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徳島県海陽町 風力発電建設反対で住民が決起集会 水源や山林の荒廃させる乱開発

住民250人が結集した決起大会(20日・徳島県海陽町)

 徳島県海部郡海陽町では、同町の清流・海部川の源流域に東京の事業者が大規模風力発電を建設しようとしていることに対して20日、約250人以上の住民が集まって風力反対の決起集会とパレードをおこなった。


 事業者はJAG国際エナジーグループの那賀・勝浦合同会社(東京)で、海部川の源流域に36基の巨大風車を建設しようとしている。事業者は6月に環境アセス配慮書を提出。10月に町長をまじえた説明会をおこなったが、その場で海部川に影響が出る可能性が論議され、町長は反対を表明していた。ところが事業者は住民の声を無視して、11月4日に環境アセス方法書の提出に進んだため、なにかアクションを起こそうと急きょ、この日の行動となった。行動を呼びかけたのは地元住民でつくる「那賀・海部・安芸風力発電事業に絶対反対する会」(成田愛治・代表世話人)。会場となった阿波海南文化村駐車場には、町内の若い世代をはじめ約250人以上が集まった。午前中、決起集会をおこなった後に海陽町役場までパレードをおこない、午後からは希望者で計画予定地の視察をおこなった。


 絶対反対する会は、この日の呼びかけチラシで次のように訴えている。


 ▼海部川の源流域である鰻轟、王余魚谷山、後谷、湯桶丸の山々は水源涵養保安林に指定されており、貴重な動植物が数多く生息している。全国的にも大切にすべき山々であり、いくら調査をして事業を進めても、この森が豊かになるとは考えられない。


 ▼予定地はたいへん急峻な地形で、山は木々により崩壊や落石を防止している。木々の伐採、道路拡幅(幅7㍍、延長10㌔以上)、一基当り4000平方㍍の設置場所を30カ所以上確保するなどすると、信仰の山轟神社、龍漠院龍王寺や海部川に及ぼす影響は計り知れない。


 ▼全国的に合同会社、合資会社で工事の途中放棄、風車の放棄などが数多くあり、利益ありきで信用できない。


 ▼われわれは計画に絶対反対であり、住民の意志を集め、世論に訴えることこそ唯一の対抗策だと考えている。住民はじめ、県民、全国民の皆様に是非一緒に声をあげていただきたい。


 代表世話人の成田愛治氏は、「風力の事業者は、一方で“今の土木技術を用いれば工事は可能”といいながら、“可能でなければ中止する”“風車設置基数が少なく事業として成り立たなければ中止する”ともいっている。非常に急峻な現地を調査もせずに計画をうち出している。そして、どんな方針か? と聞いたら、“風力はごっついもうかるからやりたい”と笑いながらいう。住民はここで一生懸命に生きているのに、まったく住民のことを考えていない。以前も海部川の源流域の一部で、事業者が中止要請を押し切って森林を伐採し、影響が出たことがあるが、今回はその比ではない。そこで決起大会の呼びかけをつくり、仲間と一緒に町内4300戸全戸に配布した。ほとんどの町民は反対だ。50年前に原発計画が持ち上がったとき、全町の立ち上がりで頓挫させたことがあるが、そのときと同じように町内外の世論を盛り上げて計画を断念させたい」と語っている。

 

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