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バカげた武力攻撃の想定 市民の批判封じが主目的

「全国初」が大好きの下関・江島市長が市内六連島で、国民保護計画の実動訓練をやるという問題が、市民の深刻な反響を呼んでいる。戦争体験者は、「気がついたときには身動きがつかないようにがんじがらめにされて戦場に立たされていた」と体験を語り、今行動しなければならないといっている。


 想定は六連島に潜水艦がきて武装部隊が上陸し、石油タンクを爆破するというもので、全島民を避難させるという訓練である。このような想定自体がバカげたことである。武装部隊を上陸させたというなら、自衛隊は何をしていたのかということになる。偵察機も偵察衛星も飛ばし、北朝鮮のミサイル基地で何が動いたかもすぐわかり、不審船がどの港から出てどこへ向かっているかもみなわかっている。それで、本土上陸をさせたというのは、わざと上陸させたということになる。仮に不審船が来るにしても、住民を動員して騒ぐ必要は全くなく、自衛隊が沖の方で訓練をやり直せばいいことである。安倍政府は、自衛隊の海外派遣を本来任務としたが、国の防衛は本来任務ではないのであろう。


 現在小泉・安倍政府が具体的に進めていることは、有事法に基づいて米軍が日本全土で自由に軍事行動ができるようにすることである。ニューヨーク・テロ事件もブッシュ政府側の自作自演という説が語られているが、日本の場合も米艦船あたりが日本海からミサイルを日本の都市に撃ち込むとか、どこかの石油タンクを、米日の謀略機関などが爆破して、それを「北朝鮮の攻撃」などと騒いで戦争に駆り立てていくというシナリオの方があり得る話である。そして「国民保護」なる総動員体制で市民にはものがいえないようにさせ、米軍が下関にやってきて自由な軍事行動をやるという方が現実味がある。下関に対する着上陸攻撃は、北朝鮮や中国は架空の話だが、米軍の方は60数年前から現実の問題なのだ。戦後も、戦争をしかけてきたのはアメリカの側である。


 江島市長は米軍歓迎、テロ訓練大好きであるが、江島市長のような市民の生命も財産もないがしろにして箱物利権事業が大好きの政治家が、このときばかりは「国民の生命と財産を守る」といって戦時体制に熱心になるという姿も教訓的である。


 イラク戦争でチェイニー副大統領などの関連企業が利権をむさぼっているのはあまねく知られた事実である。その筋にとっては戦争利権に勝る利権はないのだ。


 現在「武力攻撃から守る」という戦争訓練は、市民にあらゆる不満はいわせないという政治としてあらわれている。不人気であったブッシュ政府がテロ事件対応で弾圧体制をとり支持率を上げたが、安倍総理や江島市長はあまりにも嫌われていることからブッシュのその手を真似したいのであろう。しかしブッシュの後編はイラク戦争で泥沼に入ってのたうち回る結末である。


 国民保護騒ぎで、江島市長批判で当選した市会議員がつぎつぎに江島与党の旗を上げ、インテリ、文化人と称する人人や革新系と称する人人の声が小さい。だが市民は黙っているわけにはいかない。

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