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下北半島の核施設

 8日深夜に青森東方沖を震源とするM7・5、震度6強(八戸市)を記録する大きな地震が東北・北海道地方を襲った。震源が54㌔と深かったこともあるが規模としては大きく、気象庁は北海道から三陸沿岸にかけて後発地震への備えを呼びかけている。

 

 最大震度を記録した八戸といえば青森県の東側、岩手県寄りの地域であるが、そこから北東にまさかりのように突き出して陸奥湾の東側を囲い込むようにして伸びているのが下北半島である。今回の地震でもっとも懸念されるのは、下北半島が国内でもよそに例のない軍事施設と核関連施設の集積地であり、場合によっては東日本大震災の際の福島第1原発事故の二の舞いにもなりかねない危険性を伴っていることだ。

 

 北海道と向かい合った下北半島の先端にはマグロ漁で名を馳せている大間町があり、そこでは電源開発がMOX燃料を燃やす予定で原子力発電所を建設中である。太平洋に面した下側の東通村にも東電と東北電の原子力発電所があり、むつ市には使用済み核燃料中間貯蔵施設がある。そして半島の真ん中に位置する六カ所村の核燃料サイクル施設には、再処理工場、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、MOX燃料工場がある。核燃料サイクルが破綻しているもとで、六カ所村の再処理工場のプールには全国の原発から使用済み核燃料が持ち込まれて満杯になっており、処理しきれないためむつ市に「中間貯蔵施設」をこしらえてしのいでいるのが実態だ。「中間」とは名ばかりで、実際には行き場のない核ゴミの墓場なのである。それも満杯なものだから、山口県の上関に追加で中間貯蔵施設を建設しようというのである。

 

 自然環境の厳しい貧しい地域だったのに目を付けて、国策として核関連施設の建設を持ち込み、下北半島は戦後からこの方の原子力政策に振り回され、草刈り場と化した地域である。そうして今や全国から持ち込まれた大量の使用済み核燃料が眠る場所となり、地震や津波によって万が一の出来事が起こった場合には、とり返しのつかない事態につながる危険性をはらんでいるのだ。

 

 気象庁の説明によると、今回の地震は日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域に影響を与える場所で発生したもので、この地震の発生によって北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域では、M8クラス以上の新たな大規模地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっているという。そして「想定されている最大クラスの津波を伴う巨大な地震が発生した場合、太平洋沿岸などの広い範囲で高い津波が到達する」と警戒を呼びかけている。まだまだ予断を許さない状態である。

 

 巨大地震が起こる度に身構えてしまうのは、福島第一原発の爆発事故という人類史上最悪の原子力災害を身をもって経験したからにほかならない。それはわずか14年前のことで、今もって汚染水を垂れ流し、デブリ回収など目処すら立たない状態である。ところが一方では性懲りもなく原発の再稼働をやり、福島の二の舞いになっても知ったことかという政治が繰り返されている。福島事故の責任など誰一人問われることなく、逮捕されることもなく、東電にいたっては倒産するわけでもなく補償はすべて国におんぶに抱っこ。すべてが有耶無耶のままに原子力村は息を吹き返し、巻き返しに出ているのである。地方に暮らす住民の生命や安全を犠牲にして――。

 

 青森における地震報道に際して、下北半島の核関連施設の危険性について触れるものは皆無である。「ただちに影響はありません」と欺いて爆発事故まで至ったのが福島の前例であり、地震・津波の危険性に加えて、こうした施設の安全性がどうなっているのかもその都度注視すべきである。

武蔵坊五郎                     

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