いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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思わせぶりって腹が立つ

 なんのことはない。期待だけさせといて国民1人当り3~5万円の給付金支給の話はなかったことになった。石破政府は消費税減税についても応じることなく、7月の参院選に挑むそうである。何もしないならはじめから「議論」などしなければよいのに、アドバルーンを上げた後はもったいぶって「どうしようなか~」「どうしようかな~」とお茶を濁し、結局のところ「やっぱりなにもしない」におさまった。物価高でヒーヒーいっている国民の側は、一連のニュースにただただ愚弄されただけだった。バカなのか、それとも勇気があるのか、これが永田町界隈の悪戯なら選挙を前にしてよくも有権者を弄んだものである。もっともたちの悪い人の釣り方でもある。目立ちたいだけのインスタグラマー界隈じゃあるまいし、目の前に札束をちらつかせ、しかもちらつかせただけで最終的にはカバンに仕舞い込んでいく輩がいたとしたら、コイツ何がしたいのだろうか? と弄ばれた側は思うだろうし、随分舐められたものだと憤るのが当然だろう。そして、二度と相手をしないに尽きる。つきあえたものではないのだ。

 

 この間、自民党のなかでも参院選で惨敗することを心配して消費税減税を主張する者が出てきたり、立憲民主党も食料品に限って1年減税などというしょぼい減税案を打ち出したり、選挙に向けたポージングがたけなわである。選挙の直前になってにわかに叫ぶ減税ほどふざけたものはないが、物価高騰が止まらず国民生活の窮乏化が著しいなかにあって、これに無関心というわけにはいかず、各政党は昨今の経済情勢にどう向き合うのかが問われているのである。「何もしない」を選択した石破自民党は恐らくボロ負けする運命なのだろうが、見方によっては、どのみちボロ負けすることがわかっているから、むしろ「何もしない」ようにも見えるのである。

 

 2019年に山本太郎がれいわ新選組を立ち上げ、消費税廃止を叫んでいた頃はどこか際物扱いでもあった。ところが6年たってみてどうだろうか。ぶれずに消費税廃止を主張してきたいま、コロナ禍を経て、ウクライナ情勢とも絡んで物価高には歯止めがかからず、国民生活の底上げをはかるための現金給付や消費税廃止はもっともリアルで切実な政策にもなっている。そして、各党が真似するように減税を叫びはじめている現実がある。実際に社会情勢、経済情勢もその間に様変わりとなり、人々の暮らしを見たときに消費税減税、廃止は際物でもなんでもなくなっている。「そのぐらいさっさとやれ!」という声は多い。この4年間だけでも食料品物価は25%増ともいわれているなかで、仮に消費税を廃止したって屁の突っ張りにもならないのだ。減税どころか廃止でも間拍子合わず、家計の底上げをしなければ見合ったものではない。


 7月の参院選は、自民党大惨敗が既定路線のようにも見える。そのうえで、自民党から離れていく票の受け皿として以前は維新を売り出していたものの、この党勢に陰りが見えたところで今度は国民民主党があからさまにメディアに持ち上げられ、こうした第二自民党、第三自民党ともいえる政党が弱小自民党と連立を組んでしのいでいくというコースが見え見えである。その他にも新興の政党が、いったい誰がカネを出しているのだろうかと思うほど目くらましのように立ち上げられて有権者の視線をSNS等でかき乱し、現行の政治に対する批判票を分散させていく役割を果たすのだろう。自民党一党による安定が崩れたら自公連立となり、それも行き詰まったら散らし&合従連衡による政権運営というのだろう。

 

 こうした混沌とした政治状況のもとで伸びしろに期待しているのは永田町の異端ことれいわ新選組で、この6年間の闘いが意味深いトレーニングだったのだとしたら、さらに爆発的に勢力拡大しておかしくないタイミングのように思う。「空気を読まないバカにしか、この国は変えられない」のである。

 

吉田充春             

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