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被爆80年 広島で「原爆と戦争展」開催 8月3~6日に県民文化センター地下展示場で パネル展示や被爆者による体験証言

 被爆から80年を迎える8月初旬、広島市で「原爆と戦争展」(主催/「原爆と峠三吉の詩」原爆展を成功させる広島の会、後援/広島市教育委員会)が開催される。広島の詩人・峠三吉の詩や子どもたちの詩を織り交ぜたパネル「原爆と峠三吉の詩」や、東京大空襲をはじめ全国空襲、沖縄戦、また南方などの戦地の実相を生存者の体験談や写真資料で構成した「第二次大戦の真実」パネル約130枚を展示するほか、被爆者による体験証言会や若い世代による被爆体験記の伝承朗読会も企画されており、主催者は市内外からの参加を呼びかけている。

 

 開催にあたり、原爆展を成功させる広島の会会長の末政サダ子氏(91歳)は、戦争と被爆から80年の節目の年に、「膨大な命の犠牲と今日まで続く言語に絶する苦しみを次世代に継承し、三度この惨劇をくり返さないこと、人類史上もっとも残虐な兵器である核兵器を廃絶する」ことを被爆地広島から発信することを強調している。

 

 チラシに掲載された挨拶では、「近年、国連で核兵器禁止条約が発効されるなど、核兵器の製造や使用を禁じる世界的な世論が高まる一方で、2022年2月からはウクライナ戦争が本格化し、2023年10月からはパレスチナ・ガザ地区において凄惨な無差別殺戮が続いています。いずれの地域でも、子どもたちを含む一般市民の犠牲と引き換えに大量の兵器が消費され、核兵器使用の可能性まで取り沙汰されるなど、核大国の利己的な論理がまかり通り、出口が見えません。G7の一員であるわが国の政府も、唯一の被爆国でありながら『米国の核の傘』(核抑止論)を是認しており、平和憲法を持つ国の責務として、これらの戦争の停戦や和平を調停し、核戦争の危機を回避するために積極的に役割を果たしているとは到底いえません。今こそ、私たち広島市民が経験したことを共有し、世界中の戦争で苦しむ人々、平和を望む人々と思いを一つに歩むことが求められています」と訴えている。


 この原爆と戦争展は、20年以上にわたり、広島や長崎をはじめ全国各地で開催され、被爆者だけでなく、戦地や空襲などの体験者がこれまで語れなかった体験や思いを誰はばかることなく語り、世代をこえて平和の思いを共有する場として継続されてきた。近年では、英訳版が海外からも注目を集め、平和公園での展示では、国籍や人種の違いをこえて世界中の人たちが、現代の戦争を止めるために、市民の目線で被爆と戦争の真実を伝えていくとりくみに深い関心を注いでいる。

 

 市民や被爆者でつくる広島の会は、「直接被爆や戦争の経験を語れる世代はおおむね90歳をこえました。多くの人が鬼籍に入り、私たち被爆者に残された時間はわずかです。この展示会が、被爆と戦争の体験を若い世代に受け継ぐ場として、戦争や原爆のない平和な社会を実現する後押しになることを願ってやみません」と来場を呼びかけている。

 

 会場では、被爆者たちが高齢を押して常駐し、来場者に体験を語り伝えるほか、被爆者が描いた絵、体験記、実物資料なども多数展示される。また、被爆二世や若い世代による被爆体験の伝承朗読会もおこなわれる。

 

【開催要項】

会 期:8月3日(日)~6日(水)

開場時間:午前9時30分~午後6時(3日は午後1時から、9日は午後5時まで)

会 場:広島県民文化センター・地下展示場(広島市中区大手町1-5-3・原爆ドームから徒歩2分)

入場無料

 

平和公園で街頭「原爆と戦争展」も

 

 関連して、広島平和公園の原爆の子の像横では、8月2~6日まで同展のパネルを使用した街頭「原爆と戦争展」がおこなわれる予定。

 

「原爆と戦争展」で被爆者の体験を学ぶ子どもたち(2018年8月、広島市中区)

真剣な表情で「原爆と戦争展」パネルを参観する外国人(6月、広島市中区平和公園)

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