いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

風力発電の不都合な真実 武田恵世医師の講演(下)

 現在、風力発電所は全国的に夜間停止という措置がとられていると思う。それが最初に実施された愛媛県伊方町は、民家から300㍍しか離れていない。青山高原でも稼働当初、被害が発生した。民家から1・7㌔離れているが、安岡沖に計画されている風力発電よりも小さな発電機だ。約2㌔の集落でも被害が発生していた。


 ところが山間部なので、騒音が雲に反射するスカイレフレックスという現象が、逆転層になると起こる。海辺でも起こる。そして山びこのように反射するのと、直接の音もある。非常に大きな被害が出ている。ところがシーテックは「止めることで失う電力は膨大だ」といい、数カ月間放置して、「すぐに対処する」という当初の約束を守らなかった。最近やっと夜間停止と、各家に二重サッシをつけるという対応をした。


 静岡県東伊豆町の例だが、動悸がして落ち着かない、音は聞こえないが戸や置物が震え出す、という被害が1・5㌔ぐらいのところでたくさん起こっている。低周波音あるいは重低音の特徴的な現象だ。航空灯も結構まぶしい。また山に夕日が沈む頃、この辺はストロボ効果による風車の影で大変なことになっている。


 当初、業者は健康被害をなかなか認めなかった。被害者の証言がある。「私は生まれたときから渓流の横に住んでいて、滝の音は気にならない。ただ風車の音はたまらない」(1・2㌔地点に住む住民)。ただ、風車は安岡の半分の大きさだ。そして、「年をとって耳も聞こえなくなってきたが、風車の音だけはこたえる」「国道と線路の横に家があってその音は気にならないし、一時だが、風車の音はずっとでつらい」「恐ろしい音が地面から柱を伝って入ってくる」。


 高齢になると高音域から聞こえにくくなってくるが、低音域は結構聞こえる。そのために高齢者ほど被害が深刻になっている。

 景観で不動産価格下落 イギリスでは最大12% 

 風力発電所ができることで不動産価格の下落が起こっている。イギリスの研究で、風力発電施設の視覚的影響が不動産価格に及ぼす影響について調べたところ、20基をこえる大規模風力発電の場合、2㌔以内の不動産価格は最大12%下落した。


 ただ、風車は40㌔離れても視認ランクはレベル2の「おおよそ見える」。完全に見えなくなるのはもっと先だ。青山高原でも同じで、たとえば40㌔離れた奈良県でも割とはっきり見える。伊勢湾の反対側からでもよく見える。


 東伊豆町では信じられない例があった。土地が売れないので、「タダで譲ります」という看板を出したが、みな信用しない。仕方がないから「50万円」といったら、やっと売れたという。1000坪ぐらいあったようだが……。


 被害者の証言だ。「いつまでたっても着陸しないセスナ機」「止まらない夜行列車」。私たちはセスナ機に乗っても、夜行列車に乗ってもだいたい寝られる。それは、いつ止まるかわかっているからだ。ところが、風力発電機はいつ始まるのか、いつ終わるのかがわからない。それを我慢しろというのは非常に過酷すぎる話だと思う。大きな音がしていて雨戸とか置物も震えているが、環境基準はクリアしているから我慢して寝ろ、というのは非常に過酷な話だ。足利工業大学で風力発電をつくっている牛山泉先生も「木擦音、つまり木の葉が擦れるぐらいの音であっても、重大な睡眠障害に発展する恐れがある」といっている。

 密閉すると強くなる音 サッシが逆効果にも 

 風力発電機の音の特徴だが、パルス音、つまり断続的な音であるということ。三重サッシにしてもあまり変わらない。私も測定に行ったが本当だ。そして強風時よりも、風が緩いときの方がつらいということもある。風向に関係なく遠くまで届く。部屋を密閉すると強くなる。サッシが逆効果になることもあるのだ。家具、雨戸、ガラス、部屋、関節も共鳴振動するようだ。寝るときにはつらい部屋とましな部屋があるということだ。つまり部屋自体が共鳴振動しているということだ。


 風力発電機による健康被害は、世界中で同じような距離の人たちが同じような症状を訴えている。主な症状は、不眠と船酔いに似た症状。不眠というのをバカにしてはいけない。眠ることでほとんどの病気は治る。ほとんどの疲れはとれる。それができないというのはかなり重大な問題だ。


 特定周波数に原因を特定しようとする専門家もいる。しかし私は、風力発電機の起こす現象全体を総合的に見る必要があると考えている。ガンとか、私の専門の歯周病とか、特定の原因だけに限定するのは無理だ。非常に多くの原因が複合的に関与して病気が起こる。インフルエンザがいい例だ。同じウイルスを吸い込めば、みな同じような症状が出るわけではない。気温や湿度、いわゆる体調、他の病気の有無など非常に多くの複合的要因が重なって発症する。症状を起こすのはのど、鼻、口、胃腸、関節など人によって違い、程度もさまざま。「風力発電機による健康被害は個人差があるから、あれは気のせいだ」という音響学者がいるが、逆にいうと個人差のない病気なんて私は知らない。


 もう一つ、事業者がよくいうのが「環境基準」だ。環境省ははっきりいっている、環境基準、参照値というのは、「受忍」つまり我慢しなくてはならない基準ではありませんよ、と。ところがそれを知らない事業者と知識のない自治体は強いことをいう。


 世界中の被害者の一致した話だが、「いくら事業者が“被害が出れば補償する”“きちんと対処する”といっていても、建ってしまったらおしまいだ。事業者も行政も因果関係を認めようとはしない」といわれている。


 しかし因果関係は明らかだ。被害者宅に泊まった多くの人が同じ症状になるし、風力発電機から十分に離れると治るという共通点があるのだから。

 風力発電被害の病名としては、振動音響病、慢性騒音外傷、風力発電症候群がある。いずれも原因として騒音だけでなく、低周波音、超低周波音に注目している。


 内耳をはじめさまざまな内臓器官が共鳴、振動して、平衡感覚受容器のバランスを乱してさまざまな症状を引き起こしている。低周波音は音としては聞こえないけれども、内耳は感知して、内臓器官が共鳴することによって症状が出ている。たとえば鼓膜がなくなった人に骨伝導という方法で音を伝えたりする。そういうことが被害を及ぼしている。遅発性のてんかんやガンをもたらすと警告する学者もいる。

 

 何㌔離れればいいか? イギリスは4キロ余

 では、風車からどれぐらい離れればいいのか? 800㌔㍗の風車の場合(安岡沖に計画されている風車の5分の1)、アメリカでは800㍍、フランスやカナダでは1・5㌔。イギリスでは4㌔以上離すべきだとされており、これは妥当な距離であると思う。山間部では3・2㌔離すべきだとされている。


 また、軍事施設から10㌔以内に風車を建設してはならない、という規定がある。ニュージーランドでは8㌔離れた場所でも低周波音や振動が感じられたというケースがある。ニュージーランドは南極に近く、非常に風の強い場所だが、そんな影響もあるようだ。


 事業者の中部電力子会社・シーテックの部長さんと話をした。この会話で風力発電機に対する疑念が決定的になった。私が「風力発電は発電が不安定ですね」というと、「そのとおり。実は中部電力からはこれ以上接続するなといわれている」といった。実際、北海道や東北では接続制限を実施したり、蓄電池を義務化している。十分すぎる発電をすると、送電を切っている。次に採算性について、「採算があいませんね」というと「その通り。しかし補助金をいただくので…」。


 三重県職員に対しては、所長がもっとはっきりいっている。「発電しなくてもいいんです。建設さえすればいいんです。採算はあうんです」。私は驚いてNEDO(独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構)という経産省の外郭団体に「事業者から出た申請金額は妥当なものか、調べるんですか」と聞いてみると、「実は調査したことはございませんし、調査する予定もございません」、こういうのだ。


 この制度は幸い現在はなくなっている。ただし、再エネ賦課金という新たな優遇策がとられている。
 被害対策として最近では夜間停止、夜間避難という具体策がとられるようになった。夜間避難とは何かというと、町がアパートを借りて、寝る時間になるとマイクロバスで住民を迎えに来てアパートに連れて行き、朝になるとまた家に送る。また、時間停止というのはストロボ効果などのつらい時間だけ止めるというもので、風の強い時間帯は止めている。発電効率のよい風の強い時間に止める風力発電というのも変な話だ。

 低周波への苦情が増加 風力発電増加に伴い

 愛知県の足助病院の柏野進先生が調べた資料だが、風力発電の導入量が増えるにしたがって低周波音の苦情も増加している。複数の風車があると騒音が重なって、非常に強くなる場所があり、そこに家があると非常に被害が大きくなる。ある音響学者は「低周波音は聞こえない。聞こえないから被害などありえない」というが、実は感知はできている(アノイアンス)。そこから不定愁訴↓自津神経失調↓健康影響になっていくようだ。


 日本騒音制御工学会でも健康被害が起こっていることは認めている。この学会は盛んに「気のせいだ」という学者の多いところだが、被害は認めている。被害は森林・農地ほど大きい。


 同工学会の「風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書」のなかで、苦情の発生は2㌔まで分布していると報告されている。これを悪い業者は「2㌔までしか発生していません」というが、違う。調査を2㌔までしかしていないのだ。これは安岡に計画されているものよりかなり小さな風力発電機の話。出力が大きくなればなるほど苦情の数も多くなることを環境省も調査している。日弁連はとくに真剣に調査している。


 世界の環境学者による予防原則というのがあり、それは「ある行為が人間の健康あるいは環境への脅威を引き起こす恐れのあるときには、たとえ原因と結果の因果関係が立証されていなくても予防的措置がとられなくてはならない」というものだ。


 つまりストレス(たとえば風力発電所)があると、最初は警告期でホルモンが分泌して交感神経が興奮する。原因となんとかたたかおうとする。しかし疲れ果てて自律神経失調症、精神障害が起こる。この間に不眠というのが非常に重要な役割を果たすわけで、寝ることでかなりの病気が治り、疲れもとれるが、それができないのだから深刻だ。睡眠障害に関連する症状として、頭痛、イライラ、興味の喪失、疲労、体重の減少などが起きてくる。


 実は風力発電の被害を「気のせいだ」というのは音響学者だけで、医師でそういうことをいう者は一人もいない。柏野先生は結論として、環境省の調査報告によると風力発電所設置の広範な地域で健康被害が発生しており、風車の大型化にともない近年急増している、とのべている。


 2010年に全国の被害者が集まって集会をおこなった。当時の代表だった加藤登紀子さんが当時の増子経済産業副大臣に「補助金制度が元凶になっているので、これをすべてやめてください」といった。政府は補助金制度は翌翌年から一応やめた。しかし理由は「再エネ賦課金制度に移行するから」ということで、要望を受けたからやめたと素直にいわなかった。

 欧州で反対運動が盛ん 先進国のデンマークも 

 世界の例を話したい。中国は世界一、風力発電所がある国だ。私の近所に住む中国に工場を持つ社長さんがいうには、中国では午後1時~3時がよく停電するので、その間は休んでいる、と。午後1時~3時というとピーク時だ。つまりまともな送電線がないので、風力発電所は多いが、電気はほとんど送れていない。ただ、政府が補助金を出すからどんどんつくっている。
 ヨーロッパでは、風力発電所を増やしたことでCO2を削減できていない。デンマークは成功しているといわれたが、実は人口3000万人で、風力発電所に反対する団体が40ある。長年クリーンエネルギーのモデルだったが、今、風力発電に反対する最初の国になろうとしている。風力発電所に高い賦課金をかけているが、電気を輸入した方がはるかに安い。だから「うちの国は何をしているんだ」ということになっている。


 ドイツでも、原発をやめて再生可能エネルギーを増やしている。結局、電気料金が上がって、メルセデスベンツをはじめ大きな工場がチェコなどの周辺国に工場を移転した。それでチェコではCO2排出量が増えたので、石炭火力発電所を減らして、今度は日本から原発を導入しようとしている。つまりドイツではCO2は減ったけれども、隣のチェコのCO2排出量を増やしている。これはグリーン・パラドックスという現象だ。


 ヨーロッパでは風力発電反対の運動が非常に盛んになってきた。ヨーロッパ市議会の公開書簡を「風力発電に反対するヨーロッパプラットフォーム」が出している。それには「数百もの連合団体・先進団体その他が風力発電に反対している。不安定でコントロール不能な風力発電からの電気は環境問題を解決できない。風力発電は地域住民、経済、国家財政、環境に対する大害悪となるだけである」とある。


 アメリカでは昨年、重要なことがあった。風力発電のコストは天然ガスの3倍。今までは周辺整備費用や送電費を除外していたから、安く見積もっていた。そして、発電の不安定さを補うために火力発電所が低出力で稼働し続けることが必要で、そのための費用が必要になってくる。今年は風力発電に8075億円を余計につぎ込んだ。補助金や送電コストを入れるともっとかかってくる。これに対して風力発電業界は、「補助金は続けてください。ただ六年かけて徐徐に減らしていきます」といった。米国議会が怒って「今後六年間、さらに500億㌦(5兆円)の補助金を使うというのは、白昼堂堂目抜き通りで銀行強盗をするぐらい厚顔無恥な提案だ」と大反発した。そして「10年かけても独り立ちすることのできない風力発電に血税を投じることを正当化することは難しい」とのべた。これが議会の結論だ。


 オバマ大統領の裁定で、風力発電への補助金をあと1年だけ延長することになった。その先はまた議論されると思う。ということで、今、風力発電と太陽光発電は欧米では下火になっている。補助金は削減され、固定買取価格は下げられている。ブームは去ったということが明らかになった。
 そして風力発電機や太陽光発電の資材が余っている。有名な企業が倒産したり経営難に陥ったりしている。風力発電ではヴェスタスなどがそうだ。このなかで余った資材を買い叩いて日本で売ろうと、商社の動きが活発になっている。今、風力発電と太陽光発電をやっているのは日本と中国ぐらいのものだから。

 手前勝手な環境アセス 事業者側の主張通す 

 青山高原ウインドファームの主たる構成員であるシーテックは、中部電力の連結子会社だが、環境影響評価(アセスメント)でいくら立派なことをいっても実行しない。環境影響評価は方法書→準備書→本申請と進むが、この会社は方法書の前に必要な調査を全部終えている。そしてどんな指摘を受けても断じて変えない。健康被害が出ても風車を止めずに、まず自治会長や地主の買収にかかる。土砂崩れや補償にもすぐには対処しない。とにかく風車の数だけ増やそうとする。


 青山高原に増設中の工事だが、シーテックは「希少な生物は速やかに周辺に移動する」「希少な植物は可能な限り移植」「自然景観は風力発電機で調和がとれてよくなる」「したがって自然環境への影響はほとんどない」といっている。三重県知事は30項目ほど指摘したが、シーテックはこれを無視した。ところが県もこれを不問に付した。環境アセスメント制度というのは、あくまで事業者が自主的におこなうものだから県は助言しかできないという。自分で問題をつくって自分で答えるテストみたいなものだ。


 影響がないというから、私は影響を徹底的に調べた。すると非常にたくさんの野鳥が減っていた。「速やかに周辺に移動する」というので周辺も調べたが、増えていなかった。移動はしたんだろうが絶滅したということだ。つまり「影響はほとんどない」ではなく「影響は大である」。


 植物についても、黙っていたら「影響はなかった」というから調べた。確かに移植はしたが、ほとんど枯れてしまっている。大木も切っているし、湿原も破壊しており、影響はきわめて大きいことが明らかになった。


 環境アセスメントというのは、方法書をつくって調査や評価の方法を決めて、事務所をつくって調査をして評価書をつくり、そして事後調査で確認するのだが、実はこれ全部お手盛りなのだ。事業者が自主的におこなうものに過ぎず、強制力も罰則もない環境アセスメント制度は、事業者が無視すれば機能しない。これが現実だ。


 もう一つ、最近大きな問題になっているのは風車の撤去費用だ。中型機(750㌔㍗)でだいたい8000万円が要る。輸送と跡地整地を入れるとだいたい1億円くらいになる。4000㌔㍗だと単純にその4倍にはならないだろうが、莫大な額がかかる。事業者に資力がない場合は県の負担になる。事業者がとんずらした場合はもっと大変だ。

  最後に洋上風力発電について。

 洋上風力発電も被害大 先進の欧州で問題に 

 洋上は、年中風が吹いて安定した発電ができるというのは本当か? 気象観測船というのがあって、太平洋上のある一点に船を置いて観測している。年中風が吹いて安定しているかどうか。気象観測船の玄界灘でのデータだが、平均風速は4㍍。風力発電は風速12㍍をこえないと定格出力にならないにもかかわらず、9月で12㍍をこえたのは1日だけ。平均すると全然だめだ。もう一つ、はるか南の海上、太平洋のど真ん中にある南鳥島の測候所のデータだが、最高の場合はときどきこえているが、風速12㍍を平均風速でこえる日はほとんどない。だから、「洋上は年中風が強くて安定している」というようなデータはない。


 では、なぜつくるのか? それは高い固定買取価格が目的だ。洋上風力だけが36円で、陸上の風力の1・5倍ぐらい。それに加えて各種の補助・助成が出る。それから超低利融資が開発機構から受けられる。そして企業のイメージがよくなる。どうもこうしたことを狙ってつくるようだ。前田建設工業の財布はほとんど痛まずにつくれるようだ。


 日本の洋上風力発電はNearshore、つまり沿岸といわれるものだ。一般的に洋上風力発電というのは最低10㌔離れていないとそう呼ばない。だが日本では海辺にあれば「洋上」というらしく、ちょっとでも海にかかっていたら買取価格がどーんと違ってしまう。狙いはこれではないかと思われる。


 洋上風力の盛んなヨーロッパではどんな被害が起きているか。とくにイギリスやスウェーデンでは論文が出ている。たとえば、探査や建設工事、風車の回転などの騒音があると、魚が出血したり、浮き袋が破裂したり、音声コミュニケーションを阻害したりする。また海流や波も変化するので、基礎工事によるものだが底質が変化する。海流によって波がゆっくりになって泥質化しきつくなると砂礫化する。浸食されるところと堆積するところが出る。濁りや化学物質もたくさん出る。これはまだ未評価だ。そして海底によっては、電磁場が変化することで筋収縮の攪乱、定位および探索行動の阻害になる。つまり魚は逃げる。生息地の喪失は当然だ。

 海が変化し魚は逃げる 魚礁になるというが 

 洋上風力は魚の生息地をつくるということがいわれる。海のなかに基礎をつくるので魚礁になり、漁獲されない海域ができるので魚が増えるという話もある。ストロボ効果によって大きな影がチラチラするので捕食動物が来たと思って逃げるということもあるようだ。乱気流によって波、気温、水温が変化する。安岡沖の洋上風力発電事業は、杭を打って浸食防止用のブロックを周りに置くそうだから、海は浅いが影響はかなりあると思われる。


 実際の被害として、減ったものは大型の魚類、底生魚類、ボラ、キス、鯨類、アシカ類だ。減る可能性のある種類としては、イカ、タコ、スズキ科、タイ科、稚魚、サメ、エイ、表層魚類(トビウオ・イワシなど)がある。増えたのはイガイなどの着生貝類、フジツボ類、海藻類、外来種が増えたそうだ。増える可能性が高いのは海藻を食べるアイゴ類のようだ。こういった調査もおこなわれている。


 以上の結論だが、風力発電は「CO2排出を削減できるか?」、できていない。「自然環境に優しいか?」、酷すぎる。「人間生活への悪影響」、これも酷すぎる。「利益が得られるか?」、会社はわかりませんが私のような一般人が出資して利益を得るのはまず無理だ。「将来性は?」、明らかにない。欧米でも絶望的だ。「成功例はあるか?」、教えてくれないが、あるとしても非常にまれだ。だから私の結論としては、出資どころか決して進めてはならない。出資しなくて本当によかったと思う。


 風力発電所建設の真の目的はなにか。どうも発電ではないようだ。固定買取価格と、低利融資、優遇税制(所得税は最初の3年間は半額以下。県によってはゼロ)、イメージが良くなる。だから青山高原は山かげであろうが建設して、故障しても2年以上放置している。発電実績が悪くても増設だけはする。これは税金と電気料金(再エネ賦課金)の無駄遣いにすぎない。この後始末は一体どうするのか。

 水力と地熱には可能性 使える自然エネルギー 

 自然エネルギーの本来のあり方としては、本当に電力需要に応えうるものを、自然や人間生活を脅かさずに、電気利用者の財布を痛めずに、税金に頼らずに、導入するものでなくてはいけない。風力発電、とくに洋上風力は絶対に進めてはならないものだと思う。


 よく質問があるので最初にいうが、使える自然エネルギーだなと思うのは水力発電と地熱発電だ。これはコントロールできるから、電力の消費量にあわせて増やしたり減らしたりすることが可能。「(風力に)蓄電池を使ったらどうだ?」という質問があったが、蓄電池はあるが非常に高価なのであまり使えない。


 中部電力の川越火力発電所の技術者が非常にいいことをいっていた。「私どもは風力発電所やメガソーラーはないものとして発電している。あんな不安定なものはあてにできないでしょう」と。「じゃあ蓄電池はどうか」と聞くと、「4㍗(4000㌔㍗)の蓄電池は1億円も2億円もしますよ。4㍗程度なら、私がここの蒸気のバルブをちょっと緩めるだけですぐ出せます」。なるほど、こういうことだ。 

(おわり)

関連する記事

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someone

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。