いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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原爆展キャラバン隊座談会 大衆主導の全国的政治斗争へ 米国の対日支配の欺瞞剥ぐ

 安倍政府が進めてきた安保法制をめぐって、この間、東京・国会前をはじめ、全国的に政治的な意識が高まり、連日各地で抗議行動がおこなわれた。本紙は、8月末から3週間、東京都内に原爆展全国キャラバン隊を派遣し、安保法案の廃案を求める抗議行動が連続した国会前や都内各地の街頭で「原爆と戦争展」を展開しながら、東京都民をはじめこの運動にかかわる多くの人人の問題意識を取材してきた。原爆展全国キャラバン隊と本紙記者で座談会を開き、急速に発展した今回の安保斗争の特徴と展望について論議した。
 
 安保法制反対斗争の発展と展望 人民に奉仕する政治勢力結集を

 司会 安倍政府は安保関連法案を強行採決による成立に持ち込んだが、これに対して国会前をはじめ全国的な大衆運動が大きく発展した。この間、どんな人人がどんな問題意識で行動に立ち上がっていったか、その特徴から出してみたい。
  国会前では毎週木、金曜日に抗議行動が呼びかけられてきたが、この1カ月でその規模が数倍に膨れあがっていった。はじめは数千人だったのが、衆院で可決してからは数万人規模になり、大規模集会が呼びかけられた8月30日にはおよそ12万人が国会を包囲した。これに連動して、集計されているだけでも全国2000カ所以上の地域で数千回に及ぶ抗議デモがおこなわれ、百数十万人が参加している。大阪、名古屋、広島、福岡などの都市部から農村部にいたるまで、誰かがツイッターなどで呼びかけると呼応してワッと集まって集会やデモがやられる。札幌でも10代の女の子1人が呼びかけたら700人のデモになったり、福岡でも広範な規模でデモがやられた。大阪では生コン業者の数十台のトラックデモもやられた。ある組織が動員をかけて集まったというのではなく、SNSでたまたま見た人が集まって数百、数千人になるという状況だ。それぞれが“なにかしなければ”という意識で行動を求めている。
  原爆展キャラバン隊は8月30日から3週間、都内各所の駅前や公園、大学などで原爆展をおこなった。下関、広島、長崎で十数年継続して開催されてきた原爆と戦争展のパネルの内容が、今の東京都民の問題意識と結びついて注目を集めた。
 特に熱かったのは東京大空襲の体験者の反応だ。「原爆投下も含めた無差別殺戮から始まった対米従属構造が、また日本を戦争に導くところまできている」と語られ、東京大空襲でアメリカがいかに緻密な計算をして都民を焼き殺したかをなまなましい怒りをもって訴えていた。春風が強く吹く3月を選び、日本の木造家屋を燃やすために油脂焼夷弾を開発し、それを真夜中にガソリンを雨のように撒いて約38万発もばらまいた。1平方㍍あたり3発だ。しかも、周囲から燃やして逃げ場をふさぎ、中心部に集めて焼き殺した。油脂に付いた火は水をかけても消えない。女、子どもや年寄りなど非戦闘員が問答無用に焼き殺された。「これが戦争犯罪でなくてなんなのか!」という怒りと共に「アメリカが日本を守るというのは大嘘だ」「安倍はアメリカとの約束を守るために戦争に乗り出そうとしている」「対米従属こそ問題だ」「こういう展示はどんどんやってくれ」と異口同音に語られた。
 町田市や立川市での展示では、近くに横田基地があり、最近爆発事故を起こした米軍相模総合補給廠もあるため、「沖縄と同じだ。首都圏にも主権はない」と語られた。横田から新潟にかけての空域は米軍優先で、日本には制空権もなければ、弾薬庫も民間居住区の中にあるのに、なにが貯蔵されているのか調べることもできない。爆発事故が起きても地位協定で消火活動もできない実態が暴露された。立川では、砂川斗争で日本に返還された立川基地が広大な防災公園になっているが、「これも戦時になればすぐに基地にできる。道路はそのまま滑走路にされ、周辺には民間の建物は建てられない。政治家もマスコミも評論家もみんな知っているのにダンマリだ」と自衛隊退職者が語っていた。
  パネルを見て、アメリカの対日政策があの戦争から続いていることに改めて衝撃を受けていく。「これまで自分の中ではっきりしなかったことを鮮明にさせてくれた」と語る参観者もいた。「東京、神奈川一帯は今もアメリカの支配の下にある。横須賀に米軍空母が出入りするときには、横田と厚木の間をヘリが飛び交って戦場のようになる」という意見も聞いた。一九六四年の東京オリンピックの年には、町田市内の商店街に米軍機が落ちて何人も亡くなったことが語られ、「同様の事故があちこちで起きているのに封印され、最近になって住民のなかで慰霊する動きになっている」と語られていた。首都圏でもアメリカの支配への怒りがこれほど沸沸と煮えたぎっていることはこちらの想像を超えるものがあった。
  全国各地の空襲に遭った人たちから「日本中があれだけ焼かれて殺されて、なぜまたアメリカの戦争に行かなければいけないのか」という怒りが語られた。安保法制も違憲とか民主主義破壊という問題にとどまらず、対米従属の問題としてとらえているし、この根本を変えていかなければ解決にならないとみんなが思っている。そして、「戦後、対米従属を問題にするところがどこもなく、東京空襲の慰霊碑すら建てさせないという支配の下にあるんだ」という下町の経験を紙面でとりあげると、新鮮な怒りが呼び起こされていった。アメリカもだが、あれだけ国民を戦争に叩き込んだ日本の支配層がアメリカと一緒になって国民を裏切り、国を売り飛ばして自分たちだけ生き残った。東京空襲では10万人もの都民が殺されたのに皇居は狙われず、財閥や軍事施設も残され、その支配構造がまだ続いていることが怒りをもって語られていた。
 E 東京空襲で家族を3人も4人も亡くした遺族の方が、「戦後、占領軍がチョコレートを投げ与えていったが、家族をこれだけ殺し、東京を焼き払ったのは誰なのか。私は絶対にもらわなかった」と語っていた。八王子では、軍事施設のある立川は戦後利用するために攻撃せず、八王子の市街地を徹底的に爆撃したこと、焼け野原にされた場所は接収されてマッカーサー広場にされたり、ジープ広場といって米軍が好き放題してきたことに、涙を流しながら怒りを訴えてくる空襲遺族の年配者の方が何人もいた。戦後70年の間、語る場所もなく、語ることのできなかった東京の人たちの本当の思いに触れ、原爆展の意義を再認識した。
  下町で占領期にGHQから「慰霊碑を建てるな」と通達されていた文書を見せてもらった。いまだに公的に犠牲者を弔う慰霊碑がなく、地域住民が慰霊碑を建てようとしても区役所から許可されない。それでも各地域の住民が自主的に建立してずっと大切に守ってきた慰霊碑を、その経験とともに後世に受け継がなければいけないという意識が非常に強くなっている。江東区森下5丁目では70年を記念して犠牲者の名前を刻んだ墓誌を建てたが、「このように守り、受け継いできたことが地元の誇りだ」と語られていた。その人人の思いを掘り起こし、今光を当てていくことが大切だと感じた。

 安倍政府の弱体化露呈 野党も体なさぬ 

  国会前の抗議行動も1カ月の間にどんどん様相が変わっていった。規模も膨れあがるし、スピーチで語る学者や文化人が増えていき、その内容も「戦後民主主義をいかに守るか」という次元を超えて、対米従属問題が鋭く語られるようになった。「安倍はアメリカとの約束を守るために国民を無視している」「彼ら(安倍政府)が守るといっている国の主権、尊厳そのものを売り飛ばしている」「アメリカで約束したものを後から国会に持ち込んでいる。主権国家といえるのか」という意見が増え、聴衆も盛り上がっていった。 
 東京大学のシンポジウムや緊急集会でも、強行採決前になると「根本問題は日米安保と平和憲法との矛盾だ」と語られていた。第2次大戦終結からアメリカとサンフランシスコ片面条約を結び、中国との国交断絶という道を選んだ占領期からなにも変わっていない日米関係が根底にあり、この法案を廃案にして終わりではなく、日米関係を改めさせる息の長いたたかいの始まりであり、「新しい政府を国民の手でつくるまでやるんだ」と宣言していた。政府の説明能力のなさ、国会の茶番が暴露されるなかで、問題の中心は戦後のアメリカの植民地支配にあり、これとのたたかいなしには終わらないし、最大の力は国民の世論と行動だというのが公然と前面に出始めた。あれほどの規模の大運動に発展したことで自民党は飛び上がり、説明もしどろもどろになっていった。
  国会前には60年安保世代や子どもを連れた母親の姿もあり、「ここまできてじっとしておれない」と参加していた。サラリーマンに混じって国家公務員も結構いて、「秘密保護法によって自主規制が強まり、職場では政治的な話ができない空気がある。でも安倍がやっていることはどう考えてもおかしい。声を上げていきたい」といっていた。自衛隊の退職者もかなり来ていて、「こんなことのために自衛隊員は訓練をしているわけではない」「なぜアメリカのために死にに行かなければいけないのか」という。ずっと国会前に通っている人もいた。
  東京都内はもちろん神奈川や千葉、埼玉など近郊から電車で駆けつける人たちや、若い母親世代のなかでは「3・11の原発事故から意識が変わった」という人が多かった。原発事故対応などでの政府やマスコミのデタラメさを、自分たちの生活や子どもたちの将来に直接かかわる問題としてとらえ、「頼れる政党もメディアもない」「自分たちで政治を変えなければどうにもならない」と語っていた。また、学生たちが立ち上がったことに共鳴して参加する人も多かった。「平和ボケといわれてきた」という4、50代の人たちが「就職などでリスクもあるなかで、これだけ学生が声を上げているのだから放っておけない。自分たちが支えなければいけない」と毎日通ってきていた。空襲体験者、予科練出身者などの7、80代の体験世代も来ていたし、労働者も自主的にかなり参加していた。
 学者の会もどんどん参加者が増えていき、数十大学からみんな「安保関連法案に反対する○○大学有志の会」の幟をもって学生とともに参加していた。最後は芸能人やテレビでおなじみの著名人も出てきて「なぜアメリカのご機嫌をとらなければいけないのか!」と発言していた。
 D 教育関係者や元教員も多く、「教え子を再び戦場に送るな!」の旗を掲げていた。ある進路担当の高校教師は「就職が難しくなって、派遣社員など非正規雇用の内定しかもらえない子も増えている。だが、教え子を自衛隊にとられて肉弾にするわけにはいかない」と話していた。
  どこかの政治勢力の影響下で集まっているというのは少なく、自主的にみんなが参加し、行動を起こしているというのが大きな特徴だ。全般的には、憲法学者をはじめとする学者が火を付け、それに学生が響き、その行動に呼応していろんな層が合流してきた。「安倍・自民党はけしからん」というのははっきりしているが、野党にも信用がない。野党応援ではなく、「国民の力で変えよう」という自発的な行動が主力になって十何万人が集まっていった。これは新しい状況だ。
  自衛隊にとっても「専守防衛」ということで入隊しているのに、米国を守るための戦争に参加するなら約束が違う。下関の自衛隊退職者も、これまで戦争問題に対する発言は控えてきたが黙っておれないという感じだ。アメリカのために先陣を切らされる自衛隊員と家族は一番切実だ。防衛大学卒業生も任官拒否が増えている。
 下関でも、高齢者が病院やリハビリの待合室で集まれば毎日安保や国会の話ばかりだった。「なんだ安倍は!」「一つも人の話を聞かないことで有名になった」とワイワイやっている。PTAの集まりでもそんな話になる。「私は関係ない」という人が一人もいない。
 A 安倍や自民党が暴走して独裁をしているというが、実際しどろもどろでなんの説明もできなかった。弱体化している姿を暴露した。野党にしても、採決のときのスクラムは格好だけで茶番劇だとみんなが見抜いている。どこかの政党が指導してやるというのではなく、逆に政党の方が恐れをなして国会前行動なりに迎合していく。引っ張っているのは大衆そのものだし、国会や政治勢力と大衆の力関係を見せつけた。

 反米斗争の火ぶた切る TPPも派遣法も 

  この間、本紙では安保法制の根幹として対米従属問題を焦点にキャンペーンを張った。政治斗争で大事なことは、一つは敵は誰か、友は誰かを鮮明にすることだ。安倍が最終的な敵ではない。これは敵の手先だ。敵そのものはアメリカであり、日本の独占資本だ。アメリカが日本に軍事の肩代わりをさせようとはじめからやっていることは分かりきった話だ。それを「国民の生命を守るためだ」といっている。例に挙げたホルムズ海峡での機雷掃海についても、みずから「存立危機には当てはまらない」といって取り下げ、朝鮮有事のときに日本人の母親と子どもを乗せた米艦を防護するという事例も「日本人が乗っていなくても防護対象」といって論理が破綻し、最後はなんの説明もできないようになった。国民をバカにしているという側面もあるが、それ以上に「お前たちはなんというバカなのか」と国民の方が権力者のもろさを痛感した。法案が通ったから敗北というものではなく、政治的には大ダメージを与えた。対米従属に対するたたかいの火蓋を切って落とすことになった。
 これに沖縄の辺野古問題が連動し、TPP阻止の動きも連動し、原発の再稼働に対する運動も連動する。「全部アメリカの指図ではないか」となっている。安保を中心にしてあらゆる戦線が合流し始めた。
 F いきさつをみても全てアメリカに指図されている。石原慎太郎の尖閣国有化のときもアメリカにそそのかされて騒ぎをつくったが、今回もまずアメリカ議会で約束し、それを国会でやるというものだった。自衛隊の装備、訓練、組織体系からすべて米軍の指揮下に入る体制がずっと前からできあがっている。長崎・佐世保の陸自相浦駐屯地には「日本版の海兵隊」といって水陸機動団もつくった。海兵隊は殴り込み部隊であり、最前線部隊だ。先月、沖縄で米軍ヘリのブラックホークが墜落したときも自衛隊の特殊部隊が乗っていた。海兵隊と一緒に殴り込みの研修中だった。なにが後方支援かだ。
 太平洋上でもアメリカ西海岸でも頻繁に日米共同演習をやっている。国会審議などお構いなしにやっている。この自衛隊司令部は米軍横田基地にあり、完全に米軍の傭兵部隊としての準備をしている。日米ガイドラインから周辺事態法、核攻撃対処も含めた国民保護法などもすべてそれで準備され、その法的体裁をつくるというのが今度の安保法制だ。
 D 小泉政府時代は、日米両政府で取り交わす「年次改革報告書」を官僚や政治家たちは教科書にしてそのままやってきたが、近年は「アーミテージ・ナイレポート」の対日要望書にすべて書いてあることを実行している。山本太郎が暴露していたが、自民党が打ち出している原発再稼働、海賊対処、TPP交渉参加、国家機密の保全、PKOの範囲拡大、そして集団的自衛権の行使容認、兵器の共同研究、武器輸出まですべてそのレポートで要求されていることだ。
 A アーミテージは大臣でもなんでもなく、元国務副長官レベルの下っ端だ。安倍が最初にアメリカの講演で「アイムバック」とやったのもアーミテージのシンクタンクだったが、どれほど下っ端扱いなのかということだ。
  原爆展の参観者とは、TPP、マイナンバー、消費税など諸問題が論議になった。もっと意識的なものにしなければいけない。TPPやあらゆる規制緩和、派遣労働を無制限に拡大した労働法制も、国民を貧困にさせなければ兵隊のなり手がつくれないからやっている。貧乏にさせておいて、「軍隊に入れば金が入る。戦死すればもっと入る」といって誘導する。アメリカ式の経済徴兵制で、大学に行くための奨学金という名の借金で首を絞め、払えなくさせて軍隊に入れるシステムだ。すべてが同一政策だ。
  安保法制は財界の要求でもある。戦争によって軍需産業が武器を売ってもうけることと、日本企業の海外権益を守るにはアメリカの軍事力だけに頼ることができないから兵隊を必要としている。タイのバンコクでも連続爆発事件で騒動になっているし、インドネシアでも混乱が絶えない。アルジェリアではプラント大手の日揮の社員が狙われ10人の人質がみんな殺された。他のアジア人は釈放されたが日本人だけがターゲットになった。もう中東の世論は「日本はアメリカと同盟を組んで攻めてくる」となっている。
  中東研究者の間では、アメリカが自衛隊を送りたい本命は中東だといわれていた。東大の研究者も「正しい認識をもたなければ、これからどんどん中東で日本人が犠牲になる」と警告していた。
 米国のヘリテージ財団は、安保法制について「日本の自己責任が拡大することは歓迎すべき進展だ」といっておきながら、民主党系はIS(「イスラム国」)掃討作戦後のシリア、イラク近辺のPKO活動で自衛隊の貢献を望み、共和党系は、南シナ海の中国船の監視活動を熱望している。戦乱が拡大して欧州各国が撤退を望んでいる中東に自衛隊を送り込んで盾にすること、さらには中国封じ込めの先兵にさせようという魂胆を隠しもしない。
  アフガニスタンで井戸を掘って信頼を受けてきたペシャワール会の中村哲医師も、安保法制によって現地での活動が危険になるため「引き揚げざるを得ない」と某紙のインタビューに答えていた。人道支援活動をしているNGO組織なども日本の「非軍事」の評価が崩れたらやっていけない。
  今年の長崎の原爆と戦争展でも、イラクで病院をつくっているという開発業者の男性が帰国していて「アメリカ人はいつも日本の加害責任をいうが、アメリカこそ最大の侵略テロ国家だ。論争になるたびに“長崎に行って見てみろ!”といってきたが、このような運動が今必要だ」と激しく共感していた。
 東京でも外務省管轄で発展途上国への技術協力をしてきた男性が原爆展に来て、「カイロにずっといたが、欧米の侵略を受け続けてきたアラブ世界の矛盾関係をなに一つ理解していない安倍首相がひょっこり来て、“IS掃討のために2億㌦拠出する”などと宣言して敵視されないわけがない。“殺してください”という挑発以外のなにものでもない。安倍はなにもわからずペーパーを読んでいるだけだが、それを準備した外務省官僚もそんなことをしたらどうなるのか知っていてやらせている。その上にはホワイトハウス、駐日大使がおり、その思惑通りに日本の外交は操られている」と暴露していた。「現地では少なくとも日本の人道支援活動はマスコミが報道で持ち上げるような評価は受けていない。ほとんど相手にされていない。日本での報道はすべてCNNという障子の穴から世界を見てウソを報じている。みんな大本営発表だ」といい、「日本人はもっと怒りを持たないといけない。そのためにもこの活動は大事なことだ」と共感していた。現地にいる人からすれば切羽詰まった問題だ。

 世論の歴史的な大転換 新鮮な政治勢力結集 

 A 重要なのはこれからの運動方向だ。頼るべき政党はないなかで、下からみんなが自主的に動き始めた。そこに原爆と戦争展や本紙を持ち込むと大歓迎を受けた。それはなぜか、どういう点を意識していけば運動が発展していくのかという教訓を鮮明にしなければいけない。
 各政党が嫌われている原因は、すべて自分たちの利害、損得のためにやっているからだ。その個人主義を基調にしたアメリカ民主主義万歳だ。野党なり、革新系についてもかなり暴露されている。東京大空襲の話を聞いていても、「日共」修正主義集団などはまったく信用がない。すべて金がらみだし、東京大空襲にしても「最初に無差別爆撃をしたのは日本軍(重慶)」などといってアメリカへの怒りをかき消す役割だ。広島と同じで「禁・協」がまったく信用がない。社民にしても福島瑞穂が口を尖らせているばかりで実態がない。
 民主党といっても自民党と変わらない連中をたくさん抱えている。前原、長島などアーミテージ門下の軍事マニアがおり、その前に選挙公約を裏切って自民党路線に回帰したことで完全に暴露された。そもそも安倍の暴走体制は、2012年の年末に野田が自爆解散したところから始まった。それで自分だけアメリカに褒められた。自民党野田派による大政奉還だった。
  今回の安保反対運動で、政党やメディアが主導して発展したと感じているものは誰もいない。国民世論の盛り上がりに政党の側が後から迎合していった。60年安保のころはまだ「日共」修正主義などが号令をかけていたが、そんな力もない。こういうものではなく、私心なく大衆の中から大衆の中への活動を貫いて、大衆の団結を促し、政治的な立ち上がりに奉仕していく新しい政治勢力が待望されている。
  本紙を創刊した福田正義主幹は、アメリカは敵だという観点から戦後出発をしている。広島で初めて原爆反対の運動を組織した50年8・6斗争をやる前にも、下関で進駐軍労働者のストを全国で初めて組織した。若者たちを中心とした夜警部隊を組織して、市民に乱暴狼藉する米兵を捕まえてぶん殴るなど、捕まれば沖縄送りにされるような状況のなかで大衆と共に果敢に斗争を挑んでいた。大衆の意見を集中すれば、アメリカは解放軍などではない、平和の敵だという確信になる。
 E 「右翼も左翼も反米をいわない。それをはっきりいっているのがいい」と支持された。今回の斗争でも、当初は対米従属問題について奥歯にものが挟まったような隠然とした雰囲気だったが、安倍の正体が暴露され、大衆の怒りが発動されてくると公然と語られはじめた。大衆と結びつくことで相手がアメリカだろうがはっきりいえるようになる。アメリカ民主主義万歳で大衆をバカにしていたらこれができない。
  戦後のアメリカの支配を徹底的に暴露して、それに対立するあらゆる人民各層を全国的に結集する。軍事問題もだが、辺野古、岩国、TPP問題、原発再稼働などすべてアメリカの指図に従って日本をぶっ潰している。とくに労働法制については重視しなければいけない。アベノミクスという新自由主義政策で、企業天国にするということだが、企業がもうけるためには労働者の賃金を削るしかない。だからどんどん労働者を貧困化させる。これもアメリカの指示であるし、日本の独占資本の要求だ。その他、諸問題を安保斗争に合流させることを意識しなければいけない。
 さらに重要なのは、敵の共犯者を暴露することだ。戦後の政治勢力はアメリカ民主主義を美化して自分たちの利害優先できた。それは右翼も左翼も同じだ。そして大衆を蔑視している。そうではなく、小集団の利害や私心を捨てて、社会の発展方向に立って大衆に奉仕する路線を歩まなければならない。そこから骨幹を結集して大衆を発動することだ。
 今度の安保斗争の成果は敵を大いにうろたえさせたし、その欺瞞と弱さが暴露されたことで全国的な政治意識が覚醒した。これが最大の成果で、必ず次の斗争に繋がっていく。全国的な政治斗争というのは70年代の沖縄斗争以来であり、実に四十数年ぶりだ。それがふたたび動き始めたというので安倍は飛び上がっている。野党のつまらない質問に対してしどろもどろの説明しかできない。公明党ともども自滅路線を歩むほかない。
  大衆的にはここまで政府を追い詰めた世論の盛り上がりに確信を強め、「これからが始まりだ!」と盛り上がっている。東京の読者がいうには、強行採決後も「今日はどこで集会があるのか」と互いに声をかけあうような雰囲気になっている。「賛成議員はみんな叩き落とそう!」が合言葉になっており、「震えている」のは自・公政府という関係だ。歴史的な世論の大転換が始まり、新しい時代が到来している。このことを確信して、60年安保斗争を上回る全国的な大衆斗争を組織するところにきている。

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