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「無症状患者にも公費によるPCR検査を」 京大・京都府立医科大の附属病院が共同声明

 新型コロナウイルス感染症のPCR検査をめぐり、京都府立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院は15日付で、共同声明を発表した。以下、全文を紹介する。

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【概要】

 京都府立医科大学附属病院ならびに京都大学医学部附属病院は、患者及び医療者双方にとって安全な診療環境を保持するために、関係者の皆様に、以下の事項を要望します。

 

1  院内感染を防ぐ水際対策として、無症候の患者に対する新型コロナウイルスのPCR検査を保険適用(ないし公費で施行可能)にしていただきたい


 COVID-19に関しては無症状であっても、手術や分娩、内視鏡検査あるいは救急医療などの診療実施前に、院内感染を予防するための水際対策として保険医療等の公費でPCR検査を行えるようにすることを強く要望いたします。

 

2  PCR検査に必要な個人防護具と試薬を確保していただきたい


3  賛同する他の医療団体も声明を出していただきたい


【背景】

 われわれは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する現状に対し、無症候のCOVID-19ウイルス保有者に対する手術や分娩その他の診療に伴い、患者ならびに医療者への感染拡大が起こり、感染症治療および通常医療が未曽有の崩壊に陥ることを強く懸念しています。

 

 無症候性のCOVID-19ウイルス保有者が医療行為を受けた場合、次のようなリスクがあります。

無症候性ウイルス保有者に対して気管内挿管やエアロゾルが発生するような医療行為が行われることで、医療従事者や周囲の患者が感染する可能性
無症候性ウイルス保有者が通常分娩することによって、生まれてきた新生児が感染する可能性
無症候性ウイルス保有者が自覚無く入院することで、他の免疫不全患者や高齢者に感染が広がる可能性
無症候性ウイルス保有者自身が手術後に肺炎等を発症し、生命予後が悪化する可能性

 

 もし医療行為に基づき院内感染が発生した場合には、感染が拡大するのみならず、診療機能の抑制・停止に直結します。
 各病院で「院内感染を防ぐ水際対策」が遅れれば、未曽有の医療崩壊につながります。

 

【詳細】

 前述のリスクを低減させるために、欧米ではすでに、検査や手術前に新型コロナウイルスのスクリーニングPCR検査を行い、医療者への曝露や院内感染を防ぐための取組みが開始されています。


 一方、本邦における現行の新型コロナウイルスPCR検査は、症状がある患者に対して、新型コロナウイルス感染症を診断する目的で施行された場合にのみ保険適用となっています。

 

 無症状の患者に対して、スクリーニング目的で施行した場合は全額自己負担(1人あたり約2万円)になります。

 

 政府は4月8日の時点で1日あたり1万2千件の検査件数を確保し、今後は2万件まで増加すると発表していますが、その対象は症状のある患者に限定されているため、実際にPCR検査を受けることができる件数は限定されています。

 

 すなわち、保険適用の範囲が有症状者に限定されているために、現在のPCR検査のキャパシティー一杯までPCR検査がなされていないというのが現状です。

 

 本邦でも流行地域の病院において、病院の経費を使用して検査を行うという自衛策をとる施設もでてきていますが、病院経営を逼迫させる要因ともなります。

 

 本声明は決して無症状の方に対するPCR検査を無制限に拡大することを推奨しているわけではありません。

 

 限られた医療のリソースは院内感染を予防するための必要性に基づいてのみ使用すべきです。

 

 入国管理においては、日本国内でのCOVID-19の蔓延を避けるための水際対策として、無症状であっても、入国者全員に、PCR検査が公費で行われています。

 

 同様に、COVID-19の院内感染を予防するための水際対策として、無症状であっても、手術や分娩、内視鏡検査あるいは救急医療などの診療実施前に、PCR検査を公費で行えるよう(保険適用)にすることを強く要望いたします。

 

 両大学病院は今後もCOVID-19に最大限の対応を継続します。COVID-19が日本国内で爆発的に増加することを全力で阻止し、日本国内全ての地域における医療体制破綻や医療従事者の感染を防ぎ、全ての疾患の治療体制の継続に向けて、できうる限りの努力をする覚悟です。

 

2020年4月15日

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