高市早苗の訪米は、冒頭に抱きついた場面からトランプが腰に手を回して去って行く場面、ホワイトハウスでノリノリでダンスをしているようなはしゃいだ写真、バイデンを小馬鹿にしている場面等々、終始「媚びへつらうオンナ」感が丸出しで、一国を代表する政治リーダーたる者が恥も外聞もなく世界に向かってアイラブ・ドナルドをくり広げるという、見ていられないものだった。真珠湾攻撃を語り出したトランプに対して広島・長崎への原爆投下という数十万人の老若男女を殺戮した戦争犯罪を突きつけるわけでもなく、黙ってやり過ごす等々、それでよく右派とか保守を名乗っているものだと呆れるような振る舞いでもあった。日本の宰相はよく「アメリカのポチ(飼い犬)」と揶揄されてきたが、高市早苗のそれは世界中の女性たちが眉をひそめるほど「トランプのオンナ」なのである。一般的ハグとも異なるあの品のない抱きつき方を見て、日本人女性の品格やイメージを貶めているという指摘はまさに正鵠を得ている。
今回の訪米にあたって日本国内ではホルムズ海峡に自衛艦を派遣するよう迫られるのではないかという心配だけが先行し、回避できたという安堵感に満ちた報道が目立っている。彼らが何を話し、交渉したのか詳細は明らかになっていないが、アラスカ産の製油が難儀な原油を日本が輸入することを約束し、ホルムズ海峡への軍艦派遣には触れずにトランプの機嫌をとれたといって喜んでいる有り様である。だいたい憲法9条がある以上、ホルムズ海峡に軍艦を派遣して武力衝突の前面に立つなど法的にも不可能であり、できないにも関わらず、「アメリカから迫られたらどうしよう…」と大騒ぎして脅えているのがこの国の為政者たちである。欧州はじめ各国がイラン攻撃に対して異議を唱え、イスラエルとアメリカから距離を置いているなかで、「世界の平和と繁栄をもたらすことができるのはドナルドだけ」などとおだてているのも高市早苗くらいなのである。こうした振る舞いや発言が世界中に配信されてイランの人々だって視聴することを考えると、到底看過できるものではない。イランに突然爆撃を加えて宗教指導者を殺害し、子どもたちも含めたイラン人を殺戮している張本人が、世界の平和と繁栄のシンボルな訳がないのである。
イラン情勢の悪化を反映して、日本国内ではガソリン価格が跳ね上がり、その後は政府対応によってリッター当たり20円近く下落しているものの、日本に運ばれてくる石油の9割近くはホルムズ海峡を通過しなければならず、この航行が安全に再開されるかどうかが日本経済や日本人の暮らしにとって切実な問題になっている。国益がかかった重大問題である。イランは日本政府との交渉次第で安全回廊の海峡通過を認めるといっているが、アメリカの同盟国として敵対するというのなら航行を認めるわけがない。こうして仮にタンカーが足止めとなって日本に中東産の石油が届かない場合、そして備蓄も尽きた場合、たちまち暮らしも経済も麻痺して成り立たないという厳しい現実が待ち受けている。ナフサや肥料の原材料などもしかり。農業も医療も麻痺である。国益がかかった重要局面で、自衛艦の派遣を求められなくて良かったね――ではなく、日本政府がすべきは第三国としてアメリカに停戦・終戦を迫り、世界各国と協調して事態の収束にむけた外交を展開することである。「伝統的な親日国」として関係を築いてきたイランとアメリカ・イスラエルの間に割って入り、一方に与するのではなく事態解決の仲介役を果たすことである。ホルムズ海峡での戦闘激化に加担するのではなく、安全な航行を求めて船舶の往来を実現するのが国益にかなった選択である。
「伝統的な親日国」と呼ばれるような国はイランをおいてほかにない。トランプのような狂った男に媚びて日本が独自に築いてきたイランとの友好関係を裏切るのではなく、全力で親日国への仁義を尽くすべきである。
武蔵坊五郎





















