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東京都港区と港区議会が六本木ヘリポートの返還を要求

 東京都港区六本木にある米軍のヘリポート基地について、港区と港区議会は8日、早期返還の実現を防衛省と東京都に要請した。都心の一等地にあるこのヘリポート基地を出入りするヘリの飛行によって、周辺の住民や学校では騒音被害や事故発生による危険にさらされているため、都と区は長年返還を求めてきた。しかし、これまで米国側が交渉に応じたことはなく、区側は沖縄でのあいつぐヘリ事故を受けて改めて「基地撤去」を求めた。

 

 ヘリポート(面積約2万6900平方㍍)は、東京都の区部にある唯一の米軍基地「赤坂プレスセンター」の内部にあり、米軍や政府関係者などが頻繁に出入りをくり返している。もとは日本陸軍の基地だったが、敗戦後、GHQが接収して「ハーディー・バラックス」と名付け、敷地内には将校の宿舎、米軍準機関誌『星条旗新聞』、その他の米軍関連機関がオフィスを置いている。駐日アメリカ大使館(港区赤坂1丁目)までわずか1・7㌔という至近距離にあるため、米国大統領や政府職員、物資などが移動する拠点となっており、横田基地を経由すればパスポートも入国手続きもなしで都心にアクセスできる治外法権区域である。昨年来日したトランプ大統領も、2月に来日したマティス国防長官、先日、平昌五輪の開幕式に出席する前に来日したペンス副大統領も横田基地経由で入国し、このヘリポートを使って首相官邸に向かっており、日本の主権を超越した存在であることをアピールしてきた。

 

 防衛省あての要請書では、「港区民とりわけ近隣住民は、ヘリポート基地の使用による騒音に悩まされ、事故発生の不安を常に抱えている」とし、2011年にヘリポートの地下に環状3号線の六本木トンネルを通す工事のさい、工事期間中の代替用地として青山公園の一部を米軍に提供(工事終了後に原状回復して返還する協定を在日米軍、防衛局、東京都の3者で締結)したものの、工事後に返還されたのはわずかな一部だけで、原状復帰すらされなかったことを批判している。

 

 昨年8月、ハワイ・オワフ島で米軍ヘリ墜落・死亡事故を起こした同型機が同ヘリポート基地に飛来していることや、沖縄東村でのヘリ墜落、普天間基地近隣での窓枠落下事故にも触れ、「港区においても、いつ何時同様の事故が発生するかもしれない」と指摘。近隣の子ども関連施設では、騒音が「授業等に差し障る」ほどの状況であり、早朝や夜間飛行も絶えないことをあげ、基地撤去に尽力することを求めた。また、都知事に対しては、都が米国側にヘリポートの返還を求める一方で、ヘリポートを利用した救急患者の搬送や合同防災訓練を始めていることは「基地機能の拡大と恒久化」につながると指摘している。

 

 この六本木ヘリポートに限らず、東京都内には7つの米軍基地があり、総面積は約1603㌶(東京ドーム約340個分)にも及ぶ。首都圏は沖縄につぐ米軍施設の密集地帯でもあり、その空域(横田ラプコン)は米軍横田基地の管制下におかれている。沖縄における日米政府による超法規的な新基地建設は、日本全体の米軍基地化を進める一環であるとともに、首都そのものにも主権国家としての権限が存在しないことを示している。

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