いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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反問権行使が始まった下関市議会 首相お膝元の特別ルールなのか?

答弁する前田晋太郎市長(左)と三木潤一副市長(右)

 

 9月議会が開かれている下関市議会の一般質問のなかで、下関市民の会の本池妙子市議の質問に対して、三木潤一副市長があからさまに反問権を行使し、それに対して自民党所属の大会派の男性議員たちが「反問権だ。やれやれ!」と議員席から執行部を応援し、盛り上がっていたことが傍聴者を驚かせた。議会というのは本来、二元代表制を建前としており、執行部を議員がチェックするために設置されている。従って、一般質問や委員会での質問は、議員として執行部に責任ある答弁を求め、それに対して執行部は誠実に答弁することが求められる。仮に今回の議会で三木副市長が行使した反問権が正当化されるのであれば、それは全国の地方議会で執行部が居直ったり、議員を逆質問によってやりこめる端緒を開くことになる。首相お膝元の市議会が、議会制民主主義とか二元代表制の在り方を根幹から揺るがす振舞を開始し、代議士ともども法治であるとか議会ルールなどお構いなしになっていることが話題になっている。

 

 25日、新庁舎建設について質問し、前田市長に市長としての見解を求めた本池市議にたいして、前田市長は沈黙したまま総務部長が答弁を代行していたが、ボロが出ては困るといわんばかりに身を乗り出したのが三木副市長だった。「答えたい」といって立ち上がり、「先程から本池議員がおっしゃられていることに私納得がいかない部分があるので答えさせて頂く。われわれは前の耐震化工事を否定しているわけではない。必要性があるから本池議員も耐震化に賛成されたということだから、耐震化について反対されたわけではないと理解している。ただ、利便性の向上、経費の問題を考えると建て替えた方が有利だということだ。いわれていることを聞くと、結局は耐震化工事は必要でなかったのではないかという論に聞こえるが、それは先程賛成されたといわれた。よく理解できないがどうなんでしょうか?」と反問した。すると、議員席から自民党・志誠会の関谷前議長が大声で「反問権だ、やれ、やれ!」と三木氏を励ました。すると援護射撃をもらった三木氏は、「私たちは矛盾していると思わないし、(新庁舎建設より)優先するべきものがあるというのは議論の対象にならない。おっしゃることがよく理解できない」などと反論に終始した。

 

下関市議会だけ特別に反問権が認められているのか?

 

戸澤議長

 執行部が議員に逆質問をおこなう「反問権」が、首相のお膝元の下関市議会だけは特別に認められているのか? その後、本池議員本人が議会事務局に確認したところ、「下関市議会で反問権は認めていない」ということだった。しかし、議場では関谷前議長をはじめ、議員たちが執行部の反問権をみずから受け入れ、二元代表制がコケにされている自覚もなく大喜びしている。そこで本池議員が戸澤議長に面会して問うたところ、戸澤議長も「反問権は復活しただろう!」と声をあげる始末であった。つまり、前議長も現議長も下関市議会には反問権があると思い込んでいるのである。戸澤議長がみずから田邨議会事務局長を呼んで真相を聞き、「下関市議会には反問権はない」こと、あるのは議員の質問がわかりにくいときに「論点整理」のために質問すること、意図を確認するという意味での行為が可能であるという点が説明され、はじめて議会ルールを認識するに到ったのだった。

 

 下関市議会では、江島元市長が反問権にこだわっていたことが関係者の記憶に刻まれている。ああいえばこういう手練手管で自分の手玉にとり、やりこめる能力だけは長けていたことを思い出す人人も多い。それを一般質問に本格導入した場合、議員を執行部がチェックする場にもなりかねず、二元代表制が成り立たないことから反問権は制限されてきた。

 

関谷前議長

 今回の反問権騒動でもっとも恥ずかしい事は、全国市議会議長会の会長までやった関谷前議長が「反問権だ。やれやれ!」と得意になって叫んでいたことで、反問権の行使を議会への侮辱と捉えられずに、執行部と一心同体の一元代表制であることを丸出しにしていたことだ。こんな男が全国の市議会のトップを張っていたかと思うと愕然とさせられるものがある。また、豊浦町議会出身の戸澤議長も似たようなもので、反問権のあるなしすら自覚がなく、恣意によって議会運営がされかねないことが危惧されている。このようにして安倍派の市長を安倍派の議員が一元的に支え、気に入らない無所属議員への反問権行使だけを容認するという特別ルールを持ち込み、解釈変更によっていかようにも運用していくという振舞が認められるのか否か、下関市議会の在り方そのものが問われている。仮に一元代表制でよしというのであれば、下関には市議会などいらないとみずから宣言することになり、議員などみな辞めてしまえばよいという理屈にもなる。

 

 首相お膝元の市議会で、勝手な解釈変更による議会運営がはじまっている。こうなったら、全国的な視線にさらされて賛否両論の意見を仰ぎ、「反問権だ。やれやれ!」と叫んで盛り上がっていた勢いそのままに、批判に対しては正正堂堂と反論し、いかに反問権行使が正当であるかを下関市議会の議員として述べることが求められる。そして、安倍派議員どもはみんなで下関市議会への反問権導入運動でも起こすべきだろう。その際、少し批判されたり恥をかいたくらいで逃げてはならず、信じた道を突き進んで来年の市議選で審判を仰ぐのが一番といえる。

 

三木潤一副市長

 なお、議会ルールを知らない者が議長をしている事については、厳密に検討を加えることが求められる。さらに、市職員三〇〇〇人を統率する職員トップに君臨しているはずの副市長が「反問権を行使できる」と認識していることも驚きで、議会に出てくる部長クラスだけでなく、市職員全体にそのような認識が浸透しているのではないかと危惧されている。それが副市長に出世した奢りからくるものなのかも含めて、改めて適格性を審査しなければならない問題といえる。

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