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下関 8000食の給食調理場建設に待った 父母らが署名を開始 よりよい給食の在り方みんなで考えよう

 下関市の学校給食調理場の建設計画をめぐって、保護者や栄養士、調理員や教師など、子どもたちの学校給食にかかわるすべての人たちと十分に議論をつくして、より安全でおいしい給食を実現する機会にすることをめざし、「子どもたちのためのよりよい給食を求める署名」が始まった。中心になって呼びかけているのは保護者世代。子どもたちの健康と成長に大きく影響する学校給食に地域で生産された新鮮な食材を用い、それが下関の地域産業の発展や地球環境の保全につながる--そんな学校給食事業が実現することを願ったもので、広く市民に賛同を呼びかけている。

 

 署名の呼びかけは以下の通り。

 

   〇………〇

 

 わたしたちは、学校給食は子どもたちの心身がもっとも成長する時期において非常に大切なものだと考えています。未来を担う子どもたちの健やかな成長のためにも安心でおいしい給食はとても大切なものです。

 

 今、下関市では南部学校給食調理場の建て替え計画にともない、8000食規模の給食センターを建設しようとしています。しかし残念なことに、子どもたちの健康を考え、愛情を持って指導しておられる栄養士さんや調理員さんをはじめ先生方、保護者の声を聞いて反映させていくための十分な議論がつくされていません。

 

 昨今、アレルギー、発達障害、精神疾患などが急激な増加傾向にあり、それは子どものみならず、社会全体の大きな問題だと認識しております。その原因の一つとして、食品に含まれる化学物質、添加物、遺伝子組み換え作物などの摂取が心身の不調を引き起こすとして問題視されています。世界的には、遺伝子組み換え食品やゲノム編集食品を規制する動きが強まっていますが、日本国内では規制がかかっていない状況です。

 

 子どもたちの健康と成長に大きく影響する学校給食を、より安心でおいしいものにするためには、地域で生産された新鮮な食材を給食に多用することが不可欠です。それは地域産業の発展や地球環境の保全にもつながります。そうした給食で育った子どもたちは、下関の食文化や郷土への愛着をもった大人に育っていくでしょう。

 

 子どもたちの健やかな成長を願う保護者、市民のみなさんの声が反映され、よりよい給食を子どもたちに提供していくことができるよう、以下のことを要望いたします。

 

 1、8000食の民間企業による給食センターの建設計画について保護者に対しての説明と、話し合いの場の開催を求めます。
 2、食育のプロである学校栄養士さんたちの声を聞いて計画に反映してください。
 3、市民に対して計画を公表し、意見収集の場としてパブリックコメント(意見箱)の実施を求めます。
 4、山口県内または下関市内で育つ地場産食材の給食への使用を増やすためのとりくみを求めます。
 5、将来的に地場産の減農薬、無農薬、無化学肥料作物、有機農法、自然農による作物が多用されるようにとりくむことを求めます。

 

 

 代表をつとめる岡住氏は「署名活動によって、よりよい給食が実現することはもちろんだが、それと同時に、食生活によって、未来の社会を変えられるということを多くの人に伝えたいと思っている」と話す。「健康的な食事があれば、子どもたちは元気に育つ。その食材を地域で生産できれば、地域経済は豊かになる。地産地消ができれば、環境への負荷を減らすことができる。子どもたちの健全な成長と、持続可能な社会のために!署名活動に参加して、一人ひとりの想いを大きな力に変えていきましょう」と呼びかけている。

 

 同じく代表者の中村氏は、「今、給食について起こっていることを広く知ってほしい。大型の給食センターを建てることや、子どもたちの成長にとっての食事の大切さなど、この機会に保護者の方も考えるきっかけになったらいいと思っている。子どもたちのためにいい給食にしたい。そして農家の方も喜ぶ給食のあり方を考えていけたらと思う」と話した。

 

◇ 民設民営調理状に潜む問題点 記者たちで考えてみた ◇

 

 下関市では、現在ある学校給食調理場の老朽化による建て替えにともない、自校方式の学校も集約して1日8000食の調理能力を持つ大型の新しい学校給食調理場を民設民営方式で新設する計画が進んでいる。大規模化するだけでなく給食調理場そのものを公共が手放すこの計画に、保護者や学校給食にかかわってきた人たちのあいだで、安全でおいしい給食を子どもたちに食べさせることができるのか、給食を通じておこなってきた食育が継続できるのかなど、不安の声が上がってきた。2月5日に入札が始まったが、これを機に学校給食のあり方や食の安全についてみんなで考えたいと願う保護者のあいだで「子どもたちのためのよりよい給食を求める署名」が始まっている。これまで本紙でも学校給食調理場の建て替え計画についてとりあげてきた。かかわってきた記者で座談会を持ち、この問題を考えてみた。

 

給食の時間。配膳をする子どもたち

  今回の計画は、彦島にある南部学校給食共同調理場が築47年がたち老朽化していることがきっかけになっている。南部共同調理場の老朽化については、学校関係者も栄養士や調理員など現場の人たちも、みなが建て替えが必要だと感じている。しかし、具体化が進むなかで「自校式の学校も老朽化しているから、このさい1カ所に集約してしまおう」ということになって、新下関市場の敷地内に1日8000食の調理能力を持つ大型の新調理場を建設することになった。南部調理場が担当していた彦島などの小・中学校、旧市内の自校方式の小・中学校と、現在は中部学校給食共同調理場から届けている中学校1校を集約して、計23校分の給食をここから配送する計画だ。新調理場が稼働する予定の令和6年の見込み食数は7656食だ。説明を受けているはずの学校関係者ですら、これほど大規模なセンターになると認識していない人も多かった。

 

  とくに自校方式の学校にとっては、給食そのものが大きく変わる。敷地内でつくった給食からセンターの給食に変わることもそうだし、行事のときに調理員と連携をとって配膳時間をずらしてもらったり、食べやすい献立に差し替えてもらったりなど融通をきかせることは難しくなる。これまで南部給食調理場から運んでいた彦島地区内の小・中学校にしても、配送時間の変更などがあるので、どちらにしても保護者や学校関係者への説明は欠かせないはずだ。しかし、関係者に聞く限り、詳しい説明の場や保護者の意見を聞く場は持たれないままだ。一番現場を知っている栄養士・栄養教諭に意見を聞くこともしていないというから驚きだ。今まで調理場を建設するときは、栄養士・栄養教諭と一緒になって設計なども決めていたはずだ。

 

  なにより大きく変わる点として民設民営になることがある。市教委は「財政難」という理由で、民設民営方式を採用している。そのほかに「今ある小学校の敷地内で調理場を建て替えるのは難しい」とか「調理員が高齢化していて小規模では人の配置が難しい」などの理由もあげていたが、結局一番の問題はお金だ。

 

 民設民営方式の場合、建物を設計して建設し、調理器材を整えるところから、調理・配送などすべてを一括して民間企業に委託することになり、市は「給食を提供する主体」から、「できあがった給食を購入する側」に立場が逆転する。市教委に取材に行ったとき、何度も「私たちは給食の提供を受けることが目的だから…」といっていたのが気になった。食材や調理業務の運営など、「給食ができるまで」にこれまでと同じように責任を持つのだろうか? と。

 

  調理場の所有も民間企業になるので、15年間の契約が終了したのち、建物を処分する場合は事業者負担で解体することになっている。だが、だいたいこうしたPFI系の事業は、同じ企業と再契約を結ぶことが多いといわれている。15年後の再契約の時点では、市の調理員や栄養教諭など、学校給食に知悉した人材が失われている。自力で給食事業ができなくなった状態で企業から「利益が出ないから撤退する」などといわれた場合、行政は企業のいいなりにならざるを得なくなる危険性がある。

 

 海外で水道の再公営化が進んでいるのも、長期にわたって民間企業に水道運営を丸ごと委ねた結果、水道料金が高騰したり、水の安全を保つ維持管理がなされていないことがわかったことが原因だ。目前は「安く上がる」かもしれないが、長期的にみると安いかどうかもわからない。子どもたちの食べる給食を関係者をまじえた議論もなく、安易に民間に丸投げしてよいのか、ということだ。

 

C だいたい民設民営というものの、8000食もの給食調理を請け負える企業など下関市内にはいない。つまり、市外大手が乗り込んできて給食利権をものにしていくという構図だ。実際に関係者のなかでは東京のカラオケ大手がゴソゴソしているともっぱら話題になっている。給食マネーといったら表現が悪いかも知れないが、下関市が子どもたちの給食調理のために支払うカネくらい地元に循環させればよいではないかと思う。市外発注ではますます地元経済は干上がる。

 

利益だけで測れぬ給食

 

  民間企業は利益を確保しなければならない。これは仕方のないことだが、小学校一食260円、中学校一食300円(牛乳やパン、コメも含む)という低価格で提供している学校給食は、だれがどう見ても利益が出る業務ではない。だからこれまで、利益を考えなくていい公共が担ってきたのだ。利益を出そうと思うと、機械化や効率化で人件費を削減することと、食材価格を抑えることくらいしか考えられない。そこで今回は事業費の比率が50%以下であれば、調理場を他の事業に使うことも許可している。学校給食はお昼の一食なので、それ以外に病院食や弁当などをつくって営業することができるようにして利益を確保するようだ。

 

  保護者のなかで心配されている大きな問題の一つが、食材の質を落とすことだ。一般的に大型の給食センターではカット野菜や水煮など半加工した食材や冷凍食品が多用されるケースが多いといわれている。機械化すると規格品の方が便利なことも関係しているようだ。どこで生産されたのかわからないような、かつ加工過程で添加物が使われる食材が子どもたちの学校給食に出るようになるのではないかという心配がある。

 

  その点は食材納入業者も心配していた。今でも地元の食材納入業者が「子どもたちのため」と、利益を度外視して協力しているから成り立っているようなものだ。最近もジャガイモが高騰していて一箱5000円をこえる状態が続いたが、業者が赤字をかぶりながら、栄養士と相談して他の野菜を増やすなど、臨機応変に対応したという話を聞いた。とくに野菜や魚など生鮮食品は天候によって価格が大幅に変動する。今はコロナの影響で安値が続いているが、高値が続いて給食費の範囲で賄えなくなった場合、事業者がどういう動きをするのだろうか?と話す関係者もいた。

 

 市教委は「食材購入費は別に実費を支払うので食材の質が下がることはない」と説明している。確かに後払いなら食材費が運営費に回されることはないが、価格変動の大きい生鮮食品を仕入れるより、加工品の方が価格は安定している。そちらに流れる可能性も否定できない。「“食材・食材納入業者については、事前に市の選定・決定したものを使用する”と明記しているから大丈夫」ということのようだが、品質の面だけで考えると、使用する食材の基準を定めることが必要だ。

 

給食調理場での作業

誰が献立を考えるのか

 

  もう一つ、「献立をだれが立てるのか」という問題がある。旧下関市内の場合、今は栄養教諭・栄養士が月に1回集まって献立を立て、市教委が承認するという形をとっている。そのときに新メニューの開発もしているそうだ。試作品をつくって意見交換をしたり、地域の食材をどう子どもたちに食べさせようかと知恵を絞ったり、本当に熱意を持ってとりくんでいる。「食はすべての根源」「食育は生徒指導の重要な柱」と捉え、献立を立てるだけでなく、子どもたちへの授業、調理員や納入業者、生産者との連絡調整など、さまざまな役目を見えないところで担っている。

 

 「下関にはいい食材がたくさんあるから、地域の食材を子どもたちに食べさせたい」という栄養教諭は多い。これまでもフク給食を導入したり、クジラ給食を始めるときには調理方法や味付けまで研究してメニューをつくりあげたり、市がうち出す「地産地消」も、陰に栄養教諭がいたからこそ実現してきた。箸一つとっても、小学生の手と中学生の手の大きさや、調理員が洗う時間まで考えて選定するなど、本当に細かい部分まで栄養教諭がかかわっているそうだ。

 

  栄養教諭は県の職員だ。学校関係者に聞くと、今でも一人が複数校を担当しているので、職員室に所属しているようで所属していないような、難しい立ち位置にあるようだが、センター化すると今いる栄養教諭は配置されなくなる。市教委は「献立作成には今まで以上に市が責任を持つ」といっていて、要求水準書にも「献立作成・食材及び食材納入業者については、市の責任において選定・決定し、管理を行う」と記載している。しかし具体的に、だれが献立を立てるのか?と考えたとき、現段階で市教委のなかにそうした人材は準備されていない。となると、業者が立てた献立を追認することになる心配もある。具体的な想定がなければ形だけの「責任」になりかねない。

 

 C アレルギー対応もそうだ。今アレルギーの子どもが本当に増えていて、学校も神経を使っている。卵、乳、そば、コメ、小麦、エビなどのほか、キウイでアレルギーが出る子どももいるそうで品目は膨大だという。中学校になって突然アレルギーが出るケースもある。糖尿病の子どももおり、医師とも連携しているそうだ。栄養教諭が一人一人の家庭に手紙などで、何月何日の献立は食べられない物が使われているとか、除去して食べられるのか、弁当が必要なのかなど、細かく連絡をしているという。

 

 今回、新施設になってアレルギー対応が可能になることを一つのメリットとしてあげているが、今までと同じ除去食で、対象は卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かにの七品目とそれを使った加工食品だ。アレルギー対応は一日100食としているが、100家庭にだれが献立の連絡を入れたりするのか、だれが相談に乗るのかといった具体的な想定が見えてこない。今まで実務を担っていた栄養教諭に相談せずに、どうやって体制をとるのだろうかというのが本当に疑問だ。

 

食育という重要な役割

 

  確かに、さまざまな立場の人に話を聞いてみると、今の学校給食の体制にも課題はたくさんあるように思う。たとえば地場産食材の使用率は品目にするとわずか12%だし、調理員はもう10年以上採用していないので高齢化して、人数も少なくなるのはあたりまえだ。食材納入業者の善意に支えられてきた部分が少子化の急激な進行で厳しくなっている面もある。長年続けてきた体制が状況の変化によって疲労しているように思うが、これは関係者みんなの知恵を集めて解決に当たるほかない。しかし、市教委は「栄養士に問題がある」「学校給食協会が…」という話をあちこちに出かけてはしていると耳にする。今子どもたちの給食を支えている人たちを悪者にし、大規模センター化して民営化したらすべてが改善するかのような説明だが、本当にそうなのだろうかと思う。

 

  子どもたちにとって、一番いい給食の提供体制は何かを考えると、「自校方式がベスト」であることは、教育委員会も学校関係者も保護者も一致している。目の前に調理してくれるおばちゃんたちがいて、4時間目になるとおいしい匂いが漂ってきたり、「いただきます」「ごちそうさま」「おいしかったです」と声をかわすことができる。その違いは数値や金銭には換算できないものだ。

 

 今まで私たちも「食育」でどんなことをしているのかあまり知らなかったので現場の人たちに聞いてみたが、非常に驚いた。たとえば毎日の食事の絵を描かせ、コメばかりの絵を描いていたら「野菜が不足しているな」とか、一人で食べている絵を描いている場合は担任や養護教諭とも連携してかかわるなど、栄養教諭が子どもたちの生活全体を「食」を通じて知り、成長できるようかかわっていくといったこともしているそうだ。これは一例だが、それぞれの栄養教諭が工夫を凝らし、愛情を持って子どもたちにかかわっていて、たんに地場産食材を使えば食育になるというものではないと思った。ましてや給食は「腹を満たせばいい」というものではない。

 

地場食材で食の安全を

 

  ここ数年で市場に流通する食は大きく変化しており、とくに日米FTA、日英EPA締結によって、輸入食品は急増している。日本は世界でもっとも規制が緩い国になっていて、それをもっけの幸いに、成長ホルモン剤や抗生物質、遺伝子組み換え作物を飼料にして育てたオーストラリア産牛肉やアメリカ産牛肉が大量に輸入され、スーパーに並んでいる。すでにEUではこうした食肉の輸入は禁止されており、市場から締め出された肉が日本になだれ込んでいる関係だ。

 

 鶏肉生産の実態をみると、人間が食べるためだけに「改良」され、通常の2倍の早さで成長する鶏が、陽も当たらない狭い鶏舎に押し込められて抗生物質を投与され、ひたすら遺伝子組み換えトウモロコシなどのエサを食べ続けて出荷されていく。豚や牛も同じだ。これが人間の体にいいはずがない。

 

 D 野菜や果物などの農産物についても変化が起きており、一部の多国籍企業が種子から食卓までを支配していく法整備ができあがっている。2018年4月には種子法が廃止され、農業競争力強化支援法には公共機関が培ってきた技術・知見を積極的に民間企業に差し出すよう明記された。2020年12月には種苗法を改定して農家の自家増殖を規制し、農家は自家採種する場合、種苗メーカーに許諾料を払わなければならなくなった。これらの法整備によって、多国籍企業が開発した遺伝子組み換え作物やゲノム編集食品が、日本国内に押し寄せて来る可能性が高まっている。しかも、今後は遺伝子組み換え、ゲノム編集ともに表示なしで流通するようになっている。

 

  署名の呼びかけのなかにも書かれているが、アレルギーや発達障害、精神疾患などが急増している原因の一つに、食品に含まれる化学物質や添加物、遺伝子組み換え作物の摂取がある可能性が強まっている。遺伝子組み換え作物は多くが殺虫成分を含んでいる。食品であると同時に殺虫剤であり、虫が食べると腸の内壁に穴を空けて殺してしまうBt毒素が含まれているという。

 

 それとセットで使われる農薬ラウンドアップは、アメリカで起こった訴訟がきっかけで発がん性を隠蔽していたことが明らかになり、世界各国で規制する動きが広がっている。それだけでなく、植物を枯らす成分が、植物の仲間である人間の腸内細菌、なかでも乳酸菌などの善玉菌を殺してしまうことが指摘されている。体のバランスを整える神経伝達物質をつくっている腸内細菌が破壊されることで、夜寝られなくなったり、血糖値が上がったり、自己免疫疾患やアレルギーなど、さまざまな障害がひき起こされる可能性があるというのだ。

 

 発達障害の子どもを支援している人たちのなかで、食を改善すると「発達障害」と診断されていた症状が改善し、薬が必要なくなったという報告もなされている。発達障害の増加は学校現場で悩みの種になっているが、これが実は発達障害ではなく、食に起因する症状が多く含まれているから安易に投薬に頼ってはいけないと警鐘を鳴らす人もいる。

 

  食の安全が崩壊する時代のなかで、もっとも信頼できる食材は身近な地域で生産された食材だ。学校給食は一日一食ではあるが、今給食が最大の栄養源になっている子どもたちも増えている。これをより安心でおいしいものにするには、地域で生産された新鮮な食材を使うようにすることが一番だ。もっといえば、将来的に減農薬や無農薬、有機農法などで育てた作物が使用されるようになることが望まれる。

 

 それを実現していくうえでも、8000食のセンターを建設して15年も民間企業と契約を結んでしまうことは弊害になると思う。今、農家が高齢化して生産量が減少しており、新下関市場に出荷される山口県内産の野菜は2018年度20・7%、2019年度20・9%、2020年度20・6%ということだ。県内産でも全体の2割ほどしかなく、下関市産になるとさらに少ない。一度に大量の地場産野菜を確保することは難しいのが現実だ。地場産食材を増やしていくためには、農政や水産行政もかかわって第一次産業を振興していくこととセットで、長期的な戦略を持ちつつ小規模から一歩ずつ進んでいくしかない。そうでなければ、「地産地消に協力する」ことを業者に義務づけてもお題目で終わってしまう。

 

  学校給食を地域の産業を育てる可能性のある事業としてとりくむ自治体も増えている。入札が始まってはいるが、どんな給食を子どもたちに食べさせるのか、関係する人たちとおおいに意見交換し、みんなで考えていくことが、これからの下関の未来や食と農にとって大事だと思う。

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