いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

梅光学院大学・矢本准教授の雇止めは無効 無期雇用・賠償は棄却 地裁下関支部が判決

判決後に開かれた報告会(27日)

 梅光学院大学の特任准教授で、2015年度末に雇い止めを受けた矢本浩司氏が同学院に対し、雇い止めの無効などを訴えた裁判の判決が27日、山口地方裁判所下関支部(泉薫裁判長)であった。この日も教員や学生、同窓生や保護者など多数が傍聴に押しかけ判決を見守った。判決では、矢本氏の梅光学院特任准教授としての地位を今年度まで認め、賃金の支払いを命じたが、その他の訴えについては棄却した。

 

 矢本氏はこの裁判で、梅光学院特任教授としての地位の確認と賃金の支払いに加え、研究室や図書館を利用すること、准教授として論文を発表すること、また大学で講義をすることなどを求めていたほか、中野新治元学院長がその地位を利用して、矢本氏が執行部に反対する行動を主導したかのように扱い、雇い止めしたことによって研究や研究成果の発表、教授の自由を奪われたとして、中野元学院長と梅光学院大学に対し損害賠償を請求していた。

 

 判決では、仮処分申請時と同じく、矢本氏が梅光学院大学に勤務していた平成27年度中、授業については学生アンケートで高い評価を得ており、複数の論文を執筆したうえに査読を受けて掲載されたこと、また学内でもFD委員会副委員長や中高校長特別補佐職に就任するなど、豊富な業務量をこなし、かつ高い評価を受けていたことを認定。契約期間満了が近づいた平成28年2月中旬まで、矢本氏もかかわって翌年度の準備を進めており、契約更新を期待する合理的理由があったとし、雇い止めの無効を認めた。また2度目の契約更新についても、その合理的期待が消滅したといえる特段の事情もないとして、矢本氏の地位を認めるものとなった。

 

 ただ、矢本氏は採用時に中野新治学院長から「よほどのことがない限り、3年間勤めた後に無期雇用になる」と説明を受けたこと、また平成27年度中にも「雇い止めにすることはない」とたびたびいわれていたことについて、証拠も提出したうえで無期雇用を主張していたが、その点については退けられ、平成30年3月31日までに限り矢本氏の地位を認め、賃金の支払いを命じる内容となっている。

 

報告会で運動の継続を確認

 

 同日午後4時から、同窓生や学生、保護者ら関係者が集まって報告会を持ち、弁護士からも判決の概要について説明があった。無期雇用や損害賠償などの訴えは棄却されたものの、矢本氏の契約期間が1年となっているにもかかわらず、3年まで認められたことは、前例の少ない画期的な判断であることを確認し、今後もたたかい続けることを誓い合った。

 

 矢本氏は支援に対する謝辞をのべたうえで、「3年の契約まで認めてくれたというのは画期的だと思う。やはり梅光学院に問題があるから、こうした判断が出たのだろうと思う」とのべた。ただ、「中野新治元学院長が“君を雇い止めにすることはない”とくり返しいっていたことについて証拠を提出しているが、判決文では触れられておらず、納得がいかないところがある。非常に画期的な判断が出て喜んでいる反面、なぜこの証拠が認められないのかという思いがある」とのべ、今後の対応を検討することを明らかにした。

 

 参加者からは、「研究室や図書館を使用できない理由は何なのか」「一般市民に開放しているのに使えないのか」「大学というのはユニバーシティ・仲間たちという意味だ。研究に図書館を使うのは当たり前のことだ。“契約にないから”というのはどういうことなのか」「賃金は労働や働きに対して支払うものではないのか? ただ払えばいいのか?」など、市民感覚と法律上の判断の違いについて、質問や疑問、意見があいついだ。

 

 報告会では、大学教員が近況の報告もおこなった。報告に立った教員は、「学内で自由にものがいえず、異論を唱えると排除、左遷、辞めさせられるなど非民主的な運営が続いており、学生たちが被害をこうむっている」とのべた。今年度末にも多くの教職員が学院を去るが、後任を決めず雇い止め等をするため、来年度には哲学の授業を社会学の教員が、現代詩の授業を中野新治氏が担当するなど、看板と違う授業がおこなわれる状況にあり、教育の質がますます低下していることを明らかにした。

 

 またテスト期間をもうけず、新教務システムを導入し、間違ったデータが流れるなど、事務的な部分でもトラブルが多発しており、「無事、入学式が迎えられるかどうか」という状況にあることを報告。この27日にゼミが規定の回数開かれなかったことについて学生らが申し入れ、話しあいをおこなっていることも明らかにした。

 

 学生たちが受けられるはずの授業が受けられなくなったという状況から、日本文学部の教員ら有志で私塾を開く準備をしていることも報告した。

 

 最後に、矢本氏が挨拶に立ち、「社会正義に訴え、おかしいことはおかしいというために裁判をやっているので、ひき続きたたかっていく」とのべ、拍手が送られた。

 

 なお、今回の判決について梅光学院側は、「当方の主張についても、一部理解をして頂けた判決であると考えている。今後の対応については判断を精査して決めることとしたい」とのべている。

 

中高校の校長が1年で解任

 

 梅光学院をめぐっては、中高校でも23日、昨年4月に現経営陣の依頼で就任したばかりの校長がわずか1年で解任されたことが明らかになり、関係者のなかに衝撃が走っている。新年度を目前に控えるなかで、理科など後任の教員確保ができていない状況もあり、来年度さらなる混乱が発生することが懸念されている。

関連する記事

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someone

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。