(2026年9月23日付掲載)

造成工事が進行しているデータセンター建設予定地。左側に見えるのがひびきの小学校(北九州市若松区)
米不動産投資・開発会社「アジア・パシフィック・ランド(APL)」グループが北九州市「ひびきの地区」(若松区)で着手した大規模データセンター建設計画をめぐって、地元住民が小学校真横への建設中止を求めて請願署名を開始した。同データセンターは九州最大規模だが、騒音、電磁波、排熱など住民生活に及ぼす影響は未だ不透明のままだ。にもかかわらず、約1300人の児童が通うマンモス校・ひびきの小学校真横で造成工事を問答無用で開始。こうしたなか子育て中の父母を中心にして「子ども達の安全を守るのが大人の役割であるはずだ」「ひびきのを小学校でも住宅街でもデータセンターは作れるという全国の悪しき前例にするわけにはいかない」と意欲的な行動が広がっている。
10月初旬に市と事業者が説明会予定
APLグループが建設予定のデータセンターは2棟で、規模を示す総受電容量は120㍋㍗。1棟目は高さ約四42㍍の4階建て、延べ床面積は3万平方㍍を超すことが明らかになっている。2029年9月末の完成を目指してすでに造成工事が進行。市への建築確認申請では用途が「事務所」となっているが、24時間稼働する排熱用の室外機や非常用発電機26台、燃料の軽油タンク等を整備する予定で、一般的な「事務所」とはまったく異なる建物になる。
ひびきの小学校近くに住む子育て中の父親は「ひびきの小学校横の空き地については、もともと“研究施設が入る”と聞いていた。それからしばらくしてデータセンターが建つといわれたので、小さな事務所でも建つのかな位に思っていた。でも今年7月に事業者がおこなった説明会で概要を聞いてびっくりした。広大な土地に高さ約42㍍の巨大なデータセンターが2棟建設される計画で、大きな非常用発電機、燃料タンクもある。しかも工事期間は6年でその間通学路を工事車両がひっきりなしに行き来すれば、わんぱくな1、2年生が事故に巻き込まれてしまう危険もある。そもそも子ども達のことをまったく考えていないということに疑問を持った」と口にした。
別の住民も「説明会で市や事業者に子ども達や学校に与える影響をたずね、立ち止まって欲しいと伝えた。でも、市も事業者も話を聞いてくれるだけで立ち止まろうとはしない。そして住民がたくさん疑問を抱えたままなのに、2月から造成工事を開始している。自分はスマホなども使うしデータセンター自体の必要性を否定するわけではない。でも1300人の児童がいる小学校の真横になぜわざわざ建設する必要があるのか。小学校だけでなく保育園も大学もある。しかもどんな影響が出るのかさえ分かっていない。将来ここで生活する子ども達のためにも、今自分たちが声を上げておかないと大変なことになる」と強調した。
また地域イベントにかかわる住民男性も「みんなで地域を盛り上げようと秋祭りに盆踊りを企画したり、教育や地域の繋がりを大切にしてイベントを企画してきた。それなのに突然外から土足で踏み込んで“みんなの街をぶっ壊しにきた”という印象だ。事業者や市はデータセンター建設のメリットについて問うと“魅力が向上する”と答えていたが、地域の魅力はそんなものではない。地域の子ども達が安全で安心して教育を受け遊んだり運動できる環境が一番だ。全国どこでもデータセンターをつくっていいという悪しき風潮を広めないためにも、ひびきの小学校真横へのデータセンター建設は見直してもらわないといけない」と話した。
こうしたなか、ひびきの小学校に子どもが通う父母が中心になって立ち上げたひびきの未来連絡会が署名を開始している。署名簿は「データセンター建設を一時中止させ、別の場所での建設を検討することと、対話とルールづくりを求める請願」(北九州市長と北九州市議会議長宛て)と題し、次の様に訴えている。
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北九州市若松区ひびきの北1―101にて「(仮称)ひびきの北ビル新築工事」(データセンター建設)が行われています(9月現在、先行造成工事中。建築に関わる許可はまだ)。この予定地は元は市有地ですが、該当予定地の用途変更や企業誘致に際しても、企業による建設が決定してからも、現在に至るまで市主催の説明は行われていません。
「真横には、ひびきの小学校(1300人超)がある。そんな例は全国ない。通学路等全てが心配」「約6年、工事の騒音や粉塵の中、授業を受けさせるのか」「大量の燃料を貯蔵し、他県では死亡事故も。周辺の避難計画もないなんて考えられない」「説明会で、学校への様々な影響のシミュレーション不足や、県条例に基づく環境アセスを実施しないまま、工事を開始していることを認めた。そんな企業は信用できない」――「地域にとって安心できなければ、企業も安心して立地できない」との武内市長の発言に照らして、これらの住民の声から分かるように、前提である安心・安全が確保できていないのは明らかであり、一度立ち止まらせるべきです。
私たちはデータセンター自体に反対していません。「ひびきのでなければならない」という理由がなく、説明がない以上、響灘地区での建設等、再検討を行うべきです。
また、市は「住民の立場に立って、寄せられる懸念や疑問にしっかり向き合い、解決を丁寧に図っていくことが大切」としています。その言葉に照らしても、そもそも建設を知らない住民も多く、懸念や疑問を持つ前の段階の住民が多くいます。説明が不足していることは市や企業も認めている通りです。また、住民の立場にたつのならば、住民自治を大切にして、ルールづくりを行うことが必要だと考えます。以下について求めるものです。
【請願項目】
①データセンター建設の大前提である、地域の安心・安全のため、市として、現在の工事を一時中止させ、別の建設場所を検討してください。
②市主催の説明会等を通じて、地域住民全てを対象とした対話を行ってください。ひびきの地区への企業誘致については、自治会やまちづくり協議会の議決があったもののみを行い、その際、それら団体と市・企業間の3者で協定を結んでください。
なお、今後は11月以後に事業者が計画しているデータセンター着工にむけて市主催の説明会と事業者主催の説明会が10月にあいついで予定されている。住民説明会の日程は次の通り。
■市主催の説明会
10月9日(金)午後7時~9時 会場:北九州市学術研究都市・会議場
■事業者主催の説明会
10月10日(土)午前10時~ 会場:北九州市学術研究都市・会議場
下は、住民たちが始めた署名への協力を呼びかけるチラシ。






















