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「大学といえる建物か?」の疑問 20億円で建てる新校舎 梅光学院

 梅光学院(下関市)は、大学開学50周年を機に新校舎の建設を進めている。約20億円をかけてキャンパス内に北館(仮称)を建設する計画だ。今年5月頃にプロポーザル方式で設計業者の入札をおこない、梅光と長く関係を持つ「一粒社ヴォーリズ建築事務所」(ミッション系の学校建築を多く手がけている)を排して、小堀哲夫建築設計事務所(東京都)を選定した。2018年3月末の着工に向けて設計を進めている。

 

研究室もなく 仕切りのないオープンスペース

 

梅光学院が建設中の北館(仮称)のイメージ図(2017年9月現在)

 東館の老朽化はだれもが認めるところであるが、「赤字解消」を掲げて正規教員を非情な手段で削減し、非正規雇用教員ばかりにしてきた経営陣が、20億円もの校舎新築に踏み切ったことに、学生からも「校舎は耐震補強でいいから教育内容を充実してほしい」「指導力のある教員に学ぶ方が有益だ」という声が上がっている。


 金額もさることながら、疑問視する声が広がっているのは、新校舎が大学らしからぬ建物であるという点だ。イメージ図が出回っているが、ガラス張りの新校舎はほとんど仕切りのないオープンスペースになること、教員1人1人の研究室をもうけず職員室のような形式をとること、職員も同じスペースで仕事をすること、さらに個人の机は指定せず、毎日好きなところで仕事をするフリーアドレス方式をとるなどといった説明がおこなわれているという。


 研究や学生との関係を考えたとき、「研究室に置いている専門書などはどうなるのか?」「自分の机がない状態で、落ち着いて仕事ができるのか」「学生が個別に相談に来る場合も多いが、これほど人目が多いなかで、本当に相談事などできるのだろうか」といった疑問が広がっている。


 あまりにも大学施設のイメージと離れた建物であることから、「異業種の法人などにも買いとってもらいやすいようにしているのではないか」という憶測が、「安倍昭恵さんが“梅光は身売りが決まったのではないか”といっていたそうだ」という噂とともに広がり続けている。


 文科省が定める大学設置基準第8章第36条を見ると、大学の施設について、①学長室、会議室、事務室、②研究室、教室(講義棟、演習室、実験・実習室等とする。)③図書館、医務室、学生自習室、学生控室について専用の施設を備えることとしており、研究室については「専任の教員に対しては必ず備えるものとする」としている。


 国の条文は解釈しだいで抜け道があるとはいえ、他大学の関係者も「普通にこの条文を読めば、研究室のイメージは個室かそれに近いものが必要だと読みとれる」と指摘している。梅光学院が計画する北館の設計が、設置基準に適合しているのかどうか、文科省が「特別の事情があり、かつ、教育研究に支障がないと認められる」ケースとして許可をおろしたのかどうかも注目される。


 この新校舎建設費の約20億円のうち、約10億円を借り入れ、残り10億円ほどを自己資金でまかなう予定だといわれている。昨年度末の決算では約26億~27億円ともいわれる金融資産のうち、すぐに使える現金預金は約11億円となっている。北館建設に10億円を突っ込んだとき、長期運用に回している約12億8000万円ともいわれる契約を解約しない限り、自転車操業になる可能性も浮上しており、関係者のなかで懸念が強まっている。

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