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なぜ今イージス・アショア配備なのか? 情勢に逆行する不沈空母化

米軍需産業にカモにされて…

 

 山口県萩市と秋田市への配備を計画する「イージス・アショア」について安倍政府が現地調査に踏み切り、5年後の2023年度には運用を目指す強引な動きを見せている。朝鮮半島を巡る軍事的な緊張は南北会談や米朝会談を経て変化し、東アジアにおいてはミサイルなど軍事威嚇の応酬ではなく、対話で平和を目指す流れが加速している。このなかで大慌てでイージス・アショアを配備する意味は薄れ、むしろ近隣諸国との友好平和を築くことこそ最大の安全保障政策であるのに、なぜ安倍政府は導入を急いでいるのか? 記者座談会で論議した。

 

ルーマニアに配備されたイージス・アショア

  米朝会談では朝鮮戦争の終結を目指し、対話で朝鮮半島の平和を目指す方向が明らかになった。北朝鮮は核実験施設の閉鎖やミサイル発射場の破棄に加え、ミサイルエンジンの試験場を閉鎖することも明らかにした。アメリカも米韓合同軍事演習をやめると表明している。日本も米朝会談の翌日に菅官房長官が「日本にいつミサイルが向かってくるかわからない状況は明らかになくなった」と明言し、22日の記者会見では九県(栃木、香川など)で予定していたミサイル避難訓練を「当面中止する」と正式発表した。ところがイージス・アショアについては「やめる」とも「再検討する」ともいわない。

 

 そしてやったのは配備候補地への説明会だった。今月、萩市の阿武、むつみ地域、萩市中心部で中国四国防衛局が開いた説明会では、住民が「なぜ今の時期に必要なのか」と疑問をぶつけ、「郷土をミサイルの標的にするわけにはいかない」と配備撤回を求める声が圧倒した。それでも防衛局側は「北朝鮮がわが国を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有し、しかも発射台付車両や潜水艦を用いてより奇襲的に弾道ミサイル攻撃ができる能力を急速に高めており、24時間、365日、わが国を弾道ミサイルの脅威から守る体制の構築が急務だ」と強力に主張した。防衛省は現地調査の実施業者を選ぶ一般競争入札も公告した。

 

  その後、小野寺防衛相が山口県と秋田県を訪問し、また「北朝鮮は日本に届く弾道ミサイルを数百発配備し、おそらくかなりの核弾頭を保有している。北朝鮮の脅威はなにも変わっていない」と強調した。山口県の村岡嗣政知事は「地元で心配が高まっている。詳細で丁寧な説明をいただきたい」とのべ、みずからの態度は明確にしなかった。一方、当初「北朝鮮と緊張状態にあるならどこかが引き受けなければ…」との姿勢を見せていた秋田県の佐竹敬久知事は「脅威が薄らいだと訓練を中止しておき、(配備を)急ぐのは一貫性がない」「具体的な説明をもって納得できる状況を作ることなしに強行するのは大変不本意」と反発し「今の段階ではまだ是ではない」と強調した。秋田市の陸自新屋演習場は民家や学校がすぐ近くにあり、イージス・アショアが発する電磁波の影響を指摘する声も強い。

 

  安倍首相は、米朝の共同声明発表後も「イージス・アショアは国全体の抑止力につながる。国民に真に必要な防衛力はしっかりと強化を図っていく」とのべ、導入方針を変えないと明言した。現在の国際情勢の変化を見ると、日本やアジア地域の平和にとってイージス・アショアの配備は逆効果にしかならないのだが、それでも「聞く耳なし」で前のめりな姿勢を見せている。

 

  ミサイル騒動について終始頓珍漢だと思うのは、「飛んでくる!」といってJアラートを鳴らしたり、地ならしみたいなことばかりしているが、そもそもの想定からして非科学的で非現実的なことばかり続いている。建物のなかに隠れたり、いわんや頭を抱えて伏せてもミサイル攻撃からは防御などできない。本来なら、ミサイルで狙い狙われるような物騒な関係ではなく、外交によって友好な関係を切り結んでいくのが安全保障政策としては王道だ。「圧力だー」「制裁だー」といい続けて朝鮮半島情勢の蚊帳の外に放り出されているが、喧嘩腰外交ばかりして国土がミサイル攻撃の標的になるのだったら、これほど愚かな選択はない。「ミサイルが飛んでくる」の前提からしてどうなのかと冷静に考えないといけない。

 

守るのはハワイとグアム

 

 A 「ミサイルの脅威」が遠のき、地元住民が総反発するなかで、なぜイージス・アショアの配備を急ぐのかだ。それはイージス・アショアがこれまでの迎撃ミサイルとは段階を画す性能を備え、日本全体の「ミサイル防衛」体制をも大きく変える意味合いをもつからだ。

 

 現在、日本の「ミサイル防衛」は海上配備のイージス艦が大気圏外でミサイル弾頭を迎撃し、陸上からは「パトリオット」(PAC3)が迎撃する二段構えの体制をとっている。PAC3は千歳(北海道)、車力(青森)、入間(埼玉)、霞ヶ浦(茨城)、習志野(千葉)、武山(神奈川)、岐阜(岐阜)、饗庭野(滋賀)、白山(三重)、芦屋(福岡)、築城(福岡)、高良台(福岡)、那覇(沖縄)、知念(沖縄)と日本列島に沿う形で全国一四カ所に配備している。

 

 さらにミサイルを監視するFPS5レーダー(ガメラレーダー)を大湊(青森)、佐渡(新潟)、下甑島(鹿児島)、与座岳(沖縄)の四カ所に配置している。だがミサイル落下時を狙うPAC3の射程距離は15~20㌔㍍で、長距離弾道ミサイルには対応できない。そのため「北朝鮮のミサイル!」と大騒ぎする動きのたびに「射程距離の長いミサイルが必要だ」と新しいミサイル配備を検討してきたのが自民党だった。当初、移動式のTHAAD(高高度ミサイル迎撃システム)が検討俎上に上ったが「射程距離(約200㌔㍍)が短い」と却下している。

 

 そして過去最大規模の米韓軍事演習で緊張が高まっていた昨年3月、自民党安保調査会が「北朝鮮対応策に必要」と主張し、安倍首相に早期導入を提言したのが明確な「攻撃兵器」であるイージス・アショアだった。

 

  イージス・アショアはイージス艦に積んでいたミサイルを陸上に移したものだが、ここに搭載予定の新型ミサイル「SM3ブロック2A」は射程距離が2000㌔に及ぶ。PAC3の射程距離を一気に100倍に拡大し、中国やロシアなども攻撃射程圏内に収めるものだ。「日本を守る」という以上に、射程圏内に収められる近隣諸国にとっては地上固定型のイージス艦みたいな軍事的脅威になる。

 

  イージス・アショアで発射するトマホークは通常1200~2500㌔㍍の射程を持つが、飛距離の長いものは3000㌔㍍に及ぶ。山口県から平壌までの距離が約1000㌔㍍であり、約2000㌔㍍離れた北京も射程圏内に入る。秋田県からはウラジオストク(約800㌔㍍)や、オホーツク(約2000㌔㍍)なども射程圏内だ。イージス・アショアの配備は「迎撃」や「防衛」を口実にした攻撃態勢をとることにあり、このような兵器を常時陸上に配備すること自体が近隣諸国に対する軍事挑発となる。

 

  もともとイージスシステムは、米軍が日本に特攻攻撃を受けた経験から作られた経緯がある。それは遠方より飛来する十数機の特攻攻撃を瞬時にたたきつぶすため、相手より早く先制攻撃を仕掛けるシステムだ。それが「神の盾(イージス)」と名付けられる由来にもなった。米軍が昨年4月にシリアを攻撃したが、このときトマホークを59発撃ち込んだのは米軍のイージス艦2隻だった。つまり「24時間、365日間の監視体制をとる」というのは、「近隣諸国を24時間、365日いつでも攻撃できる体制をとる」ということだ。

 

  実際にアメリカが2013年、「イランのミサイルの脅威」を口実にしてルーマニアとポーランドへイージス・アショア建設を開始したとき、ロシアが猛反発し、イージス・アショアから「迎撃」以外のミサイル発射機能を除去させた。それでもロシア側は「いつでも改造することができる」と警戒し、対抗措置でイージス・アショアを射程圏内に収めたミサイルを配備した。

 

 今回のイージス・アショア導入でも、カムチャツカ半島周辺を「対米防衛線」と位置づけているロシアが「この装備(イージス・アショア)は米軍が管理している。そのことについて心配がある」と懸念を示した。小野寺防衛相は「米軍ではなく、日本の自衛隊がみずから運用する」と説明したが、ロシアは相手にせず、千島列島に地対艦ミサイルを配備する計画を明らかにした。こうした他国の対応は、防衛相のちぐはぐな説明よりずっと正確にイージス・アショア配備がもつ意味合いを示している。

 

  また配備候補地が萩と秋田になったのは日本を網羅するためではない。萩が中国や朝鮮半島からグアム向けに飛ぶミサイルの軌道線上にあり、秋田はハワイ向けの軌道線上にあったからだ。イージス・アショアが守る対象は、米太平洋軍司令部があるハワイと在沖海兵隊の移転先であるグアムであって、日本列島ではない。候補地選定の経過を見ても最初から萩と秋田に配備する方向で動いていたことがうかがえる。昨年3月に自民党安保調査会が安倍首相にイージス・アショア導入を提言し、昨年12月に2基導入を閣議決定し、今年5月に小野寺防衛相が「候補地は秋田と萩」と明言した。だが昨年3月に「X国の弾道ミサイルが落下した」という想定で全国初のミサイル避難訓練を実施したのは秋田県男鹿市だった。そして昨年6月に全国2番目にミサイル避難訓練を実施したのは山口県の阿武町だ。当時、「こんな田舎にミサイルが飛んでくるのか」「なぜ秋田と阿武なのか」との疑問も出ていたが、なるほどそういうことだった。数カ月後にはイージス・アショア配備候補地になっていた。国民のまったく知らない所で、萩や秋田をミサイル拠点にすることも含めた攻撃拠点化計画が動き出していたことをあらわしている。

 

昨年6月に阿武町で行われた弾道ミサイル避難訓練

 A イージス・アショア設置を巡っては、レーダーの影響を問題にする住民もいる。確かにレーダーの電波がもたらす影響はあり、イージス艦の乗員はレーダー稼働中、甲板に出て活動することは禁じられている。しかしそれ以上に心配なのは、萩と秋田が他国を先制攻撃する拠点となり、真っ先にミサイルが飛んでくる標的となるなら、環境汚染どころでない被害をもたらすことだ。他人を殴ろうとする場合、当然他人からも殴られることを覚悟しなければならないのと同じで、無傷では済まないということだ。標的に名乗りを上げるのに等しい。ミサイル攻撃や迎撃の最前線に躍り出ることを意味する。

 

  「防衛省から補助金が下りてきて、経済活性化になるじゃないか」という意見もあるが、沖縄や岩国、さらに原発立地点の現実について考えてほしい。福島第一原発の周辺を例に見ても、一度あのような大惨事が引き起こされると人の住めないゴーストタウンと化してしまう。それまで電源交付金で作ってきたデラックスな施設もみな無意味なものになった。どれだけ建物が大きくても利用する住民がおらず、30㌔圏内は町が丸ごと壊滅状況に追い込まれたのだ。一時的な豊かさに満たされたとしても、カネと引き替えに差し出した代償はあまりにも大きかった。過疎地を原発立地や基地依存にするために“地獄の沙汰もカネ次第”の手法が用いられるが、その地獄がお目見えしたら水の泡なのだと福島を取材した際に思い知らされた。

 

近隣諸国との友好が最大の安全保障

 

  もう一つの問題は「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」と迫るアメリカのいいなりになって、日本が高額兵器をせっせと買い込んでいることだ。イージス・アショアの本体は米ロッキード・マーチン製で、取引はアメリカ側がいつでも値段を変えられる有償軍事援助(FMS)を適用する予定だ。一基の設置費は当初約800億円としていたが、現在は「1000億円弱になる」と大幅に値上げした。FMS制度によってまだ値段がはね上がる可能性もある。

 

  搭載に向けて開発中のミサイル「SM3ブロック2A」は四発と関連装備で150億円もかかり、これまで迎撃実験に2度失敗している。このミサイルシステムの調査・開発に要した費用は04~17年で約1兆8450億円に及び、イージス・アショア2基の導入費が加われば2兆円をこす。「日本の国防」といいながら、米軍需産業の売上に貢献している日本政府の姿は露骨だ。このような軍事費を増額していく一方で、福祉を切り捨てて医療費や介護費の自己負担を増やし、消費増税などで国民に負担を強いている。イージス・アショアだけでなくオスプレイやF35戦闘機など高額な米国製兵器を買い込んでいるが、米軍需産業のカモにされていることも見過ごせない。米国そのものは軍事予算が削減傾向にあるなかで、どうも米軍需産業が日本に寄生してきている印象だ。戦争や紛争がなくなれば商売上がったりの関係で、“死の商人”といわれる所以だ。

 

朝鮮半島有事を想定して自衛隊との共同訓練をする米空母カールビンソン(2017年4月)

  萩や秋田へのイージス・アショアミサイル配備計画と連動して、岩国基地への空母艦載機部隊移転、佐世保への日本版海兵隊(水陸機動団)配備、築城基地の滑走路延長、南西諸島への自衛隊配備、辺野古への新基地建設など全国で軍備増強計画が一気に動き出している。アメリカは度重なる戦争で巨額の戦費が財政を圧迫しており、日本に肩代わりさせる動きを加速している。そのなかで米軍はグアムなど、いわゆる「第二列島線」と呼ばれる安全な後方へ下げ、その代わりに自衛隊をアジアに面した「第一列島線」で矢面に立たせる軍事配置を進めている。この動きは決して萩や秋田だけ切り離れた単独の計画ではない。

 

  大きな流れでいえばイージス・アショア配備も日本全土を米軍基地化する米軍再編計画の一環だ。その第一の計画は自衛隊司令部をみな米軍傘下に組み込むことだった。キャンプ座間にはワシントンにあった米第1軍団司令部を移転させ、そこに陸自司令部を一体化させた。在日米軍司令部と第五空軍司令部のある横田基地には、空自航空総隊司令部とミサイル発射情報を扱う日米共同統合運用調整所を配置し、横須賀には米第7艦隊司令部、在日米海軍司令部、海自自衛艦隊司令部を配置した。こうして陸・海・空自衛隊をアメリカが直接指図する体制を作った。そして米軍防護で自衛隊が応戦する「集団的自衛権」も安保関連法で可能にした段階で、露骨な出撃体制強化に乗り出している。まさに不沈空母だ。

 

  厚木の空母艦載機が移転する米軍岩国基地は、沖合に滑走路を増設して大滑走路2本体制にし、空母接岸可能な軍港機能も整備した。さらに愛宕山には260戸もの米軍住宅を整備して4000人規模の米兵や家族を受け入れる体制を作った。ここに普天間の空中給油機、厚木の空母艦載機、超大型強襲揚陸艦ワスプの艦載機F35Bなど戦闘機が大集結する様相となった。岩国は130機をこす極東最大の出撃拠点に変貌している。

 

  戦時は常に軍事要衝と位置づけられてきた下関も米海軍が2012年、朝鮮半島有事のときに利用する重要港(下関、博多、長崎、鹿児島、新潟、秋田の六港)として名指しした。それ以後、大型岸壁を備えた人工島が作られ、臨検港として利用可能な動きが着着と進行している。よく「首相出身者が多い山口県は田舎でも道路が立派」と話題になるが、道路網整備も軍備増強と密接に絡んでいる。昨年12月には『産経新聞』が「下関市が朝鮮半島有事における多数の難民を想定し、対処方針の検討を独自に始めたことが市関係者への取材でわかった」と報じて物議を醸した。海峡マラソンに築城基地のF2戦闘機が飛来する動きもあった。直接、米軍基地のない都市でも焦臭い動きが出ている。

 

 B とくに顕著なのは第一列島線上の自衛隊基地の軍備強化だ。九州一円の主な動きを見てみると今年3月、佐世保市の陸自相浦駐屯地に日本版海兵隊が約2000人で発足した。水陸両用車などを使って「離島奪還」を任務とする地上侵攻専門部隊だ。沖縄にも配備し、最終的には3000人規模に増やす方向だ。ここ数年間、海兵隊は自衛隊員をアメリカの訓練施設に連れて行き市街戦の特訓をしてきた。それが今では米軍の急襲・上陸作戦を肩代わりする自衛隊部隊を配置する段階にきている。

 

 空港を拡張する動きも目立っている。佐賀では佐賀空港を拡張してオスプレイ17機を配備する計画が地元住民の反対運動で行き詰まっているが、福岡県の空自築城基地は現在の2400㍍滑走路を300㍍延長し、普天間基地並みの滑走路とする計画が動きだした。自衛隊芦屋基地も現在1640㍍の滑走路を1817・5㍍にする計画を打ち出し、沖縄の辺野古には米軍が新基地を作る計画を動かしている。

 

  あと近年目立つのはミサイル攻撃力の増強だ。南西諸島に自衛隊が配備する地対空・地対艦ミサイル部隊、監視部隊の計画では、奄美大島に約600人、宮古島に約800人、石垣島に約600人、与那国島に約200人となっている。南西諸島に総勢2200人規模の陸自ミサイル部隊とレーダー施設などを配置する計画が動いている。さらに種子島や久米島にはミサイル攻撃に欠かせない準天頂衛星の追跡管制局も配備した。鹿児島県の馬毛島には米空母艦載機の離着陸訓練基地建設が行き詰まるなかで、今度は自衛隊の訓練施設建設計画が浮上している。

 

 こうしてみると秋田、萩、九州、沖縄、南西諸島をひとつながりで結ぶ第一列島線上で米軍が用意周到に米本土防衛体制、あるいは米軍の指揮棒で日本が戦争へ乗り出す先制攻撃態勢の構築を意図している全貌が浮かび上がっている。

 

中露射程におく攻撃拠点に

 

  「ミサイルが飛んでくる!」「まだ脅威は去っていない」と騒ぐ以上にもっとも日本政府がしなければならないことは、直接北朝鮮と対話の機会を持ち、米国も含めて緊張を抑制させることだ。少なくとも、東アジアが対話によって新しい局面を開いているなかで、その枠の中に入っていかなければ話にならない。結局のところ、アメリカに迎合して「制裁だー!」をやっていたのに、当のアメリカ自身が対話に乗ったなかで梯子外しみたいな光景になっている。イージス・アショアを売りつけられただけというか…。アメリカ・ファーストの抜け目なさを感じさせている。

 

  ミサイルの脅威がなくなろうとしているのに、それでもアメリカの不沈空母として武装国家みたいになろうとしている。日本はさながらアジアのイスラエルみたいな存在になろうとしているかのようだ。先ほども論議になったように、日本列島を盾にして米軍そのものは指揮権を握りつつグアム等に引いていこうとしている。下請である自衛隊に、最前線の防衛ラインを委ねて。ただ、米国製兵器を買い込んで代わりに戦争をやるといっても、火器類を大量に貯蔵した米軍基地や関連施設を100カ所以上も抱え、原発が54基も林立し、化学コンビナート群もたくさんある日本列島はとても戦争ができる国土ではない。食料自給率といっても38%で、自国の生産能力だけでは兵站もままならない不沈空母だ。「戦争ができる国」への体制整備をさまざま進めてきたが、それはいかに無謀で愚かな選択かを立ち止まって考えないといけない。アジアの近隣諸国と喧嘩腰外交を続けて孤立していく道ではなく、友好平和の関係を築いていくことがもっとも争いを遠ざける道だ。それがミサイルが飛んでくることを心配せずに暮らしていける現実的な選択肢だ。

 

  近隣諸国に対して軍事恫喝を仕掛けたり、攻撃態勢をとらなければ理由もなくミサイルが飛んでくるようなことはない。これは誰が考えてもあたりまえの道理だ。日本社会の国是は武力参戦を否定しているし、まだ憲法は変わったわけではない。あまりにも先走って現実が動いているが、為政者がまずすべきは「ミサイルの危険」を引き寄せ、国民が逃げ惑うような社会ではなく、ミサイルなど飛んでこないあたりまえの社会にすることだ。

 

 D 山口県の場合、米軍岩国基地にしても上関原発にしても、迷惑施設を郷土に持ち込むことと引き替えに代議士たちが中央政界で出世しているような側面がある。萩では衆院山口3区のポストをめぐって河村建夫と林芳正(元防衛大臣)がバトルをくり広げてきたが、支持者たちもおおいに見解を問いただすことが必要だ。県議会議員や市議会議員、市長、町長についても「イージス・アショアが必要だ」というのであれば、いかなる理由で必要なのか正正堂堂と見解を問い、意思表示させるべきだろう。ミサイル攻撃の標的になるのだから、やはり相応の納得のいく説明や理由が求められる。そして、最悪の事態が起こったときに、県知事であれ首長であれ、誰がどのように秋田や萩地域で暮らす住民の生命や財産を守るのか厳密に問う必要がある。住民は巻き添えをくらうモルモットではないのだから。

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