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沖縄 県民投票に向け署名開始 辺野古新基地建設に明確な民意示そうと動きが活発化

 辺野古基地建設をめぐって安倍政府との臨戦状態にある沖縄県で、基地建設の是非を問う県民投票の実施に向けた動きが下から活発化している。秋に控える知事選に向け、辺野古基地問題への全県的な論議を活性化させ、より明確な県民の民意を示すことを目的としており、政府が選挙における争点そらしなど反対運動の切り崩しに力を入れるなか、沸騰する全県民世論を束ねる動きとして注目を集めている。

 

 政府与党が直接介入して市長ポストを奪取した名護市長選後、辺野古基地建設反対の立場をとる翁長知事を支える「オール沖縄会議」では、共同代表だった金秀グループの呉屋守將会長が辞任し、同じく県内ホテル大手のかりゆしグループ(平良朝敬オーナー)が脱退するなどの動きをみせていた。翁長知事にとって痛手と報じられたが、両者とも辺野古基地反対の活動を続けるとし、脱退に至った主な理由を「県民投票の実施をめぐるオール沖縄内部での意見の相違」と説明していた。

 

 呉屋氏は8日、沖縄二紙上に意見を寄稿。「(共同代表を)辞任したからといって辺野古新基地建設反対の意思と、翁長雄志知事を支援する立場はいささかも揺るがない」としたうえで、去る名護市長選では辺野古問題が棚上げされ、明確な争点にされなかったにもかかわらず、政府はその結果を受けて「埋め立て案が認められた」と喧伝し、工事を強行していることを指摘した。そして、「一番恐れているのは、県民に意思表示のチャンスが与えられないまま基地建設が進むこと」であり、「より直接的な方法で全県民の意思を示す」ためにも辺野古新基地建設の是非に絞った県民投票を実施することを訴えている。

 

 6日には、呉屋氏を含む県内の経済関係者や県出身の大学生らでつくる「辺野古県民投票を考える会」が会合を開き、県民投票の実施を求めるために必要な署名活動を5月の連休明けから開始することを確認した。県民投票には条例の制定が必要であり、住民から求める場合は、有権者の50分の1以上(約2万3000人)の署名を集めて県議会に提出する必要がある。「考える会」は、2カ月で有権者の10分の1(約10万人)の署名を集めることを目標にし、活動を通じて基地建設をめぐる活発な県民論議を呼びかけている。

 

 県民投票を請求する代表者として、呉屋氏のほか、仲里利信前衆議院議員、新垣勉弁護士などが名を連ねるとともに、かりゆしグループも支援に回るとみられている。県民投票の条例制定は、住民請求以外に県知事による発議、県議4人以上の賛成による議員提案という2つの手法があるが、煮え切らない議員に先行して下からの運動によって県民世論を盛り上げていく動きとなっている。

 

 県民投票について翁長知事は「県民の意見を尊重する」として知事発議には否定的で、過半数を占める県議会の与党会派でも、無所属議員による会派おきなわ(8人)が唯一実施を求めているのに対し、社民系会派(12人)や「共産」会派(6人)が、知事による埋め立て承認撤回への影響や、スケジュール上のリスクを理由に消極的な姿勢をみせており、3月末までに出すとしていた会派の結論とりまとめに至っていない。

 

 2015年に翁長知事が埋め立て承認の「取り消し」をおこなったさい、国はその執行停止措置を申し出て、最高裁は「承認取り消しは違法」として国側の肩を持った。より強力な権限行使である「承認撤回」は、承認当時にはなかった「新たな事由」が発生したことにより「将来にわたって埋立承認の効力を失わせるもの」だが、裁判所がそれを「公益」と判断しない限り、前回と同じ国策判決によって国が工事を再開する公算が濃厚となっている。

 

 もとより沖縄では、米兵による少女暴行事件を発端にして安保破棄・基地撤去世論が巻き起った1996年、大田県政のもとで「基地の整理・縮小」「地位協定の見直し」の賛否を問う県民投票(投票率59・53%)がおこなわれ、投票総数の9割に及ぶ48万2538人が賛成に投じて明確な意志を突きつけた。辺野古基地を争点とした国政選挙、前回知事選でも反対派が圧勝しているが、裁判所はそれを「民意」と認めず、知事認可すら無視した違法な工事を黙認している。モリカケ疑惑をめぐって暴露されているように、「三権分立」の原則さえも揺らぐなか、沖縄県民の将来にわたる命運を、国策に甘い司法のみにゆだねるわけにはいかないことは、全県民の経験からも明らかである。謀略選挙で「民意」をねじ曲げていく国に対、さらに司法判断をも縛り付ける県民の明確な意志を突きつけることが求められている。

 

 名護市長選における世論調査でも、有権者の半数以上が辺野古基地反対の意志を示し、渡具知市長も明確な「容認」には踏み切れない力関係に縛られている。「辺野古反対」を建前とする創価学会も含め、県民投票を通じて、その立場を偽装してきた欺瞞勢力も明確な態度を迫られることになる。米軍基地をめぐる問題は、沖縄戦で20万県民を殺戮した米軍による略奪支配と、裏切りと強権によって国を売り飛ばしてきた日本政府とのたたかいの連続だった。県民の生命や将来は「法的拘束力」や司法判断によって守られるものではなく、島ぐるみの県民のたたかいを総結集することでしか展望は切り拓けないことは、戦後70年に及ぶ県民の経験が証明している。県民投票が知事選の前哨戦として県民世論を束ね、より強力な意志を示すものになることが期待されている。

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