いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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戦争するとは…

 自民党が解散総選挙で憲政史上最大の議席を獲得し、なにか事あれば中国と一戦交えようかといわんばかりの対中強硬派が政権を握り、きな臭い空気が日本社会を覆っている。それもこれもアメリカが東アジアのなかで日本を盾にして軍事戦略を展開しているためで、対中国を睨んで軍事的脅威を与える存在として日本を前線に駆り出し、鉄砲玉として位置づけているからにほかならない。中東におけるイスラエルや、ロシアとの緩衝国家だったウクライナみたいなもので、そそのかされた為政者がオラオラと旗を振って代理戦争の当事者として駆り出され、おかげで国土が戦場と化すという極めて愚かな結末にもなりかねない方向である。

 

 ただ、実際に日本が中国なり他国と軍事衝突し、日本列島の各所がミサイル攻撃の標的になった場合のことをいったいどれだけの人が具体的に想像できているというのだろうか。以前、北朝鮮からミサイルが飛んでくるといってJアラートをかき鳴らし、子どもたちに「机の下に潜りましょう」と避難訓練させていたことがあったが、それでミサイル攻撃から安全を確保できるわけなどないのに、戦時中の竹槍訓練レベルとかわらないバカげたことをやっているのがこの国の政府である。地下シェルターを整備するでもなし、机の下に潜ってミサイル共々吹っ飛んでしまえ――が本質なのである。

 

 日本列島がミサイル攻撃にさらされた場合にまず狙われるのは軍事拠点である。周囲の市街地だって被害は免れない。港湾や空港といった出撃拠点だけでなく、兵站を担う拠点や弾薬庫、レーダー基地等々も狙われるだろう。そして、そうした基地機能を麻痺させるために電気、ガス、水道といったライフラインも当然狙われて、当たり前だった暮らしは一変する。自然災害と比較にならないほどの影響を被ることは必至である。老朽化した下水道が陥没しただけで大騒ぎして復旧に手間取っているというのに、下水道のみならず水道も電力もガスも供給網があちこちで破壊されたときに、現代社会はきわめて脆弱である。戦争の最中に復旧など追いつくわけもない。ただでさえ土木建築を担う人材や中小企業は激減しているというのに…。外国人研修生を戦時下で動員するというのだろうか? というか、戦場になっている国にどこの国の外国人が働きにくるというのだろうか?

 

 高速道路や鉄道輸送も断絶された場合、まず都会では食料供給が滞って大騒ぎであろう。コメが買えないどころではない。電気も遮断されるとなると計画停電でみんなして歩いて帰路についた東日本大震災の二の舞いどころではすまない。マンション暮らしも麻痺、地下鉄もストップ、首都一極集中が著しいなかで公園でたき火でもして暖をとるというのだろうか。1000万人以上が過密に集中しているなかで、それだけの人口を満たすだけの炊き出しや食料支援、水の供給をだれがやるというのだろうか。戦争になればその国の中心部を狙うのも当然であろうし、「東京だけは関係ない」わけはない。食料一つとっても海上輸送による輸入依存であり、これがストップしただけで餓死しなければならないのが日本人が置かれた客観的状況である。アメリカが戦時中に飢餓作戦といって関門海峡に無数の機雷を投下し海上輸送を麻痺させようとしたが、そんな非人道的なことをするのである。人類の頭上に原爆だって投げつけたのがアメリカである。

 

 原発しかり。化学コンビナート群しかり。ミサイルが撃ち込まれたら大変な事態になりかねない危険な施設をたくさん抱えてもいる。あちこちがやられた場合、その対応だけでも東日本大震災の比ではない。専門知識を身につけた技術者も人手不足である。さらに最前線に駆り出される兵隊はどうか? 産めよ増やせよだった80年以上前と比較して、徴兵制を敷こうにも少子高齢化で若者そのものが社会に少ない。ベトナムやインドネシアから外国人を徴兵するというのだろうか? しかし、どこの国のだれが鉄砲玉・日本の戦争に身を投げ出そうというのだろうか? それなら中国にオラついている50~60代の男たちも駆り出すか?

 

 具体的に想像すればするほど日本社会は戦争ができる国土ではないし、戦争をしないための賢い選択をするほかないことがわかる。戦争をするとは国土を破滅に導くもので自爆以外のなにものでもない。それはかつての大戦で得た深い教訓である。アメリカにそそのかされてイキった鉄砲玉とは愚かで、そのような売国奴に運命を委ねるわけにはいかないのである。

 

吉田充春                  

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