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沖縄県知事選巡り火花 アメリカ仕込みの謀略選挙 誹謗中傷で争点そらす手口

 米軍基地撤去を最大の争点にした沖縄県知事選は、投開票まで残り1週間足らずとなった。今回の選挙は、辺野古への新基地建設をめぐってどのような態度をとるのかが一つの争点となり、昨年、埋立許可を出して県民を裏切った現職・仲井真弘多及び自民党政府への審判が大きく問われている。戦後69年も経過してなお最新鋭の基地を据えようとしているのが米軍で、いったい何十年居座るつもりなのか考えないわけにはいかない。沖縄県内には無数の米軍基地が置かれ、ベトナム戦争やイラク・アフガン戦争など、米国が戦争を引き起こす度に出撃拠点として利用されてきた。日本を守るためではなく、世界を襲うため、米国の軍事的・戦略的配置の都合から置かれてきたものである。その基地を争点にした選挙となると、まるでCIAが関与しているのではないかと思うほど謀略じみているのが特徴で、印象操作や誹謗中傷、外部工作員たちの暗躍など、よそにはない独特の雰囲気をともなったものになっている。
 
 闇夜に蠢く工作員たちの存在

 30日の告示日以降、普天間基地の周辺を中心にして張り紙(裏がシールになっている)や看板が街のいたるところに目立ち始めた。道路沿いの電柱という電柱にベタベタと貼られ、道路脇の手すりには看板がくくりつけてある。どれを見ても相手候補を誹謗中傷する文句が並び、その物量は半端なものではない。住民が普段使っている生活道路や裏路地までしっかりと貼って回っているのが特徴だ。
 張り紙や看板のなかでまず目に付くのが、「県民を裏切り、いい正月を迎えた仲井真知事であと四年間我慢できますか?」と記されたオレンジ色の張り紙だ。「公約破りを許さない県民の会」とだけ書かれ、住所も責任者の名前もない。那覇市、浦添市、宜野湾市、沖縄市などの中南部地域を含めて相当数が貼られている。ところが、いつ誰が貼ったのかがわからない。ある日起きて外へ出たら、街中が貼り紙だらけになっているのである。「裏切り 5+1 沖縄の恥」(衆議院議員+仲井真)とだけ書かれたシールも見かけるようになった。
 逆に「共産党支配のオール沖縄!!」とだけ書かれた赤地に白抜きの看板が、オレンジに対抗するように道路沿いを埋めつくしている。さらに「沖縄21世紀ビジョンを実現する県民の会(掲示責任者)照屋守之」が「共産主導の県政にするな。流れをとめるな! 革新不況にするな」と記した看板が2枚組、3枚組で道路沿いのいたるところに設置されている。「翁長陣営は共産党」「以前は辺野古移設推進だった」と書いたチラシが全島に配布されるなど、宣伝は物量ともにすさまじい。
 オレンジ対赤。CIAが東欧などで手がけてきた、カラー革命かと思うような世界が広がっている。そして文句は電通をはじめとした選挙請負企業が得意とするワンフレーズである。一言で相手のことを印象付ける手口だ。その物量からして、相当規模の人員なり組織が動いていることは疑いない。シール状にして電柱に一瞬にして貼っていけるよう工夫するなど、手も込んでいる。沖縄中を染めるほど印刷しているのだからカネもかかっている。人人が寝静まっている間に、相当数の工作員たちが沖縄中を徘徊し、気付かれないように蠢いているようだ。ボランティアではなく報酬をもらっているのだとしたら、いったい誰が払っているのか? という疑問にもなっている。
 さらに告示後、ポスター掲示板に掲示されている翁長陣営(辺野古移転反対)以外の3候補者の顔にスプレーで赤い×印を書いたり、黒く塗りつぶしたりする悪質な動きもあらわれた。確認されているところで中南部の七市町に及んだ。すでに大部分のポスターが張り替えられているが、この様子がネット上ですぐさま拡散されて大騒ぎとなった。案の定、「翁長陣営は卑劣だ!」という印象を与える効果となった。単独犯ではなく、何らかの勢力がいっせいに意図を持って行動していることを伺わせている。あたりまえに考えて、翁長陣営なりその当選を願っている者がやっているとしたら相当なアホか自爆行為で、抱きつき心中にしかならない。むしろ翁長陣営なり支援者がしかけているような印象を振りまきつつ、「卑劣な連中だ」「行動に品位がない」とアピールするために、裏の裏をかく印象操作がやられたと見なした方が自然だ。
 共通して、街頭に設置してある横断幕にスプレーで落書きする事件も頻発。仲井真知事を支援するものや下地陣営の公約を掲げた横断幕が狙われ、わざと×印を残したまま、その横に「落書きはいけませんよ、ジュゴンさん」という横断幕が掲げられている。こちらも「辺野古基地建設に反対する勢力は卑劣である」とアピールする効果をともなっている。落書きという低俗な行為には誰もが眉をひそめることがわかっていて、あえて子どもじみた嫌がらせをやる。そのことによって、「大人な対応をしている移転推進候補」という印象に導く手口となっている。
 普天間基地周辺の住民に聞くと、「相手候補を下品に書く看板や横断幕、スプレーでの落書きは、みんなまったく見ないし参考にもしないが、今までなかったような団体や○○の会なんかがぽっと出てきて、さらにそれを分断するような意味不明な団体が出てくるなかで激しくなった。僕たちはこのような嫌がらせや県民同士を分断させるようなことに対して、本当に嫌気がさしている。この選挙が早く終わってほしいという人が多いのではないか」と語った。
 沖縄市の企業で働く女性は、ここ10年くらいで怪しげな張り紙や誹謗中傷ビラが増えてきたことを明かした。「初めは大田知事時代だったと思うが、“県外に本妻がいて今の奥さんは二号さん”というような噂が私たちの耳にも入ってくるようになった。それまで知事のプライベートなことは私たち一般人が知ることはなかったが、以来、選挙の度にあたりまえのようになっている。最近では市議選でも誹謗中傷ビラが入るようになった」と話していた。
 沖縄県民にとって、陰で候補者の評判を口にすることはあっても、くまなく誹謗中傷してまわったり、闇夜に紛れて人人を陰湿に扇動するような人間などいないことが、その県民性ともかかわって語られている。謀略が得意なCIAなりカネを持っている特殊集団、組織が沖縄に乗り込み、外部から工作活動に勤しんでいるに違いないと見られている。仲井真批判が吹き荒れるなかで、その批判票の受け皿となっている翁長陣営にすべての矛先が向いているのが特徴で、一連の下品な誹謗中傷合戦の司令部は、米軍基地内かもしくは東京の選挙プロの本社に置かれているのではないか?と疑いの眼差しが注がれている。争点をそらして、雰囲気なり印象操作でもっていく。小泉劇場よろしく、短期決戦で流行りの選挙プロパガンダと見られている。

 個別家庭に届く仲井真知事の録音電話

 この間、沖縄知事選をめぐっては自民党本部があの手この手を駆使して国政選挙なみに仲井真陣営をテコ入れし、地元経済界の上層部、企業関係を総動員した選挙戦を展開してきた。七日に県立武道館でおこなわれた仲井真弘多総決起大会には、企業関係など全島からフル動員し、「仲井真県政の継続で発展させるのか、一六年前に逆戻りして共産・革新県政で衰退させるのか!」「今度の選挙は翁長のためでなく共産党を大きくするための選挙だ!」など、「保守VS革新」を前面に押し出し強調するものとなった。
 また「普天間基地の除去、宜野湾市民の安全、子どもたちの未来を守る!」「歴史の歯車を元に戻すな!」と主張し、「仲井真知事は安倍総理との信頼関係が強固だ」「仲井真知事しか沖縄の振興策はできない!」「安倍総理は仲井真さんしか振興策はやらないといっている!」と絶叫し、各企業へ締め付けを徹底するよう求めた。
 県内の各家庭の固定電話には仲井真陣営から電話がかかり、仲井真知事の録音された声が流れ始めて人人を驚かせている。三分もの間、「普天間基地の危険性の除去」を訴える音声が流れるもので、「なぜうちの電話番号を知っているのか?」「NTTを買収したのか?」などあちこちで話題になっている。
 告示日には谷垣禎一自民党幹事長が応援演説をおこない、八日には菅義偉官房長官が沖縄入りした。菅官房長官は「仲井真さんの手で那覇空港の第2滑走路を完成させ、観光客を1000万人呼ぶ体制をつくる」「USJ誘致活動を応援する」といい、振興策を強調。陣営は鉄道建設も訴えている。九日には小泉進次郎復興政務官も那覇市で演説をおこない、沖縄振興すなわち交付金ばらまきを全面的にアピールした。
 翁長陣営は街頭演説のなかで、「基地は人を殺すための訓練、準備をするところだ。沖縄にそんなところがあっていいのか」「“最後は金目だ”などといわせない」「辺野古に新しい基地はつくらせない。基地は撤去しかない!」「140万県民がいい正月を迎えられるように頑張ろう!」と呼びかけている。
 懸念されているのは、抱きつき心中の専門家である「日共」集団が「相手候補は普天間の危険を除去するといっているが、宜野湾の市民だけが安全であればいいのか。他の市民が危険にさらされてもいいのか」などと叫び、宜野湾市民と名護市民・県民を分断するような発言をくり返していることだ。そして「革新不況」といって攻撃が加えられているなかで、あえて「日共」志位和夫委員長や吉田忠智・社民党党首などが沖縄入りし、「我が党の候補」みたいな顔をして党利党略の印象を振りまくこともマイナス材料と見られている。
 喜納陣営は、本人が「知事選立候補は神から与えられた仕事」「沖縄から地球ルネッサンス、地球が主人公だ」「私が知事になったら辺野古の海に飛び込んで抗議する」と訴えて回っている。「埋め立て承認取り消しは知事が決めて文章一枚でできる。それでも政府がやるなら訴訟を起こすか、新しい法律をつくるしかない」「他の候補者は沖縄の三大土建屋の支援を受けている。だから承認取り消しがいえない。喜納昌吉はなんのしがらみもない。なにも恐れることはない」とネットを駆使してアピールをしている。右翼崇拝で有名なチャンネル桜がなぜか持ち上げていることも話題になっている。
 下地陣営については、各所で街頭演説をしているものの、誰も聞いていないケースが目立っている。陣営はむしろそうした寂しい演説風景をみずから録画して、次次とツイッターにアップしている。「貧困問題の解決」「今回の選挙は基地問題だけで終わらせてはいけない。新しい沖縄をつくるには基地問題と沖縄の悩みの両方を解決していく。貧困撲滅のためにも経済が必要」「子どもの教育の完全無料化」「県民の対立を終わらせるため、県民投票でノーサイドにする。スコットランドでも対立はなくなった」「必ずチェンジする!」と叫んでまわっている。
 喜納陣営、下地陣営ともに仲井真陣営との対決ではなく、翁長陣営を対立候補と見なして動いていることに特徴がある。批判票を分断して現職が勝ち抜ける選挙構図であり、出馬の意図も含めて正直過ぎるほどわかりやすく反映したものとなっている。

 候補者縛る県民世論 日本民族の独立の課題

 沖縄市に住む男性は、「今回の選挙は、翁長VS仲井真だったら確実に翁長が勝つ選挙だった。そこから県民投票をするとか、埋め立ての撤回をしないから出馬するといって二人も出馬した。背後でなにか大きな力が動いていると感じる」と語った。
 「仲井真は沖縄県民に対して大裏切りをしたが、認めようとせず“私も基地には反対だが、普天間のような人の多い中心地に基地があっては危ない。県民の安全を守るのも知事の仕事だ”といって平気で開き直っている。大裏切りをしたあとに体調を壊したといって東京の病院に入院したが、安倍首相たちと裏で話を進めていたに違いないとみなが思っている」とのべた。
 そして今回の選挙は自民党も相当に力を入れてきていることを語り、「安倍首相も今回勝たなければ、自分の首が危うくなるから金も力も使って勝ちにくるだろう。今の政治家は戦争の苦労を知らない人間ばかりで秘密保護法や集団的自衛権など、戦前と同じような政策を平気で進めている」「沖縄の人間は、自分たちからアメリカに土地を売り渡してきたことなど今まで一度もない。すべてアメリカに脅されて奪いとられてきたものだ。辺野古は沖縄県知事が許可を出したということは、沖縄の人間が基地を認めたことになる。沖縄県民は戦争がどんなものなのか知っているからこそ基地に反対してきた。絶対に負けられない選挙だ」と語った。
 別の男性は、今年4月におこなわれた沖縄市長選挙の経験として、「保革対立」に持ち込んで低投票率を仕組み、自民・公明総動員で2週間足らずでひっくり返したことを語った。「今回の知事選も同じような構図になっている。翁長陣営は共産・社民が主導して選挙をおこない、自民党は“共産党に県政が乗っ取られる”と危機感を煽っている。完全に保守VS革新という構図がつくられている」と語った。
 そのうえで「今の情勢は保守VS革新というものではなく、主要な問題は日本民族の独立の問題だ。琉球独立という人もいるが、日本が独立しなければ沖縄の未来もない。民族の独立の問題がそらされ、さまざまなことが煽られている」と語った。そして「“県民が候補者を縛っていうことを聞かせていく”ということがとても重要だ。“誰がなっても変わらない”という思いがあるなかで、新鮮な響きだと思う。自民党が総がかりでやってきているなかで県民が勝利すれば、それは非常に大きいことだ」と期待を語った。

 命守る気ない為政者 ミサイルの標的が現実

 米軍支配が敷かれている沖縄の選挙は、よそでは見られないほど謀略じみたものとなっている。基地の街の選挙といえば、同じように米軍再編が争点になった岩国でも、第1次安倍政府の時期に「反対するなら交付金をやらない」と国が兵糧攻めをやり、一方で公明党・創価学会が反対派候補の誹謗中傷を口コミで触れ回ったり、スーパーや飲食店、バスの車内などで会話形式で周囲に聞こえるように話したり、気持ちの悪い宣伝扇動を展開したことがあった。というより誹謗中傷を得意技にしているのは安倍首相本人で、現在の国政運営しかり、地元下関の市長選では安倍派に対抗する候補について「あいつは北朝鮮人だ!」というビラをヤクザに依頼してばらまかせ、その報酬を支払わなかったことで自宅に火焔瓶を投げ込まれたこともあった。
 アメリカ仕込みのプロパガンダ選挙が沖縄でもやられている。しかし選挙の争点はいわゆる保守VS革新という単純なものではないし、ましてや落書きを誰がやったか?といった低俗な印象操作に振り回されるものではない。70年前の沖縄戦によって無辜の命が奪われ、銃剣とブルドーザーによって米軍基地として奪われて半世紀以上が経過した。沖縄を最前線の出撃拠点にして世界中で武力を展開してきたのが米軍で、米国の都合のために力づくで奪ったものにほかならない。以後、その帰属や行政的な枠組みがどうであれ、米軍の占領状態が続いてきた。
 安倍政府のもとで集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、今度は出撃拠点として利用されるだけでなく、米軍になりかわって戦闘地域に日本人が放り込まれることになった。そうしたなかで進められている辺野古基地建設は、直接には海上輸送とつながった利便性の良い基地の新設であり、普天間が返還されるかどうかもはっきりしないという詐欺である。
 日本列島及び沖縄は「守られる」どころか、米国本土防衛の盾としてミサイル攻撃の標的になる運命にさらされている。米国の国益や海外移転をくり返す独占企業の権益を死守するために若者が戦地に送り込まれ、その命など守る気はさらさらないのが為政者である。命を守ってくれるのではなく、命を差し出せといっている。選挙は、「地獄の沙汰もカネ次第」で郷土を売り飛ばしていくのか、植民地支配に立ち向かって平和と独立を力づくでとり戻すのかが大きく問われている。米軍の下請になって沖縄に恫喝を加えているのが安倍政府であるが、県民世論を統一して調子付いた戦争狂いを叩きのめす力を示すかどうか、沖縄の審判に全国的な注目が高まっている。散散批判票を分散させたうえで「負ければ地獄」なのは安倍自民党である。

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