(2026年8月10日付掲載)

日本では災害時はいつも体育館に段ボールで雑魚寝という光景が常態化している。写真は東日本大震災時の避難所の様子(2011年4月、福島県)
熊本地震の発生を受け、災害時に避難所となる学校体育館の空調設置状況に関心が集まっている。文科省の調査(2026年5月1日時点)によると、熊本地震が起きた熊本県の公立小中学校体育館(武道場を含む)の空調設置率は20・4%で、全国平均31・7%よりも低い。ただ、県内でばらつきもあり、もっとも被害の大きい八代市は38・0%となっている一方で、宇城市などは0%となっており、自治体間で格差があることがわかる。全国でもっとも設置率が高いのは東京都で、平均は95・6%となっている。
山口県内ではどうか。今回の地震で震度4を観測した下関市の小中学校の体育館(武道場含む)の空調設置率は2・6%【グラフ参照】。山口県平均は33・3%となっており、山口市(100%)、防府市(100%)、岩国市(73・5%)、柳井市(87・5%)などが設置率を押し上げている。「設置」にはスポットクーラーも含まれるようだが、実際に各自治体で体育館空調がどのような使われ方をしているのかは不明だ。

設置率が高い自治体もある一方、下関、宇部、長門、美祢、周南などはほぼ設置されていないことがわかる。下関市の状況について下関市教育委員会に確認したところ、下関の「2・6%」が指しているのは豊北中学校の体育館・武道場(平成17年に整備)だ。文科省が公表している資料では下関市の公立小中学校の体育館・武道場78棟のうち空調の設置がされているのはこの2棟のみとなっている。体育館の空調設置状況は61棟中1棟だという。
避難所となる小中学校の体育館への空調設置について現在のところ計画はない。ただ、市教委として設置の必要性は認識しており、今回の震災を受け「(整備が)早まっていくかもしれない」とのべていた。体育館への空調整備については、文科省が2024年から補助金(補助率2分の1)を出している。交付税措置を含めると市の実質負担が4分の1となるこの補助金が2023年まであるため、これを活用するなどして整備を今後計画していくことになるようだ。
一方で、下関市の場合、多くの学校関係者や保護者、地域関係者が懸念しているのが、空調が未整備というだけでなく経年劣化による老朽状況だ。県内には他にも設置率が低い(0%を含む)自治体があるが、例えば宇部市では体育館の建替えは計画的におこなわれており、災害時に避難所になることを想定したつくりになっている。下関では、学校体育館においても外壁落下や雨漏りがしたり、トイレが故障していたりする状態で、関係者からは「空調も必要だが、まず体育館を建替えなければいけないのではないか」「豪雨になれば雨漏りがして避難できる状態ではない」という声もある。
体育館(武道場含む)への空調設置は全国的に大きな開きがあり、設置がほとんど進んでいない自治体が多くある。被災地で猛暑による被害も出ているなかで、文科省は熊本地震発生後に避難者を受け入れるさいは空調(冷房)設備のない体育館や武道場のかわりに、空調設置率の高い普通教室などの活用を検討するよう全国の教育委員会に通知を出し、被災地では教室へ避難しているケースもある。ただ、「教室」を使えるのは夏休みなどの子どもがいない期間に限定され、休み明けをどうするか、管理者が頭を抱えている状態だという。そうした意味でも、避難所となる体育館等に空調を整備することは急がれる。
文科省は体育館への空調整備を喫緊の課題とし、補助率を上げるなどして整備を加速する姿勢も震災後に明らかにしているが、設置後の維持管理、修理費、電気代・ガス代の増加への対応なども切実に求められている。





















