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全米で行動する高校生たち 10代が問い始めた銃社会の構造

軍産複合体が巣くう社会の苦難

 

銃社会に抗議するアリゾナ州の高校生たち(2月19日)

 アメリカ・フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校(生徒数約3000人)で2月14日、銃乱射事件が起き、高校生ら17人が殺害された。この事件を受けて同校の高校生たちは、銃乱射事件が起きるたびに学校の安全対策強化を語るだけで、銃規制にとりくもうとしない政治家に怒りをぶつけ、「二度と他の学校で起こらないよう、銃規制が実現できるまで声を上げ続ける」と現場のなまなましい映像を拡散し世論に訴えた。これに同州の高校生たちをはじめ全米の高校生が即座に応えて行動を起こし、銃規制を求める高校生の大規模な政治行動に発展している。

 

 銃乱射事件を起こしたニコラス・クルーズ容疑者(19歳)は、以前ダグラス高校に通っていたが退学処分になっていた。彼は半自動ライフル銃AR15と複数の弾倉を合法的に購入して犯行に及んだ。銃の所有や異常行動、学校への銃撃を示唆する投稿などの情報が連邦捜査局(FBI)に通報されていたが、FBIは彼を捜査していなかった。

 

 高校生たちは、銃製造業者や販売業者などでつくる全米ライフル協会(NRA)から多額の政治献金を得て、銃規制をやろうとしない政府や政治家に批判を集中させている。事件直後から高校生、中学生、教員、父母などが抗議行動に立ち上がっている。先頭に立っているのは地元をはじめ全米各地の高校生だ。とりわけトランプ大統領が「教員に銃を持たせれば乱射事件はたちまち終わる」「教員に訓練を受けさせ、少額のボーナスを支給する」など、まるで国内を戦場にしてはばからないような全米ライフル協会の主張を持ち出したことに怒りは強い。

 

デモ行進するサウスプランテーション高校の生徒(2月21日)

 アメリカで大きな衝撃を呼んだ1999年のコロンバイン高校銃撃事件以来、銃規制が問題となってきたが、学校内での銃撃事件はその後もくり返され、これまでに400人が死亡し、15万人が事件に遭遇してきた。今年に入ってからも学校や周辺での銃撃事件は18件も起きている。そのたびに銃規制を求める声は上がっていたが、生徒みずからが全国規模で立ち上がり、政府に抗議する政治行動に立ち上がったのは今回がはじめてだ。

 

 高校生らは「もうたくさんだ!」「ウソをついている!」と政府や政治家を批判し、みずからの手で政治を変えようと行動に立ち上がっている。銃乱射事件に遭遇し、生き残ったダグラス高校の17歳の女子高校生は、「私たちは失うものはなにもない10代だ。犠牲になった10代として声を上げる準備が整っている」と怒りの声を上げている。

 

 事件直後の2月16日には、ダグラス高校と同じパークランド市内にあるサウスブロワード高校の50人の生徒たちが授業をボイコットして街頭にくり出し、抗議デモをおこなった。デモの現場を通りかかった車は、クラクションを鳴らしてそれに応えた。デモに参加した高校生は、「政治家が私たちの意見に耳を貸さないから黙っていられなくなった。私たちが未来を担っている」と語り、授業ボイコットへの処分についても「問題になったとしても、それだけの価値はある」と胸をはった。

 

 翌17日には郡都フォートローダーデールの州裁判所前に高校生ら数百人が集まり、トランプ政府に抗議した。意見発表をおこなった女子高校生は「悲嘆にくれ祈りを捧げているだけなら、それは新たな被害者になることを待つことにしかならない。そうではなく、今私たちはここに来た。私たちは一緒になって変えていく必要がある」と訴えた。抗議行動の参加者は「私の友だちはカネに殺された」とみずからの訴えを書いたボードを掲げ、全米ライフル協会から数千万㌦の政治献金を受けてきたトランプやすべての政治家に対し「恥を知れ!」と叫んだ。

 

 その後、パークランドの高校生たちの怒りの声に、アメリカ全土の高校生が呼応した。インターネットのSNSを利用し、アメリカ各地の高校生が21日に一斉に授業ボイコットをおこない、抗議の意志を示すことを決めた。21日には地元フロリダ州で、わかっているだけで50校以上の高校や中学校の生徒たちが行動を起こした。全米ではバージニア州、メリーランド州、首都ワシントン、ペンシルベニア州、オハイオ州、イリノイ州、アイオワ州、テキサス州、コロラド州、アリゾナ州、モンタナ州、ワシントン州などの生徒たちがこの行動に合流した。学校当局のなかには生徒たちの授業ボイコットとデモ行進を認めず、停学処分を持ち出して圧力をかけるところも一部あったが、生徒たちはこれをはねのけて行動している。

 

フロリダ州議会前での抗議行動(2月21日)

フロリダ州議会前で抗議集会を開く高校生たち(2月21日)

 ダグラス高校では21日、校舎の外に約2000人の生徒、教員、父母らが集まり抗議をおこなった。また州都タラハシーの州議会前には約3000人が集まり、抗議集会を開いた。この集会にはダグラス高校からも100人の高校生が、400マイルの道のりをバスで8時間かけて参加した。同校の16歳の男子高校生は「私たちは今変化を生み出そうとしている。死んだ人たちはもう戻ってこない。だから何かを成し遂げるまでたたかい続ける」と決意をのべた。

 

 パークランドに近いボカラトンでは、市内の学校から市役所に向けて1000人以上がデモ行進した。この行動を呼びかけた17歳の女子高校生は、共和党主導のフロリダ州議会が攻撃用武器禁止の議論を拒否したことに怒りを倍加させ、SNSを使って大規模な行動を呼びかけた。政治家や学校関係者に対して、この女子高校生は「彼らは私たちを過小評価している。私たちは新しい世代だ」とのべた。

 

 シルバーデールのセンターキトサップ高校でも昼休みに抗議行動をおこなった。このなかで1人の生徒は「私たちが今日行動を起こさなかったら、何も起こらないし、何も変わらないだろう」と訴えた。

 

 首都ワシントンに隣接したメリーランド州の高校からは何百人もの高校生が授業をボイコットし、ワシントンの連邦議会前に向かい、抗議行動をおこなった。オハイオ州ダブリンのサイオト高校では約200人の生徒が集まり、ダグラス高校で生き残った高校生への励ましの手紙を書くとともに、銃規制のためにこれからどう行動したらよいか論議した。

 

 同州クリーブランドのレイクウッド高校でも授業ボイコットの抗議行動がおこなわれた。抗議行動を呼びかけた女子高校生は「銃による死亡事件は毎日のように起きている。私たちはそれを変えるために何もしてこなかった。私は今10代だが、それをしようと思う」と訴えた。同州のメンター高校では200人、ウィロビーのサウス高校とイースレイクのノース高校ではそれぞれ150人が学校のまわりをデモ行進した。

 

 21日の抗議行動は緊急にとりくまれたものだが、高校生たちは3月14日と4月20日(コロンバイン高校銃撃事件の日)にはより大規模な行動を準備している。また3月24日には全米からワシントンに集合し、大規模な抗議集会を開く。

 

バージニア州ミルブルック高校の生徒たちのデモ(2月21日)

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