いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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安倍事務所への過剰な忖度

 もう随分前のこと、文科省事務次官だった前川喜平が下関市民会館に講演に来るというので、とりくみに協力した者は多かった。首相お膝元に乗り込んで来る度胸を買い、ならば援護射撃しようじゃないかと世論が広がり、主催者の意に反してあれよあれよとチケットは売れた。リベラルとか左を標榜する勢力のみならず、自民党林派の面面や中尾市長派のブレーンだった市幹部職員や後援会幹部たち、保守系市議、安倍派の支持者ではあるがモリカケ疑惑にほとほと呆れている人など、多種多様な顔ぶれが会場に足を運んでいた。1400人以上が詰めかけた大ホールは満席となった。加計学園の認可をめぐって「行政が歪められた」と暴露した当人から、直接話を聞きたいという思いがあったからだ。

 

 ところがいざ蓋を開けてみると肩すかしもいいところで、安倍晋三を持ち上げ、実はこんな面やあんな面を評価しているとかの話に終始し、聴衆の最大の関心事を見事にスルーしたのだった。場の空気はしらけ、「500円(入場料)返してくれよ!」とぶつくさいいながら途中退席する人もいた。帰路につく聴衆の顔つきはどことなく不満げで、翌日以後に出会うと「なんだあの講演は」でもちきりになるほど評判を落とした。

 

 友人知人の呼びかけや思いを汲みとって協力した人も多かった。そのような人人の努力を水の泡にするだけでなく、肩すかしをして聴衆から反感をくらう。チケットを捌いた協力者たちも、みずからが薦めた人に対して立場を失った。結果として、期待を裏切ったことで前川喜平に対するマイナスイメージと主催者への不信感だけが募る不思議なとりくみであった。安倍政治を批判する側が勢揃いしながら、なぜ聴衆を怒らせて帰らせたのか? その言動はあまりにも意味不明なものだったのである。

 

 なぜこのような事態になったのか関係者に真相を迫ってみると、実は実行委員会が「安倍首相については批判をしないでほしい」「モリカケには一切触れないでほしい」と本人に申し入れ、そんな実行委員会の懇願を受け入れたのがあの講演だったのだという。会場で集めた質問箱にもモリカケに関するものが多数寄せられたが、それらは意識的に排除された。そして、前川自身が別の講演場所で「実は下関では…」と実行委員会とのやりとりの内幕を関係者に漏らしているのである。同日に北九州でおこなわれた講演会でモリカケに触れたのは、そんな下関ルールの制約から解放されていたからだった。

 

 反安倍などと標榜しながら首相お膝元での批判を封じたのは誰なのか? 1400人も集めながら安倍事務所に忖度したのは誰なのか? 主催者として責任ある立場にあった社民党市議の山下隆夫、同じく無所属市民派を標榜している田辺よし子(市議)、「日共」市議団や支援団体、黒川敦彦あたりに真相を確かめ、経緯を質問してみるのがよいかもしれない。反安倍を装った詐欺(500円×1400人)ではないかという世論すら広がっているなかで、その辺の対応を曖昧にしたのでは“この汚れ左翼が!”という批判は免れない。同時に前川喜平も前川喜平で、現役首相の選挙区においてあれだけ問題意識を持った人人が集い、熱気を帯びたとりくみだったにもかかわらず、みずから評判を落としたことについて自覚するべきだろう。安倍事務所を忖度する者を忖度したのでは台無しである。                吉田充春

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