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梅光の未来を考える会が会合 市民運動広げ早期解決を

梅光の未来を考える市民の会(26日、下関)

 梅光の未来を考える市民の会は26日、下関市細江町のドリームシップ宙のホールで会合を開き、3月の前回会合以後の梅光学院をめぐる現状を共有した。中高校、大学の多数の教員が学院を追われたことを機に問題が表面化して2年が経過する。同窓生や保護者、関係者らのあいだで学院の正常化に向けて今後どのように行動するべきか、活発な議論がかわされた。

 

 最初に共同代表の男性が挨拶に立った。男性は梅光学院中高校では、臨時免許の切れた教員が授業をしていたこと、教員免許のない事務長(元秘書)が授業をしていたことが立て続けに発覚するなど、混乱状況に拍車がかかっていることを明らかにした。この2年、矢本特任准教授が生活を投げ打って裁判を続けていることなどにもふれ、「もうどうしようもないのではないかという声も聞こえるが、そんなことはない。一番困っているのは学生や生徒たちであり、その次に父兄が困っている。悪いことを黙って見過ごすことはできない」とのべ、市民運動として動いていくことの重要性を強調した。

 

 続いて2年前に突然雇い止めになった矢本特任准教授が発言した。矢本氏は、裁判を続けている理由について「私憤もあるが、義憤もある。学生たちのためにも学校を残さないといけないと思っている」「この学校は140年の歴史があるが、卒業した同窓生たち、学生と教職員に支えられて維持してきた学校だ」とのべ、縁あって所属している1人の教員としてたたかい続ける意志を明らかにした。そのうえで、市民の会や梅光の会、同窓生や学生、労働組合などがそれぞれの立場で草の根の運動を広げていくことが大きな力になることを強調した。「僕自身はサイの角のように、独立独歩で最後まで進んでいこうと思っている。今一番研究できる年齢。他の学校から声もかけていただいているが、貯金が続く限り、たたかえるだけたたかおうと思っている。できるだけ情報を共有しながらたたかっていきたい」とのべた。

 

 次に大学の現状について報告があった。大学では教員有志が、2016年4月から給与、退職金やボーナスなどを不当に引き下げられたことについて訴訟を起こした。事前に無駄な経費削減や管理職の報酬・手当カットがおこなわれていないことが納得できない点であること、一方で当時の常任理事会で経営陣の報酬アップが提案されており、「経営陣は一般教職員の給与は切り下げ、逆に自分たちは手厚い報酬を得ようとしていると思われる」とのべた。

 

 さらに、複数の教員が来年3月で雇い止めされようとしており、すでに1人の教員が9月から他大学に異動する予定になっていることを明らかにし、「大学の教員が不必要に不安定な状態にあることで、学生にも学問の指導のうえで不利益が発生している」とのべた。

 

 またゼミのシステムが一方的に変更され、指導できる教員がいるのに、その教員のゼミに入れないなど不合理な状況に学生が強い不信感を持っている状況や、3月にカリキュラムのルールが変更され、学生が本来受けられる授業が受けられなくなる、あるいは授業に登録しようとするとすでに締め切られているなどのトラブルが起こっており、受けられるはずだった教育が受けられなくなる詐欺にも等しい状態となっていると報告した。

 

 発言に立った学生の1人は、多くの教員が雇い止めになり、多くの学生がショックを受けてきたこと、学びたいことが学べない状況になっていることを明らかにし、「多くの学生が学校を運営している人たちに不満を持っている。信頼のおけない人が学校を運営している状態だ」とのべた。そうした状況に対して、直接訴えることのできる立場にある学生として、公開質問状・要求状の提出や、今年2月頃には子ども学部学生が署名を集めて学校に抗議するなど行動を続けており、新たな雇い止めに反対する署名も始まっていることを明らかにした。「学校の上の人たちが無視していることに怒りはあるが、無視せざるを得ない、この質問に答えてしまうと学校が不利に追い込まれる状態になっていると思う。学校側が回答せざるを得ないような状況をどんどんつくり、問題を改善していける動きにできるよう学生も協力していきたい」とのべた。

 

 論議を通じて、2年間のなかで市民の会の署名運動や、裁判を通じたたたかい、学生たちの動き、行政への働きかけなど、さまざまな方策がボディーブローのように効いていることも浮き彫りになった。

 

 30億円あった学院の資産は、現経営陣の下で年年減少していることが懸念されており、時間とのたたかいでもある。資産の半分に及ぶとみられる資産運用に加えて、業務委託や物品購入にも多くの無駄があると見られることなども報告があった。例えばホームページ作成にあたって、相見積もりをとらずに1000万円かかる業者に依頼し、業者交代で600万円浮くと、その分不必要なことに700万円を使った事例など、生徒や学生の父母が納めた学費が湯水のように消えていく状況にあり、「少しでも学院にお金が残っているあいだに解決し、学院再建につなげたい」「潰れる前であれば、お金が底をついたとしても、地域の力も借りながら、しんどいなりに、みんなでお金を回してやっていけると思う」など、先を見据えた意見も出された。

 

 討議のなかで、署名運動や街頭に立って市民に訴えるなど、具体的な行動を求める声もあいつぎ、行動機運の高まりを示すものとなった。今後1人でも多くの人に現状を知らせながらネットワークを広げていくことなどを確認しあい会を閉じた。

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