(2026年4月8日付掲載)

米国の公共放送『NPR』は3日、ホルムズ海峡に接するバーレーンの米海軍第5艦隊司令部から将兵や家族らが米国へ撤退したと報じた。バーレーンの米軍基地は、ペルシャ湾、アラビア海、インド洋西部の海上活動を統括する米海軍の司令中枢であると同時に米中央軍司令部(海軍司令部)を兼務するホルムズ海峡の軍事的要衝だが、米国とイスラエルによるイラン攻撃を機に、イラン側の報復攻撃によって壊滅的打撃を被り、撤退を余儀なくされている。トランプの大言壮語とは裏腹に中東全域の米軍基地や米国の施設が予想以上の被害を受け、撤退に追い込まれていることが明らかになりつつある。
バーレーンの米海軍第5艦隊本部にはかつて約8000人が駐留していたが、2月28日のイラン攻撃開始の直前にイラン側の報復攻撃に備えて「任務遂行に不可欠な」人員のみに削減され、すべての艦船は公海上に退避し、基地内に残っていたのは100人未満だったとされる(米『FOXニュース』)。かなり早い段階で予告なしの撤退が始まっていたことを示している。
『NPR』の報道によると、イラン攻撃開始から数日間で同基地はイランのミサイルやドローンによる報復を受けて7棟の建物が損壊し、海軍報道官は1500人の将兵と家族、数百匹のペットが米国に帰還したことを認めた。
米バージニア州ノーフォーク基地(世界最大の米海軍基地)には、3月中旬から順次、中東地域の米兵らが帰還しており、米軍当局は地域住民団体に帰還兵たちへの生活必需品の支援を要請した。複数の支援団体は、突然の撤退であったため将兵らはほとんどなにも持たず帰還したと証言している。米在郷軍人会の男性は「軍は帰還兵のために洗面用具やその他の物資を買うための寄付を募った。彼らがなにも持たずに帰還してきたからだ」「彼らは文字通り、『リュックに詰めるものだけ持ってすぐに出発しろ!』といわれていた」「到着した彼らは軍服もなにも持っておらず、最初に会った3人の持ち物はリュックサックと着ている服だけだった」とのべている。
中東に赴任する将兵は赴任地には家や車があるが、米本土で家を持っていないケースが多いため、基地内施設は帰還兵で溢れ、軍がホテル滞在費などの生活費を工面するための融資をおこなったほか、軍の支援団体が約2000人の海軍帰還兵とその家族向けに100万㌦(約1億5000万円)を支給したという。
バーレーンだけでなく、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、イラク、シリア、ヨルダンなどで米軍の撤退が始まったとする報道もある。
『ニューヨーク・タイムズ』は1日、中東地域の米軍将兵はイランの報復攻撃を恐れ、基地を離れて都心のホテルやオフィスビルへ移って勤務していると報じた。米軍人らが民間地域で軍事作戦に従事することは、市民を人間の盾にする行為であり、国際法で定められた「軍民分離の原則」に反しているとイラン側は抗議している。
また同紙は、中東一帯で少なくとも17カ所の米軍基地などの施設が攻撃を受け、早期警戒レーダーが破壊されるなどの壊滅的打撃を被っており、2月末時点でカタールのアル・ウデイド空軍基地(中東最大)から数百人の米兵らが本国に撤退したとも報じている。
米陸軍幹部が相次ぎ辞任
中東地域における米国の最大の外交拠点であるサウジアラビアの首都リヤドに駐在する米国大使館もイランのドローン攻撃を受けた。米当局は「軽微な被害」と発表していたが、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4日付)は、同大使館は米中央情報局(CIA)の支部を含む最重要エリアが破壊される甚大な被害を受け、12時間の火災によって復旧不能と判断されたと報じている。
サウジ国内には、米軍の中東航空作戦の前方拠点であるプリンス・スルタン米空軍基地があるが、同基地もイランのミサイルとドローンで基地内施設、空中給油機や早期警戒機などが破壊され、米兵12人が負傷し、機能の一部が停止したと複数メディアが報じた。
トランプ政府がイラン攻撃を継続し、地上軍派遣をほのめかすなかで、2日には米陸軍トップのランディ・ジョージ陸軍参謀総長をはじめ陸軍幹部3人が事実上辞任するなど軍内部の矛盾も露呈している。トランプの「いつでもカーグ島を占領できる」などの強弁とは裏腹に、米軍は湾岸地域におけるみずからの軍事的足場を失いつつある。





















