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労働者切捨てで欠陥車激増  強欲・傲慢なトヨタの破綻  米国市場で制裁受ける

 正社員を安上がりな派遣社員、期間工などにとってかえ、世界恐慌に突入すると大量の「派遣切り」をやってきたトヨタの欠陥車が続出し、世界中で1000万台がリコール(自主回収・修理)を余儀なくされる事態となっている。株主資本主義といい、市場原理といって、労働者をモノ扱いしてきた結果、生産現場をガタガタにし、技術低下をもたらした結果である。労働力という富を生む源泉まで潰してきた強欲なるトヨタ資本の自業自得の結果である。この問題は同時に、GMやフォードの市場を奪うことは許さぬというアメリカ独占体からの制裁でもある。対米従属経済の破たんをも教えている。
 トヨタ自動車は9日、最新ハイブリッド車プリウスやレクサスなど4車種・43万7000台とカムリ・7700台の追加リコールを発表した。「燃費性能がいい」「低価格」と大宣伝してきたが、ブレーキが効かない欠陥車だったからである。とくに新型プリウスは販売がはじまってわずか一年で、ブレーキの不具合を伝える苦情が190件以上に到達。米道路交通安全局(NHTSA)には衝突事故を起こしたケースが100件以上報告される事態となった。
 トヨタは当初「フィーリング(感覚)の問題」「よく踏み込めば止まる」「問題はアメリカの車だけで日本の製品は大丈夫」といっていたが、すでにフロアマット問題(約444万台)やアクセルペダル問題(575万台)で1019万台もの欠陥車が出たなかで利用者の批判が噴出。リコールに踏み切らざるを得なくなった。
 トヨタの豊田章男社長は「トヨタは絶対失敗しないとは思っていない。顧客の安全を確保する」と表明。全国のトヨタ車販売店で改修を施し、新たなブレーキの部品ができるまでラインを停止することで幕引きを図る意図を示した。これについて前原国交相は「リコールは悪いことではない。企業が製造者責任を果たしていると前向きにとらえていい」と発言。トヨタ労組出身の直嶋経済産業相は「今回は比較的速い判断」と褒めている。

 高級車ほど欠陥集合体 製造ラインの現場

 トヨタ関連の労働者は「まともな製造ができる現場ではない」「欠陥車製造は少しの手直しで治るようなものではない」と憤りを込めて指摘している。
 トヨタ九州関連の男性労働者(40代)は「とにかくラインのスピードがギリギリ」と話す。「“ムダを省く”とか“効率第一”というが、机上の数値計算ではじき出したもので、全くミスをしない前提だ。だから欠陥品が流れたのに気づいても修正ができない。“あっ”と思ったときには流れていく。欠陥車が出ない方がおかしい」と指摘した。
 トヨタ下請の元期間工(40代・男性)も「モノ作りをする現場がモノを作る人間を大切にしないのが致命的」と話す。「15種類のコンピューターを一人で扱うラインにいたが、作業は0・1秒単位で動きが決まっている。単純作業ばかり続けるからだんだん頭がおかしくなる。ラインのスピードも早すぎるが、なにかいえば“生産量も納期もトヨタとの関係で決まっているからスピードは落とせない”“おまえがラインにあわせろ”といわれるだけ。これを一日中続けて残業が3時間。それで“品質を上げろ!”という。必死で欠陥品を出さないようにしていたが、人をモノとしてしか扱わないことに腹が立ってしょうがなかった。とくに下請はトヨタの単価切り下げでおおごと。末端は外国人ばかりで連携もとれないから、出荷前リコールはすごく多かった」と話した。
 ラインのメンテナンスに携わる労働者も「レクサスなどの最終ラインは確かにチェック体制は厳重だ。でもそんなことでは解決しない」と話す。「トヨタは末端から集まってきた部品を組み付ける部署には日本人を配置するが、そこに集まる部品が欠陥品だらけ。だからパーツの多い高級車ほど欠陥部品の集合体になる。最新式の高級車が安全だと思うと大間違いだ」と強調した。

 臨時工増やし技術低下 市場原理改革の産物

 こうした事態がなぜ生み出されてきたのか。小泉・竹中の市場原理主義改革のなかで株主至上主義があおられ、労働規制の緩和を推進。正社員の半分以下の給料の期間工や派遣労働者に置きかえ、いらないときは放り出してきた。それが技術低下をすすめ、生産現場を崩壊させてきた。
 トヨタの自動車事業全体の労働者数を見ると臨時工(派遣や期間工)の数は製造派遣が解禁された04年以後に急増した。正社員は20万人前後で推移したが、臨時工は3万2810人(03年)、6万2487人(05年)、7万1866人(08年)と4年で4万人近く増加した。そして2003年~06年には「中国コストに勝つ」といって「総原価30%のコストダウン」を実施。その後も「非常識への挑戦」と叫びコスト削減に駆り立てた。その一方で世界生産を400万台から1000万台に拡大する「グローバルマスタープラン」を押し進めた。
 こうしたなかで技術低下が進行した。95年頃は国内モデルのデザイン決定から生産開発までに平均で約18・9カ月かけていたが、06年には12カ月間に短縮。新車製造は企画、設計ののちの試作車作りで実験を繰り返して量産してきたが、トヨタは試作車製造には金がかかるといい「試作車レス」を実行。そしてパソコン上で安全確認するだけで量産する体制を拡大した。
 これに対応した北米やアジアでの新工場立ち上げも日本の生産現場に変化をもたらした。当時を知る期間工は「人件費が安い中国や韓国に工場を建てるため、日本の技術者が引き抜かれていった。そして技術を伝授しては退職していく。日本の技術者が育たないから日本の技術は崩壊状態となった。いろいろ教えてもらおうにも今はまわりがみな短期の期間工だから聞くこともできない。みんな部分作業しかわからず、自分がやっている意味すらわからない状態。これで何が技術立国か」と話す。
 そして数少ない設計部門で車全体のシステムをみることのできる熟練技術者にたいしては拡大戦略実現の道具として、連日連夜仕事に追い立てて酷使。退職すれば期間工や社外工に置きかえていった。新車やモデルチェンジについても設計要員が足りないため、韓国に委託する事態になった。
 このころからトヨタ車のリコールが急増した。トヨタ車のリコールは01年が6件・4万6000台。それが05年になると11件・193万台となり40倍になっている。
 さらに指摘されるのは非正規雇用の拡大で、自動車生産に不可欠な多能工の熟練とチームワークが破壊されたことである。一つの職場は20人程度のグループが多いが人員がコロコロ入れ替わる。とくに低賃金の外国人労働者が増えている。製造ラインのグループリーダー経験者は「派遣や期間工はすぐやめていくしお互いが競走相手。教えあって技術を磨いたり助け合うことができない。外国人労働者とは言葉が通じないため緊急トラブルに対処できないし、ささいなことでケンカになる。まともな生産ができない」と話す。
 こうしたなかでトヨタは史上最高益を更新し、07年度の連結内部留保は13兆9332億円(02年度・8兆5224億円)、株式配当額は4308億円(02年度・1093億円)を実現。儲けばかり追求し、生産現場を崩壊させてきたのである。

 大量首切りで生産破壊 リーマンショック後

 そして段階を画したのがリーマンショック後に強行したすさまじい首切りである。トヨタは08年1月に約9000人いた期間工を7800人切り捨て、昨年9月段階で1200人に削減。子会社のトヨタ九州も合計1900人の派遣労働者の雇い止め解雇を強行した。主なグループ会社だけでデンソー(期間工・2700人削減)、アイシン精機(期間工・4420人削減)、豊田自動織機(期間工・2245人削減)、トヨタ紡織(派遣・1500人削減)、トヨタ紡織九州(派遣・200人削減)、トヨタ合成(派遣・498削減)、トヨタ車体(派遣など1600人削減)、ジェイテクト(派遣など1400人削減)、ダイハツ(派遣など600人削減)、日野自動車(期間工・1850人削減)、関東自動車(派遣など700人以上削減)と首切りの嵐。ざっと2万7000人もの非正規雇用労働者を切り捨てた。
 トヨタは「エコカー減税」や補助金が受けられる新型プリウスの発売を発表し、さらなる儲けを追求。これまでのプリウスが335万~233万円であるのにたいし、発売価格を205万円と設定し、プリウス部品の下請企業すべてに25%ものコストダウンを押しつけた。
 そしてプリウスの大量注文で堤工場(愛知県豊田市)が増産を開始。半日ライン停止や二直の交代制が一直(昼勤)になっていた正社員を堤工場へ送り込み、臨時出勤や残業で酷使した。さらにハイブリッドカー部品を生産するパナソニックEVエナジー(トヨタの合弁会社)の工場にも減産中のレクサス工場、トヨタの田原工場などから応援要員を派遣。それでも人員がたりず昨年9月には期間工1600人(過去に同社で働いたことがある経験者)を再度採用し堤工場に配置した。トヨタの元期間工は「ここ数年のライン生産は期間工や派遣が主力。それを“派遣切り”で切り捨て、正社員を突然、ラインに回してまともな生産ができるはずがない」と指摘している。
 市場原理で生産原理を破壊してきたが、それは強欲資本が富を得る源泉を自ら破壊することをあらわしている。

 トヨタ制裁で販売拡大 フォードやGM

 さらにもう一つの側面は、アメリカからの制裁をあらわしている。ことの発端は米当局からの摘発だった。米運輸省のラフード長官は今月2日に声明を出し、昨年起きたトヨタ車の暴走事故の原因が電子制御関連の不具合だと追及した。アメリカのメディアは米政府がトヨタに制裁金を科すことを検討していると圧力をかけた。
 リコールでいえばGMが昨年四月に中型車計約150万台を届け出ている。フォードも昨年10月に450万台のリコールを実施し、過去10年間のリコール届け出は1600万台に達している。その背景では、05年以後のビッグスリーがGM・5万9500人、クライスラー・3万3200人、フォード・3万7000人と3社で約13万人もの労働者を切り捨てていた。
 GMやクライスラーが破たんし、フォードも苦戦するなかでトヨタが儲け、米市場を荒らすことは許さないというのである。米ゼネラル・モーターズ(GM)は、トヨタ車オーナーがGM車に買い替えた場合、1000㌦(約9万円)の現金値引きを実施し、フォードやクライスラーも同様のキャンペーンに乗り出した。そして1月の米自動車販売はトヨタが16%減少する一方で、フォードが24・4%増、GMが14・6%増と急拡大している。対米従属を基本とするトヨタや日本の独占企業は、アメリカ資本がつぶれるときにはつぶされるという関係をあらわしている。

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この記事へのコメント

  1. 川中敏博 says:

    期間労働者による製造工程品質管理も出来ずただユーザーが多いからという理由で流れ作業その結果エンジンはいいが取付け部品の不備によるガタツキ音(異音)、ビビり音とても運転中耐えがたいイラつきを覚える・・・もうこんな車はいらないわ。乗っていてイラつくだけで楽しくない車である。トヨタももう終わりかな?驕れるもの久からず(何兆円売り上げたとか話題になっていられるのも今のうち)

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