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広島「原爆と戦争展」主催者会議 被爆国の面目一新する取組に

広島「原爆と戦争展」の第2回主催者会議(16日、広島市東区二葉公民館)

 広島市中区の「ひと・まちプラザ」で7月30日からはじまる第16回広島「原爆と戦争展」の第2回主催者会議が16日、広島市東区の二葉公民館でおこなわれた。被爆者や戦争体験者をはじめ主婦や学生など約25人が参加し、今年の八・六を前にして結束を強め、同展を成功させる意気込みを交流した。


 はじめに広島の会の高橋匡会長が、「酷暑が続いているが、8月6日に向けてこれから正念場を迎える。とんでもない行動をとるおかしな人物がアメリカ大統領になり、北朝鮮が依然として態度を変えないという緊迫した状況が連日報道されている。この戦争の流れをいかに食い止めて、平和な社会をつくっていくかが迫られている。現政府の動きの先を考えると、私たちの幼少期に“バンザイ、バンザイ”といって、若者を戦場に送った経験がまざまざと蘇る。体験者が高齢化するなかで、それをくり返さないために、私たちはこのとりくみを大成功させなければならない」と挨拶した。


 続いて、事務局が以下のようにとりくみ概況を報告した。
 県内の大学での「原爆と戦争展」や、小中学生、修学旅行生への被爆体験の証言活動ではかつての経験と重ねながら「いまはまさに戦争前夜だ」「これからの戦争を阻止するために語り継ぐ」という被爆者の気迫に応えて、「自分たちが体験を語り継いでいく」「戦争を阻止するのは若い世代の責任」という使命感を強めて若い世代が積極的に運動に参加している。平和公園での街頭原爆展のスタッフ参加を申し出ている大学生や留学生は20人にのぼり、すでに土・日の街頭展示活動への参加がはじまっている。


 同時に、ポスター2400枚、チラシ12万枚による宣伝活動を開始し、16日現在までに賛同者は183人にのぼっている。被爆者、被爆二世、原爆遺族、戦争体験者をはじめ、学生、院生、留学生、現役世代が多いのが特徴で、町内会長から社会福祉協議会、教員、寺院、労働者から主婦にいたるまで幅広い市民が名を連ねている。


 宣伝行動のなかでは、毎年恒例となった同展のポスター掲示を快く引き受けると同時に、北朝鮮ミサイルに対応する避難訓練を奨励する国に対して「核攻撃に防御の手立てなどない。アメリカ一辺倒ではなく、ミサイルが飛んでこない努力をするのが国民に対する政治の責任ではないか」「唯一の被爆国でありながら、核兵器禁止条約にも参加できないことが情けない」「戦争ではなく話し合いで解決する努力をせよ」との意見が多く語られている。


 大学教員や学生などの協力によって「原爆と大戦の真実」の英訳版パネル冊子(本紙発行)も完成し、「全国から高い問題意識をもって訪れる若い世代や広島の被爆者、戦争体験者との一大全国交流の実現に力を入れるとともに、世界各地から広島を訪れる外国人との交流にも力を入れてとりくみ」、「パネルを全国・世界での活用と普及を積極的に呼びかけていく」ことを提案した。

 鋭さ増す子供達の意識 証言活動で強い確信 

 男性被爆者は、小中学校での体験証言の経験から「子どもたちも今の日本社会をめぐる不穏な空気を敏感に感じている。私たちが経験した同じことを子や孫の世代にくり返させないという思いは日増しに高まっている。県外の人にも多く語りかけ、平和な社会をつくるためにともに行動することを呼びかけていきたい」と抱負をのべた。


 広島大学で被爆体験を証言した婦人被爆者は、「学生たちはみな熱心で、涙を流して聞いてくれる子もいた。その真剣な姿勢に感動したし、これからがんばる力をもらった。県外から入学した学生も“広島大学にきて原爆を知らずに卒業するわけにはいかない”“これから自分たちが何をするべきか”と積極的に思いを語っていた。現政府が矢継ぎ早に強行採決をした安保法、秘密保護法、共謀罪法、自衛隊の駆けつけ警護など、七二年前の敗戦時に国民に約束した“二度と戦争をしない”という誓いはどこへ行ったのか、と驚いている。安倍首相の言葉に“右向け右”で従っていくだけの国会にも納得できない」と話した。


 また、6月に赴いた長崎「原爆と戦争展」での交流にも触れ、「長崎の人人の想像を絶する苦難を肌身を通じて知る事ができ、この運動を通じてより深く戦争反対の根を張っていくことの大切さを実感した。子どもだけでなく、大人にも積極的に伝えていきたい」とのべた。


 別の婦人被爆者は、「安倍政府の動きは、唯一の被爆国としての広島の経験を遠い忘却の彼方に葬り、広島市も右へならえで8月6日の学校での平和教育を今年からやらないという。強い憤りを感じている。世界の戦争を止めるのではなく、政府は若者をふたたび戦争へ引きずり込む素地づくりを着実に進めており、子や孫の将来を思うといても立ってもおれない。体を張ってでも戦争を阻止する意志を全国に発信しなければいけない。体調を整え、熱意を込めて伝えていきたい」と力強くのべた。


 90歳の婦人被爆者は、「戦争と被爆のなかを生きてきた私たちがどんなに苦しい思いをしたのか、こんなことが世の中にあっていいのだろうかということを問いたい。再び同じ事をくり返させないために、辛く悲しい経験を伝えていきたい」とのべた。


 男性被爆者は、今月7日の国連での核兵器禁止条約が採決され、122カ国が賛成したことに触れ、「世界で唯一の被爆国の日本はまた不参加だった。核大国と同様に、“米国の核の傘の下”にいることを理由に不参加を決めたことに、被爆者として忸怩たる思いがある。広島大学も含めて六校で被爆体験を語ってきたが、今までよりも先生も生徒も熱心さが違う。朝鮮半島を巡る動きが連日報じられ、緊迫した情勢から、核廃絶と平和への関心が高まっている。この会の活動がますます貴重なものになってきたと感じる」とのべた。


 さらに、体験をきいた中学生から送られてきた「いまの世界は平和ではない。いままでは平和だと思っていたけど、それは表向きで、いつ戦争がはじまってもおかしくない背景がよくわかりました。日本がこれから先なにがあっても戦争に参加してはいけない」「戦争の苦しみが改めてわかりました。被爆者の方から直接話を聞けてとても貴重な体験だった。それをまた次の世代に話していけるよう、この話を忘れません」という感想文を紹介。「私たちの思いがしっかり伝わっている。この展示を通じて私たちが体験を伝えることによって、平和への関心が高まっていくことに確信が持てる」と喜びを込めて語った。

 若い世代も使命感高く 被爆者の願いを継承 

 大学生や若い世代も積極的に発言した。
 大学1年生の女子学生は、「曾祖母が被爆し、その体験を聞いてきた母が私に伝えてくれた。小学校から原爆の話をよく聞いて、大変な思いをしてきたことを感じてきた。平和公園での街頭展示にも参加したが、外国人からも強い反響があり、世界の人人がこれほど原爆について考えていることを知って心が熱くなった。少しでもこの活動に力を貸せればと思っている」とのべた。
 男子学生は、「曾祖父母が被爆者だが、話したくないという様子で、実際に聞く機会は少なかった。学生になり、自分で調べて知っていきたいと思って参加した」とのべた。


 文学部の女子学生は、「広島出身というだけでなく、平和や戦争について関心があったので参加した。短期留学で行ったベトナムのホーチミン市で、さまざまな国のジャーナリストが撮影したベトナム戦争の写真を見た。これまで原爆の写真は“怖い”という印象が強かったが、人間として、被害者の人生まで見えることに衝撃を受けた。大学の授業でも従軍慰安婦問題をめぐる日韓のあいだにある謝罪や憎しみについても論議してきたが、この展示会に参加することを通じて、少しでもその答えを得られたらと思っている」とのべた。


 中国人留学生の女性は、「平和教育について研究している。中国と日本の子どもたちの平和の意識を高めるためにどのような教育プログラムが必要かを勉強している。このボランティアを通じて、学んでいきたい」とのべた。
 広島大学の男子学生は、平和公園での街頭展示で外国人の多くが共感してくれたことをのべ、「広島で生まれ育ち平和教育も受けてきたが、世界で最初の被爆都市としてやるべき使命感を感じている。直接体験を聞ける最期の世代として、次の世代の橋渡しをしていきたい」とのべた。


 退職公務員の男性は、2歳のときに父親がビルマで戦死し、母親も中学生のときに亡くなり、兄と2人が残された経験をのべ、「戦争には強い憎しみを持っている1人だ。顔も知らない父が遺言として残してくれたものは憲法ではないかと思っている。その憲法を簡単に変えようとしていることに強い憤りを感じる。核兵器禁止条約を採決した議長はコスタリカ人だが、同国では原発建設が憲法違反という判決が下っている。深刻な経験を持つ私たちは、憲法と核についてより強い問題意識をもつ必要がある」と決意を語った。


 今年は、8・6を頂点にして、同展の他には、平和公園の原爆の子の像横での街頭展示が8月1日から6日まで連日おこなわれ、8月5日には平和公園にて、山口県や九州の教師や小中高生による「広島に学ぶ小中高生平和の旅」を実施する。
 5日には、原爆と戦争展会場ロビーにて、広島、長崎、沖縄など全国各地から被爆者、戦争体験者、若者などによる全国交流会も開催する。
 そして8月6日の午後1時からは、広島県民文化センターにて原水爆禁止広島集会を開催し、市内中心部でのデモ行進が予定されている。
 一連のとりくみを全市民とともに成功させ、核兵器廃絶と戦争を阻止する全広島を代表する世論を全国・世界に発信していくことを確認して会を閉じた。

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