いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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そもそも対話ができないのでは?

 世界各国が対話による解決しかないと米朝に自制を求めているなかにあって、首相が国連総会で「必要なのは対話ではなく圧力だ」と演説し、外相は北朝鮮と国交を結んでいる160カ国に断交を求め、副総理は「武装難民」を想定して射殺をほのめかしたり、安倍政府の戦争への前のめり感が尋常ではない。国交関係がない自国の状況をさておいて、よその国にいきなり断交を求めるというのも北朝鮮を刺激するに十分な話で驚かされるし、「武装難民」を前提に射殺という言葉が飛び出してくる事もまた異常である。なぜ日本政府はこれほどまで喧嘩腰にならなければならないのだろうか。

 

 歴史的経過を紐解いても明らかなように、問題は朝鮮戦争以来続く米朝の矛盾であり、ミサイルが完成したもとでは一方的な恫喝関係は綻び、ロシアの外相ラブロフが言うように、もはや対話しか道は残されていないのが現実だ。破局的なミサイル攻撃の応酬に乗り出すか、主権を尊重して対話によって落としどころを探るかしかない。国連制裁決議でも浮き彫りになったが、世界的な力関係においてはアメリカが孤立しており、武力行使した場合には中国、ロシアも含めて米朝だけでは済まぬ一触即発の危機を迎えることになる。この東アジアの緊張がどこへ向かっていくのかは予断を許さないが、目の前でトランプと金正恩の激しいマイクパフォーマンスがくり広げられているとはいえ、実利を優先するアメリカがどう対応するか、かつてのニクソン訪中のような電撃的和解、ないしは平和協定の締結だってあり得るのが現実だろう。その場合、日本の為政者はあの時の「まさか…」と同じように梯子を外されてバカを見ることにもなる。トランプの背後にはあのキッシンジャーがついているというのだから、何が起こるかなどわかったものではない。

 

 一般的に、他人の争いに首を突っ込んで、「強きを挫き弱気を助く」なら格好もつくが、「弱きを挫き、強きを助く」をして粋がっていることほど恥ずかしく恨まれる行為はない。それでミサイル攻撃の標的にされるというのは、愚かを通りこしてバカげてもいる。そもそも武力衝突する必要がない相手に、原発を54個もぶら下げてオラオラいったり、アメリカの尻馬に乗っていい気になっている光景は、見ていて恥ずかしいものがある。

 

 目下、日本政府は全力で圧力一辺倒を主張している。しかし冷静に考えてみると、そもそも対話ができないのではないか? という疑問がある。国会ですぐにムキになってヤジを飛ばすとか、モリ&カケで困ったら国会を冒頭解散してしまうとか含めて、おそらく現状打開の方策について圧力をかけるかカネをばらまくことしか知らないものだから、対話から敵前逃亡するのだろう。冷静に対話ができない者が相手を挑発するだけで、仮にミサイル攻撃にさらされ、開戦によって日本列島が焦土と化した場合、巣鴨の拘置所に放り込むだけで済むのだろうか。災いをもたらす者は、この選挙によって任を外すべきだろう。武蔵坊五郎

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