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長崎一帯で進む軍事拠点化 佐世保に続き大村にも水陸機動団600人連隊を追加配備 

 台湾有事の最前線に位置する南西諸島一帯のミサイル基地強化と連動して、佐世保市や大村市など長崎県内の軍事基地強化が段階を画している。長崎県内にはすでに離島奪還作戦の中心を担う陸上自衛隊の水陸機動団(本部・佐世保市)を2400人規模で配置しているが、2023年度末には三つ目の連隊を竹松駐屯地(大村市)に発足させ3000人規模に増やすことを決定している。その実現に向けて台湾有事を想定した実動訓練をくり返しており、6月下旬には長崎県内で初となるオスプレイの展開訓練も計画している。

 

宇久島で「離島奪還」の実戦訓練

 

 佐世保市の宇久島では5月下旬(18~26日)、水陸機動団が海上自衛隊と共同で着上陸訓練を実施した。陸自約500人と海自約400人が参加し、「敵」に占拠された島で、住民の避難が完了した状況を想定した訓練となった。

 

 沖合に展開した海自の輸送艦「おおすみ」から出てきた偵察用ボート(8人乗り)が海上を高速で走り宇久島・大浜海岸に接近。砂浜に着くと隊員はボートを下り、周囲を偵察しながら上陸した。ボートによる先発隊が周囲の安全を確認した後、沖合の輸送艦「くにさき」から主力部隊を乗せた水陸両用車AAV7(6両)が出発。敵の目をかく乱する煙幕をたきながら上陸し、最後に歩兵の前進を援護する迫撃砲を積んだ海自のエアクッション型揚陸艇(LCAC)が着岸した。宇久島の大浜海岸は「着上陸の基本動作を身につける好演習場」と見なしており、水陸機動団は21年度だけで着上陸訓練を8回実施している。

 

 この着上陸訓練は離島奪還作戦の肝ともいえる内容だ。もともとの離島防衛は事前に準備し、即応機動連隊(北海道等に配備)が展開し、敵の上陸を阻むという流れだ。だが「自衛隊が動き出すよりも先に敵が行動を起こした場合は、島を占拠されることもあり得る」と主張し、「占拠された離島の奪還」を任務とする専門部隊として配置したのが水陸機動団だ。従って水陸機動団は「敵のいる離島を奪う」部隊であり、水陸機動団による着上陸訓練は「他国が支配する島を奪いとる」という先制攻撃の性質を持つ訓練にほかならない。

 

水陸機動団(佐世保市・陸自相浦駐屯地)

 水陸機動団は2018年3月に発足した。相浦駐屯地(佐世保市)に団本部を置き、陸自の運用を一元的に担う陸上総隊(朝霞駐屯地)の直轄部隊だ。この水陸機動団は、主力部隊である第一、二水陸機動連隊(各約600人)をはじめ現在は合計約2400人で構成している。この第一、二連隊はどちらも陸自相浦駐屯地(佐世保市)の部隊だが、竹松駐屯地(大村市)に配備予定の第三連隊も600人規模となる見込みだ。通信や後方支援部隊も含めて23年度には合計3000人体制となることが想定されている。

 

 これと同時進行で陸自崎辺分屯地(佐世保市)には水陸両用車の上陸訓練ができるスロープを新設する計画も動き出し、同計画の環境調査は22年3月に完了している。さらに同分屯地に近接する崎辺東地区では、海自の大型艦船の係留施設や補給倉庫を整備する計画も動いている。こうしたなか防衛省は今月2日、陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備したオスプレイの訓練を陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)や海上自衛隊大村航空基地(大村市)で計画していることを明らかにした。訓練は6月下旬以降に開始し、年数回程度おこなう予定だ。離着陸や計器航法、人員や物資を搭載して輸送する訓練を計画しており、訓練だけでなく、オスプレイの運用が常態化する可能性も高まっている。

 

米軍の対中戦略と連動 佐世保への米艦寄港増加

 

 さらに水陸機動団と共同で中国との島しょ部での戦いを想定した「遠征前方基地作戦(EABO)」をおこなうため米海兵隊が3月、ハワイの部隊を再編し「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設した。MLRは敵のミサイル攻撃などが届く範囲内の離島にいち早く展開し、ミサイルやロケット砲などを使って対峙する小規模な部隊だ。陸自はすでに米海兵隊と昨年12月に東北や北海道でEABOを踏まえた共同訓練を実施。陸自はこれまで有事発生前の住民避難、自衛隊の対処を確認する図上演習「YS(ヤマサクラ)」を米軍と共同で毎年おこない、水陸機動団も毎年参加してきたが、今では図上演習の段階ではなく、実戦を想定した実動訓練の具体化が活発化している。

 

 そして長崎県内では米軍機や米軍艦船の寄港も目立ち始めた。今年2月には米軍のオスプレイ2機が米海軍赤崎貯油所(佐世保市)に飛来。「人員や貨物の輸送」と称して長崎県内施設を活用した。今月6日には米海軍の大型強襲揚陸艦「トリポリ」が同軍佐世保基地に入港した。トリポリは佐世保基地に配備されている強襲揚陸艦「アメリカ」の同型艦で、全長は約260㍍に及び、ステルス戦闘機F35Bやオスプレイを搭載可能な戦闘艦だ。これも「機械系の不具合発生」を口実に佐世保への初入港を強行している。近年、沖縄、鹿児島、岩国の軍備増強に拍車がかかってきたが、長崎県内近辺での攻撃・出撃体制の強化も露骨になっている。

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