いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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狙撃兵 「いったい何の例え話だよ…」

 「いったい何の例え話なのか…」。首相がいきなりテレビに生出演して驚かせた。安保法制について説明不足を指摘され、やっと「丁寧な説明」が始まったと思ったら、余りにも頓珍漢な例え話のオンパレードで、やればやるほど論理破綻が暴露され、反知性のレッテルが貼られるような行為に及んでいるのである。足を引っぱられるのが嫌だから他の自民党議員はみなテレビ出演禁止にし、街頭演説も見送って始まった首相の説明大会だ。宰相としての実力や知性を見せつけるうってつけの独り舞台である。ところが、どう見ても自分で自分の足を引っぱっているのである。
 これまで披露した例え話は何種類もある。一つはネット動画のニコ生でくり広げたもので、麻生君と道を歩いていたら3人の不良たちが麻生君に殴りかかり、それを安倍晋三が助けることができるのが集団的自衛権、というものだった。“戸締まり論”も十八番で、「安保法制は“戸締まりをしっかりしよう”ということなんです」と例えた。
 20日にはフジテレビの番組に乗り込み、今度は模型を用いて火事になぞらえた。アメリカ国旗を掲げた大きな家を「米艦船」と見立て、隣接にその「離れ」があり、道路を隔てて日の丸を掲げた家がある。アメリカ国旗の家が火事になって炎が離れに燃え移り、日本国旗の家にも燃え移りそうになる。そこで、日本の消防士が日本の家を守るために出火元のアメリカ国旗の家の離れの消火活動にあたる、というものだった。滑舌の特徴や説明の仕方からわかりにくいのもあるが、その炎をあらわす模型が生肉にしか見えないものだから、見ている側は米艦船と生肉と火事と消火活動と振り込め詐欺等等がごちゃ混ぜになり、結局、何の話だったっけ? である。
 戦争と火事はまったく別物で、仮に火事に例えるとすればアメリカは火をつけられる側ではなく、いつも世界中に火をつけてまわる放火魔である。そして、自衛隊は放火魔の後方支援で火に油を注ぎに行く役割となる。戸締まりと戦争も別であるが、地球の裏側まで戸締まりをしに出かけて自宅を空ける人間を見たら、恐らくこの人は頭がおかしいのだろうと思うに違いない。不良に襲われるのと諸外国との関係が同列で語られるのに至っては…もういい。だから「反知性」なのだ。
 例えずにあからさまな現実を語るべきだと思う。しかし本人が例えたい以上、これは仕方がない。テレビ出演を増やして、もっととっておきの例え話をすればいい。国会前や街頭に繰り出して、熱情込めて例え話を披露して回ることも望む。それを見て支持率が回復するか否か、安保法制に賛成する者が出てくるか否か、あるいは「バカだなぁ…」と思うのかやってみたらいいと思う。

吉田充春

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