地域の人たちに大変な思いをさせた。選挙事務所も隣り合わせで、「伊倉戦争」といわれたくらいだ。おかげで、新人候補は安倍事務所詣でもして自信もあったように見えたのに、さんざんな敗北ぶりだった。まあ、安倍事務所丸抱えの井川典子(安倍派、現副議長)がヤバイとかで、終盤に各方面の組織票をまるっと井川に流し込んだ影響もあるのだろうが…。

 

 B 今まで選挙を安倍事務所に丸抱えされていた井川典子がどんな選挙戦を展開するのか、今回も統一教会の応援を受けるのか等々は注目されているし、同じく安倍事務所プロモーション枠といわれる吉田真次(安倍派)や、前回選挙で安倍派のホープといわれていた元秘書の阪本祐季(安倍派)など、上位当選組の実力にも注目が集まっている。安倍派若手の場合、本人が汗をかいて1票ずつ組織していったというより、安倍派・安倍事務所からあてがわれた組織票で安泰だったという側面が強い。ところが安倍事務所は12月をもって看板を下ろすというのが今のところ既定路線だ。そうなると組織票を誰が案配してくれるのか、司令塔不在だろうにこれまで通りに固定票として各組織が彼らに票を回すのか等々、見るべき点はある。友人知人などに広くアンテナを張って各組織の動きを見ていたらわかることだ。

 

  今回選挙の特徴は新人が多いことだ。まだまだ流動的ではあるが、現職がほとんど引退しないことを考えると改選枠34に対して50近い陣営が立候補する可能性もある。新人としては、安岡地区でPTA関係者が出馬を決めて動き始めているほか、上田中町の飲食店主、市役所近くの飲食店の若手店長、大丸6階で地物産品を販売する店舗の経営者が出馬の意向を持っている。彦島では元国会議員の古田圭一(早鞆学園理事長)の元秘書が動き出しているほか、もう1人意向を持っている人がいるようだ。伊倉地区では設備資材会社の役員が出るといわれている。綾羅木・川中方面では、前回市議選で落選し、この3年間で自治会長を解任されたりしていた男性も、また出るという。

 

 安倍事務所元秘書の肩書きで前回参議院選に立憲民主党から出馬した秋山賢治も出る。れいわ新選組の竹村かつしも、先の山本太郎代表が下関でおこなった街頭宣伝で出馬の決意を表明しているし、勝山方面では参政党の大石健一も出馬すると囁かれている。田辺よし子の後継者として早くから名前が挙がっていた女性候補者は今のところ、出るには出るようだが、まったく動いていないということだ。

 

 ちょっとした話題になっているのが、豊浦町で林透元議長の家のすぐ近くから新人が立候補することだ。旧4町は人口減少が進んでいて、長年候補者を絞り込んできたから、選挙はあってないような状態だった。新人が出るとすれば、だれかが引退するときくらいしか考えられなかったので、周囲は興味津々だ。

 

 D 自民党としては、今回は新人に公認を出さないことを決定しているが、当選した暁には自民党会派に入るであろう面々もおり、新市議会の会派予想までしている気の早い人もいる。ただ、市議選になると自民党こそお互いがライバルになるので、これだけ新人が立候補すると、地域団体や企業団体などあちこちでぶつかっているという話もよく耳にするようになった。候補として名前が挙がっている人のなかには、「99・99%立候補するが、0・01%迷っている」といった表現をする立候補予定者もいるし、もう少し近づかないとわからないが、まとまった組織や団体票を棲み分けしていた現職のなかには必死さが求められる人も出そうだ。

 

 あと、新人のなかにはまだパンフレットなどもつくっておらず、まったく動いていない陣営も少なくない。これまでの市議選では盆明けにGO!が定石と思われてきたし、8~12月にかけてしおりを支援者の手から地道に周囲に広げ、そのなかから「応援してやるぞ!」という人々を後援会員として1票ずつ固めていくという選挙のイメージだった。1月にバタバタしても手遅れだ。そうやって年内には一定数の後援会員を集めないと出遅れるし、しかもすべての人々が確実に入れてくれるわけでもないなかで、「PTA会長をやっていたから顔が売れているだろう」くらいでは読みは甘いと思う。新人が多いのはフレッシュで良いし、古ぼけた現職を押しのけて頑張れ! と思う反面、大丈夫だろうか? と心配になる者も多いのが現実だ。市議選とて自惚れと幻想の世界を彷徨(さまよ)った自薦では厳しいのだ。

 

 B 安岡方面では、福田幸博が古株議員としているが、新たにPTA関係者が出馬することを決めて動き出している。今のところ最も有力な新人ではないか? 地元の自治会やまちづくり協議会の関係者が応援しているほか、これまで選挙に行っていなかった保護者世代が盛り上がっているという。押しのけられる格好になるのが福田だが、市議を7期・28年やっていて、市議会内でも安倍派のベテランだ。その姿を見てきたうえで、「市民目線を失っている市議会をこの際刷新すべき」という思いが、新人候補を応援する背景にはあるようだ。そうである以上、新人候補が当選後になにをするのかについて厳しく見ていくという支援者もいる。新人自体は自民党の安倍派県議・西本健治郎の青年行動隊長なのだそうで、県議の地元の吉見・吉母も回っているという。地盤を揺さぶられているのは福田だけでなく、吉見の現職・濵﨑伸浩の陣営が「西本が新人ばかりを応援して、こちらを応援してくれない…」と地元でこぼしていることも話題になっている。

 

  新人がどんな政策を訴えるのか、出揃ってみないとなんともいえないし、安倍派や林派の紐付きも当然含まれる。しかし、そうやってどんどん新人が出て、現職を脅かして総入れ替えしたらいいと思う。安倍事務所に選挙まで丸抱えしてもらったり、票を采配してもらって当選したような議員が増えて、なんでも「安倍先生に聞いてみないとわからない」「出馬する前は必ず安倍事務所詣でをするのが当然」みたいな感じになっているのが下関市議会なり下関市政の実態だ。

 

 斯くして市議会議員はもっとも住民に近いはずなのに、下関の場合は「市民目線」は口だけで、上を見上げているばかり。そんな市政が続いた結果、全国でもトップクラスで人口減少が進むような産業の衰退した惨憺たる町になってしまった。バッジをつけて満足する議員ではなく、素人でも情熱を持って下関のことを考える議員に入れ替わって活発に議論がおこなわれた方が下関の活性化にもつながるのではないかと思う。安倍派だから…林派だから…という狭隘な視点では見ていないし、どうせ安倍派は解体だ。この際市民のために粉骨砕身する若手よ、振るいにかけられて出てこい! と思う。できれば、思想信条が異なるからといって対話もしきらないような狭隘な自称保守ではなく、多様性を認めて是々非々で議論できるような政治家が登場してくることを望む。

 

使途不明の公用タクシー券 返還もしない正副議長ら

 

  この4年の下関市議会といえば、新聞紙面ではタクシーチケット問題を扱ってきた。使途不明のまま支出されたことが明らかなのに、これらの公金を議長・副議長経験者たちは返還しないままだ。議長・副議長が使用できる公用タクシーチケットの使用状況を本紙と市民有志の調査チームが情報公開などで調べたところ、連日のように午後11時など夜遅い時間帯に唐戸や豊前田などの歓楽街から自宅まで帰るのに使用されたことが記録されていた。ちょうど調査した期間(2018年1月~2019年8月】は議長は戸澤昭夫(豊浦町)、林透(同)、副議長は亀田博(山の田)、吉田真次(豊北町)だった。亀田を除く3人はそもそも自宅までの距離が長いからタクシー代がかさむことはわかっているのに、どう見ても飲み会帰りの深夜料金もかかる時間帯に平気で公用タクシー券を使って帰宅していた。

 

左上から時計回りに、戸澤前議長、亀田議長(前副議長)、吉田前副議長、林元議長

 もともと、調査をするきっかけになったのは、知り合いのタクシー運転手や市民のなかから、前回選挙の時期に「議長や副議長が公用タクシーチケットを私用の飲み会の帰りなどに頻繁に使っている」という声が寄せられたからだった。調べてみると、調査期間中の4人の使用総数225回、144万9470円のうち、使用目的(公務やそれに準ずる業務であることの証明)がないまま支出されていたのが、143回(64%)、94万540円(65%)にのぼった。100万円近い税金を使途不明のまま使い倒しているのだから、普通ならあり得ない。当初は自分たちで反省して返金するなり、説明して使用方法を改めるなり、自浄作用が働くかと思っていたが、隠すばかりなので住民監査請求もおこなったが、監査委員もこの使用を追認した。最初に調査チームの報告を本紙に掲載したのが2019年9月。それから3年たっているのに、いまだにうやむやにしたままだ。

 

  それどころか、本池涼子(本紙記者、市議)がこの問題を2020年の一般質問でとりあげようとして通告を提出したら、議会事務局はこの発言通告の受理を根拠なく保留したうえ、「議会に対する一般質問はこれを受理しない」とする一文を市議会の先例集に追加することを議会運営委員会で提案し、わずか3日で先例集追加を実現し、本池市議の一般質問をさせなかった。参考にしたという衆議院の先例427は「議長に対する質問書はこれを受理しない」というものだ。しかし、下関市議会はこの先例の解釈を変更して、執行機関の一員である議会事務局への質問をいっさいできないようにしたのだ。議会費も含む予算執行にあたる執行部への質問・発言の自由は法的に定められた議員の基本的な権利であって、一議会運営委員会の決定で止めることはできない。違法性を問われる手法だ。

 

  4人のうち林透、亀田博、吉田真次の3人は、安倍系会派の「創世下関」に所属している。この会派は、議員定数削減の条例案を公明党と提出して、選挙目前になった最近では「自分たちだけが議会改革をしようとしている」と演出するのに躍起になっている。折り込みチラシまで全市内に配布するほどアピールしている。しかし、定数削減の検討委員会の委員長だった吉田真次にいたっては、川棚で田耕(豊北町)の人と飲み(公務証明のない飲みごと)、この知人を遠方の田耕まで送ってから自宅に帰宅しており、タクシー代が通常の倍近くかかっている。これは本人も認めていたことだ。使途不明のタクシー代を返還してから「議会改革」を叫ぶなら話はわかる。みずからのおこないを是正することもできない人間に議会改革を叫ばれても…ということに尽きる。

 

 自分たちで「この使い方はだめだった。これから是正する」と市民に謝って返金するなりした方が議員としては清廉潔白なイメージができただろうに、開き直って見ざる聞かざるいわざるの対応に終始し、真摯な対応をしないから選挙目前になった今もなお未解決問題として引きずっている。これでは選挙期間中に演説で実態を暴露されても文句はいえない。これまで議会内や市役所なら安倍先生の後光で封じ込めることができただろうが、市民感情を封じ込めることはできない。「あのタクシー代はどうなったのか」「まだ返していないのか」と今も方々で話題だからだ。本紙としても市議会の実態暴露ということで数万枚の号外を下関の全域にばらまいたわけで、たかを括(くく)ってはならない問題と思う。

 

  議員定数削減についていえば、これほど下関の人口が急速に減少しているなかで、定数削減が検討の俎上にのぼることは当然といえば当然だと思う。下関の議員はどのくらい必要なのか、どうあるべきなのか、市民のなかでしっかり議論して決めればいいことだ。だが考えなければならないのは、削減=善、非削減=悪という二元論では片付けられない問題を含んでいることだ。大阪維新が行政バッシングで台頭し、行財政改革などが持て囃されて10年以上になるが、当初は「議員定数削減」は鬱積する地方議会への不信もあって拍手喝采で受け入れられた側面もある。それほどクソみたいな議員ばかりが跋扈(ばっこ)しており、一般的にコイツらを減らしても問題ないと考えるのは無理もない。ただ、やみくもに削減するだけでは、多様性が排除されるという側面も含んでいるのだ。

 

 例えば今の下関で定数を削減すれば、組織票を持っている自民党や公明党が有利になる一方で、看板もカバンもない新人及びその他の候補者が市議会に入ることは今以上に難しくなる。狭き門になることはわかりきっている。それこそ、下関市議会にも井川典子みたいな壺議員がいることが話題になっているが、そういう組織票で当選して、「大事なのは安倍事務所と宗教票」みたいな議員が市議会の大半を固めてしまうことにもなりかねないし、現にそうなっている。

 

 議会とは言論の府で、多様な意見を持った議員が登場して言論によってたたかう場なのだが、そうなると定数削減は逆効果になりかねない。定数34を32にしたとして、自民党公認が22、公明が5で27を占めたとすると、残りは野党系も含めて5議席ということになる。自民党公認が全員当選するわけではないが、組織票を持った者だけが有利となり、生き残る構造になるのは疑いない。そうやって多勢に無勢の状況をつくって、異論は許さぬみたいな一強体制ができあがるのだ。これは民主主義を否定することにつながる。

 

 財政削減のために定数削減をするというなら、むしろ議員報酬を削減するほうが良い。安い議員報酬でも下関のために奉仕するという熱い志を持った者だけが議員に立候補した方がまだ健全だ。というか、定数削減に賛成したとヒーローぶっている創世下関については、「オマエら、まずは飲み会帰りにくすねたタクシーチケット代金を返還してからいいやがれ!」と思う。浅ましくていじましくて、本当に恥ずかしい話だと思う。ここにきて改革の旗手みたく安倍事務所直結会派がプロパガンダで演出しているが、かさぶたをひっぺ返されたら終わるし、次のターン、次の次のターンまでをよく考えてから動くことだ。世論というのは次の瞬間には動くもので、世論に働きかける手段はいくらでもある。選挙期間中にガンガン演説しまくれば良いのだ。下関の場合、議員定数削減とは自民党独裁体制の強化のためにほかならないのだ。

 

 B 今年、一般質問の議員1人当たりの持ち時間を60分から50分に削減したことも同じだ。一般質問は議員が追求するテーマや課題を執行部に質問できる唯一の場だ。議会の花ともいわれるほど大切な時間だ。ところがその議論の場をみずからの手で削るということをやってのけた。議員が議員みずからの口を封じることに等しいものだ。

 

 たかが10分と思うかもしれないが、例えば本紙記者でもある本池涼子の質問を作るさいにも、その10分はきわめて貴重で大きいものだ。毎回とりあげるべきテーマが複数あれば、十分な質疑ができなくなる。はっきりいって、一つのテーマでも1時間ではじっくり執行部とやりあうのには不十分なくらいだ。しかし、とりあげなければならない問題は多々ある。その場合、メインに40分、二つ目のテーマに20分等々、前もって時間割については想定するものの、結局メインのテーマに50分かかれば、残りの10分で二つ目を消化しなくてはならない。はっきりいって1時間でも足りない。

 

 提灯持ちの質問しかしない与党議員にとっては「60分もいらない」ということだろうし、それは現行の一般質問を見ていてもよくわかる。何も質問することがなくて、30分とかで終わっていく者だっている。執行部と台本をつくりあげている議員も多く、一般質問の場は台本を読み合う発表会みたいな場だと思っているから、そんな議会にとっての自殺行為である一般質問の時間削減を平気でやってしまう。しかもそれを決めるのに、無所属には意見をいう場すら与えなかった。なにが“議会改革”かと思う。

 

求められる新鮮さ 弛緩したもたれ合い一掃を

 

 C 下関市議会は下関市政のチェック機能を果たしているかというと、先程から議論してきたように、みんなして東大和町の安倍事務所の顔色を伺ってきたのが実態だ。「天の声」に近い前田晋太郎が市長をやり、議会は議長も副議長も安倍事務所直結会派の「創世下関」がポストを奪うようになり、それに対して冷や飯の保守系議員も抗えない力関係がこの間作られてきた。「安倍先生の意向だ!」といわれたら、ぐっと黙らざるを得ないのだ。ある意味、冷や飯組についてはいいたいことの一つもいえず、哀れにすら思うほどだった。行政の事業を巡る情報も一部にしか流れず、保守系のなかに不満が蓄積してきたのも事実だ。自民党が多数を占めているとはいえ、一枚岩ではない。

 

 A そんな政治構造のトップに君臨してきた安倍晋三が亡くなり、安倍事務所もやむなく解散の憂き目にあっているなかで、今回の市議選がおこなわれる。過渡期の選挙ではあるが、来年4月以降といわれる四区補選にもつながる選挙になる。補選については誰が出るのかいまだに釈然としないままだが、自民党としては誰も出さないわけにはいかない。本命は次の選挙区再編を経た新3区とはいえ、つなぎの最後の四区に誰かは出てくる。県民葬の後くらいにはわかるのではないか?と安倍派の幹部は話していた。

 

  自民党下関支部では前々回市長選を巡って安倍派と林派の暗闘がくり広げられたが、元々が犬猿の仲であることは周知の事実で、今からその反動も動き始めるのだろう。ただ、林派が今度は「我が世の春」といっても支持する人がどれだけいるのだろうか。「一度下関(地元)を捨てて出て行った者が、いい加減にしろ!」と辟易している有権者も少なくない。安倍派が図に乗って好き勝手してきたのもけしからんが、安倍晋三が死んだからといって林派がなりかわって調子づくというのでも下関は悲劇的だ。いずれにしても、代議士に連なった特定勢力が権力を握り、独裁的に行政や議会を支配していく政治構造を吹っ飛ばさない限り、何も変わらない。

 

 安倍派、林派の子飼いが何人当選するかを微調整するような市議選ではなく、一度思い切ってガラガラポンをした方が郷土下関のためにはよい。弛緩しきった現職たちを振るい落として、既存のできあがった構造をぶっ壊すことの意義は大きい。党派に関わらず新鮮さが求められている。そういう意味で、若手新人が15~16人出馬するというのは大歓迎であるし、彼らにはしっかり頑張ってもらい、改選後の議会で真面目に働いて欲しい。不真面目ならば有権者に見透かされるだろうし、それまでだ。

 

  前回の衆院選その他で本池涼子(本紙記者、下関市議会議員)や長周新聞社がれいわ新選組を応援・協力してきたこともあって、今回の市議選で竹村かつしと競合するのでは? と心配する声もいただくが、そこは「互いに全力で市議選を戦い抜いて、議場で会おう!」という関係だ。対立することはないし、協力できるところは協力もする。市議選になると当然個人戦のような側面が強いし、競合する部分も確かにあるだろう。だからといって器の小さなことをいっても仕方がないのではないか?

 

 竹村についてはれいわ新選組のネームバリュー票は確実に1人で押さえればよいし、竹村ならではの独自政策を掲げて、ボランティアの人々と共にしっかり頑張ってくれと思う。一方で本池陣営は後援会員の皆さんの1票1票を固めながら、この4年の働きについて審判が加わるのだろう。これまた、前回の得票数があるだけに「本池は安泰だからこっちに票をくれ」の力が既に方々から加わっており、決して甘くはない。市議選は2期目が鬼門というように、気を引き締めて挑まなければならない。後援会員集めを12月、1月に向けて徹底的にやっているところだ。

 

  竹村と本池はそれぞれが本気で下関市民のなかに入り、支持を広げていくだけだ。これは良い意味での競争をした方が良いと思う。どちらかが出馬したらどちらかが困るような関係などおかしいし、そもそもそのようなちっぽけなことをいっていたら始まらない。互いに力をつけながら、それぞれが支持基盤を大きなものにし続けることだろう。仮に支持基盤がかぶって共倒れするようなことになったら、その程度の実力しかなかった…という事実を受け入れるほかない。まあ、共倒れはないとは思うけれども、切磋琢磨してやれることを精一杯やろうぜ!ってところではないか。

 

 政治家は選挙で鍛えられるのであって、両人及び両陣営が本気のたたかいで鍛えられるのだ。下関という安倍・林独裁の政治構造のなかで、誰にも遠慮なく是々非々でいいたいことをあからさまにいう存在として、議場に送り込まなければならない。審判を下すのはあくまで下関市民であって、その受け皿になり得るかがシビアに問われるのだと思う。自己評価は客観的でなければならないし、要は得票に反映される。

 

  あと、野党系もさまざまいるが、共産党の西岡については余りにも自民党議員たちにペコペコし過ぎていて、市議会だけでなく役所関係者のなかでも「どうしてあんなに平身低頭なのだろうか?」「議場に出入りする自民党議員に“○○さん、お疲れ様です”とか、いちいち一人一人にペコペコ頭を下げて挨拶していたり、へりくだりすぎていて見ていてきついものがある」「日頃はたたかう野党とか叫んでいるのに、あれはないよね…」など、方々で語られている。共産党の支持者の皆さんは、一度議場に実態を見に来た方が良いのではないかと思う。安倍独裁政治の構造にへりくだって生活保護、公営住宅をはじめとした行政利権を世話してもらい、票を稼ぐという構造がそうさせているのだろうか。“下関市議会名物・へりくだりまくりの共産党の西岡”として見世物くらいにはなるのではないか。なぜあのように物欲しそうな雰囲気が漂うのかは、日頃の生態とも関わって謎解きがいるように思う。

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