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大阪地検が財務省幹部らを不起訴処分 文書改ざんの張本人は栄転

 森友学園への国有地格安払い下げや財務省の関連公文書を改ざんしていた問題で、大阪地検は9日、当時の財務省幹部ら10人をふたたび不起訴処分(嫌疑不十分)とした。3月の検察審査会(検審)による「不起訴不当」議決を受けて再捜査をしていたが、「いずれについても起訴するに足りる証拠を収集することができなかった」とし、一連の捜査に終止符を打った。16日には、決算文書の改ざんで中心的な役割を担った財務省官房参事官を駐英公使に充てる人事を発表。違法行為で処分された人物が栄転を果たした。

 

 大阪地検の再捜査の対象は、財務省近畿財務局が虚構のゴミの撤去費用8億円を値引きして国有地を森友学園に売却し、故意に国に損害を与えたとする背任容疑、さらに決裁文書を改ざんした有印公文書変造・同行使容疑、財務局が学園側との交渉記録を意図的に廃棄したとする公用文書毀棄容疑の三つ。くじ引きで選ばれた一般市民を加えておこなわれた検察審査会は、今年3月に特捜部が「不起訴」とした財務省幹部ら38人のうち、当時の財務省近畿財務局管財部次長、国土交通省大阪航空局職員ら4人と、公文書改ざんで告発された佐川元理財局長や近畿財務局管財部長ら6人について「不起訴不当」と議決していた。

 

 今回の不起訴処分について大阪地検は、「廃棄物の処理費用の積算額が不適正であるとは認められない」とし、検審が求めた「客観性のある試算」については「捜査の具体的内容で差し控える」として不起訴の理由を開示しなかった。財務省の公文書から安倍昭恵・首相夫人や政治家の名前を削除した容疑については「(公文書の)変造と認めることは困難」などと、前回とまったく同じ理由をくり返した。交渉記録の廃棄についても「財務省の文書管理規則で1年未満保存文書とされており、毀棄と認められない」と不問に付した。

 

 森友学園問題は、名誉校長に安倍昭恵・首相夫人が就いた小学校新設のために、財務省が存在しないゴミの撤去費用として9割値引きして国有地を払い下げていたことを発端に顕在化し、国会で問題になると関係する公文書や交渉記録については廃棄・改ざんがくり返され、担当官僚は「記憶にも記録にもない」を連発して疑惑をさらに深めた。森友学園の籠池元理事長が、安倍昭恵・首相夫人の関与によって「神風が吹いた」ように売買交渉が進んでいった経緯や、交渉に関する文書や録音データを提示して、財務省が異例ずくめの配慮をしていたことが明らかになると、大阪地検特捜部は籠池元理事長を詐欺罪で逮捕・収監するなどした。

 

 昨年3月には決裁文書の改ざんを強要されたとのメモを残して、近畿財務局の男性職員(当時54歳)が自殺し、近畿財務局は公務との因果関係を認めて「公務災害」と認定している。

 

 国権の最高機関であるはずの国会では、検察による捜査中であることを理由に、政府は説明責任を回避し、佐川元理財局長は証人喚問で文書改ざんにかかわるほぼすべての答弁を拒否し、安倍首相や官邸の関与について否定していた。真相解明が委ねられた大阪地検の「不起訴処分」によって不明瞭な一連の疑惑についての真相は、証拠資料となる文書や記録とともに闇に葬られる結末となった。

 

 これを受けて政府は、理財局総務課長(当時)として文書改ざんにかかわったとされる中村稔・財務省官房参事官を外務省に出向させ、駐英公使に充てる人事を発表した。

 

 財務省の調査報告書では、安倍首相が2017年2月17日の衆院予算委員会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と宣言したことを受けて、中村氏が昭恵氏の名前が入った文書があるかどうか確認するように田村嘉啓・国有財産審理室長(当時)らに指示し、佐川氏に報告をおこなったうえで、2月下旬から改ざんが始まったと認めている。中村氏は、改ざんの中核にいた人物として昨年6月には停職1カ月の処分を受け、同年7月には理財局から官房参事官のポストに就いていた。

 

 疑惑の渦中の人物を栄転させる人事は、経産省から派遣された首相夫人付きの秘書として財務省への口聞き役をしていた谷査恵子を在イタリア大使館一等書記官に栄転させたことと同じく「口封じ」以外の何物でもない。公文書改ざんのキーマンであり、官邸にとっての「功労者」であったことをおのずと暴露するものとなった。

 

 国有地をタダ同然で「お友だち」に払い下げただけでなく、公文書を改ざん・廃棄するという行政組織としての御法度が横行していたことが明らかになり、1年以上も国会審議を混乱させ、自殺者まで出したにもかかわらず、誰一人刑事罰に問われることもなく、立法・行政・司法のどの機関も真相を明らかにすることもないまま強引な幕引きとなった。国家機構としての自浄能力のなさを披瀝するとともに、法治国家とは名ばかりの人治国家へと転落している様を見せつけている。

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この記事へのコメント

  1. 京都のジロー says:

    「張本人は栄転?」映画新聞記者では現政権の裏側を鋭く描いています。
    大半の方は映画の通りだなって納得することでしょう。
    ニュースではあおり運転など軽犯罪を大々的に報道し騒ぎ立てしますが
    政権がらみの大きな犯罪には知らんぷり、無罪、栄転….日本は腐敗し滅ぶのでしょうか?
    私はこれらの大悪に対峙するリーダーが立ち上がったならば、必死に応援し
    社会の流れを変えなければならないと思います。

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