あの与党大好き「下駄の雪」の公明党が、26年間に及んだ自公連立政権から離脱することになった。なにがあっても自民党の補完勢力として与党の座にしがみつき、国土交通大臣のポストを我が物にしたりコバンザメ路線を貫いてきたが、少数与党となった自民党本体の弱体化と連動するように公明党自身も党勢低迷に歯止めがかからなかったなかで、抱きつき心中となる前に一心同体の関係を改めて距離を保ち、今後は多党化した政治情勢のなかをくねくねと泳ぎ始めるというのだろう。自民党内における裏金・統一教会ズブズブ勢力の復権という状況下で、さすがに土台となる下部組織が保たないという側面もあるのだろうか。「クリーン」とか「平和」とは裏腹であるというのは今に始まった話ではないが、「与党内のブレーキ役」なる誤魔化しもそろそろ限界だったのかもしれない。
直近の参院選における公明党の比例票はついに600万票を割り込み、組織として先細りの趨勢にあることを如実に物語っていた。自民党から譲られていた選挙区(自民党が自前候補を擁立せず)ですら幹部たちが落選するなどし、「下駄の雪」路線といっても自民党と合わせたって少数与党に落ちぶれてしまったのである。母体の創価学会は高齢化も著しいようで共産党ともども老衰化というか、消滅政党の道をひた走っているかのようである。ただ、既存政党の弱体化という点でいえば自民党もしかり、労働組合の連合とて似たようなものである。かつてのような組織力を喪失しているところも珍しくないなか、政党政治は公明党のみならず全般として雲の上に浮き上がり、有権者からかけ離れたところで漂流しているような状態にある。そうして5割もの有権者が選挙にそっぽを向いているなかで、かつがつ組織力を有する勢力が寝た子を起こさない選挙によって国会の議席をおさえるという、せこいやり方によって自公政権なるものが生きながらえてきただけなのである。
自民党は衆院選を見ても、全国の選挙区でそれぞれ1万~2万票の創価学会票を基礎票としてとり込み、野党候補を抑えて当選してきた。8万~10万票が安泰という制度設計のもとで、確実な宗教票が1万~2万票あてがわれるというのは極めて大きな影響力を持つ。「政教分離」もなんのその。統一教会どころではない、固くてでかい宗教票である。そのように選挙区で自民党に恩を売り、かわりに「比例は公明」というバーターによって公明党も議席を獲得し、両者は持ちつ持たれつの関係でやってきたのだ。この四半世紀にかけて、実は単独ではやっていけなくなった弱体化している自民党を支え、持ちこたえさせてきた存在といっても過言ではない。自民党だけでは政権を維持できないけれど、公明党をとり込むことによって多数派を形勢できたのだ。しかし直近の衆院選、参院選まできてそれすらかなわず少数与党に落ちぶれてしまい、連立の枠組みが揺らぐなかでのリセットとなった。
与党大好きな公明党、自民党にぶら下がって利を漁る公明党という四半世紀をかけて出来上がった体質が変わるとは思えないものの、ここにきて公明党側から切り出した連立解消である。自民党がその他の政党との連立をよぎなくされているもとで、古女房が袖にされてキレているような光景にも見えて仕方がない。
そうして、さらに少数与党化した高市自民党が揺さぶりをかけられ、首相首班指名に向けて政局は流動化している。第2自民党や第3自民党のような連中がハッスルしている様もまたなんともしれないものがあり、どうしてこれほど人相が汚れているのだろうか? と思うばかりである。混迷した政治状況の根底にあるのは、政党政治の劣化であり、弱体化である。麻生二人羽織政権の誕生といっても、はじめから政権基盤は脆(もろ)いことを突きつけているのである。
吉田充春

















