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下関大丸が大丸松坂屋に吸収合併 売上高は最盛期の半分弱にまで減少

 下関で1950(昭和25)年に創業した下関大丸が、2020年3月に大丸松坂屋百貨店に吸収合併されることが発表され、市民のあいだで話題となっている。

 

 下関大丸によると、直営化することによって下関大丸単体では難しかったブランドの誘致などにより力を入れ、消費者に魅力的な商品を提供できるようにすること、広報部門などを大丸松坂屋に集約することで人員を削減し、店舗運営の効率化を目指すことが今回の吸収合併の目的。下関に百貨店がなくなるという事態を防ぎたいとの思いから直営化という判断に至ったという。

 

 現在下関大丸で働く225人の従業員への対応や吸収合併後の店舗運営など、具体的な内容についてはこれから決まる予定だという。

 

 下関大丸は大洋漁業(現在のマルハニチロ)が設立したもので、水産都市として繁栄した時期の象徴的な存在でもあり、市民のあいだでは「長靴姿の客が百貨店を歩く光景は下関ならではだった」と、漁港の賑わいぶりが語り継がれてきた。

 

 しかし近年は関門地域で人口減少が続いていることに加え、ネット販売の普及など消費行動の変化なども反映し、売上の減少が続いてきた。売上高は最盛期の1993(平成4)年度には323億円あったが、2019年2月期は133億5200万円と、半分以下に落ち込んでいる。そのもとで最盛期と同じ店舗面積を運営している難しさがあったという。

 

 2015年には全従業員の6割(当時)にのぼる規模で希望退職を募るなどしており、市内でその厳しさは話題となってきた。「もし大丸が撤退することにでもなったら、シーモールはもちろん市内全体への打撃は大きい」「土地が自社所有なのが下関大丸の強みで、赤字にならなければ営業を続けるという話だが、あまりにも消費が落ち込めばどうなるかわからない」など、ここ数年、下関大丸の動向には注目が集まってきた。

 

 全国的に見ても一部インバウンドの好調などで売上を伸ばしている店舗はあるものの、地方の多くの百貨店は厳しい状況に置かれている。人口減少と消費購買力の低迷が商業活性化のうえでも大きな課題となっていることを改めて浮き彫りにしている。

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