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れいわ新選組を支える人々の思い ―― 北海道ツアーの同行取材をして

 「全国各地をしつこく回り、みなさんと対話をしながら緩やかなネットワークをつくっていきたい」――れいわ新選組・山本太郎代表は参院選後の宣言通り、9月18日から最初の訪問地である北海道に入り、利尻島、稚内、網走、釧路、根室、札幌、旭川、帯広の各地を巡った。


 消費税廃止を掲げ、新自由主義政策で破壊された社会を立て直す市民政党をつくるため、代表みずから町を歩いて市民に頭を下げながらポスター掲示を依頼し、街頭では集まった多くの聴衆と直接対話をする。自力で全国を駆け巡って国政政党としての一歩を踏み出した参議院選の効果もあり、その行動は注目を集め、演説会場はどこでも予想を上回る規模の人人が詰めかけた。


 北海道ツアーは疲弊が著しい周辺都市からスタートした。道内179市町村(全国最多)の人口500万人のうち約4割にあたる200万人超が県都・札幌に集中するなど、北海道内でも地域格差は拡大している。農業、漁業、林業などの第一次産業を基幹産業とする多くの地域は、その盛衰が地域経済全体を大きく左右する。TPP、日米FTAによる農産物の市場開放、国による地方切り捨てのなかで自治体財政は逼迫し、医療や介護をはじめとする行政サービスがまともに受けられない、鉄道インフラの廃止によって市民の足が奪われること、また雇用の受け皿である地場企業の倒産や賃金レベルの低下を引き金にした人口減少など、深刻な状況が各地で語られた。


 山本代表と対話するため、周辺市町村から数時間かけて駆けつける人や、発言内容をメモに書いてくる人も多くみられ、れいわ新選組にかける人人の思いの強さがあらわれていた。

 

札幌駅前の街頭記者会見に集まった人々(9月24日)

 「東京から帰ってきて、大病をした妻と義父の介護のために離職した。義父は片眼が全盲、膠原病で手足が不自由。そして認知症も始まっている。それでも認定では要介護2にしかならない。背景に町の財政難があり、町内にある道立病院には、要介護度を上げないようにしようというスローガンが貼ってある始末だ。先日、妻が腹痛で道立病院の夜間救急に駆け込んだが、救急指定病院なのに外科医も整形外科医も麻酔科医もいない。内科医に痛み止めだけ処方されて帰ったが、数日後に激痛が走り、1時間かけて留萌市立病院に駆け込み、はじめてCTで卵巣腫瘍が見つかった。最後は札幌医大に転院して25㌢もお腹を開く手術をした。あまりにも医療や介護環境がひどい。特養に入れても6カ月で出され、意見をいうと役場から職場にまで圧力がかかる。苦しむ人のために福祉や介護があるのに、一歩たりとも譲らない行政。今後、もっと苦しむ人が出てくる。未来のない世の中を変えるために頑張ってもらいたい」(稚内・男性)


 「介護職をしているが、山本さんの話を聞いていて、就職氷河期からの苦労を考えると涙が出る。お年寄りの生活のために私たちが一生懸命やらなければいけないと思っているが、とても希望がもてる状況にない。普通に生きていけるだけの収入はもらってないが、地域のため、国のため、お年寄りのために頑張っている。子どもが憧れるような仕事になっていない状態を変えてほしい」(網走・女性)


 「同世代は生活に余裕がないため政治に疎く、総理大臣の名前さえ知らない若い人たちも多いが、彼らを責めてもはじまらない。小さいときから政治の話はタブーで、朝ご飯を食べる暇もなく働き、夜遅くにSNSを開いたら与党側と野党側が罵詈雑言を浴びせ合うというような“政治”に辟易している。そういう若い人たちにも理解できるわかりやすい政策をお願いしたい」(網走・男性)


 「人口規模にかかわらず公平なお金の使い方を考えてほしい。3000人ほどの小さい町でも格差がすごい。広い北海道の過疎地域では雇用がなく、カネも人も都市に流れる。地方創生というが、国の財源からあてがわれるサービスが地方には行き届いていない。ぜひ直に肌で感じて国会で訴えてほしい」(旭川・男性)


 「IT企業で働いていた息子が鬱病を発症して会社をクビになり、病気を隠して別の会社に入社し、最後は寝る間もない状態になって自殺した。遺書のない場合は自殺と見なされない。そんな人たちが年間11万人もいる。息子も遺書というより連絡事項だけを書き残した。私は70歳近くだが、掃除婦ダブルワークで月150時間も働いて、月収12万円。みんな余裕がなく、職場はいじめとパワハラ、嫉妬やひがみもひどい。先日も自殺未遂で一命をとり留めた方の相談に乗った。れいわ支援の輪を広げていくために、ぜひ頻繁にきめ細かな情報発信をし続けてほしい」(旭川・女性)


 参加者の発言は、産科医不足で地元で出産できない問題、子どもの不登校などの教育問題、難病患者を切り捨てる難病法改定、種子法廃止による遺伝子組み換え食品の氾濫、生活保護や年金の引き下げ、公務員の病の増加など多岐にわたり、どれも生活実感をともなった切実な叫びだった。旭川では気温が9度を下回る冷え込みのなかで、2時間以上にわたって山本代表と聴衆との対話が熱を帯び、身近な生活問題から国家財政、憲法の問題まで鋭い問題意識が交わされた。

 

食料基地北海道の現状

 

 独自に市民から意見を聞くと、道東の拠点都市である釧路市では、かつては年間100万㌧で全国最大だった水揚げも今は10分の1の10万㌧に落ち込み、道内5番目に多かった人口(22万人)も今年ついに17万人を割り込んで6位に転落し、駅前の目抜き通りにあった地場資本の百貨店も倒産するなど崖っぷちに立つ水産都市の現状が口口に語られた。


 水産関係者によると「北洋船団の主力だったサケ・マス類がとれなくなり、もともと裏作だったサンマ漁に収入の大部分を依存してきたが、今年は過去最悪の不漁。近海にしか出れない漁船で魚群を追って公海までくり出すようになり、ついに転覆事故も起きた。規模が大きいだけに、危険承知であっても公海まで漁に出なければ倒産する。どこも綱渡り操業だ」という。観光スポットとして有名な和商市場も空き店舗が目立ち、商店主たちは「60軒あった店が50軒に減った。観光客が来ても、市民の購買力が落ちたら市場はもたない」と深刻に語っていた。


 第一次産業でも好調なのが、現在乳価の高止まりが続く酪農といわれる。だが、道東の酪農地域では、「国の補助金や明治や雪印など大手乳製品メーカーの買いとりに依存して機械化や大規模化を進めているので、TPPやFTAで乳製品の無関税化・自由化が進み、メーカーが安価な外国産に乗り換えたら、巨大な投資をしている農家は壊滅的な打撃を受けることになる」と話されていた。


 建設業は農業関連施設、機械は農機具販売や修理……など酪農業の産業としての裾野は広く、国が地場農業の保護をしなくなれば地域全体の雇用の受け皿がなくなる。根釧地方では、かつて国が膨大な予算を投じたパイロットファーム(実験農場)計画や新酪農村建設事業で大規模集約や機械化、新規入植を促進したが、農産物輸入自由化を進める農政や営農システムの変化のもとで借金に見合うだけの収入は得られず、多額の負債を抱えて赤字に転落する農家が続出。冬になると翌年5月までは地下1㍍まで凍土と化す(作付けができない)という厳しい環境のなかで、頼みの綱だった酪農からも離農者があいつぎ、「手間を掛けない安価な乳」を望む大手メーカーに依存するほかない現状にあるといわれる。そのため人手が必要な放牧をする農家が減り、機械化が進む。「地元の牛乳を地元民が飲めない」という歪な状況を生んでいることや、「農業が潰された先には放射性ゴミの処分場にされるのではないか」という危機感が、国が北海道で進める深地層処分研究などとあわせて話題にのぼっていた。


 農漁業ともに全国トップシェアを占める北海道の現状は、そのまま日本の食料安全保障にも直結する。もっと知らなければいけない、知らさなければいけない問題があると強く感じずにはいられなかった。

 

新しい政治勢力に期待

 

 「れいわ」の演説会場には、「既存の野党が信用できず、有権者を置き去りにする永田町の論理に全力で抗うのは山本さんしかいないと思って支援している」(60代・男性)、「東京で働いていたが体を壊して帰ってきた。れいわ新選組は、右や左といった古いイデオロギーにとらわれず、弱者の側から政策を訴えるから無関心な人たちも惹きつける。これまで誰もしてこなかった活動を捨て身でやっている姿に共感し、自分もなにか力になりたいと思った」(25歳・女性)など、既存の政党政治の外側から市民による新しい政治勢力をつくり出していくことへの強い意欲をもって世代も職業も違う一人一人が意識的に集まり、ボランティア登録やポスター行動に参加していた。


 れいわ新選組の全国ツアーは、このような地方の人人のなかに直接飛び込み、人人のなかでみずからの政策を検証し、表に出てこない切実な要求をすくい上げて政策に練り上げ、個個バラバラの問題意識を横に繋げて全国的な力を育んでいる。地道で骨の折れる仕事だが、各地の人人がみずからのたたかいとしてそれを支え、着実にその輪を広げている。


 山本代表は札幌駅前に集まった群衆に向かって叫んだ。

 「こんな地獄のような社会をつくったのが政治なら、これを変えていくのも政治だ。変えていけるのは皆さんだ。支持政党があるならばお尻を叩いて圧をかけてほしい。私たちれいわ新選組も例外ではない。政治は信じるものではない。宗教やアイドルなんかではない。皆さんの駒として、代理人としてしっかりと仕事をやらせる存在だ。私たちにも厳しい目と大きな愛で包んでいただき、一緒にこの国を変えていこう!」


 肌身を通じて人人の苦しみをつかみ、エネルギーに変え、相互に支え合う関係を切り結んでいくことで、れいわ新選組が全国的な社会現象をつくり出していることを目の当たりにした同行取材だった。有権者を無視した暴走政治が続けば続くほど、この「れいわ旋風」は日本中に広がっていくに違いない。(岡本)

 

※北海道同行取材への記者派遣にあたり、ご支援いただいたみなさまに心より御礼申し上げます。

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この記事へのコメント

  1. 山谷 賢量 says:

    北海道ツアー同行取材の記事素晴らしいですね。地元北海道新聞でもこれだけまとめた記事は書いていないでしょう。長周新聞さんが広い北海道ツアーによく記者をつけられたと感心しております。

  2. 山谷 賢量 says:

    根室の書き起こしもいいですね。

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