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箱物に使いまくる中尾下関市政  市民は税や利用料で搾り

 下関市議会の9月定例会に、中尾市政が今後の箱物プラン等を盛り込んだ「下関市総合計画後期基本計画」(平成23年度~26年度)と合わせて、「下関市財政健全化プロジェクト(1期計画)」を出している。「使うこと」と「巻き上げること」を双方強化していくというもので、市民から徴収した税金を右から左に散財していく構図が浮き彫りになっている。この間、「財源がない」といって市内の学校や保育園、幼稚園の統廃合や老人休養ホームの閉鎖、敬老祝い金のカットや給食費の値上げなどが実施され、税金滞納者への差し押さえや没収財産の売り飛ばしが強化されてきた。ところが一方では散財することに躊躇がない市政運営がおこなわれ、いくらカネを与えても使い果たしていく仕組みが野放しにされている。市長選を前にして、中尾市政の強欲さが問題になっている。
 
 市議会の9月定例会に提出

 近年、下関市は行財政改革を徹底して実行してきた。「カネがない」といって削減された市民サービスは多岐に渡っている。また、「中尾市政」といえば「差し押さえ」が思い浮かぶほど、保険料や市税滞納者へのとりたてが乱暴なものになった。会社に給与を差し押さえに来たり、老人たちが年金を差し押さえられて途方に暮れたり、保険を解約させられて没収されたり、踏んだり蹴ったりだった経験が市民のなかで話題にされてきた。「財源が足りないので巻き上げる」市政運営が強まり、冷え切った下関で“百姓とゴマは搾れば搾るほど”の平成版が真顔でやられてきた。
 市が議会に出している「下関市財政健全化プロジェクト~当面取り組むべき財源確保対策」は、この方向をさらに強めることを明記している。プロジェクト期間は平成25年度すなわち来年度から27年度の3年間。この期間に財源不足となるのは25年度が44億円、26年度が48億円、27年度が54・9億円となっており、これを補うためになにをするか、を記したものだ。
 具体的なとりくみについてはっきりしていないものの、現在検討している財源確保対策の中身を見てみると、要するに市民から巻き上げるだけ。未収金(滞納)の回収を集中的にとりくみ、債権管理条例を制定することも視野に入っている。懲罰化することによって、より強い権限で市が回収していく仕組みを制度化しようというものだ。さらに公共施設の使用料や手数料をアップさせること、法人税、都市計画税、軽自動車税など市税収入になる税率を見直し、地方税法に定められた税目とは別枠で法定外税を導入することも検討するとしている。
 また、学校統廃合などによって余った遊休資産や市の未利用財産を売却したり、貸し付けること、放置自転車を一括売却して現金化することなども挙げられている。歳入アップはみな市民負担や公有財産の「民間開放」によって賄われることになる。
 一方の歳出削減はなにが検討されているかというと、一つ目に人件費が挙げられている。合併以後、下関市の職員は700人近くが減らされてきたが、その分、月12万~13万円で働く非正規職員が1200人近くにまで膨れ上がっている。嘱託職員の報酬は「人件費」ではなく「物件費」として計上され、物扱いされる安上がりの職員と、待遇がはるかに保証された正職員が混在する状況をさらに進めるものになる。保育園では保育士の半分が非正規になり、役所内でも日頃から携帯をいじったりなにをしているのかわからない部長までが年収1000万円を得ながら、身を粉にして正職員同様に働いている嘱託職員が百数十万円という格差になっている。
 歳出改革としてはそのほかに、公共工事のコスト縮減、補助金や負担金の見直しや事業の統合や廃止なども挙げている。
 税金のとりたて強化を「住民負担の公平性・公正性確保」といったり、施設利用料のアップを「受益者負担の適正化」といったり、補助金の縮小や廃止を「公共関与の透明性確保」といったり、役所用語を散りばめて煙に巻きながら、要するに市民負担がアップして、市民サービスが切られることを示している。

 現役世代既に市外流出 その上に取立て強化 

 リーマンショックからの4年間で、市税収入は28億円も減少するなど、下関の産業衰退、経済の冷え込みは尋常ではない。このなかで市民の生活が安定して、税金を払える市民が多いことこそ自治体運営の生命線であるはずだが、失業対策や産業振興に力を入れているわけでもなく、目先の願望でとりたてることしか市役所が考えていない。
 毎年のように人口は2000人減少し、人口減少率は同規模自治体111(人口20万人以上)のなかでワースト5。高齢化率はワースト2の28・5%。市民一人当たりの所得はワースト8の279万円と、軒並みワーストテン入りする有様となった。現役世代が市外に流出して高齢者がとり残され、しかも所得がよそと比較しても極端に低い貧困都市で苛酷なとりたてがやられる。これでは下関にどんな将来が待ち受けているのか、心配しないわけにはいかない。
 局所的に華やかな「観光都市」装いがやられ、大河ドラマだ! 龍馬だ! 巌流島だ! ペンギンだ! のお祭り騒ぎでフィーバーしながら、一歩街中に足を踏み入れるとゴーストタウンのような廃屋街があり、商店街も歯抜けと更地化が進行。市民生活はますます窮乏の一途をたどっている。しかも、市財政の危機を見てみると、合併算定替えが27年度から始まり、その5年後には34億円も地方交付税が減ることもわかっている。「財源が足りない!」「巻き上げろ!」の狂騒曲がさらにけたたましい不協和音を奏で始めかねない。

 計画の投資的経費542億 駅前、市庁舎、消防… 

 ところが、「カネがない」とサイレンを鳴らしている税金泥棒がなにをしているかというと、熱を上げていることといえば浮ついた箱物で、リーマンショック以前の計画を脳天気に進めているのが実態だ。23億円かけてペンギン御殿が完成したり、11億円注ぎ込んで野良犬や野良猫が気持ちよく死んでいける安楽死施設が完成したり、60億円の生涯学習プラザ、29億円のJR長府駅、5億円のJR梶栗駅、川中土地区画整理事業(平成19年度から4年間で62億円の事業費)など、箱物が次から次へと建設され、郊外開発の不動産バブルが手がけられてきた。こうした事業が「下関市総合計画」にあらかじめ盛られ、各部局が粛粛と実行している。
 今回提出された後期基本計画(実施計画)も箱物満載で、「人のカネ」と思って使い果たすことに遠慮がない。実施計画には、23年度から26年度までの4年間でなにをしていくかが事業費の概要とともに記されている。192の事業を進めるために一般会計ベースで968億円の事業費を見込み、そのうち投資的経費は542億円にもなる。
 メインになるのは市財政から55億円を注ぎ込む下関駅にぎわいプロジェクト、川中土地区画整理事業には前期の60億円に加えてさらに21億円。乃木浜総合公園の整備に24億円。250億円かかるとされている長府浄水場整備が本格的に始まるほか、奥山工場の新焼却炉整備などに35億円。降って湧いたのが勝山地区拠点施設の整備事業で、13億円近くの事業費を見込んでいる。
 さらに消防庁舎には30億円。駅ビルの次世代育成施設に16億円。幼稚園統廃合を進めるのとかかわって、幼保一体化施設を推進していくことも予算化されている。幡生ヤードに教育センターを建設する費用には7億円。学校や幼稚園については「適正規模適正配置」という名称で統廃合を進めていくことが記されている。菊川体育館建設に5億円。長府功山寺前の博物館建設も俎上に上っている。また、もっとも巨額の箱物事業が本庁舎整備事業で83億円。総合支所の整備には32億円を充てるとしている。
 その一方で、失業対策である就業機会の支援業務には年間1500万円程度だったり、生活保護受給者の就労支援業務は300万円など、重点分野以外への支出は金額的にも少なく、優先順位が低いことをうかがわせている。支出の大部分を占めるのは相変わらず箱物だ。また市税の徴収対策を強化する費用として4年間で2億3000万円をつぎ込むことにしている。年間6000万円近くもはたいて徴収業務を外部委託し、いったい何億円を徴収するつもりなのか、注目しないわけにはいかない。
 総合計画に盛られた一連の箱物事業は事業費すなわち建設費を見込んでいるに過ぎない。その後、20年、30年とかかっていく維持管理費やランニングコストについてはなにも「計画」に含まれていないのが特徴だ。
 箱物ができると、その建設費に膨大な費用が必要になるだけでなく、その後の維持管理や運営費もすごいことになる。例えば合人社(広島市)が指定管理者になっている生涯学習プラザ(細江町)を見てみると、建設・維持管理がセットになった80億円の事業を合人社・広成建設グループが一括受注し、そのうち5年間の管理運営費には21億円がドンと充てられている。1年間のランニングコストだけでも4億2000万円相当にもなっている。

 JRや山銀が食い物に 象徴的な駅ビル開発 

 さらに象徴的なのが駅ビルに新設される次世代育成施設だ。施設が備える機能の良し悪しは別として、その維持管理費やJR西日本に毎年支払っていく金額の膨大さが市役所内外で話題になっている。さながらJR西日本の固定収入を下関市が保証するための事業といってもおかしくない。
 駅ビルそのものは民間開発で、1、2階部分ではJR西日本不動産開発がテナントを運営し、3階と屋上が「公共施設」の“官民合作”事業になっている。この公共施設部分を下関市が8億~9億円で買いとり、内装工事・電気設備工事などに7億~8億円かけ、さらにオープンすると指定管理の委託料だけで7000万円から1億円が必要になり、それとは別に施設の管理経費に年間7500万~9000万円かかるという。
 JRのビルを共同で使わせてもらう格好になっているので、駅ビルの防災設備やビル警備にかかる費用、清掃、光熱費など維持管理にかかる費用も3分の1を下関市が負担。また、駅ビルの土地がJR西日本の所有地を利用する形であるため、「敷地利用権」の名目で1300万~1500万円を毎年支払うことにもなっている。「次世代育成施設」をJRの駅ビルに入れることで毎年1億5000万円から2億円近くの維持費がかかるというものだ。
 箱物が完成するたびに市が背負う経常経費が膨れ上がり、市財政を圧迫する。これは電源三法交付金で「麻薬漬け」になる原発立地町が最終的に財政破綻していくシカケと同じで、以前にはなかった支払いが余分に加わって、自治体の首を絞めていく。しかも、生涯学習プラザのように図書館の本は紀伊国屋、施設管理は広島の資本が押さえたり、駅ビルについても公共施設を備えることでJRに法外な収入をプレゼントしたり、ランニングコストにも利権が加わる。強欲な利権屋が役所業務の「ヒモ」になって寄生する費用もバカにならない。
 国政では消費税増税を決めながら「国土強靭化」の土建国家復活を唱えているのが自民党であるが、総裁候補を二人も抱えている下関では、果てしもない箱物散財とその財源をまかなうための市民負担増大である。このなかで、安倍・林代理、山口銀行の代理人のような中尾市政が、下関を食い物にしていくことにたいして、かつてない怒りが充満しきっている。
 有権者にウソをつき、ホラを吹いた男が市長になり、公約破棄を平然とやってのけ、4年たってみると市役所建て替えが発注されるまでになった。半年後には市長選が控えているなかで、下関市政の在り方について市民論議は活発なものになろうとしている。

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