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トランプのおんな

 トランプの訪日を出迎えた高市早苗のはしゃぎっぷりといったら、まるで場末の格安スナックのママとかホステスみたいで見ておれない…という知人が幾人もいた。それはそれでママたちに失礼だろうがとも思うが、首相たるものが貫禄もなく、威厳もなく、キャッキャしてみずから大男のオモチャになりに行こうとする空気感がそう思わせるのだろう。「さすがにみっともない」「オンナを出し過ぎ」「トランプ大統領も相手がメルケル(ドイツの元首相)さんだったらあんな扱いできないでしょ」と周囲の女性陣からも随分と不評である。一言でまとめると“トランプのおんな”みたいな振る舞いだったのである。

 

 あのような外交の舞台では、面会した際の握手でどっちが先に手を出すか、反対側の手で二の腕あたりをポンポンと叩くか否か、表情は和やかなものであるべきか、あるいは厳しく緊張感のある雰囲気をまとった方がよいのか等々、その時々の状況に合わせてプロモーション戦略を持ち、本来ならば側近の官僚なりがしっかりと振り付けもして挑むところだろう。しかし、あれではまるで“無防備キャッキャのおんな”である。高関税を突きつけられて厳しい交渉に直面し、「なめられてたまるか!」と叫んでいた石破茂が退陣するや、今度はなんでもかんでもアメリカのいいなりになりそうなのが出てきて、トランプのオモチャかと思わせるようなはしゃぎ方をしているのだからムリもない。あぁ、戦後80年を迎えながらこの国はいまだに植民地従属国なのだ…と改めて実感がこみ上げてくるのである。

 

 かれこれ20年以上も前、当時の米国大統領だったブッシュに招かれて訪米した小泉純一郎(当時首相)が、エルビス・プレスリーの物真似をしてはしゃいで見せたことがあった。あれもまた日本国内では「みっともない…」「首相たるものが品性に欠ける」と不評だったが、跳んだり跳ねたり歌ったり踊ったり、本人は幸福の絶頂にあったことを全身で表現していたに過ぎないのだろう。アメリカ大統領に招かれた特別な自分、日本国総理大臣としてアメリカ政府のトップに見初められ、こうして接待までしてもらっている自分という存在に酔いしれ、敬愛の念をこめた感謝のパフォーマンスだったのだろう。今回の件を見てパパ小泉がふっと頭をよぎったのは、同じように威厳や貫禄とはかけ離れ、植民地従属国からやってきたイエロー・モンキー(白人が黄色人種に対して使う蔑称)のリーダーが有頂天になっている――ような振る舞いにも思えたからだった。連想するのは紐を首につけられた猿回しの猿である。

 

 この国の政府の要職につく人間たちは、アメリカ大統領なり政府高官、実権を握ったシンクタンク幹部らに見初められることが殊の外嬉しくて仕方がないのだろう。そうして、なんでもかんでもいいなりで、アメリカ側から突きつけられてきた年次改革要望書やアーミテージ・ナイレポートに記された、要望というよりは命令を忠実に実行し、規制緩和や構造改革、郵政民営化や労働法制改悪、軍事再編等々をこなしてきたにほかならない。事細かくあーしろこーしろが記されたものを、日本社会にとって国益がどっちを向こうがおかまいなしに実現に奔走してきたのが実態だろう。斯くして政治家も官僚機構も大資本トップもこぞって海の向こうの権力にかしずき、情けないくらいにアメリカの植民地従属国なのである。

 

 国内では右派とか右翼とかいわれるような部分が自民党総裁選で返り咲き、補完勢力としても「日本人ファースト」なるスローガンを標榜するのが台頭している。しかし、こうしたいわゆる右派とか右翼というのが根っからの親米売国派で、表向きは日の丸掲げてオラオラしつつ、やっていることは徹底して「アメリカファースト」という欺瞞がある。よく見たらわかるように、否、よく見なくてもわかるように、彼らは笑っちゃうくらいアメリカには平身低頭なのである。

 

 東京の街頭で右翼風情の街宣車までがトランプ歓迎デモをしているのを眺めて、なんだか建前やポジションもひっくり返っている様にのけぞりながら、反米愛国を貫く本物の右翼はいないのか? と思ってしまうのだった。

 

武蔵坊五郎            

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この記事へのコメント

  1. 田中新也 says:

    日本人の何割がここに書かれているように、日本が戦後もずっとアメリカの植民地であり、この状況をほとんどの政治家・官僚が何の抵抗もなく受け入れている事実を理解しているのでしょうか?国会でこのことを話されたのはれいわ新選組ぐらいでしょうか?伊勢崎賢治議員に期待です。

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