これまで名前すら聞いたことがないような男が農林水産大臣に就任したと思ったら、これがまた絵に描いたような自民党所属の勘違い代議士のようで、権力を握った者のおごりなのか官尊民卑も甚だしい振る舞いをして問題になっている。安倍チルドレンで清和会所属、裏金パーティー議員として1700万円を超えるカネが不記載だったのも暴露され、禊ぎだったはずの衆院選で落選したのにゾンビ復活して、なお思い上がった振る舞いに及んでいるようなのである。
なんでも、今年2月の衆院選において選挙区の栃木3区で落選した後、5月に開かれた地元の自民党関係者との懇談会で、「那須烏山市と那珂川町の2026年度の道路予算は大幅にカットした」「(党要職の)筆頭副幹事長の立場で言えば、こんなことできる」「今度、私が当選せずいなくなったら、完全に予算が切られます」「私に頼らない、私がいらないということで無所属の議員を応援するのであれば、私が取ってきた予算をなんで受注するのかと(選挙区内の自民支部に)はっきり言ってやりました」とのべたそうで、保守分裂戦となった選挙で自身を破った無所属の対立候補・渡邊真太朗を地元市長や町長が支援していた那須烏山市と那珂川町の自治体予算を「大幅にカットした」というのである。これが意味するのは選挙の報復措置である。
思えば米軍再編に地元自治体が反旗を翻した山口県岩国市では第1次安倍政権が井原市政に対して交付金を締め上げて兵糧攻めにした事例があるし、沖縄でも自民党政府が推し進める辺野古基地建設に対して翁長知事らが対抗するや沖縄振興予算を大幅にカットするなど、これまでも自民党政府による交付金大幅カットという地方いじめは公然とやられてきた。政府のいいなりにならない自治体は財源で締め上げて制裁を加える――すなわち地方交付税という自主財源の乏しい地方自治体にとって命綱となるカネを回さないことによって自国民や地方に経済制裁を加えるという、いかにも安倍晋三的な政治手法である。永田町や中央政界でそうした手法がまかりとおり、感覚としてもあたりまえだったところに安倍チルドレンも染まって、「オレの力をもってすれば」みたいな思い上がった世界観に溺れて勘違いしているのである。
ただ、やっぱり安倍派は反知性が特徴なのか、締め上げた相手は本来なら自身が頭を下げて投票をお願いしなければならない選挙区の自治体であり、有権者なのである。落選したのなら、なおさら取り込むなり取り入るなりして次回選挙に向けて挽回するのが普通である。それがあろうことか自分の意にそわないからといって支援をお願いすべき相手を締め上げていじめ、経済的に追い込むのだから、ちょっと見たことも聞いたこともない政治家である。次の選挙でどうその反動がふりかかるか計算にないところが反知性というか、はっきりいって馬とか鹿の類いなのである。
名指しで大幅カットが言明された那須烏山市と那珂川町の関係者からしたら、次の選挙ではさらに対立候補の支援に熱が入るだろうし、メラメラと感情が沸き立っているのは想像に難くない。「よしわかった。そんな仕打ちをするなら次は比例復活すら危ういほど選挙区で徹底的に追い込んでやろう」と思うに違いないのである。選挙区にみずから脅威を与える代議士が栃木3区にふさわしいのか否かが問われるものとなり、どっちもどっちの保守分裂戦の様相は大きく変化するのかもしれない。その選挙でも開き直って「オレに入れなかったら交付金を大幅カットするぞ!」と正々堂々と叫んで回ったらいいのである。
そんなアクセントは「や」が強めな「やな農林水産大臣」のもとで、一方ではアメリカからの圧力に屈してジャガイモの輸入解禁手続きが前倒しで進められている。コメ価格も暴落して生産者がますますやっていけなくなるなど、農政の舵取りは責任重大である。反省のない思い上がった裏金・統一教会・売国奴の清和会育ちに農林水産大臣が務まる局面ではない。
吉田充春

















