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エプスタイン問題とは何か トランプ政権の足下を揺さぶる未成年人身売買疑惑 腐りきった特権層の生態

(2026年3月16日付掲載)

1997年、米フロリダ州パームビーチの「マール・ア・ラゴ」で撮影されたジェフリー・エプスタイン㊧とドナルド・トランプ

 米国のトランプ政権がイスラエルとともにイランへの大規模攻撃を開始した背景に米国の内政問題があることが指摘されている。戦争に明け暮れて米国を没落させた旧来の権威勢力を「ディープステート(闇の勢力)」と批判し、その解体を叫んで昨年1月に返り咲いたトランプ政権だが、物価高や移民排斥、関税政策の失敗などで支持率は30~40%台と低迷。11月に中間選挙を控えるなかで追い打ちをかけたのが、世界中のエリート層や著名人らと人脈を持ち、未成年の性的人身売買ネットワークを構築していたジェフリー・エプスタイン問題だ。今年に入り350万㌻に及ぶ関連文書が公開され、倫理的に最も重い犯罪の常習者と癒着した各国特権層の腐った生態が世界に衝撃を与えた。トランプもその一員であったことが暴露され、岩盤支持層「MAGA」内でも亀裂が拡大し、真相解明を求める世論は高まる趨勢にある。

 

国際社会を巻き込む大問題に

 

 ジェフリー・エプスタインは1953年にニューヨークのユダヤ人家庭に生まれ、高校教師(すぐに免職)、投資銀行ベアー・スターンズ勤務を経て、1982年に資産管理会社を設立。2000年代初頭までに富豪と呼ばれる地位に登り詰めたが、いかにして巨額の富を蓄積したのかは現在も不明な点が多い。6億㌦(約1000億円)超の不動産やプライベート・ジェット機、ニューヨークの超高級邸宅(800億円相当)、カリブ海の無人島や3000㌶超の広さを持つニューメキシコ州の牧場などを保有し、その裕福な暮らしぶりが耳目を集めていた。

 

 1994年、フロリダ州パームビーチでエプスタインの最初の未成年性的虐待疑惑が浮上する。高級リゾート地のパームビーチ(橋で繋がった小島)は税制優遇(所得税・相続税免除)があるため超富裕層が多く暮らし、一般人が立ち入れない閉鎖的な社交空間が築かれた「セレブの楽園」と呼ばれる。不動産業者だったトランプもここに別荘兼リゾート施設を所有し、1985年ごろからエプスタインと親交を深めた。

 

 「娘が“お金がもらえるマッサージの仕事だ”といわれてエプスタイン邸に行き、裸にされて性行為を強要された」――2005年に被害少女(14歳)の親からの通報を受けて、地元警察が捜査に乗り出した。その後、警察が発表した内容によると、エプスタインは1990年代から2000年代にかけて、パートナー女性のギレーヌ・マックスウェルとともに、14~17歳の少女たちに「マッサージの仕事」と偽ってパームビーチの私邸に招き、200㌦(約3万円)程度を支払って性的行為を強要。紹介料を支給して、被害少女に新たな少女を紹介させるピラミッド型ネットワークを構築し、20年にわたり数十人の未成年を含む女性をその餌食にしていた。

 

 被害者は経済的に困窮した家庭であったり、家庭環境に問題を抱えている少女が多かったとされ、モデルや芸術家を目指す少女たちに「有名人に紹介する」という言葉で勧誘し、脅迫しながら心理操作していたことも明らかになった。

 

 だが、捜査を担当したフロリダ州司法長官は、起訴判断を大陪審(一般市民が起訴相当性を判断する非公開機関)に委ねる異例の措置をとり、大陪審では40件超の被害者証言や捜査記録を審理させながら、「18歳女性の売春斡旋(あっせん)」1件のみでの起訴。人身売買・未成年虐待罪による終身刑が確実視された連邦法での起訴ではなく、州法による軽罪扱いでの起訴となり、禁錮18カ月(自由な外出許可つき)の判決となった。

 

 この優遇措置の背景には、エプスタインが雇った有力弁護士や政財界からの働きかけを受けた連邦検事アレクサンダー・アコスタ(その後にトランプ第一次政権の労働長官に就任)がエプスタインとの間で、軽微な罪を認めるかわりに減刑する司法取引がおこなわれたことがある。後にこれが批判を集めて2019年、アコスタは労働長官辞任に追い込まれた。

 

 司法取引によってメディアも事件の幕引きを図り、わずか13カ月で出所したエプスタインに対して、被害女性たちは法廷闘争を開始した。

 

 2015年、被害女性の1人であるヴァージニア・ジュフリー氏は、2000年(当時17歳)ごろ、ニューヨークやロンドンの私邸、またはカリブ海にある私有島「リトル・セント・ジェームズ島」(通称エプスタイン島)などでエプスタインに性的行為を強要されたと実名で告発。彼女はパームビーチのトランプ所有リゾート施設「マールアラーゴ」で働いているときにマックスウェルから「マッサージ療法を学び、専門技術を学びながら大金を稼がないか?」との声掛けでエプスタイン邸に連れて行かれて以降、性奴隷扱いを受けるようになり、英国王室のアンドルー王子、保守系有力弁護士のアラン・ダーショウィッツ、元ニューメキシコ州知事ビル・リチャードソンなど著名人ら五人との性行為をくり返し斡旋されたと裁判で証言した。

 

 告発を受けた著名人らは彼女の証言を否定して名誉毀損で逆提訴し、英国と米国をまたぐ事件であったため警察も捜査に動かず、訴訟は和解に持ち込まれた。このとき証言録や捜査文書は「永久非公開」の条件で封印された。(あらゆる誹謗中傷や脅迫の的となったジュフリー氏は2025年4月にオーストラリアの自宅で自死している)

 

 しかし、この訴訟を皮切りに、被害女性たちの動きはエプスタインをめぐる司法取引の不正暴露と再捜査を求めるキャンペーンへと拡大する。

 

エプスタインの死 裁判打ち切り真相は闇

 

 2018年に米紙『マイアミ・ヘラルド』が被害者80人超のインタビューを連載で公開するなどして世間の関心を集め、FBIが司法取引の違法性をめぐり再調査を開始。2019年のエプスタイン邸の捜査では数え切れない数の少女や女性の裸体写真やメモが押収され、同年7月、エプスタインとマックスウェルは性的人身売買容疑で逮捕された。

 

 ところが1カ月後の8月10日、エプスタインは拘留されていたニューヨークの拘置所で死亡する。

 

 検死官は「首つり自殺」とし、司法長官もそれに同意したが、死の数日前に自殺監視リストから外されており、看守2名がその日に限って「巡回を怠り」、独房監視カメラも2日間だけ「故障」で記録映像がなかった。遺体に複数の骨折(首つり自殺では稀)があったことから、遺族が依頼した検死官は「他殺が濃厚」と証言している。

 

 死の前日には、ジュフリー氏の訴訟で封印されていた捜査資料(約2000㌻)が公開され、被害者の詳細な証言やアンドルー王子、ビル・クリントン元米国大統領のほか、米ヘッジファンド投資家グレン・デュビン、仏モデル事務所経営者のジャン=リュック・ブルネルなど、犯罪に関与した疑いのある著名人の実名が明かされていた。その真相解明が進むと思われた刑事訴訟は、被告死亡により打ち切られることになった。

 

 裁判を前にしたエプスタインの死は「真相隠しのための口封じ」という疑念を広げ、エプスタイン事件の闇の深さと醜悪さを世間に実感させることになる。フランスで若いモデルをエプスタインに紹介するなど人身売買に関与した疑惑で逮捕されたジャン=リュック・ブルネルも後を追うように2022年2月、パリの拘置所内で自死している。

 

 この不可解な顛末は、エプスタインの異常な生態だけでなく、その人身売買ネットワークの大きさと、それを長年放置したあげく、「顧客リスト」などの全貌解明を司法や警察まで使って隠蔽する特権層の隠然とした力を見せつけるものとなり、被害者や社会の関心は、捜査や裁判記録開示による真相究明、ネットワーク全体の責任を追及するものへと発展した。

 

被害者たちの告発 世界の著名人に性接待

 

性的人身売買の舞台となった米領ヴァージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島

 エプスタインの死によって打ち切られた裁判の公聴会(2019年8月27日)では、意を決して名乗り出た14人の被害女性たち(被害当時14~17歳)が涙ながらに、エプスタインの死による裁判打ち切りへの怒りとともに、パームビーチやリトル・セント・ジェームズ島での性被害体験を詳細に証言。「2008年の司法取引は違法」「被害者への通知なしで正義が奪われた」「エプスタイン単独ではなく著名人を含む国際組織犯罪だ」と司法の不作為を糾弾した。

 

 彼女らの証言録は「宣誓供述」(虚偽の場合は法的責任を負う)として公開され、ここから次第に隠されていた人身売買ネットワークの実態が明るみに出始め、資料公開を拒む政治・司法に対して開示を求める国民世論が高まっていく。

 

 なかでもカリブ海の米領ヴァージン諸島のリトル・セント・ジェームズ島(エプスタインの私有島)は、エプスタインが連れてきた少女たちを滞在させ、定期的に訪れる各国の富裕層たちに淫らな行為を強要する無法島と化していたことが暴かれて衝撃を与えた。被害者らは、脅されて「1日3回の性行為」「乱交パーティー」を強要されたとおぞましい体験を証言している。

 

 被害者証言やエプスタイン専用機「ロリータ・エキスプレス」のフライトログなどの資料によれば、アンドルー王子、クリントン元大統領(26回以上の搭乗)、ハワード・ラトニック米商務長官、ビル・ゲイツ、ドナルド・トランプ、イーロン・マスク、ケイシー・ワッサーマン(2028年ロス五輪組織委会長)、エフード・バラク元イスラエル首相、ケビン・スペイシー(俳優)などの上陸疑惑があるが、最近公開された資料では著名人150人超が島を訪れたとされており、実名が明らかになったのは氷山の一角に過ぎない。このうち刑事処分に至ったのは、エプスタインのパートナーのマックスウェル(2022年に性的人身売買罪で懲役20年が確定)だけだ。

 

 エプスタインが主導した性的人身取引は、米国内のニューヨークやフロリダ、欧州のロンドン、パリ、カリブ海の島などを横断しておこなわれ、その異常な性癖を満たすために集まった富裕層との間で、投資ビジネスや政治的利益を確保する場として使用されていた。

 

 エプスタインは著名人らのこれらの行為を隠しカメラで撮影しており、それを投資誘致や自身優遇の交渉材料にするハニートラップ的要素もあったとみられる。

 

 エプスタインの死後に設立された被害者補償プログラムでは150人の女性が認定され、公開された「FBIメモ」では被害者は1000人以上におよぶと推定されている。

 

トランプの情報隠蔽 共和党の分裂が加速

 

 米国内犯罪にとどまらず多国籍ネットワークによる「特権層の腐敗システム」が徐々に明らかになると、エプスタイン文書(捜査記録や証言、裁判記録)の開示要求は一層高まり、「ディープステートと戦う」と宣言して2025年の米大統領選で再選したトランプも選挙前には「当選すればエプスタイン文書を開示する」と明言していた。トランプ支持層からも民主党エリート層を攻撃する材料になると見なされていたからだ。

 

 ところが就任後の2025年2月に開示したのはわずか200㌻で、7月に公開されたFBIメモには「顧客リストは発見されず」「資料の多くは裁判所命令により封印」と記され、司法省とFBIは「これ以上の情報開示はしない」と宣言。これには「ディープステート暴露」を追及するトランプ岩盤支持層「MAGA」も激怒し、トランプ離れが加速した。

 

 トランプが「エプスタイン問題は人気取りのフェイクニュース」「民主党がでっち上げた作り話」などといって文書公開に消極的になったのは、公開すればトランプ自身の足下をすくわれるからにほかならない。

 

 ついに2025年11月、共和党の一部が分裂し、民主党とともに文書公開を義務づける「エプスタインファイル透明化法」を上下両院で可決。トランプ自身も署名せざるを得なくなり、同年12月から2026年1月にかけて文書約350万㌻、動画約2000本、画像18万枚規模にのぼるエプスタイン関連資料が順次公開された。

 

 だが公開資料は、犯罪の直接証拠にあたる部分が欠落し、「顧客リスト」は不存在とされ、トランプ自身の直接関与が疑われるパームビーチ事件の大陪審捜査記録(100㌻超)が完全に黒塗りで共謀者や証人の名前も伏せられていたほか、トランプのエプスタイン専用機搭乗記録やメールの内容も黒塗りであるなど、「被害者保護」を名目にしてトランプに不都合な部分は意図的に除かれていた。

 

 民主党のロー・カンナ下院議員は「司法省は600万㌻以上を特定したとしているが、調査と編集の末に公開したのは350万㌻に過ぎない」とその不十分さを指摘している。

 

 黒塗り文書の公開に対しては、共和党議員の一部からも「ディープステート保護の裏切り行為。公開するか辞任のどちらかだ」とトランプを公然と批判する声が出始め、離党があいついだ。年明けから米国議会はこの問題の追及一色に染まり、エプスタイン文書を隠蔽した疑惑でボンディ司法長官、エプスタインとの親交が明らかになったクリントン元大統領夫妻、ハワード・ラトニック商務長官らが召喚されて追及を受け、文書公開を拒否し続けたトランプの召喚も要求されている。

 

 トランプは共和党内の批判者を「愚かな人々」と一蹴するも、支持率調査ではMAGA層は「10~15%減」と報じられ、今年11月の中間選挙で共和党は40議席減らすとの予測も複数出始めている。

 

 エプスタイン文書にはトランプの名前が数万回登場すると報じられ、トランプは1990年代にエプスタイン専用機でパームビーチとニューヨーク間を少なくとも7回飛行したことが判明している。2002年にはトランプはインタビューでエプスタインを「彼とは15年来の付き合い。素晴らしい奴で一緒にいるのは楽しい。若い女性が好きなのも同じだ」と発言。両者とも社交界で影響力を持ち、結婚式にも同席する仲でありながら、直接関与を示す記録が出てきていないのはあまりにも不自然といえる。

 

 文書開示により、トランプを擁護するかわりに実名やエプスタインとのかかわりが暴露された各国の著名人らが次々に職や地位を失っている。

 

 【上の表】に示した者たち以外にも、スルタン・アフメド・ビン・スレイエム(アラブ首長国連邦の港湾管理会社DPワールドCEO)が職を辞任。ブラッド・カープ(米大手法律事務所会長)も職を辞した。ジャック・ラング元仏文化相はアラブ世界研究所所長を辞任。ミロスラフ・ライチャーク元スロバキア副首相兼外相も首相顧問を辞任するなど、世界的な波紋はとどまるところを知らない。

 

 日本では、千葉工業大学学長の伊藤穣一氏(AIなどデジタル分野の専門家でMITメディアラボ所長をはじめ日米官民組織の要職を歴任)の名前がエプスタイン文書に1万回登場して物議を醸し、本人は「不正への関与は一切ない」としている。だが、メール記録や資金提供、エプスタイン島訪問などの事実から、2019年にMITメディアラボ所長を辞職、デジタル庁有識者会議委員の辞任も表明している。

 

 国際社会を巻き込む騒動に発展するなか、米国内では「エプスタイン疑惑の全容解明」が11月の中間選挙の重要な争点として浮上し、レームダック化が確実視されるトランプ政権の足下を揺さぶっている。中間選挙で大敗すれば違憲行為による大統領弾劾も視野に入ってくる。今年1月のベネズエラ急襲、2月末から始まったイラン攻撃がトランプ政権の「ディバージョナリー・ウォー(目くらまし戦争)」と呼ばれる由縁だ。

 

米司法省が公開したジェフリー・エプスタインに関する資料の一部

「イスラエルの情報源」説 モサドとの濃厚な関係

 

 いまだ全容解明にはほど遠いエプスタイン問題だが、平凡な家庭に生まれ、一介の投資家に過ぎなかったエプスタインが世界中のエリート層に人脈を広げ、膨大な資産を手にしていた背景の一つに、イスラエル(諜報機関モサド)との深い関係性が指摘されている。

 

 「エプスタインはイスラエルの情報源だった」――一般に陰謀論として片付けられる見方だが、公開されたエプスタイン文書には、エプスタインを追跡したFBI潜入捜査官が「(彼は)モサドに取り込まれた工作員」だと報告した資料も含まれ、エプスタインはモサドのために「スパイとして訓練された」と描写されていた。

 

 モサドとは、イスラエル首相府直轄の諜報組織(推定9000人)で、イスラエルの国家安全保障を支える対外諜報活動を任務とし、これまでもミュンヘン五輪事件の報復として欧州各地でパレスチナ人暗殺計画(1970~80年代)を実行したり、イラク核施設爆破事件(1981年)、ハマス幹部毒殺未遂事件(1997年)など数々の事件で暗躍してきた。最近ではイラン核化学者暗殺(2010年代)、イランでのハマス幹部爆殺(2024年)、そして、今年2月のイラン最高指導者ハメネイ師殺害が計画通り実行されたのも、CIA(米中央情報局)と情報を共有するモサドの提供情報によるものと見なされている。

 

 エプスタイン自身もユダヤ人家庭に生まれたが、パートナーのマクスウェルの父親ロバート・マクスウェルは、英国メディア王として名をはせた「モサド工作員」と複数メディアが断定する人物で、1991年にロバートが不可解な事故死を遂げたさいには、イスラエル政府が「モサドへの多大な貢献」を認めて国葬級の葬儀をおこなったことも知られている。

 

 公開されたエプスタイン文書では、FBI捜査官の証言として、エプスタインが2007年にパームビーチ事件で捜査を受けたさい、弁護士アラン・ダーショウィッツ(著名な親イスラエル派)が連邦検事アコスタに「エプスタインはアメリカと同盟国(イスラエル)のいずれの情報機関にも所属している」と告げ、その後にモサドが司法長官に介入して、違法な司法取引がおこなわれたことが記されている。

 

 そのほかにも、エプスタインはエフード・バラク元イスラエル首相と親密な関係を持ち、公開された通信記録では自宅訪問、自家用機同乗、資金援助などの長年にわたる膨大な交友関係が明らかになっている。『アルジャジーラ』などの報道では、エプスタインのメール記録からも、彼がバラクの側近であり、イスラエルのベテラン情報要員ヨニ・コーレンと密接な関係であったことが明らかになっているという。コーレンはバラク政権時代にイスラエル軍の情報機関トップを務め、エプスタイン邸に定期的に滞在していた。

 

 これらの国家的な力を背景にして、各国の有力者と結びつき、弱み(少女売春等)を握ることで得た政財界の機密情報をイスラエルに提供する役回りであった可能性が次第に有力な見方になりつつある。

 

 今年1月、トランプ一次政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオが「街頭にいるすべてのイラン人、その隣を歩くすべてのモサド工作員の皆さん、おめでとう」と意味深なSNSに投稿し、モサドがイラン国内の反政府運動に深く介入していることを匂わせたが、米国内では、エプスタイン疑惑の核心的情報を握るイスラエルのネタニヤフ政権が、それをカードにしてトランプをイラン攻撃に踏み切らせたという説がまことしやかに主張されている。

 

 今年に入ってから狂ったように軍事行動に明け暮れるトランプの動向について、日本の主要メディアでは、「独裁体制から民主化への誘導」「イランの核開発阻止」「中国の覇権を阻止する軍事戦略」などの高尚な考察がなされているが、法的手続きも出口戦略もない闇雲なイラン攻撃は、エプスタイン問題をはじめとする疑惑で追い詰められたトランプ政権の窮余の策というほかない。

 

 未成年の性的人身売買に手を染めたあげく、みずからの権力維持のためには手段を選ばない彼らこそ人間の皮を被った獣(ヒューマンアニマル)にほかならず、見境のない戦争と殺戮はその延長線上でおこなわれている。欧州各国でもアメリカの軍事行動から距離をとる動きが加速するなかで、「日米同盟の黄金期」(高市首相)などといってトランプを礼賛し、その戦争の渦にみずから足を突っ込もうとする日本外交の危険性が改めて浮き彫りになっている。

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