いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

「在宅避難者に携帯トイレを」 能登被災地支援めぐり山本太郎が環境委員会で要望 上下水が損傷し生活に支障 復旧遅れる基幹インフラ

液状化でマンホールが地面から飛び出している能登被災地。上下水の問題はまだ解決されていない(9日、石川県珠洲市)

 れいわ新選組の山本太郎参議院議員は23日、環境委員会で質疑に立ち、能登半島地震で被災した石川県奥能登地域の窮状を伝えるとともに、物資のプッシュ型支援を早々と打ち切った国に対して支援体制の増強を求めた。質疑では、国が当初から在宅避難者数の実態把握すらまともにおこなわず、被災地の被害や疲弊に対して貧弱な支援で事済ませてきた実態が明らかになり、被災地での有言不実行を正当化する政府の詐欺的手法も暴露された。以下、質疑の概要を紹介する。

 

国の乏しい支援実態を暴露

 

質問する山本太郎議員(23日)

 山本 能登半島地震では各省庁から応援・支援の人員が派遣されている。いわゆるリエゾンだ。環境省リエゾンが現地でどのような仕事をしているのか、テキストで出してもらった【表①参照】。災害廃棄物処理、公費解体、浄化槽、応援派遣調整等々…。災害廃棄物の対応に関しては、向こう2年以上要するということなので、かなりの激務であることは間違いない。本当に頭が下がる。環境省、現時点で珠洲市、輪島市にリエゾンは何名入っているか?

 

 環境省・角倉次長 4月22日現在、珠洲市で3名、輪島市に3名入っている。

 

 山本 テキストにしてもらった業務内容を見ても3人はしんどい。明らかに仕事量と応援人数が釣り合ってない。とても3人で回せる仕事とは思えない。大臣、復興をさらに早めていくことを考えても応援の増員をぜひ検討をお願いしたい。

 

 伊藤環境大臣 委員のご指摘を踏まえて、そのように努力したい。

 

 山本 さまざまな特殊な状況を受けて、生活復旧にもまだ届いていないところなので、できる限り検討していただき、前に進めていただけるようにお願いしたい。

 

 内閣府のリエゾンについて、現地でどのような仕事をしているのか、テキストで出してもらった【表②参照】。かなり業務量が多い。業務内容として教えていただいたものは数が多すぎて、(質問資料では)逆に先ほどの環境省よりも絞られた状態になっているが、実際はかなり多い。現時点で珠洲市、輪島市に内閣府のリエゾンは何名入っているか?

 

 内閣府・上村審議官 内閣防災の現地点でのリエゾンの数は珠洲市、輪島市ともに1名となっている。

 

 山本 各避難所の避難者等の状況把握、物資の搬送状況、生業インフラの復旧状況、NPOボランティアの取組状況、支援金の制度、内閣府所管制度への質問対応、さまざまな助言、伝達等々…これは一番ヘビーなことをやっていると思うが、多岐にわたる業務を内閣府のたった1人のリエゾンで回している状態だ。さすがにもうちょっと増強していただきたい。内閣府の政務官にお越しいただいているが、現地応援の増員の検討をお願いしたいが、いかがか。

 

 平沼内閣府大臣政務官 現場の状況、リエゾン等からの報告も踏まえてしっかりと検討する。

 

 山本 もう現場の状況を踏まえてみれば、間違いなく増員する以外はない状況だと思う。ぜひ省内でも話し合っていただき、できれば大臣にも共有していただき、増強が叶うよう力を尽くしていただきたい

 

奥能登の現実 宅地内漏水で下水流せず

 

 山本 能登半島の生活復旧・復興に向けて、問題山積だ。今現地に入っている人員では到底足りていない。人員を増やす必要があると考える。

 

 さて、先日、本委員会で上下水が復旧していない奥能登が抱えるトイレ問題についてお伝えした。国交省、珠洲市、輪島市で下水道の復旧率はどれくらいか?

 

 国交省・松原審議官 珠洲市と輪島市の下水処理場については、応急復旧によりすべての施設で処理機能が確保されている。管路については、4月22日時点、輪島市では流下機能を確保済みであり、珠洲市では全管路延長の89%で流下機能が確保されている。

 

 山本 今の答弁を聞くと下水のことをよくわからない人は「結構良い感じになってるんだね」と受けとってしまいそうなので、翻訳と情報の補足をさせていただく。

 

 復旧率89%という数字は、下水道本管の89%が整備されたという意味ではない。応急修理だ。応急修理とは、地震で地盤が隆起、沈下、逆勾配するところであっても、とりあえず配管だけ仮で繋いだ状態だ。この応急修理では、管が詰まってしまうことがおおいにあるそうだ。溢れた場合はバキュームするという話だ。

 

 奥能登の復旧はかなりの時間を要することは皆さんご存じのことだと思う。後になってから下水の詰まりが出てきた場合には、そこら中でポンプアップする必要がある。そういう可能性が十分にあるということだ。そのときにバキュームできる応援の人員が絞られている。「そろそろいいだろう」「何カ月も経ったから問題ないだろう」と、今までの地震と同じように考えて人をどんどん間引いていく。これは現在、政府も地方の応援も絞っていっている状態だから、それ以外の応援もどんどん手を離していく状況になったとき、これをバキュームできる応援の人員さえも絞られている状態だった場合には、町は汚物まみれになる。そんなことは絶対にあってはならない。

 

 完全に生活復旧が確認されるまでは、奥能登から支援や応援を削る、絞るなどは、リエゾン以外においても絶対にNG。増員を基本にしなければならないことを共有したい。

 

 そもそも復旧率89%という数字は、89%の家で下水が流せるようになったというわけではない。自宅敷地内で下水管の損傷があれば下水など流せない。宅地内下水管の漏洩がどれくらいにのぼるのか調査はおこなわれているか?

 

 国交省・松原審議官 把握していない。

 

 山本 調査もなし。私有財産なので自己責任でよろしくね…そういうことだ。下水の本格復旧はできていないし、多くの被災者のお宅から下水は流せない状態が続いている。元々その修理を請け負える業者が数えるほどしかいないところに、水道の本管修繕などにも人手がとられて手が空いていない。

 

 自宅で避難されている方々、いわゆる在宅避難者は自宅のトイレが使えない人たちが圧倒的だ。便意を催したときには避難所や公共施設のトイレを借りる。そのため15分歩いて用を足しに行くなど当たり前。できる限りトイレに行かないよう水・食料をとらないという方々も大勢。このままでは遅かれ早かれ健康を害することにつながる。

 

被災地などで配布される災害用トイレ

 提供される物資のなかでもっともニーズが高いといわれるのが携帯トイレだ。民間の物資配布でもあっという間になくなる。上下水が通っていなくても自宅便器に携帯トイレの袋をかけて用を足し、凝固剤を振りかけて袋の口を締めて廃棄物として処理が可能。先日、本委員会で被災自治体に対してこの携帯トイレをコンスタントに大量提供することをお願いした。大臣は総理に対しても私の提案を伝えていただくことを快く引き受けてくださった。本当に感謝申し上げる。結果はどうであったかを検証したい。

 

 まず環境省から災害物資担当の内閣府にパスが出されたようだ。内閣府、先日の質疑後、どのようなアプローチで現地とのやりとりをおこなったか説明してほしい。

 

 内閣府・上村審議官 内閣防災の担当者から自治体のリエゾンを介してニーズの確認、物資の調達状況の確認をおこない、(石川)県において適時調達をしている旨確認している。

 

 山本 要するに、自治体が必要な数を県に要求し、県はそれに対応しているから足りているということが確認できたということでよいか?

 

 内閣府・上村審議官 その通りだ。

 

 山本 このやりとりをもって終了というのは、あまりにもあり得ない。ニーズを把握して、必要なところに届けるだけの余力が被災市町にあると考えること自体が間違いだ。その確認だけで問題ないなら、そもそも携帯トイレが不足すること自体、起こらないはずだ。被災自治体は発災からずっと休みがない。災害対応に終わりがない状態。対応することも多岐にわたるなかで判断が的確でない部分も多く出てくるはずだ。だからこそちゃんと(国が)伴走していただきたい。今回のやりとりだけをもって、足りている、問題ないと判断することはたいへん危険だ。実際は足りていない。だから被災された方々が困っている。
 もう一度、どう支援していくべきかをやりとりさせてほしい。

 

現実と乖離した被災者情報 県と市町で数字は3倍の差

 

 山本 まず基本情報を共有する。珠洲市と輪島市に絞って話を進める。現在、避難所ではなく、自宅で避難されている在宅避難者の数を教えてほしい。

 

 内閣府・上村審議官 在宅避難者として整理されたものは承知していないが、珠洲市では4月22日時点で、在宅や車中泊の方の訪問をおこない、対面できたのが2513名と聞いている。輪島市では4月15日時点で、民生委員の見まもり対象世帯を訪問し、対面できたのが1593名。これに加えて75歳以上の方を訪問し、対面できたのが725名と聞いている。

 

 山本 それは市町が把握している数字ということでよいか?

 

 内閣府・上村審議官 今申し上げたのは、市町が訪問や対面した数だ。石川県が設置している情報登録窓口においては、4月8日時点で珠洲市で635名、輪島市で1482名とされている。

 

 山本 市町が把握している数の方が圧倒的に多い。一方で、これまでずっと国が答えてきたのは県発表の数字だ。圧倒的に数が少ない。これまで内閣府に問い合わせても県発表の数字しか答えてもらえなかった。それを批判してきた結果、今回の質疑からは市町の数字を加えて答弁してくれるようになった。これまで国が物資を支援するさいの数字は、間違いなく県発表の数字がベースになっていた。これからは市町の数字をベースに対応することにつながるのであれば歓迎したい。

 

 本題に入る。県発表の数字は実態を把握できていない。なぜなら被災者みずからLINEまたは電話で登録するシステムだから、その手続きをおこなっていない者は漏れてしまう。たとえば珠洲市の危機管理室が把握する在宅避難者数は2513人。これは赤十字やNGOなどが訪問調査などで得た数字だから県の数字より実態に近いと考えられる。

 

 県と珠洲市では把握している数字に大きな開きがある。県の数字と比較すると、珠洲市が把握する在宅避難者数は約4倍だ。国が支援をおこなう場合、見積もりが小さい県発表の数字を参考にしてしまえば、必要物資が不足する状態が生まれるのは当然だ。少なくとも被災市町が把握する数をベースに支援をおこなってもらわなければ話にならない。

 

 それを理解いただくためにもざっくり示す。県と珠洲市それぞれが把握する在宅避難者数で、携帯トイレがいくつ必要か。人が1日にトイレにいく回数は、一般的には平均6回ともいわれる。1日当り携帯トイレが1人6個必要と見積もって数字を出した【表③参照】。

 

 県発表の数字では1日で3810個必要。珠洲市の数字では、一日で1万7000個必要。県の数字では1週間で2万6670個、珠洲市の数字では1週間で10万5546個。さらに1カ月では、県の数字なら11万4300個、珠洲市の数字なら43万2340個必要になる。どの数字を基準にするかで必要な数はこれだけ大きな差が生まれるのだ。

 

わずかな支援で手を引いた政府 皆無に等しい公助

 

 山本 では発災から今日までの間、携帯トイレがいくつ被災地に届けられたか? その総数と届け先の施設はどこか教えてほしい。

 

 内閣府・上村審議官 4月4日に(山本)事務所からの問い合わせに対して回答した6万7000のうち、珠洲市に約2万6000、輪島市に約2万送られている。送り先は基本的には避難所ということだ。

 

 山本 質問通告までしているのだから、ズレた答えに戻さないでほしい。届け先は金沢市ではないか。金沢市内に集積されて、それぞれ分配する。総数は90万個だそうだ(いずれも質問通告に対する内閣府防災の回答)。発災からプッシュ型支援が終わるまでの間に届けられた総数だ。

 

 今日で発災から114日経過した。珠洲市の在宅避難者数から想定した携帯トイレの必要数から計算すると、国が提供した携帯トイレ約90万個は、珠洲市での59日分にしかならない。現実は、金沢市内に運ばれた数少ない携帯トイレを、下水道に問題を抱えるすべての被災自治体で分配した。圧倒的に支援が足りていなかったと国が自覚しなければいけない。

 

 環境大臣、一般論として聞く。今の話を聞かれて、被災地への携帯トイレの支援を増強していかなければいけないという風に思われるか?

 

 伊藤大臣 委員のご指摘を十分踏まえたいと思うが、環境省としては現地に環境省職員を派遣し、被災自治体等との連絡調整をつとめ、情報を収集把握したうえで適切な対応をしてまいりたいと思う。それから他省庁においても同じだが、適切に被災情報の収集把握がおこなえることが重要だという風に考える。

 

 山本 ここは官僚の文章を読んでいただきたくない。だから一般論として聞いている。今のようなカウントの仕方を考えれば、圧倒的にトイレが足りていないという結果にしか行き着かない。そう考えたときに一般論として、もちろん所管外であることはわかったうえで聞いているが、数としてもうちょっとあった方がいいよな、という風に思われないか?

 

 伊藤大臣 もう少しあった方がいいな、と推測する。

 

 山本 申し訳ないが、これまでおこなってきた半端な支援は先回りとは呼べない。プッシュ型とは呼べない。にもかかわらず、国は十分にやれることはやっているとアピールし続けてきた。あまりにも筋悪だ。支援の仕方を変えてもらいたい。

 

 では、どういう支援が必要か? 在宅避難者のほとんどが自宅トイレを使えていないことを前提にして支援を考えていただきたい。少なくとも市町が把握する数で、携帯トイレ、必要な物資を準備することが絶対的に必要だと思う。

 

 そういう考え方でぜひ政務官、バックアップしていただけないか? 携帯トイレは各戸に届く状態になっていない。それを前に進めていただきたい。

 

 平沼内閣府大臣政務官 委員ご指摘の通り、やはり現場の実情をよく踏まえたうえで、各リエゾンもまだいるので、しっかり市町からの要望も汲みとって対応を適切にしてまいりたい。

 

 山本 リエゾンがいるといっても、先ほどお伝えした通り、珠洲市に1人、輪島市に1人だ。もうすでにさまざま仕事を抱えすぎていて、水問題に関して心を配るのはかなり難しい話になっていると思う。

 

 リエゾンの増員をお願いする理由は、あまりにも少ない人数で多くの仕事を抱えて現場で踏ん張っている状態を解消してあげることだけではなく、今回の件に関しても「足りない」という問題を丁寧に調べて十分な数をコンスタントに被災地に届けるためにも必要なのだ。

 

 だって物資が届いていない。とりに行けない人たちがいる。高齢者だけではない。仕事の都合でいけない人もいる。平日の夜でも携帯トイレが受けとれる場所が必要だし、自宅まで届ける必要がある状況の人もいるかもしれない。そういったロジスティクスに関することまでカバーする、提案する、回すというサポートがなければ、生活の基礎である水が出ないのだ。下水が流れない。このタフな土地でいつまで住み続けられるかということだ。

 

 3月23日、国のプッシュ型支援はもう終わっている。「支援する、足りなければ」といっているが、環境大臣にもお願いし、総理大臣にもお願いして前に進むかと思えば、結局「向こうに聞いてみたら大丈夫だったってことだから大丈夫だろ」って話に戻っている。

 

 私たちは居酒屋でしゃべってるわけじゃない。国会の審議で環境委員会と予算委員会を使ってやっていることに関して、これが調べられるような人員体制を作る必要がある。

 

 ぜひ政務官、リエゾンを増やすことに力を入れていただきたい。そして総理とお会いになる機会が多い環境大臣にお願いしたい。リエゾンを増やしてほしい。トイレはいまだ足りておらず、市町発表の数をベースに支援を増強してほしいことをぜひ総理大臣に伝えていただけないか。

 

 伊藤大臣 委員のご指摘を踏まえて努力したいと思う。

 

倒壊した家屋にも手がついていない奥能登被災地(10日、石川県珠洲市)

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。