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都知事選で得た確かな手応えと課題 開票結果受け山本太郎陣営が記者会見

 東京都知事選の投開票がおこなわれた5日、れいわ新選組公認の山本太郎陣営は、東京都千代田区市ヶ谷に開設したボランティアセンターで記者会見を開いた。


 午後8時の開票開始と同時に「小池百合子当確」の速報が流れたのち、会見場に現れた山本氏は「高かった(小池)百合子山。そうはいいながらも、私たちを含め他候補に託してもらった票もたくさんあるので、小池知事への課題は山積していると思う」とのべ、はじめに都知事選をめぐる経費収支を公表。今回の都知事選では、8574件から1億2970万4391円の寄付金が集まり、選挙に関する支出(政党活動費を含む)は1億2450万777円となったことを報告した。


 「実際に百合子山にチャレンジしてみての率直な実感は?」との記者の質問に対して、山本氏は「それは選挙への関心を失って票を捨てている人たちに実際にどれだけリーチできたのか、一人から横に広がって行くことでどれだけの票が出てくるのかによって大きく変わってくると思う。それは開票結果が出てから評価したい」としたうえで、「かなり高い山だ。銭湯に描いてある山のように見えていたが、実際はかなり険しい山だと思う」とのべた。


 コロナ禍での選挙を強いられ、街頭などでの通常の選挙活動が制限されたことについては、「そもそもコロナ禍において選挙をおこなうということに無理があるという前提があるが、やる以上はチャレンジャーとしては(外に)出るしかない。当然、各陣営は苦労したと思うし、私たちもゲリラ街宣を強いられた。一方、現職の小池さんはこれまでもメディアには取り上げられ、コロナ禍(の選挙期間中)でも一定のメディア露出があったのだから、それはやはり大きな差を生む。コロナ禍での選挙(感染対策)が常にいわれるなかで、最も現実的に考えられるのはテレビでの候補者討論会だと思うが、前回選挙では各局やったのに今回は一度もやらなかったことには確固とした意志を感じる。小池さんとテレビのスポンサーである企業側との利害が一致していたと感じる。必ず東京五輪を開催するとか、国会でほとんど議論されないままに、住民合意も適当におこなわれるスーパーシティ的なことも、今後の小池都政で大きく前に進むのではないか。そのように企業側の意志が強く反映された選挙だったように思う」とのべた。


 また「(落選の)結果については率直にいって非常に悔しい。東京五輪の是非、経済の回復、カジノ導入などの都政をめぐる争点はいくつもあったが、メディアの扱いを見ると、この都知事選の存在を主要メディアは積極的には発信したくなかったのではないかと感じる。もともと私はテレビに放送禁止物体として扱われているので想定内ではあるが、それは残念なことだ」とのべ、今後の小池都政に対しては、一日あたりのコロナ感染検査能力を上げていくこと、コロナ・ショックによって大きな打撃を受けた人々の回復のために都として大胆な底上げをすること、国に対してコロナの災害指定を強く求めることを要求した。


 今後の国政における野党共闘については、「都知事選の結果に関係なく、消費税の5%減税が野党の共通政策にならなければならないという私たちの方針が変わることはない。コロナ禍における2月から6月の経済的打撃を回復できている人は多くはない。この状況下にあっても消費税5%減税の共通政策に抵抗を感じるのなら、逆に(そのような人たちは)そのまま行けばいい。本来ならば消費税はゼロにすべきときであり、まったく人々の声が聞こえてないのではないかと思わざるをえない」と言葉を強めた。


 今回の都知事選で山本陣営を支えたボランティアの数は、街頭など一時的な参加も含めると集計不能であるものの、17日間にボランティアセンターの受付で明らかになっているだけで、参院選時(約3500人)を上回るのべ4179人にのぼった。また、知人などを紹介するための公選ハガキは、都内をはじめ全国各地の6789人から8万6989人分が寄せられたことも報告した。


 厳しい選挙を支えたボランティアに対して山本氏は、「参議院選もそうだったが、足を向けては寝られない。とくにコロナ禍の厳しい状態に置かれた人たちが、新たにボランティアセンターに来てくれた。ボランティアセンターに来てくれた20代、30代の方々。これまで来てくれた人も今回は来られない人もいた。それぞれのスケジュールの都合が合わなかったり、都知事選は宇都宮さんを応援するという人もいらっしゃった。それでも、その抜けていく人もいる中でもどんどん新しくボランティアに加わってくださった。なかでも職を失った方が非常に多く、それはいまの状況をなんとかしてほしいと思う方々だったと思う。なかには小さな病院を開業されているお医者さんが、昼休みに看護婦さんと一緒にボランティアに来られることもあった。コロナ禍で来院者が減り、病院の骨格が歪むほど経営が厳しくなり、このまま推移して第2波が来たときには多くのクリニックが潰れてしまう。私は選挙戦で前年度の診療報酬支払額を補償することを公約にしたが、おそらくそこに期待されていたのではないかと思う。当事者としてコロナ禍において首が締まった人たちがこの選挙の応援に来てくれた。それを思うと、本当に申し訳ないという気持ちで一杯だ」と悔しさをにじませた。


 また、「今回はコロナ禍において数々の苦しんでいる人たちを見て、東京都知事という権力を持つことによって全力で(生活の)底上げができるということが自分の出馬の動機だった。自分の目の前で苦しんでいる人たちに対して、東京都として都債を発行するなどの権限を行使すれば十分に救うことができる。だが、当選に至らず手を差しのべることができなかったことが非常に悔しいし、力不足を痛感している」とのべ、今後の活動については「4年後になると思われる都知事選に自分が立つのか、他に誰かを擁立するのかはまだ定かではない。今後は次の舞台となる直近の衆院選挙の準備に入る」とした。


 最後に、政治(選挙)に失望している5割に全力で働きかけてきた選挙戦をふり返り、「手応えはいつも感じている。それがゲリラであっても街宣には多くの方が足を止めてくれる。おそらくコロナによって、自分が当事者になった人が増えたからではないかと思う。その手応えがそのまま票に直結するものではないことは過去の経験でも身に染みており、それが結果にもはっきりと出ている。だが、この17日間で直接話を聞いていただいた方々は、恐らく全有権者の一割にも満たないと思う。多くの方にリーチにしてくことの難しさは毎度思うが、それを諦めるわけにはいかない。電波(メディア)に乗れるか否かは、私たちがどうにかできることではなく、おまけでしかない。私たちは、一人一人横に広げていく活動を地上で続けて行くほかない。解散総選挙は、コロナが収まっていない状況下であっても、投票率が上がらないことを望む彼ら(現政権)は好都合と見なして今秋にも仕掛けてくる可能性がある。私たちは、そのなかでもリアルに有権者と繋がっていける方法を探していく」とのべ、今後は引きつづく次期総選挙に向けて全国の選挙区で100名規模の候補者を擁立していく考えを明かした。

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